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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2001年10月11日 平成13年厚生委員会第14号

山加朱美
私は、大江戸線でこの都庁まで参りますけれども、地上からホームまでバリアフリーでという交通局のポスターが今、非常に印象的でございます。
真に利用者の目線に立った実のあるバリアフリーをこの東京からぜひ実現しなくてはならないと、心からそう思っております。
 まず、バリアフリーについて質問いたします。
 昨年十二月に作成された東京都福祉改革推進プランにおいては、バリアフリー化緊急整備事業が戦略プロジェクトとなっております。バリアフリーといいますと、障害者、そして高齢者だけのものというような一般的な考え方がございますけれども、人は生まれて、そしてだれもが年をとってまいります。
少子高齢時代を迎えて、まさに自分自身も年を老いるということは人生の条理であります。
そして、できるならば、だれもが生まれてから年を重ねてその人生を閉じるまで、健康で事故もなく、本当に障害という言葉とは無縁の生き方をしたい、だれもがそう願っていると思います。
けれども、人生の途中で突然の事故、突然の病によって障害を持つということは、決して人ごとではございません。あすは我が身でございます。
 そんな中で、やはりだれにでも役に立つ、そしてだれもが安心して町の中で生活できる、そんな意味でのバリアフリーのとらえ方を、これから二十一世紀は、していかなければならないと思います。
 それとともに、東京都が一体どこにバリアフリー化を実現したのか、都民の方が、どこにエレベーターがあり、そして自分自身が行動するときに、どこを通ったら便利に目的地まで安心してたどり着くことができるか、それを知っていただく、知らせておくことも非常に大切なことだと思います。
 福祉局は、ことしの三月に「バリアフリーマップ東京」を作成いたしました。私も拝見して手元にございますが、主要な駅ごとにエレベーターやエスカレーターの場所が記載されており、大変役立つものと評価しているところです。
 そこで質問いたします。
この「バリアフリーマップ東京」は、何部作成され、どのようなところに配布されているのでしょうか。
また、作成に当たり、どのくらいの予算をかけ、かけた総予算に対するその効果はどのくらいあったのか、環境はどんなものなのか、お伺いいたします。

上野生活福祉部長
ご紹介のありました「バリアフリーマップ東京」は、高齢者や障害者など、すべての方々が公共交通機関の円滑な利用促進のために、広域的な見地から、都内の主要な鉄道駅を中心といたしまして、都で調査をして作成したものでございます。
二千部作成いたしまして、区市町村及び障害者団体を初め、身体障害者更正援護施設や老人福祉施設などに無償配布いたしましたほか、都民情報ルームで有償頒布しております。
 また、主要な内容につきましては、福祉局のホームページにも掲載しているところでございます。都民情報ルームでの有償頒布では、好調な売れ行きであると聞いておりまして、ご好評をいただいているものと思っております。
 なお、作成に要しました経費は、調査費と印刷経費などを合わせまして一千百四十三万円でございました。十分好評をいただいておりまして、効果を上げているものと考えております。

山加朱美
好調な売れ行きであり、好評を得ているということでありますから、さらに内容が濃いものにしていただかなければならないと思います。
そして、この「バリアフリーマップ東京」でございますが、表紙を開きますと、まず、初めにとありまして、中ほどに、このバリアフリーマップ東京は、福祉のまちづくりの観点から、都内の利用頻度の高い主要ターミナル駅を中心に、駅構内のバリアフリー情報を提供し、社会参加や日常生活に役立てていただこうと作成いたしました、とあります。
 本当の意味で、高齢者や障害者の方が公共交通機関を利用して行動する場合、家を出てから目的地まで安全かつ安心をもって、いかに短い距離で目的地までたどり着くことができるかということが非常に大切になってくると思います。
 このバリアフリーマップ、非常に役立つものと思いますが、中を拝見いたしますと、部分的な位置関係はございますけれども、例えばエレベーターやエスカレーターの設置場所のほかに、乗りかえて便利な乗車案内、目的地に迷わず行ける出口案内など、全体の流れがわかる情報があると、さらによいものになると思いますが、いかがでしょうか。

上野生活福祉部長
ただいま委員のご指摘なさいましたとおり、バリアフリーの推進のためには、きめ細かな情報提供を行うことが大変重要であると認識しております。
 こうした取り組みにつきましては、特定の地域や路線ではございますが、既に区市町村や事業者などで、より詳しいマップを作成している例がございます。都におきましては、さらに利用者にとりまして利便性の高いマップができますよう、区市町村を支援いたしますほか、事業者などと緊密な連携を図りまして、よりよい情報提供が行えるように努めてまいりたいと存じます。

山加朱美
答弁のとおり、区市町村や事業者が情報提供を行うことも重要ですけれども、このマップも、例えば地図のそばに、駅の西口から改札に入ると、どのあたりにエレベーターがあるかという、そんな文章が少しついておりますと、さらによいものになるような気がいたします。
 この先、このマップを改定することもあると思います。その際には、ぜひ検討していただきたいと思います。よりよいものをつくるために、一家に一冊欲しくなるような、そして、本棚の飾りとなっても意味がありません。実際に使いこなすことができるような実用性のあるものに変えていただきたいと思います。
 次に、障害認定について幾つか質問させていただきます。
 国の社会福祉基礎構造改革が進む中、行政が一方的に決定するサービスから、利用者志向の開かれた福祉へ、多様な事業者の参加による競い合いの促進、だれもが身近な地域で社会参加が可能となる基礎の整備など、石原都政において、国に先駆け、東京都福祉改革推進プランに基づくさまざまな改革に取り組んでいることを評価いたします。
 これからは、社会的弱者であるからといって、いつも同じように保護、優遇されるだけでは、社会の一員としての責任感や自立への意欲は育っていかないと思います。逆に、本当に必要としている人に必要なサービスを提供できる仕組みづくりとか、地域のニーズに即した重点的な財源配分が必要と思います。
福祉施策をより公平に、かつ効率的に推進することも忘れてはならない重要な視点だと思います。
 障害者の福祉を例にとれば、それぞれの障害程度によって、活用、利用できる制度が異なるのは当然のことです。
健常者も障害者も、ともに社会を支える一員として、また一都民として、それぞれの立場と能力に応じた役割を担う必要があると思います。
 さて、東京都の手帳所持者は三十六万三千人であり、手帳の等級は一級から六級に区分されていますが、東京都がこの身体障害者の手帳を交付するに当たっての等級認定の手続は一体どのようになっているのか、お伺いいたします。

高橋障害福祉部長
身体障害者手帳は、各種福祉サービスを利用しようとする身体障害者本人の意思に基づきまして取得されるものでございます。
したがいまして、手帳取得は障害者本人、児童の場合には、その保護者の申請に基づきまして認定の手続が開始されることとなります。
 認定の手続は、まず申請者が、東京都知事が指定する指定医の身体障害者診断書及び意見書を申請書とともに、その所在地の福祉事務所に提出することから開始されます。
そして、その所在地の福祉事務所を経由いたしまして、東京都心身障害者福祉センターで審査し、法別表が指定する等級に該当しているとき認定されます。そして次に、手帳を印刷作成の後、最後に福祉事務所に送付され、窓口で交付されるわけでございます。
 以上が手続の流れでございます。

山加朱美
今、指定医の診断書と意見書及び心身障害福祉センターにおける審査というお答えでしたけれども、指定医の診断書による等級とセンターにおける審査が異なる場合もあると思います。その場合はいかがでしょうか。

高橋障害福祉部長
指定医の身体障害者診断書と心身障害者福祉センターの審査結果が異なる場合には、東京都社会福祉審議会身体障害者福祉分科会審査部会の意見を聞きまして等級を決定するということになっております。

山加朱美
等級判定は正確を期していることはわかりましたが、障害の程度は治療や訓練を行うことにより、軽減する場合があると思います。障害には更正医療が適用され、例えば、視覚障害者が眼内レンズ挿入術により視力が回復したり、肢体不自由者が理学療法や作業療法などのリハビリテーションにより歩行能力が向上する可能性があると思います。
 さて、障害が重くなって障害の再認定を申請するということはよく聞きますが、その逆の障害が軽くなった場合、再認定の申請は現在どうなっているのでしょうか、お願いいたします。

高橋障害福祉部長
身体障害者手帳を持っておられる方が、障害程度が軽くなったことにより実施する再認定の場合におきましても、本人の申請に基づいて行われるということでございます。

山加朱美
本人からの申請ということですけれども、再認定が義務づけられていなければ、本人から申請する例は非常に少ないのではないでしょうか。
障害の程度が軽くなった場合に、再認定の申請をせずに、気がつかないという場合もあると思いますが、そのままの等級で、これまでと同じ福祉サービスを享受できることはおかしいのではないでしょうか。
お考えと対応について聞かせてください。

高橋障害福祉部長
近年の医学や機能回復訓練の目覚ましい進歩によりまして、手帳の交付時に比べまして、障害程度に大きな変化が認められる事例も少なくないと考えております。
 したがいまして、身体障害者手帳の交付時に、一定期間経過後に再認定を必要とする方に対しましては、再認定を受けるべき旨を知らせる必要があると認識しております。

山加朱美
今まで、再認定を必要とする方に対して再認定を知らせたという事例はあるのでしょうか。

高橋障害福祉部長
身体障害者手帳の交付時には、その手帳の中に、再認定の必要がある場合には申請してくださいということが明定してございますけれども、今までの事例としては、行政側の判断として必要とされる場合というのは、ほとんどないと考えております。

山加朱美
では、都が障害の再認定を実施するといっても、障害が固定化し、実施する必要のない人にもすべて実施するというのでは、非効率的でむだになってしまうと思いますけれども、具体的に、どのように再認定の対象者を絞り込んで実施しているのでしょうか。

高橋障害福祉部長
障害のある方が、発育によりその障害の程度が変化したり、あるいはまた、医療や機能回復訓練等を受けることによりまして、障害の状態が変化することが予想される場合のみを考えております。
身体障害者手帳を所持する方すべてに再認定が必要であるとは考えておりません。

山加朱美
ぜひ適正に実施していただきたいと思います。手帳の等級を障害程度に即して正確にするとともに、もう一つは、できるだけ早く正確になった等級の手帳を所持することが必要です。
 そこでお伺いいたしますが、新規申請も含めて、障害者が区市の福祉事務所の窓口に手帳を申請してから何日後に手帳が手に入るのでしょうか。

高橋障害福祉部長
身体障害者手帳交付の標準処理期間につきましては、窓口事務に係る標準処理期間に関する要綱というのがございまして、それによりまして二十一日と定めております。
現在、おおむねその期間内でご本人に交付いたしております。

山加朱美
手帳の申請者は、都の指定医に診断書を書いてもらい、その上で区市の窓口に申請をし、二十一日かかるというのは、都民感覚からいっても、余りにも遅すぎると思います。
手帳が収得されなければ適用にならない更正医療を、一日も早く受けたい方もいらっしゃると思います。福祉部長、どうでしょうか。

高橋障害福祉部長
現在、国が示しております標準処理期間は六十日でございます。東京都におきましては、平成十年十月に、利用者の立場に立った見直しを行いまして、事務の効率化を図ることによりまして、それまでの三十日から二十一日へと短縮を図ったところでございます。
 しかし、身障手帳の申請及び交付は、区市町村を窓口としている事務でございますために、処理にこの程度の時間を要する場合があることはやむを得ないと考えてはおりますが、標準処理期間の中でできる限り早く申請者へ交付が行われるよう、今後とも努力してまいりたいと思います。

山加朱美
手帳というのは、私も四級の障害手帳を手にしておりますけれども、例えば二十一日かかって自分の手元までその手帳が参りましても、実際その手帳をもって受けることのできるサービスというのは、手帳があるだけでは受けることができません。
 実際、私は四級ですから、公営の都立公園とか、そういうところでの無料駐車はできますけれども、実際に大江戸線に乗ってそのサービスを受ける、また、高速道路に乗ってその回数券のサービスを受ける、さまざま等級によってそのサービスの過程はすべて違うわけでございますけれども、そのサービスを受けるために、その手帳の中身を自分自身にとっていかに便利にするかということになりますと、手帳が手元に参りましてから、さらに一カ月、二カ月とかかることが、今、現実でございます。
 さらに、その手帳というのは、福祉局もしくは交通局に行かなければならない場合もあります。私は、町の中のバリアフリーはもちろんですけれども、その局の壁を越えて、使う方がいかに便利で、そしてスピーディーにそのサービスを受けることができるかということを考えた場合には、局のバリアフリー化を考えていただきませんと、本当に真に必要なサービス、バリアフリーにはならないのではないかと思っております。
 実際に手元に手帳が来て、その手帳をすぐに受け取ることができる、そしてそのサービスをその手帳一つで、もうすべて完了できるような、そこまでの意味のある、実のある福祉手帳にしていただきたいと思っております。
 健常者も障害者も、ともに社会を支える一員として、また一都民として、それぞれの立場と能力に応じた役割を担う必要があると思います。しかし、あすは我が身と思っていても、実際に痛みを伴わなければ、頭でわかっていても完全に理解をすることは難しいことです。
障害者施策の推進には、都民の理解を得るための啓発活動は欠かせないと思います。
知ってもらうこと、そして理解をしてもらうこと、そして行動してもらうこと、ぜひ事業所管部におかれましては、障害者施策に対する都民の理解を得るための効果的なPR、そして事業の効果的推進を心からお願いしておきたいと思います。
 質問を終わります。

出典:厚生委員会速記録第十四号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2001-14.html

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