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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2003年2月28日 平成15年厚生委員会第7号

山加朱美
 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十五年度予算関係議案について意見の開陳を行います。
 初めに、各局共通事項について申し上げます。
 去る十四日に発表された昨年十月から十二月期のGDPは、景気の実感に近い名目値で見ると、前期比〇・一%の減、年率換算〇・五%と三期ぶりのマイナス成長に転じるなど、景気回復の先行きは予断を許さない状況にあります。
 一方、都財政は四年連続の実質赤字が続いており、さらに、景気低迷を受けて、十五年度の都税収入は、大幅な減となった前年度をさらに下回り、八年ぶりに四兆円を割り込むなど、大変厳しい状況となっております。
 こうした中にあっても、東京の再生と都民の安心、安全の確保に向けた力強い施策展開や、中小企業・雇用対策など、東京が直面する緊急課題への万全の取り組みが強く求められております。
 知事は、十五年度予算案を、財政構造改革に全力を挙げて取り組みつつ、現下の緊急課題や東京の再生に積極的に挑戦する予算と位置づけ、編成されました。
 内容を見ますと、歳出面では、我が党が特に重視をしている中小企業・雇用対策、ディーゼル車対策、三宅島等の災害対策などの緊急課題に積極的に取り組むとともに、幹線道路、公共交通網の整備や障害者地域支援緊急三カ年プラン、都立病院改革、観光産業の振興、ヒートアイランド対策、市町村への支援など各分野ごとに施策の重点化を図っております。
 このように都民の期待に応じた施策展開が図られる一方で、給与関係費の削減など内部努力や施策の見直しにこれまで以上に取り組まれ、歳出総額、一般歳出とも厳しく抑制されております。
 歳入面では、都市基盤整備を推進するため、国庫支出金の確保に努めるとともに、後年度の財政負担の軽減を図るため、引き続き都債の抑制が図られております。
 しかしながら、税源の移譲など地方税財政制度の改善については、新たな改善が図られませんでした。
今後も税源移譲を初めとする地方税財政制度の改善を強く国に働きかけ、地方主権の時代にふさわしい財政自主権を実現していかなければなりません。
 平成十一年、財政再建団体転落の危機に直面した都は、平成十二年度から財政再建推進プランに基づき、財政再建の取り組みを全力で進め、財政再建団体への転落を回避するとともに、十五年度までに内部努力や施策の見直しなど、都独力でなし得る目標はすべて達成するなど、着実に成果を上げてきました。
 しかし、その一方で、プランの見込みを下回る都税収入や、一向に進まない国から地方への税源移譲など、財政再建を真に達成するにはまだ途半ばの状況にあります。
 東京の再生を目指す積極的な取り組みを行うためにも、財政基盤の確立が重要です。あすの東京を切り開いていくためにも、今後とも真の財政再建に向けて、たゆまぬ努力が必要であることを申し述べます。
 なお、予算の執行に当たっては、各局とも効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく最大限の努力を重ねられるよう強く要望いたします。
 次に、各局関係に移ります。
 まず、福祉局関係について申し上げます。
 一、大都市東京の特性を生かした多様な事業者が競い合いを通じて質の高いサービスを提供し、利用者がみずから必要なサービスを選択する、利用者本位の新しい福祉をより一層推進されたい。
 二、ケアを必要とする高齢者が地域の中で安心して暮らし続けられるよう、痴呆性高齢者グループホームについて、民間企業への整備費補助を引き続き実施するとともに、新たにオーナー改修型も対象とするなど、大幅な増設に努められたい。
 また、ケアハウスなど着実な設置に努めるとともに、高齢期における住まいと介護のあり方について調査検討に取り組まれたい。
 三、介護予防・生活支援事業を充実するとともに、介護予防に係る人材育成や普及啓発などを総合的に展開し、区市町村における介護予防事業の早急な普及、定着を図られたい。
 また、ひとり暮らしや夫婦のみの高齢者世帯に対する高齢者地域自立支援ネットワーク緊急整備事業を創設されたい。
 四、特別養護老人ホームなどの介護保険施設について着実な設置に努めるとともに、特別養護老人ホームが自立的経営を進め、サービスの向上や経営改善を図ることができるように、特別養護老人ホーム経営支援事業を着実に推進されたい。
 五、介護保険制度の充実のため、利用実績が低い訪問リハビリテーション、通所介護などについて現状と課題を分析し、普及促進を図られたい。
 また、ケアマネジメントリーダーの養成研修の実施、介護支援専門員支援会議の開催、相談窓口の設置などにより、資質の向上や育成を図り、ケアマネジメント体制の整備に努められたい。
 六、地域における子育てを支援するため、子ども家庭支援センターの拡充や、ショートステイ、一時保育などの在宅サービス事業の拡充を図られたい。
 七、児童虐待などに迅速かつ機動的に対応するため、児童相談所の相談体制を一層強化するとともに、先駆型子ども家庭支援センターの創設や児童虐待防止区市町村ネットワーク事業の拡充など、区市町村の体制強化を推進されたい。
 八、社会的養護を必要とする児童が家庭的環境のもとで健やかに育ち自立できるよう、養育手当の充実、養育家庭へのレスパイトケアの実施、専門養育家庭の創設など、養育家庭への支援体制を強化し、委託児童数を拡大されたい。
 九、多様な保育ニーズに柔軟に対応するため、認証保育所を拡充するとともに、認可保育所における零歳児保育対策や延長保育事業などを拡大し、保育サービス総体の質の向上に努められたい。
 十、支援費制度施行に円滑に対応し、障害者の地域生活を支えるため、障害者地域生活支援緊急三カ年プランを策定し、生活寮などの居住の場、通所授産施設などの日中活動の場、地域生活支援機能を備えた入所施設などを集中的に整備されたい。
 また、支援費制度利用援助モデル事業を創設するとともに、従事者の養成研修を実施するなど万全な体制を整えられたい。
 十一、知的障害者が安心して地域生活に移行できるよう、体験型生活寮モデル事業や地域生活移行支援事業を拡充されたい。
 十二、在宅の障害者やその家庭を支援するため、ホームヘルプサービス事業や心身障害者(児)緊急保護事業などを引き続き充実するとともに、区市町村障害者就労援助事業の本格実施や、新たに自閉症・発達障害支援センター事業を実施するなど、相談体制の充実を図られたい。
 十三、利用者が必要なサービスを安心して選択できるよう、福祉サービス第三者評価システムを本格実施し、その普及、定着に努められたい。
 また、福祉情報総合ネットワーク事業の本格稼働や福祉サービス総合支援事業の実施区市町村の拡充など、福祉サービス利用者などへの支援を推進されたい。
 十四、福祉NPO等運営強化支援事業を引き続き実施するとともに、社会福祉法人経営改革推進事業を拡充し、経営体質の強化、改革、利用者志向の人材育成を支援されたい。
 十五、福祉のまちづくり地域支援事業、だれにも乗りおりしやすいバス整備事業や鉄道駅エレベーター等整備事業を推進し、バリアフリー化の環境整備に努められたい。
 十六、福祉改革推進事業、高齢者いきいき事業の包括補助制度や、地域福祉推進事業補助及び暮らしの福祉インフラ緊急整備事業などにより、区市町村の自主的な取り組みを支援されたい。
 十七、低所得者の資金需要に対応する貸付事業として、長期生活支援資金や緊急小口資金を創設し、自立した生活を支援されたい。
 十八、路上生活者の社会復帰を促し、早期に自立した生活を営むことができるよう、自立支援センターなどの着実な整備を図るとともに、公園などの現地における巡回相談を新たに実施し、支援の強化を図られたい。
 次に、健康局関係に移ります。
 一、東京発医療改革の柱である患者中心の医療を一層推し進め、保健医療全般にわたり、患者中心、都民本位の施策展開に努められたい。
 二、都民に身近な地域の診療所において、質の高い医療の提供を推進するため、電子カルテシステムによるネットワーク構築のためのモデル事業を着実に推進されたい。
 三、都立小児病院移転後の多摩地域における小児医療を確保するため、地域の実情に合わせた小児救急医療体制確保のための支援策を充実するとともに、周産期母子医療センターの整備促進を図られたい。
 四、都民生活の安全を最優先する包括的、戦略的な食品安全行政の実現を目指すため、食品安全対策の根幹となる基本条例の早期の制定に取り組まれたい。
 五、営業者の自主的衛生管理を推進するための都独自の仕組みを構築し、食の安全・安心確保を図られたい。
 六、ウイルス肝炎総合対策について、早期発見から早期治療を推進するとともに、予防などの普及啓発に努められたい。
 七、夜間・休日における初期及び二次救急医療並びに二十四時間対応の医療相談体制の整備を着実に実施し、引き続き精神障害者が地域で安心して暮らせるための施策の充実を図られたい。
 八、精神障害者社会復帰施設の計画的整備を進めるとともに、開かれた保健福祉の実現に向けて、利用者みずからがサービスを選択する仕組みの構築に取り組まれたい。
 九、多摩島しょ地域の保健サービスを向上させるため、市町村が主体的に行う、きめ細かな保健サービスを展開する際の事業に対する支援制度を創設されたい。
 十、第三次改定の東京都保健医療計画について、二十一世紀にふさわしい東京の包括的保健医療体制の構築に向け、計画の着実な推進を図られたい。
 次に、病院経営本部関係に移ります。
 一、都立病院は、今後とも都における医療環境、都民要望などを十分に踏まえ、一般医療機関では対応が難しい難病医療や、小児医療、周産期医療などの行政的医療に引き続き積極的に取り組まれたい。
 二、都立病院改革マスタープラン及びその具体的な取り組みを示した都立病院改革実行プログラムの実施に当たっては、効率的、効果的な事業の推進に努められたい。
 三、都立病院は、その医療機能を生かし、地域の医療機関や都立病院相互の連携を進め、小児医療を初めとする医療ネットワークの強化に積極的に寄与されたい。
 四、実行プログラムで統廃合が予定されている都立小児病院については、これまで病院が果たしてきた役割を再認識し、議会で指摘されている地域事情をよく精査した上、地元自治体等との間で十分な対応策を検討されたい。
 五、都立病院の医師の育成、確保に当たっては、臨床研修の義務化の機会を適切にとらえ、優秀な医師を採用するシステムの確立に努められたい。
 六、都立病院の再編整備に当たっては、駐車場など、患者の利便性に配慮した療養環境の整備に努められたい。
 以上をもちまして私の意見開陳を終わります。

出典:厚生委員会速記録第七号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2003-07.html

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