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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2006年11月09日 平成18年 厚生委員会第15号

山加朱美
ご苦労さまでございます。
 私は、大変地味な質問でございますけれども、都民の命にかかわる大切なことでございますので、すっきりと端的に質問させていただきます。
 救命救急処置技術の充実強化について、病院経営本部は裏で大変力を注いでくれていると認識をいたしております。
確認も含めて、何点か質問させていただきたいと思います。
 みずからの命はたった一つでございます。失うかもしれない命がわずかの差で、例えば最新の器械があった、それを知っている、使いこなせる人がいた、そんなたったわずかの差で命が助かるとしたら、こんな喜ばしいことはございません。
 都営地下鉄では、三月に自動体外式除細動器、いわゆるAEDですが、これを実際に使用して人命救助されたことが新聞等で大きく報道されました。
また九月にも、都営三田線、千石の駅で、このAEDの使用による人命救助が報道されております。この新宿都庁舎を初めとしまして、多くの公共施設等にAEDの設置が進んでまいりました。
 私も都営交通大江戸線を利用しておりますけれども、練馬春日町の駅、改札口を入りますとすぐのところに、このAED、オレンジのボックスが目につくところに置かれておりまして、そのそばを通る人を見ておりますと、ああ、これがAEDなのね、それと、使い方はどうなんだろう、この間、使い方を実際試してみたけれどもとか、いろいろな声を耳にいたします。
このAEDという言葉が、実際、庶民の中に浸透してきたのかな、しかし、まだまだその使い方までは実際に啓発が進んでいないのかなと、そんなことも実感いたしております。
 実際、このAEDは、突然の心停止患者に対しては最も有効な救命処置法ですけれども、器械がどんなに普及してきても、実際に使用できる知識を持った人がいなければ、せっかくの器械も、設置しても何の意味もないわけであります。
より多くの都民が使用できることが、この救命率の向上に大きくつながるものと考えております。
 私は、議会では、このAEDの啓発、一番早く発信させていただいたと思います。また、十七年三月にも、この厚生委員会で、この普及に対して都立病院が率先して取り組むことによって、都におけるAEDの普及に大きく貢献できるのではないかと、そんな質問をさせていただきました。
 そこで、その後、一年と半年がたったわけですが、都立病院でのAEDに関する取り組みの状況について、まず伺わせていただきます。

及川経営企画部長
都立病院では、平成十七年度にすべての病院にAEDを整備いたしまして、平成十七年度末現在で六十三台を配備しているほか、今年度も増配備を予定しております。
 配置場所は、主に診察室等から離れている外来の入り口やエレベーターホール、放射線科受付などに配置をしております。
 AEDの配備に当たりましては、その使用法を含めました最新の心肺蘇生法を習得するために、昨年九月から、事務職員も含めましたすべての職員を対象に救命講習会を実施しておるところでございます。

山加朱美
ともすると病院だからAEDは必要ないのではないかということを聞くこともありますが、幾ら院内の緊急時の対応ができているからといって、この心停止の処置は早ければ早いほど救命の確率が上がるわけでありますから、このAEDを、今の答弁にもありました診察室等から離れている外来入り口、エレベーターホールなどに設置をしている。
病院だからといってドクターが常に目の前にいるわけではありませんので、病院の危機管理という観点からも、私は大変評価ができると考えております。
 しかし、一般の人は、病院のお医者様、ドクターや看護師、心肺の蘇生法というのは当然習得していると考えている人が多いのではないかと思うのですが、今、全職員を対象にAEDを含めた救命講習会を実施しているということでありました。
 そこで、改めて、すべての職員を対象としている、その考え方についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、現在どのような方法によりそれを実施し、どのくらいの職員がこの講習会を受講しているのか、あわせてお聞かせください。

及川経営企画部長
平成十六年七月から、AEDの使用が非医療従事者にも開放されたことに伴いまして、現在では、国際ガイドラインに沿った最新の心肺蘇生法が重要視されております。
 医師や看護師は、当然、心肺蘇生法の基本的な知識は持っておりますけれども、専門化した現在の医療分野では、ふだんから常態として救命措置を実施しているというのは、救命救急医療など特定分野の医療従事者に限られております。
このため、医療従事者といえども、一般都民同様に、最新のAEDの使用法を含む心肺蘇生法を習得しておくことが必要であるというふうに考えております。
 また、救命講習会の実施状況でございますが、全都立病院共通のプログラムを作成いたしまして、アメリカ心臓協会や日本救急医学会公認の講習会を受講しました医師、看護師等が各病院で講師となってその普及に努めております。
昨年九月から、都立病院救命講習会を開始いたしまして、アメリカ心臓協会、日本救急医学会の講習会受講者も含めまして、現在では約三千五百名が受講しております。
山加朱美
病院経営本部の職員定数が約六千三百人だったと思いますから、現在で約三千五百名が受講ということは、既に半数以上の多くの職員が受講しているようですが、多くの公共施設でこのAEDの設置が普及しつつある中で、この受講した職員ももちろん都民の一人として町中を歩いているわけですから、町中で傷病者に遭遇するという可能性も大変高いわけです。
病院内だけの対処ということではなく、都内全体の救命率の向上にも大きく寄与するものと私は確信をいたしております。
 ところで、この心肺蘇生法にかかわる国際ガイドライン、この二〇〇五年に見直しをされております。
これまでの国際ガイドライン二〇〇〇では、AEDの適切な使用にスポットが当てられ、そのために必要となる早期の通報の重要性が強調されていました。
ところが、この国際ガイドライン二〇〇五では、さらに傷病者の機能的予後の改善を念頭に置いて、心肺蘇生法の重要性が改めて強調されたとのことでありますけれども、この都立病院の救命講習会では、国際ガイドラインの見直しによる対応をどのように行っているのでしょうか。
ちょうど、このガイドライン二〇〇〇とガイドライン二〇〇五のはざまで、AEDの普及が図られてきたと思います。
そして、この国際ガイドラインの見直しがされたことによって現場で一般的に課題となっていることがあれば、お教えいただきたいと思います。

及川経営企画部長
都立病院の救命講習会では、各都立病院の医師で構成されます都立病院救命講習会管理委員会という内部委員会を設置しております。
 この内部委員会では、国際ガイドライン二〇〇五が公表された直後より、講習内容の改定について検討を行っておりまして、本年九月には新しいプログラムを策定しまして、各都立病院で、十一月中を目途に講習内容を切りかえることとしております。
 また、一般的な課題といたしましては、心肺蘇生法の見直しのほか、AEDの電気ショックが、これまで最大三回から一回のみに変更になったことによりまして、音声ガイダンスが一部変更となりました。
このため、しばらくの間、新旧のAEDが混在することになりまして、これまで講習会を受講した一般都民の方が使用する場面に遭遇したときに、混乱が生じるのではないかということがいわれております。
 そこで、都立病院におきましては、各病院で講習内容の切りかえが終わった後、速やかにAEDの音声ガイダンスを変更するとともに、既に受講した職員に対しましては、変更点をリーフレットなどにより周知することとしております。

山加朱美
今の答弁を伺いまして、病院経営本部、国際ガイドラインの変更にもしっかりと対応して、また都立病院内でも救命講習会を実施しているということがよくわかりました。今後とも、しばらくは混乱を生じさせないように、どうか周知の徹底をお願いしたいと思います。
 それと、東京消防庁がこのAEDを広く一般都民に救命講習会を実施しておりますけれども、今後は、都立病院でも職員以外に受講する機会を設けてはどうかと思います。現在、都立病院の職員以外に講習を実施していないのかどうか。
また、今後何かお考えがありましたら、伺いたいと思います。

及川経営企画部長
現在、都立病院職員への講習会を実施しているほか、今年度に入りまして、交通局から職員向けの講習会の実施依頼がありました。
 都営バスやバス営業所にAEDを設置することから依頼があったものでございまして、これまでに講習会を四回実施しておりまして、六十一名が受講されております。
 このほか、広尾病院では、地元町会の総合防災訓練でAEDのデモンストレーションを行うなど、AEDの普及啓発に取り組んでおります。
 今後とも可能な範囲で、都立病院の職員以外にも講習会やデモンストレーションなどを実施いたしまして、AEDを含む心肺蘇生法の普及啓発に努めてまいります。

山加朱美
これまでの質疑によりまして、都立病院がAEDの普及啓発に地道に努力してくださっていることがうかがえまして、都民の一人として大変心強い限りでございます。
 都立病院は、都民に適切な医療を提供していくことはもとより、このような医療技術の普及啓発活動にも寄与していくことが、都民に対する総体としての医療サービスの向上にもつながるものと考えます。
 今後とも、AEDの普及啓発に、継続的にそして積極的に取り組んでいただくことを希望いたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。

出典:厚生委員会速記録第十五号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2006-15.html

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