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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2006年11月27日 平成18年厚生委員会第17号

都留少子社会対策部長
お手元にお配りしてございます請願・陳情審査説明表に従いましてご説明させていただきます。
 整理番号1、一八第一二四号、児童扶養手当の減額率の緩和を求める意見書提出に関する請願は、財団法人東京都母子寡婦福祉協議会会長の伊部美佐子さん外三千五十九名から提出されたものでございます。
 その請願の要旨は、児童扶養手当制度の見直しによる児童扶養手当の減額率を緩和するよう、国に意見書を提出していただきたいというものであります。
 現在の状況についてご説明申し上げます。
 児童扶養手当は、父母の離婚等により父と生計を同じくしていない児童を養育している母子家庭等の生活の安定と自立を支援し、児童の福祉の増進を図ることを目的として支給される手当であります。
 平成十五年四月一日に改正された児童扶養手当法では、手当の支給を受けた母は、みずから進んでその自立を図り、家庭の生活の安定と向上に努めなければならない旨が追加されております。
また、支給開始月の初日から五年または支給要件に該当した月の初日から七年を経過したときは、手当額の二分の一を上限に支給しないこととなっております。
 支給制限の詳細については、子育て支援策、就労支援策、養育費の確保策及び経済的支援策の状況、離婚の状況等を勘案し、平成二十年四月一日までに政令で定められることとされておりますが、現在のところ明らかになっておりません。
 都は、支給制限の実施に当たっては、母子家庭の生活実態や母子家庭等に対する施策の進捗状況等を十分に踏まえ慎重に対応するよう、大都市民生主管局長会議等を通じて国に要望しております。
 説明は以上でございます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

長橋委員長
説明は終わりました。
 本件について発言を願います。

山加朱美
この請願一八第一二四号でございますが、我が党六名の議員が紹介議員を務めさせていただいております。私もその一人でありますので、何点か質問させていただきます。
 厚生労働省が、平成十五年度、全国母子世帯等調査結果報告を発表していますが、これによりますと、全国の総世帯数四千五百八十万世帯のうち、二・七%、百二十二万世帯が母子世帯であります。
そして、この五年前が約九十五万五千世帯が母子世帯であるわけで、約三割増となっております。全国の母子世帯が急増しているわけであります。
 その母子世帯となった理由でありますが、いろいろだと思います。離婚あるいは死別、未婚時の出産。しかし、いずれにいたしましても、母子家庭の置かれている生活状況を考えますと、母子家庭の母親は、子育て、そしてまた生計の担い手という大変大きな二つの役割を一人で担わなければなりません。
 都は、平成十四年度、社会福祉基礎調査を行いましたが、これによりますと、母子家庭の場合、離婚などによりひとり親家庭になった当時に困ったこととして、約七割が家計を挙げております。
以下、仕事、そして住居の順に割合が多くなっているわけですが、また、その調査を行った時点で、現在困っていることとして、約六割がやはり家計と答えております。以下、子どもの教育、進路、就職、仕事の順に高くなっているわけでありますが、これを見ましても、母子家庭が生活全般にわたりさまざまな困難な状況を抱えることがうかがえます。
 請願書によりますと、母子家庭の母の就業は厳しく、平成十五年度の全国母子世帯等調査では、一般世帯の平均年収五百八十九万円に比べ、母子世帯の年間就労収入は百六十二万円にとどまっているとあります。
三倍強の開きがあるわけでありますが、このような状況の中で、平成二十年四月から国が児童扶養手当の見直しを行うということは、母子家庭にとって大変不安が大きいことと思います。
 そこで、確認のために改めて伺いますが、今回の児童扶養手当の見直しを行おうとする背景とその内容はどのようなものなのでしょうか。

都留少子社会対策部長
今回の児童扶養手当法の改正は、近年の離婚の増加など、母子家庭をめぐる状況の変化を踏まえ、母子家庭等の自立を促進するため、子育て支援の充実や就業支援策の強化など、総合的な支援策を講じる一環として行われたものでございます。
 今回の児童扶養手当法の主な改正の内容は、受給期間が五年を超える場合、または支給要件に該当したときから七年を経過したときは、手当額の二分の一を上限として減額するというものであり、その詳細は政令で定めることとなっております。

山加朱美
児童扶養手当は、現在、お子さん一人の場合、所得に応じて月額で最高四万一千七百二十円、最低でも九千八百五十円支給されております。これが当手当の二分の一を上限とした見直しということは、母子家庭の家計に与える影響は大変大きいと思います。
 そこで、都内の状況についてお尋ねしたいのですが、都内の母子世帯の数、その方々の収入と就業の状況、また、そのうち児童扶養手当を受給している家庭の数はどのくらいか、お答えいただけますでしょうか。

都留少子社会対策部長
都内の母子世帯の数は、平成十八年一月一日現在、およそ十二万一千六百世帯と推計され、都内の全世帯数五百九十三万世帯に占める割合は約二%でございます。
 母子世帯の八五%の方が何らかの形態で就業しておられますが、そのうち常勤で働いている方は五五%、パート、アルバイトの方は三七%、自営業、その他の方は八%となっております。
 また、都内の母子世帯の収入状況は、平成十四年度、東京都社会福祉基礎調査などの調べによりますと、七割が年収四百万円未満であり、その半数が二百万円未満となっておりまして、都内の一般世帯の平均年収七百七十三万円に比べ著しく低い状況になっております。
 また、都内の児童扶養手当の受給者数は、平成十七年度末で約七万六千人となっており、母子世帯の総数十二万一千六百世帯のうち、おおむね六割がこの手当を受給しております。

山加朱美
今、都留部長の答弁によりますと、八五%の方が働いているということでありますけれども、母子家庭の母の場合は、就業経験が少ない、あるいは結婚、出産により今まで勤めていた会社を中断していた、そんな理由から、再就職はなかなか難しい。
あるいは就職したとしても、なかなか正規の雇用をしていただけない。
パートやアルバイトなどの非正規雇用を余儀なくされているといった場合も大変多いと思います。
自立の促進という観点からは、当然ながら、安定した収入を得て生活するということが非常に重要であります。そのためには就業の支援が必要であるわけですが、都では現在、母子家庭への就業支援についてどのような取り組みを行っているのか伺わせてください。

都留少子社会対策部長
お話のとおり、母子家庭などひとり親家庭が地域で自立して生活していくためには、安定した就業が非常に重要であり、都が平成十七年四月に策定いたしました東京都ひとり親家庭自立支援計画でも、就業支援を大きな柱の一つとして掲げております。
 都では、母子家庭等の就業自立を支援するため、平成十五年度から、東京都母子家庭等就業自立支援センター事業を実施し、就業相談や求人情報の提供、職業紹介などを行っております。
 また、平成十七年度から、就業経験の乏しい母子家庭の母のために、パソコンや介護サービス、医療事務などの職業訓練を専門学校等に委託して実施しております。
 このほか、就業に結びつきやすい看護師や保育士などの有益な資格取得を支援する自立支援給付金事業なども実施しております。
 今後も都といたしまして、母子家庭を初めとして、ひとり親家庭の自立のための就業支援をより一層充実させてまいります。

山加朱美
都としてもぜひとも母子家庭などひとり親家庭への就業支援、今後とも一層強力に取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
 それに加えまして、ひとり親家庭の自立促進に向けては、やはり子育ての環境を整備するなど総合的な支援が不可欠であると私は思います。
支給制限の実施に当たっては、母子家庭の生活実態をきちんととらえまして、また、母子家庭に対する施策の進みぐあいをその都度十分に踏まえまして、どうか慎重に対応していただきたいと思います。
 そこで伺いますが、支給制限の実施に向けた国の動きというのはどうなっているのでしょうか。

都留少子社会対策部長
平成二十年四月の児童扶養手当の支給制限実施に向けてのスケジュールにつきましては、国はまだ明らかにしていないため、詳細については不明でございます。
 現在の国の動きといたしましては、平成十八年十一月一日を基準日として全国母子世帯等調査が行われておりまして、その結果が平成十九年春にも公表される予定でございます。国としては、その結果なども踏まえて検討を行っていくと聞いております。

山加朱美
都としても、母子家庭等へのさまざまな支援を一層充実させるよう期待をいたしております。
 また、都議会としても、都議会から国に意見書を提出してほしいというこの請願に対して歩調を合わせまして、ぜひ皆様もご賛同していただきまして、趣旨採択で臨んでいただくようお願いして、質問を終わります。
ありがとうございます。

出典:厚生委員会速記録第十七号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2006-17.html

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