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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2007年06月22日 平成19年厚生委員会第8号

山加朱美
私からは、第百四十六号議案、本定例会に提案されております東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例について伺わせていただきます。
 今回の条例案は、福祉保健局の定める手数料のうち、介護サービスの情報公表について、今年度新たに対象となる訪問リハビリテーションなど三サービスについて規定をするものでありますが、この介護サービス情報の公表制度は、昨年四月の改正介護保険法の施行により創設されたものであります。
 先ほどの資料の説明にもありましたが、この実績数、昨年度は七千を超える事業所がこの調査を受けているわけでありますが、そこでまず、改めてこの介護サービス情報の公表制度の目的と意義について、最初に伺わせていただきます。

狩野高齢社会対策部長
介護サービス情報の公表制度の目的と意義についてでございますけれども、お話のとおり、本制度は、介護保険法の改正に伴いまして昨年四月に導入されたものでございます。
 その目的は、サービスの質の確保と向上を図ることにより、利用者がサービスを適切に選択できるよう支援することでございます。
 また、介護サービス事業者から見れば、自主的な努力をみずから公表し、より適切な事業者として利用者から選ばれることを通じて、サービスの質の向上につながるものでございます。
 こうした点から、本制度は、介護サービスの質の向上を図る上で、サービスの利用者と提供者、両者にとって大変重要なものであると考えております。

山加朱美
今ご答弁にもございましたけれども、この制度はサービスの質の確保と向上という視点に基づき導入されたものであり、大変重要な仕組みであることについては、私も全く同感であります。
 もとより、介護保険制度におけるサービス利用は、利用者と事業者との契約に基づくものであることから、契約の当事者は対等の関係でなければならないと考えます。そこでクローズアップされるのは、従来から消費者契約などにおいて指摘されておりました当事者間における情報量の差、つまり情報の非対称性の問題であります。介護サービスにおいては、事業者には多くの情報量があります。
しかし、一方で、利用者にはほとんど情報がありません。
持てないといった方がよろしいでしょうか。
 こうした中で昨年導入された介護サービス情報の公表制度は、利用者がみずからの価値観に基づいて自分に合ったサービスを選択することにより、多様な事業者間の競争が促進され、また、最終的には介護サービス全体の質の向上が図れることが期待されるわけであります。
 また、本制度は、介護保険制度の基本理念である利用者本位、また利用者による選択など、現実のサービス利用場面において利用者と事業者との対等な関係を実質的に保証するものであります。
本制度は、今後の介護保険制度を安定して運営していく上では大変重要なものであります。
 私も実は、実際に地元の事業者情報を試しに検索してみました。
ところが、大変情報量が多いんですね。
なかなか欲しい情報に行き当たらず、大変歯がゆい思いを持った、そんな感想がございます。
 そこで、この制度の具体的な仕組みがどのようなものなのか、また、制度が始まってちょうど一年たつわけでありますが、利用者や事業者から実際どのような声が上がっているのか、あわせて聞かせていただけたらと思います。

狩野高齢社会対策部長
まず、介護サービス情報の公表制度の仕組みについてでございますが、公表されます情報の内容や質によりまして、基本情報と調査情報に分かれます。
基本情報は、例えば職員体制や利用料金などのいわゆる事実情報で、事業者からの報告内容がそのまま公表されます。
調査情報は、サービス提供内容などの記録の有無など、調査員が事業所を直接訪問して確認した上で公表されます。
基本情報、調査情報ともに年一回の報告が事業者に義務づけられております。
 なお、公表されます情報につきましては、インターネットで閲覧できます。
 次に、利用者や事業者からの意見についてでありますが、まず、サービスの利用者からの意見としては、公表されている情報が最新の情報ではないという意見や、インターネットの画面構成や操作方法がわかりにくいといった意見、さらに、紙に印刷して打ち出すと大量になるなどの意見がございます。
 一方、一部の事業者からの意見としては、従来行われてきました指導検査や福祉サービス第三者評価制度との違いがわからない、あるいは調査手数料が高額である、あるいは毎年調査を行う必要があるのかといった声がございます。

山加朱美
今聞かせていただきました意見、これは利用者である都民や事業者からの、いずれもこの制度を実際に利用したり、調査を受けたりした上での実感であり、大変貴重な意見であると思います。
 それでは、こうした意見に対する都の見解はどのようなものか、伺わせてください。

狩野高齢社会対策部長
まず、利用者からの意見でございます、公表されている情報が最新の情報ではないということについては、現行の制度では、年に一回の報告と調査が義務づけられております。
なお、先ほど申し上げました基本情報については、事業者からの申し出により随時更新が可能でございます。
 また、調査員が確認する調査情報も変更することがありますので、更新頻度については、利用者の要望も踏まえ、今後検討していく必要があると考えております。
 また、インターネットを利用できる環境にない方への対応やインターネットの画面の構成などについても、利用者の声を参考にしながら、改良の余地があると考えております。
 次に、事業者からの意見に対してでございますが、まず指導検査や第三者評価制度との違いについてでございますが、指導検査につきましては、法令の基準に違反していないかどうかを確認することがその目的でございます。
一方、第三者評価制度は、事業者の組織運営とサービスの改善への取り組みを評価するものでございます。これに対しまして、今回の介護サービス情報の公表制度は、実際に事業者が提供しているサービスなどを客観的に調査員が確認し、それを公表するものでございます。
 調査手数料につきましては、サービスの種別ごとの調査事務量に応じた人件費及び旅費を適切に積算し、算出しております。
 なお、事業者からの、毎年調査を行う必要があるのかということにつきましては、利用者からは情報更新の頻度を高くしてほしいという声が一方にあり、今後、費用対効果の観点から、調査情報の確認方法などもあわせ、検討していく必要があると考えております。

山加朱美
事業者、利用者などの意見、そしてまた、それに対する都の意見も伺わせていただきました。
 いずれにしても、昨年は初年度でもあり、利用者や事業者だけでなく、都においても大変手探りの部分もあったことと思います。
ですから、現時点で、この制度のいい、悪いを決めるということはまだ早いのかなと。
今大事なことは、この制度の真の目的を見失わないことではないかと思います。
 この制度は、利用者だけでなく、事業者側にとっても、利用者から選ばれるというメリットがあります。
介護サービス事業は、個人事業者や中小のNPOなどがサービスを提供する上で大変大きな役割を担っており、そうした中小の事業者では、利用者に対し、みずからのサービス内容やセールスポイントなどについて公表の手段を持てないことが多いわけであります。
 こうした中で、本制度は、事業者が大きい小さい、その大小にかかわらず、同一の環境において公平公正にサービス内容を公表すること、また、小規模の事業者でも、利用者から選択される機会を保障されるものであります。
これによって事業所の安定的な経営に資することにもつながり、こうした点を踏まえれば、調査手数料などの経費を事業者が負担することについては、私どもは一定の理解を示すことができます。
 ただし、利用者や事業者からの意見にも先ほどございました、調査のあり方や調査周期、また情報更新の頻度などについては、やはり改良の余地があると考えます。
もちろん、この制度は国の設計に基づくものでありますから、都が単独で対応することはできないことも多いと思います。
 そこで、本制度をよりよいものとするために、国に対して提案をしていくことも必要と考えますけれども、いかがでしょうか。

狩野高齢社会対策部長
東京都はこれまでも、他の道府県とともに、国に対しまして、情報公表システムのインターネットの画面構成などの改修を行うよう要望してまいりました。
 今後は、ご指摘を踏まえ、本制度の見直しに向け、利用者や事業者等の意見を聞きながら、調査情報を確認するための実地調査について、毎年行うこととされている調査周期や確認方法のあり方などを国に対し提案、要求してまいります。

山加朱美
どうか、国に対していうべきことはしっかりといっていただきたいと思います。
 繰り返しになりますけれども、この制度は、始まってからまだ一年しかたっておりません。今大事なことは、制度をしっかりと普及、定着させ、利用者と事業者双方にとってよりよい仕組みとすることであります。
 この制度が介護サービスの質の向上、そしてまた質の確保につながり、努力している事業者が真に報われ、そしてまた、利用者がみずからサービスを選択して、自立できるためになくてはならない仕組みとなるよう切に希望して、質問を終わります。ありがとうございました。

出典:厚生委員会速記録第八号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2007-08.html

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