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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2007年10月02日 平成19年厚生委員会第11号

山加朱美
私から、本委員会に報告されました都立障害者施設の民間移譲について、何点か伺わせていただきます。
東京都は、利用者本位の福祉を実現する福祉改革を積極的に実施しており、その一環として都立施設の改革に取り組んでいらっしゃいます。民間でできることは民間にゆだねるという考え方のもとに、これまで、平成十六年度以降、十一の通所施設と四つの入所施設、町田福祉園、調布福祉園、そして私の地元でございますが、練馬福祉園、日の出福祉園のこの四つの入所施設、既に民間移譲されております。
今回、多摩療護園と小平福祉園、この二つの民間移譲が報告されているわけでありますが、改めて民間移譲の意義について伺わせていただきます。

松浦障害者施策推進部長
今回、民間移譲の対象になっております都立多摩療護園でございますが、昭和四十七年に、都立小平福祉園は昭和四十八年に開設されました。その当時は、民間施設も少なく、重度障害者について支援のノウハウがなく、民間施設で受け入れが困難でございました。
しかし、その後、民間社会福祉法人によりまして障害者施設が設置され、数もふえてきたとともに、重度障害者の受け入れも進んでいるところでございます。
例えば、身体障害者療養護施設でございますけれども、昭和五十年代前半までは都立の三施設しかございませんでしたが、平成十九年四月現在では、民間施設が都内に六カ所設置されております。入所者数で見ますと、全体で四百八十一人のうち、都立施設の入所者は百六十八人ということでございまして、三四・九%という割合でございます。
また、知的障害者入所厚生施設の入所者数でございますけれども、現在、全体で六千二百五十九人のうち、都立の入所者は八百三十二人で、その割合は一三・三%にすぎなくなっております。
さらに、平成十六年に東京都が知的障害者施設の現況調査をいたしましたけれども、それによりますと、民間施設の入所者におきましても、重度障害者、これは支援費制度の区分で重度となる区分Aでございますけれども、六九・〇%ということになってございまして、民間施設でも重度障害者の受け入れも進んでいる状況にございます。
こうした状況を踏まえまして、副委員長おっしゃったように、民間でできることは民間にゆだねるとしまして民間移譲を進めておりまして、この移譲によりまして、多様なニーズに対応したきめ細かなサービスの提供や、民間法人の創意工夫を生かした柔軟で効率的な施設運営が期待できるというふうに考えております。

山加朱美
今、部長のご答弁で、民間施設でも、私の想像以上に重度障害者の受け入れが進んできていることがわかりました。
しかし、今回、民間移譲すると報告されましたこの小平福祉園、知的障害と視覚障害、二つの障害を持つ重複障害のある方を支援している施設でありますが、この知的と視覚の重複障害のある方にサービスを提供するためには、また重度障害者とは異なった一定の経験やノウハウが必要だと思うんですけれども、民間の社会福祉法人における重複障害の支援の現状について伺わせてください。

松浦障害者施策推進部長
先ほど申し上げました平成十六年の調査結果によれば、回答があった八十六施設の入所者五千七百五十一人中、知的障害者と視覚障害者の重複障害者は二百九十人いらっしゃいまして、小平福祉園を初めとします都立四施設に八十八人、民間施設五十七施設に二百二人入所しております。
こうした民間施設は、知的障害者と視覚障害者の重複障害者の支援のノウハウを持っているというふうに考えております。

山加朱美
利用者にとっては、それが都立施設であっても民間施設であっても、それにかかわらず質の高いサービスが提供されることが大変重要であることはいうまでもないことでありますが、施設サービスの水準を維持向上させるためには、民間移譲に際し、どのような取り組みを東京都が行っていくのか、伺わせてください。

松浦障害者施策推進部長
小平福祉園、多摩療護園の民間移譲後でございますけれども、知的障害者入所厚生施設につきましては認定制度がございまして、移譲後、小平福祉園はその制度を活用しまして、生活支援職員や医師、看護師などについて、現行と同水準のサービスが提供可能となる職員体制が確保できることになります。
身体障害者療護施設につきましても、近年、医療的ケアが必要な重度の障害者が増加してきた状況を踏まえまして、知的障害者入所施設と同様に、移譲後は、生活支援職員や医師、看護師などにつきまして、現行と同水準のサービスが提供可能となる職員体制を確保いたします。
このような体制のもとで、民間移譲先の民間法人による創意工夫や自主性の発揮によりまして、利用者一人一人のニーズに合わせたきめ細かで弾力的、効率的な施設運営が行われ、質の高いサービスが実現されると考えております。
例えば、既に民間移譲された施設でございますけれども、通所施設でございますが、通年開所、また平日の利用時間延長などを実施しまして、利用者に喜ばれているところでございます。

山加朱美
民間移譲で質の高いサービスが実現されることは、既に民間移譲された施設がありますから、それで検証することができると思います。
そこで、ちょうど町田福祉園、民間移譲から一年半が経過しているわけでありますが、現在のサービスの状況がどのようになっているのか、また、サービスの現状を客観的にあらわすことができるという意味では、保護者会の皆様の評価、そしてまた、福祉サービス第三者評価の結果の内容についても伺わせていただけたらと思います。

松浦障害者施策推進部長
副委員長ご指摘のとおり、町田福祉園は平成十八年四月に民間移譲されまして、一年半が経過したところでございます。
この間、新たに入所厚生施設併設型通所部門を定員三十名で開設したり、利用者の要望や適性に合わせた日中活動の充実、ボランティアの活用拡大など、利用者サービス向上に向けまして積極的な施設運営に努めているところでございます。
こうした取り組みにつきまして、保護者会のアンケートによりまして、七八・四%の保護者により満足または大変満足という評価を得ているところでございます。
また、平成十九年二月に町田福祉園が受診しました福祉サービス第三者評価におきましても、高い評価を得ているところでございます。

山加朱美
次に、平成十八年度の障害者自立支援法の施行によりまして、施設は新体系に移行することになるわけであります。
今回の民間移譲に当たっては、新体系サービスへの移行をどのように考えているのか、伺わせてください。

松浦障害者施策推進部長
障害者自立支援法によりまして、障害者施設につきましては、都立施設、民間施設にかかわらず、平成二十四年四月には新体系サービスに移行することになっております。
したがいまして、小平福祉園と多摩療護園につきましては、平成二十一年四月からの民間移譲後、三年以内の間に準備していただいて、移譲先法人により新体系サービスに移行することになります。
民間移譲の応募におきましても、旧体系における三年間の事業計画と収支計画書とともに、利用者が引き続き現行のサービスを受けられるような新体系の移行への法人の考え方につきまして明示してもらうことになります。このような新体系の移行を考えております。

山加朱美
それでは最後に、これまで民間移譲によって、重度障害者の施設であります町田福祉園、そして日の出福祉園、ここでは職員全員が入れかわることを経験していると思います。
この小平福祉園の民間移譲においても同じように行われるわけでありますが、特に、先ほども申し上げましたように、知的障害、聴覚障害という二つの障害をあわせ持っている皆様が利用しているわけでありますから、町田福祉園、日の出福祉園のときと同様に、きめ細やかな配慮がより一層必要であると思います。少しでも利用者の皆様の不安を取り除くために、どのような引き継ぎをこれから行っていくのか伺います。

松浦障害者施策推進部長
副委員長ご指摘のとおり、町田福祉園、日の出福祉園の民間移譲の際には、利用者の状況や生活状況を踏まえ、一人一人の支援内容を記載しました個別支援計画等を活用して、引き継ぎ期間一年をかけまして移譲先法人に引き継ぎをいたしました。
小平福祉園は、知的障害と視覚障害の重複障害者が利用しているわけでございますけれども、引き継ぎの際には、同様に必要な引き継ぎ期間を設けまして、利用者と職員との信頼関係を構築するとともに、こうした重複障害者の特性を踏まえました個別支援計画等を活用しまして、きちんとした仕組みをつくって、利用者が引き続き安心して施設を利用できるよう、しっかりと引き継ぎを行います。

山加朱美
今回、何点か伺わせていただきまして、民間の皆様方、民間でできることは民間でということを受けて、本当に頑張っていただいているな、福祉の向上にご尽力いただいているなという民間施設の皆様に、本当に心から敬意を申し上げたいと思います。
また、今回の小平福祉園、多摩療護園の民間移譲も、利用者、保護者に十分に納得のできる説明をし、どうかしっかりと不安を取り除いていただいて、利用者本位のサービス実現のために、どうか積極的に民間移譲に取り組んでもらいたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

出典:厚生委員会速記録第十一号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2007-11.html

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