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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2008年06月20日 平成20年厚生委員会第7号

山加朱美
私は、本定例会に提案されております第百四十一号議案、東京都福祉保健局関係手数料条例の一部を改正する条例について、何点か伺わせていただきます。
 今回の条例案は、福祉保健局の定める手数料のうち、介護保険法に規定されている介護サービス情報の公表制度に関するものでありますが、改正の概要は二点、一つが、新たに公表の対象となるサービスが追加されることにより、その手数料に関する規定を設けること。そしてもう一つが、制度が施行されて二年間の事業運営状況を踏まえ、手数料の額を改定するというものであります。
 さて、介護サービス情報の公表制度は、平成十八年の介護保険法改正に伴い創設されたものでありますが、十八年度に訪問介護など九つのサービスでスタートし、翌十九年度、三つのサービスが追加され、そして今回の改正は、介護予防サービス、地域密着型サービスなど、一挙に十八の新たなサービスが追加され、合計で三十種類のサービスを制度の対象とするというものであります。
 ところで、この制度では、個々のサービスごとに報告、調査、公表が義務づけられておりますので、単純に考えますと、既に公表の対象となっているサービスを提供している事業者が、今回の改正により新たに対象となるサービスをあわせて提供している場合、サービスが乗じられて、つまり、掛け算されることになりますから、二倍、三倍と事務的、経済的な負担が増加するというようにも考えられるわけであります。
 そこでまず、こうした点について今回の改正案ではどのような配慮がなされたのか、最初に伺いたいと思います。

狩野高齢社会対策部長
お話のとおり、仮に従来の実施方法であれば、例えば既に公表制度の対象となっております訪問介護を提供している事業者が、今回新たに対象となる介護予防訪問介護をあわせて提供している場合、二回の報告と調査を行い、事業者の方には二回分の手数料を負担していただくこととなり、事務的にも経済的にも負担が増加することになります。
 このため、報告及び調査を効率的に実施する観点から、これまでの報告、調査の実施方法を変更し、公表の対象となっているサービスと同じ類型の新たなサービスについては、一つの類型とみなすことといたしました。先ほどの例で申しますと、訪問介護と介護予防訪問介護を同類型のサービスとして一回で報告、調査を実施できる仕組みとしたところでございます。

山加朱美
ただいまのご答弁によりまして、今回新たに十八のサービスが追加されても、事業者には新たな負担がかかることなく、負担を抑えるための仕組みを講じたということは、事業者の立場からすれば高く評価できるものと考えます。
 私ども自由民主党は、本年第一定例会におきまして、介護サービス情報の公表制度は、事業者にとって、事務的にも経済的にも過重な負担の一つとなっていることから、都として、良好なサービスを確保しつつ、事業者の負担を軽減するような方策を講じるべきであると主張したところであります。今回の改正も、私どもの自由民主党の意見を反映していただいたものであると認識しております。
 さて、次に、介護サービス情報の公表制度の手数料額の改定についてお伺いをいたします。
 先ほどと同様でありますが、さきの定例会で我が党の質問に対しまして、安藤局長から、事業者が負担する公表や調査に要する手数料については、制度導入後二年を経過することから、その運用実態を踏まえ、適切に見直すとの答弁をいただいたところであります。
 そこで、こうした本会議での質疑を踏まえ、今回の改正案では手数料について具体的にどのような見直しを行ったのか、伺います。

狩野高齢社会対策部長
 手数料の見直しについてでございますが、調査手数料につきましては平均で約三〇%、公表手数料につきましては約一〇%、それぞれ引き下げを行うことといたしました。
 調査手数料につきましては、国は、手数料算定指針で、調査に必要な人数を二人、日数を二日、延べ四人・日としていたものを、都ではこれまで、独自に日数を一日とし、延べ二人・日と積算しておりました。今回は、これに加え、調査事務の効率化が図られている実態を踏まえ、延べ一・五人・日とし、公表手数料につきましても、事業所から報告された情報の入力事務などの効率化が図られたことから、見直しを行ったものでございます。

山加朱美
これまで、介護サービス情報の公表制度について、事業者の立場から質疑をさせていただきまして、新たに追加されるサービスがあっても、調査事務の効率化の観点から、サービスを類型化し、また手数料についても引き下げを行うとのことですので、答弁を伺いまして、事業者にとりましては、文字どおり、事務的にも経済的にも負担は軽減されることになるということがわかりました。
 しかし、一方で、本制度は、介護サービスの利用者、つまり、都民が適切に介護サービス事業者を選択するためにも重要な制度であるということを忘れてはならないと思います。利用者の視点に立った制度の活用は、制度本来の目的を果たす上で欠くことのできないものだと考えております。
 私は、昨年六月の厚生委員会におきまして、実際にインターネットで検索してみると、情報量が多くてなかなか欲しい情報に行き当たらず、大変に歯がゆい思いを持ったとの感想を述べまして、この制度の利用などについて私なりの意見を述べさせていただきました。
 そこで、昨年からちょうど一年が経過したわけでありますが、この一年間、本制度のシステムの画面構成や操作方法についてどのような改善が図られているのか、また利用者の活用状況や利用者選択のための活用の実践例としてどのようなものがあるのか、あわせてお伺いいたします。

狩野高齢社会対策部長
ご指摘のシステムの画面構成や操作方法につきましては、これは国が公表システムを設計していることから、都として改善要望を行い、必要な情報項目を素早く閲覧できるようになるなど、利用者が操作しやすい環境になりつつありますが、引き続き国に対してシステムの改善を求めてまいります。
 活用の状況といたしましては、公表システムへのアクセス数では、平成十八年度は月平均で一万四千五百六十件、平成十九年度は月平均二万四百六十件と、約四割増加しております。
 また、本制度の活用についてでございますが、自治体の中には、例えば有料老人ホームの選択に際し、入居一時金の有無や償却方法などの情報を活用する取り組みが進んできております。
 今後とも、公表制度が幅広く活用されるよう、区市町村や地域包括支援センターあるいは介護支援専門員などに対し、パンフレットの送付や研修機会での周知など、さまざまな手法で普及啓発に努めてまいります。
山加朱美
ぜひとも、本制度の普及啓発また利活用のため、自治体が主体的に行っている取り組みにつきましては、都として今後も積極的に区市町村に広めていただきたいと思います。
 さて、これも昨年の本委員会での質疑だったと思いますけれども、この制度に関する事業者からの意見として多いものが、訪問調査の頻度また手数料についての意見であったと記憶しているわけでありますが、現在の制度では、毎年行うこととされている報告について、インターネットなどITを利用して提出できる環境にないとも伺っております。また、個々のサービスごとに手数料を定めているわけでありますが、実態としては、多くの事業者が同一の所在地で複数のサービスを提供しているのがほとんどであると思いますね。こうしたことが事業者の事務的、経済的な負担感を助長しているのではないかと思うわけでありますが、もちろん、この公表制度は、国が定めた全国一律の制度でありますから、これを払拭するためには、国が制度の骨格を変更して、抜本的な見直しを行う必要があるわけであります。
 そこで、これまでの都の提案に対し、どのような見直しが実現され、また、今後、国に対してどのように都は制度の見直しを提案していくのか、伺いたいと思います。

狩野高齢社会対策部長
都は、国に対して、事業者負担の軽減の観点から、事業者が毎年行う報告方法について、新たな書類の提出を求めることなく、前年度の報告内容を更新する仕組みを採用することを求め、今年度から、紙媒体または磁気媒体による報告からインターネット上での報告方法を導入するなど、事務の簡素化を図るところでございます。
 また、ご指摘の、同一所在地で複数のサービスを提供している事業者に対しては、サービス単位ごとに個別に手数料を徴収するのではなく、事業所単位に改めることなどの提案要求もしてまいりました。
 今後とも、介護サービスの利用者がより適切に事業者を選択できるよう、国に対し、制度の見直しを求めてまいります。

山加朱美
ぜひとも、この制度が介護サービスの質の確保、また向上につながるとともに、利用者であります都民がサービスを選択する上で利用しやすいものとなるように、制度をしっかりと普及、定着させ、事業者、そしてまた都民双方にとってよりよい仕組みとなることを切に希望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

出典:厚生委員会速記録第七号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2008-07.html

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