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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2009年6月3日 平成21年厚生委員会第7号

山加朱美
 質問に先立ちまして、今回、条例改正が提案をされている介護サービス情報の公表制度に関しまして、一言意見を申し上げたいと思います。
 昨日の我が党の代表質問に対し、安藤局長から事業者の負担する手数料を大幅に引き下げるとのご答弁をいただきました。私も本委員会において、この制度が利用者にとって利用しやすいものとなるよう、繰り返し質疑をさせていただきました。今回の条例改正は、事業者負担の軽減という我が党の要望にこたえたものと評価し、条例改正に賛成をいたします。
 引き続き、どうか事業者や利用者にとってよりよい制度となるよう、国に対し見直しを求めるよう要望いたしまして、質問に移らせていただきます。
 大変質問者が多いようでありますので、端的に質問をさせていただきます。
 まず、有料老人ホームに対する緊急対策についてでありますが、去る三月十七日の厚生委員会におきまして、私は、介護が必要な高齢の生活保護の被保護者が近県の病院を転々としたり、また、都外の施設等にやむなく移り住んだりするケースが目立ち始めていることから、高齢の被保護者が居宅で生活が困難となった場合、老人福祉法に基づく養護老人ホームや介護保険施設の利用等、適切な援助が必要となることを指摘し、警鐘を鳴らしました。
 そのわずか二日後、群馬県渋川市の未届け有料老人ホームで火災が発生し、かけがえのない命が犠牲となったわけであります。その中には、都内から入居した利用者も被害に遭われるという大変極めて残念な事態となりました。これを受け、都は、直ちに今回の事故と類似の施設百三カ所を対象とする緊急点検に取り組んだと伺っております。
 そこで、この緊急点検結果の概要、また、その結果、さまざまな課題も当然浮かび上がってきたと思いますので、どんな課題が浮かび上がってきたのか、お伺いをいたします。

狩野高齢社会対策部長
 都は、東京消防庁、建築主管の部局、区市町村の高齢福祉主管課と連携し、お話の都内のこうした未届けの有料老人ホーム、区部に七十七カ所、市部に二十六カ所ございますけれども、合計百三カ所を対象とする緊急点検を実施いたしました。このうち、老人福祉法の届け出が必要な有料老人ホームに該当する施設は、区部が三十六カ所、市部が十カ所の計四十六カ所でございました。そのほか、住宅の提供者と介護等サービスの提供者が契約上異なるなど、いわゆる老人福祉法の有料老人ホームに当たらない非該当の施設が四十八カ所、それから、事業を既に廃止したところが九カ所ございました。
 緊急点検の結果、浮かび上がった課題でございますけれども、老人福祉法上の課題といたしましては、有料老人ホームと同様のサービスを提供しているにもかかわらず、先ほど申し上げましたように、住宅の提供者と介護等のサービスの提供者が契約上異なるというものについては、法令解釈上、有料老人ホームに当たらないという国の解釈が示されておりますけれども、そういう法上、非常にあいまいなものの存在が明らかになったことでございます。
 二番目は、防火安全体制の課題ですけれども、消防庁と点検をした結果、消防法令上の例えば防火対象物の使用開始届の未届けですとか、消防用設備等点検の未報告などの批判がございました。
 また、有料老人ホームに該当する施設の約七割、三十二施設は、延べ床面積が二百七十五平米未満でございますので、消防法令上はスプリンクラーの設置が義務づけられておりません。また、火災通報装置ですとか、自動火災報知設備につきましても、これは平成二十四年三月まで消防法の改正の経過措置期間中であるため未設置でございました。
 建築基準法上の問題としては、非常用照明装置がないとか、防火上主要な間仕切り壁が未設置であるなどの建築基準法違反が四十五施設ございました。
 それから、入居者の処遇上の問題については、私たちが目視した限りでは、身体拘束、高齢者虐待等は見受けられませんでした。ただし、一室に複数の高齢者を居住させている施設が百三施設中、約四十三施設で見受けられました。
 以上でございます。

山加朱美
 ご答弁によりさまざまな課題が浮かび上がってきたことがわかるわけでありますが、去る五月二十八日、国土交通省から報道発表された情報によれば、住宅から有料老人ホームに建物を変更する際には用途変更の手続が必要なわけでありますが、全国の未届け有料老人ホーム、該当する四百六カ所の中で、そのうち約四割が用途変更の手続をしていなかったということも判明をしたと聞いております。命の重さをしっかりと守るためにも、早急に対策を講じるべきであるということは、いうまでもないことであります。
 こうした課題に対して、今後、都は、どのように対策を講じていくのでしょうか、お伺いをいたします。

狩野高齢社会対策部長
 都は、入居者の安全・安心を確保するため、消防法令上は義務づけられていない延べ床面積が二百七十五平米未満の施設を含むすべての施設を対象に、スプリンクラー等の防火設備に対する助成を行うことにより、都内の未届け施設等に対して、法に基づく有料老人ホームの届け出を強力に指導してまいります。
 また、非該当となる施設に対しましても、老人福祉法第二十九条第一項に規定する有料老人ホームと同様な指導監督が行えるよう、直ちに必要な措置を講じることなど、国へ法整備を求める緊急提案を五月十八日に実施いたしました。
 なお、この非該当となる施設につきましても、形式的には契約が別々であっても、実態として介護等サービスを提供している場合は、有料老人ホームとしての届け出をするよう強力に事業者に働きかけてまいります。
 今後、東京消防庁や建築主管部局、区市町村の高齢福祉主管課と連携し、緊急点検結果のフォローアップや未届けの有料老人ホームの情報の共有化を図るとともに、届け出促進に向けた指導体制を強化してまいります。

山加朱美
 ぜひとも指導体制を徹底して強化していただきたいと思います。
 また今回の補正予算では、この未届け有料老人ホームに対する緊急対策といたしまして、福祉事務所の機能強化に対する経費が計上されております。この具体的な内容についてお伺いをいたします。

永田生活福祉部長
 福祉事務所の機能強化に要する経費でございますけれども、生活保護を受給している高齢者に対する援助がより一層適切に行われるよう、福祉の取り組みを支援するものでございます。
 具体的には、まず、ケースワーカーへの助言や、高齢福祉所管課との連携のための支援等を行います高齢者支援員の福祉事務所への配置の促進を図ることとしております。そして、高齢者支援員が高齢者の生活支援を円滑に行えるようにするためのプログラムを開発し、提供してまいります。
 また、福祉事務所がやむを得ずに未届けの施設等を紹介する場合においても、その施設の状況や支援内容を事前に確認できるもの、もしくは、その利用後の実態把握を適切に行うためのマニュアルを作成し、提供してまいります。
 さらに、これらの施策が適切に実施できますように区市を支援してまいりますけれども、ケースワーカーや高齢者支援員に対する研修を実施してまいります。

山加朱美
 ご答弁によって、福祉事務所に対し、多面的に支援することが理解できたわけであります。都においては、現場の第一線でご尽力されている福祉事務所への支援を行うとともに、有料老人ホームに該当する施設に対しては、今回の補正予算の防火対策緊急整備支援事業等を活用して、どうか届け出指導の徹底をお願いしたいと思います。
 さらに、今後、養護老人ホーム等における、ひとり暮らしの困難な低所得の中軽度要介護者への受け入れなどがより適切に行われるように、どうか都のさらなる検討をお願いしたいと思います。
 次の質問に移らせていただきます。
 平成二十一年度補正予算案のうち、障害者自立支援対策臨時特例基金事業についてお伺いをいたします。
 障害者自立支援法の円滑な施行を図るために、十八年度から三年間、都道府県に基金を造成し、基盤整備や事業者に対する激変緩和策の支援を行うこととされたわけであります。東京都においても、約六十八億円の基金が造成されました。本来ならば、三年目に当たる昨年、事業が終了するはずでありましたが、二十年度末にさらに基金への積み増しが行われ、その事業がさらに三年間延長されたわけであります。
 まず、この延長された背景はどういうものなのか、お伺いをいたします。

狩野高齢社会対策部長
 障害者自立支援対策臨時特例交付金事業、いわゆる基金事業でございますが、この事業が延長された背景でございますけれども、障害者自立支援法におきましては、これまでの施設サービスや通所サービスなどの旧体系の事業は、平成二十三年度末までに、生活介護、就労継続支援、施設入所支援などの新しいサービス体系に移行することというふうにされております。
 しかし、全国におきまして、新サービス体系への移行率が三〇%弱にとどまっているということなどを踏まえまして、国は、法の円滑な実施を図り、新サービス体系への移行をさらに促進するためなどを目的といたしまして、基金を積み増すとともに、新体系への移行の経過措置期間が終了します平成二十三年度末まで基金事業を延長したというものでございます。

山加朱美
 できるだけ早く新しい体系のもとで、必要なサービスを確保していくことが必要であります。
 そこで、基金事業の延長という、この国の対策を受けて、都としてはどのような対応をしていくお考えなのか、伺います。

狩野高齢社会対策部長
 新しい体系への移行を促進するための都の対応でございますけれども、まず、基金事業の積極的活用がございます。基金事業には新サービス体系の事業を行うに当たって必要となります施設の改修、設備整備、備品購入等の補助事業などがございますけれども、これらの補助制度を引き続き積極的に活用してまいります。
 次に、都独自の施策としまして、日中活動の場の整備などを特別助成します、障害者の就労支援・安心生活基盤整備三か年プランがございます。このプランを活用しまして、就労継続支援事業などの新サービス体系による施設の整備をさらに促進してまいります。
 また、新サービス体系に移行するためには、法人格が必要となります。法人格を持たない小規模作業所などに対しまして、専門知識を有する協力員を派遣し、法人設立や団体運営のノウハウを提供することによりまして、法内化を促進する支援を引き続き実施してまいります。このようなさまざまな支援によりまして、新サービス体系への移行を促進してまいる所存でございます。

山加朱美
 今回の基金延長の趣旨を十分に踏まえまして、どうか積極的に事業実施をしていただくよう強く要望しておきます。
 ところで、法の円滑な施行を図るという観点から重要なのが、やはり利用者負担の軽減ということであります。先日、私の地元練馬区で障害者の保護者の方々の集まりに参加をしてまいりました。そこでは、やはり皆さんが利用者負担の軽減については、大変強い関心をお持ちでありました。
 そこで、これに関連して、この利用者負担の問題について伺っておきたいと思いますが、自立支援法においては、これまで利用者負担についてさまざまな軽減策が図られてまいりました。二十一年度、どのように見直しをされているのか、伺います。
狩野高齢社会対策部長
 平成二十一年度からの利用者負担の軽減についてでございますけれども、まず、特別対策緊急措置などによるこれまでの利用者負担の軽減措置につきましては、平成二十一年四月以降も継続して実施されております。すなわち、通所サービス、ホームヘルプを利用している方、その住民税非課税の方に対しましては、負担上限月額を千五百円とか三千円に軽減するこれまでの措置は継続されているとともに、自立支援医療におきまして、重度かつ継続の利用者で、負担上限月額を二万円に設定している措置も継続されております。
 新たに本年四月から、育成医療におきまして、中間所得者層の方に対しまして、負担上限月額が従来四万二千円だった方は一万円に、従来一万円だった方は五千円に引き下げられました。
 さらに、本年四月からは、さらなる軽減策が実施されます。一つ目は、利用者負担の軽減措置を適用するためには、預貯金額などの資産が一定以下という要件が現在ございますけれども、この資産要件というものが撤廃されます。
 二つ目は、入所施設やグループホーム、ケアホームを利用する住民税非課税の方に対しまして、利用者負担の減免を実施する、いわゆる個別減免などの収入認定におきまして、国の心身障害者扶養共済制度に基づく給付金が収入から除外されるということになります。

山加朱美
 今ご答弁いただいた中の、国の扶養共済制度の給付金を収入から除外する取り扱いについてでありますが、都は、平成二十年度からこの国の制度に加入をしております。したがって、それまでの都の扶養年金制度に基づいて既に給付金を受け取っている方々についても、国の制度の給付金と同様、収入から除外されるべきと私は考えるわけでありますが、それについてはどうなるのか、伺います。

狩野高齢社会対策部長
 今、山加理事ご指摘の、都のこれまでの扶養年金制度によりまして受けている給付金を収入認定から除外するという件でございますけれども、国の心身障害者扶養共済制度に基づく給付金と同様に扱うと。すなわち、七月より、いわゆる個別減免などの収入認定から除外するという判断を国から得られたところでございます。

山加朱美
 どうか今回の制度改正の趣旨をしっかりと踏まえ、必要な利用者がきちんとこの制度を活用することができるように、私は、この周知をどうかしっかりとしてもらいたい、このことを要望して、私の質問を終わらせていただきます。

出典:厚生委員会速記録第七号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2009-07.html

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