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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2011年9月20日 平成23年厚生委員会第10号

山加朱美
 私からも、都民と犬猫との共生に関する陳情に関して、何点かお伺いさせていただきます。
 私も猫を二匹飼っておりまして、十四歳と八歳であります。十四歳というと、人間でいうと七十歳、八十歳ほどになるんでしょうか。敬老の日には我が家の猫もお祝いをさせていただきました。
 また、昨年、助からないかもしれないという大変大きな大病をいたしまして、もうそのときには寝ずの看病をいたしまして、今、元気に家の中を走り回っております。ペットというよりもはや家族の一員でありまして、私にとってはなくてはならない存在であります。動物を飼っているほとんどの方がそうであろうかと思います。
 しかし、中にはテレビのコマーシャルでちょっとかわいい犬や猫を見た、また、通りがかったペットショップでかわいい子猫と目が合ってしまった、そんなことで思わず買ってしまった、そんな方もいらっしゃるのではないかと思います。
 生涯にわたって飼い続けること、不妊去勢の手術、そして、病気になったときどういう治療をするか。そして子猫のときはかわいいわけでありますが、必ず、うちの猫ちゃんも十四年たてば高齢者であります。高齢動物の世話も大変であります。飼い主としての責任や負担が生じることをあらかじめきちんと認識せずに購入してしまう、そんな方が少なからずいるのもまた事実であります。
 飼い主の勝手な都合で動物を不幸にしないためにも、飼い主みずからが動物を適正に飼養し、致死処分に至る動物を生み出さないように徹底することがとても大切なことであります。
 私はこれまでに、平成十四年三月のこの委員会質疑、そしてまた、平成二十年の第一定例会本会議では、動物の致死処分数を減少させることを訴えさせていただきました。この私の主張は東京都動物愛護管理推進計画にも、飼い主の社会的責任の徹底、致死処分数減少への取り組みという形で盛り込まれています。致死処分数を減少させるには、何よりも飼い主の責任を徹底させることが必要であることはいうまでもないことであります。
 そこでまず、飼い主の責任の徹底について、改めまして都の取り組みをお伺いいたします。

中谷健康安全部長
 今、山加理事の方からお話がございましたとおり、山加理事からはこれまでたびたび議会でもご質疑をいただきました。また、貴重なご提言もいただいているところでございます。
 都では犬、猫を飼っている都民を対象に、法令の遵守を含めた飼い犬及び飼い猫の適正飼養についての基本事項を掲載いたしました犬猫手帳、こういったものでございますけれども、これを平成二十年度から三万五千部作成をしてまいりました。東京都獣医師会とも連携いたしまして、都民が犬や猫を飼い始めてまず来所すると思われる動物病院を中心に配布いたしまして、今年度、さらに二万部の増刷を予定しております。
 また、動物愛護相談センターでは、譲渡を希望する都民を対象とした講習会を実施しているほか、区市町村が主催する犬や猫の飼い方教室等に職員を派遣するなど、適正飼養について普及啓発を行っております。
 平成二十一年度の開催実績は、センターの講習会が千七十回、区市町村が行った飼い方教室等が三十六回となっております。これらの取り組みによりまして、飼い主からの引き取り数は、成犬--大人の犬でございます、小犬、成猫、子猫のいずれも減少しているところでございます。

山加朱美
 犬猫手帳、私も持っておりますけれども、ことし二万部増刷ということでありますが、やはり増刷するだけでなく、そういうものがあるんだよということをまだ知らない方がいらっしゃいますので、ぜひその啓発もあわせて進めていただきたいと思います。
 飼い主からの引き取り頭数は減少しているようでありますが、中にはどうしてもやむを得ない事情によって飼養が困難となって、都に引き取り依頼をする場合も当然あるかと思います。また、動物愛護センターが獲得した動物、あるいは拾得者から引き取った犬、猫の場合は、最終的に飼い主に返還されないという、そんな事例も多いと思います。
 これらの犬、猫については新しい飼い主への譲渡率、この譲渡率を向上させることによって、これもまた致死処分数の減少につながると考えられるわけでありますが、先ほど、都はボランティア団体と連携して譲渡の拡大に取り組んでいるというご説明がありました。このボランティア団体と具体的にどのような連携を図っているのか、伺います。

中谷健康安全部長
 都は、犬または猫等の譲渡実施細目というのがございまして、これに基づきまして選定いたしました飼育経験が豊富で譲渡活動に実績のあるボランティア団体と連携いたしまして、譲渡率の向上に取り組んでおります。
 健康または性格に問題が見られる犬や猫等でございましても、治療や一時飼養の過程で解決できるというふうに動物愛護相談センターが判断した場合には、ボランティア団体へ譲渡するなど、これまで対象となりにくかった犬、猫等も譲渡の対象とする仕組みを構築しております。
 都が連携しているボランティア団体数は、平成十九年度、十六団体でございましたけれども、平成二十三年七月現在で二十七団体へと増加しているところでございます。

山加朱美
 次に、致死処分数の約七割、これは飼い主のいない猫が産み落とした生後間もない子猫であります。子猫は育成が大変困難なために、なかなか譲渡が難しいといわれているわけであります。
 このような子猫をふやさないようにするため、先ほども飼い主のいない猫対策、答弁ございましたけれども、都は、区市町村が実施しているこの飼い主のいない猫対策に、さらに、もう少し詳しい都の支援があれば伺わせていただきたいと思います。

中谷健康安全部長
 もう少し詳しいというお話でございます。都は、区市町村と連携をいたしまして、動物担当者会議等を開催いたしまして、飼い主のいない猫対策の成功事例に関するノウハウの共有を図るとともに、取り組みが始まったばかりの地域、あるいは効果的な対策が見出せない地域における講習会等に講師を派遣するなど、積極的に支援を行っております。
 また、平成十九年度から区市町村包括補助事業を活用いたしまして、飼い主のいない猫対策を行っている区市町村を財政面で支援しており、本事業を活用している自治体は、平成十九年度九区八市町村から、二十一年度は先ほど申し上げました十三区十三市町村へと増加しているところでございます。

山加朱美
 次に、こうした平常時の対応はもちろんなのですけれども、災害時における動物対策も大変重要であります。
 ことしの三・一一、東日本大震災発生時には、福島第一原子力発電所から半径二十キロ圏内に設定された警戒区域からペットを一緒に同行できずに、泣く泣く避難した住民の方が大勢いらっしゃいました。そのため警戒区域内では、これらの残されたペットの犬や猫が野良犬、野良猫となって区域内を徘回している様子が何度となくテレビで報道されておりました。
 私はこれらの警戒区域内に残された被災動物について、都が職員を派遣し、福島県と連携して、他の自治体に先駆けて保護活動を実施した、そのことを大変、評価いたしております。
 その保護内容は大変だったと聞いております。この野良犬となった放浪犬の保護が難航すればするほど、時間がたてばたつほど、そこからまた新たな小犬、子猫が産まれてくるわけであります。そしてその小犬、子猫がさらに小犬、子猫を産めば、それは孫犬、孫猫ってなるのでしょうか、どんどん人間を知らない、本当の意味での野生化をしてしまうわけでありますね。時間がたてばたつほどこのような形になります。そしてまた、そこから新たな動物由来の感染症も、新たな課題として発生してくると思うんです。  そこで、災害の状況にもよりますけれども、いつ起こるかわからない有事に際して、飼い主がペットを同行して避難するということはとても大切であり、重要なことであります。
 その際には、区市町村等が開設する避難所もペットの同行避難に対応する必要があるわけですが、そこで今回の東日本大震災の対応を踏まえまして、今後の震災時の動物対策について、都がどのようにお考えか、伺います。

中谷健康安全部長
 都は災害発生時に備えまして、先ほどご紹介いたしました犬猫手帳などを用いまして、飼い主に対し同行避難の重要性や、同行避難するためには日ごろからの準備というものを周知徹底しているところでございます。
 また、区市町村に対しまして、動物の飼育場所の確保など、避難所における動物の取り扱いを具体的に定めたマニュアルの作成を働きかけております。
 さらに災害時に動物の円滑な保護や飼養を行えるように、東京都獣医師会や動物愛護団体との協力体制というものを強化してまいります。
 都は本年十月にこれらの関係団体と連携いたしまして、都内に避難している東日本大震災被災者が同行した犬、猫を一時的に収容するための施設を設置いたします。
 施設の設置や運営を通じて得られるさまざまな経験につきまして、今後の都における災害時の動物対策に生かしてまいります。

山加朱美
 同行避難が周知徹底されても、やはり災害の状況によっては連れていきたくても行けない、そんな事態も考えなければならないと思います。災害はいつどのような形で起こるのか予想ができないわけであります。万が一、首都東京で災害が発生した際には、飼い主が安心してペットを同行して避難することができるように、どうか対策の整備を徹底してお願いしたいと思います。
 また、飼い主への適正飼養の普及啓発の強化、ボランティア団体との連携による譲渡対象動物の拡大などの取り組みによって、平成二十一年度の致死処分数が平成十一年度と比較すると、この十年で一万三千八百四十六頭から四千二百七十四頭に、約七割、この十年で減少している、このことは高く評価するところであります。
 今後ともどうか区市町村、東京都獣医師会、またボランティア団体と連携し、致死処分数の減少をより一層推進するとともに、災害時の被災動物への充実、このことを充実させることにより、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指すことを強く要望して、質問を終わります。

出典:厚生委員会速記録第十号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2011-10.html

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