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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2014年11月20日 平成26年厚生委員会第15号

山加朱美
 私からは児童虐待防止についてお伺いをさせていただきます。  昨年の厚生委員会事務事業質疑においても、児童虐待防止に向けた取り組みについてお伺いをいたしました。その後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 いまだ児童虐待相談対応件数は増加しております。厚生労働省の発表によれば、平成二十五年度中に、全国二百七カ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、速報値で七万三千七百六十五件、大変大きな数字であります。
 これまでに最多の件数を更新したわけであります。全国においても最多件数ですから、当然、東京都においても同様の傾向であると考えますが、まず、平成二十五年度における児童相談所の虐待相談対応件数、前年度と比較して増加している要因をお伺いいたします。

手島少子社会対策部長
平成二十五年度に児童相談所が虐待の疑いで受理をいたしました相談対応件数は五千四百十四件でございまして、前年度から六百二十六件増加をしております。
 その増加の要因の一つとして、昨年、厚生労働省の子ども虐待対応の手引きが改正され、虐待通告を受理した子供のうち、兄弟がいる場合は、その兄弟全員についても安全確認を実施することになったことが挙げられます。
 また、ドメスティック・バイオレンス、DVの目撃等により子供が受ける心理的虐待に関する警察からの通告がふえたこともその一因となっております。

山加朱美
ただいまの答弁で、虐待通告を受理した子供の兄弟も安全確認を行う、つまり子供の安全確保を徹底するために、子供の心理的な影響も鑑みて、従来にも増して児童相談所の慎重な対応を求められていることが虐待相談件数の増加要因であるということがわかりました。
 児童相談所に相談がつながったものについて適切に対応することはもちろん大切でありますが、相談や通告につながらなかったもの、例えば居住実態が把握できないケースなどは、ネグレクトの状態が続いていることも考えられます。行政が早期に把握をすることが大変重要であります。
 厚労省がことし初めて行った調査によれば、居住実態が把握できない十八歳未満の子供の数は、十月二十日時点で全国で百四十一名でありました。五月一日時点の二千九百八人とされていたうち、大半の所在が確認をできたというものの、まだ、なお不明な子供が残っているという発表がありました。居住実態が把握できていない子供は都市部に集中していることも、この厚労省の調査で見えてきています。
 そこで、東京都の居住実態の把握できない児童の状況、把握するための取り組みについてお伺いをいたします。

手島少子社会対策部長
今回の厚生労働省の調査は、乳幼児健診の未受診等により居住実態が把握できていない家庭について、把握の状況や安全確認に関する区市町村の取り組み状況等について調べたものでございまして、五月一日、九月一日、十月一日、十月二十日のそれぞれの時点の状況を国に報告しております。
 東京都における居住実態の把握できていない児童数は、五月時点で七百三十人、十月二十日時点で十四人となっております。この間、区市町村においては、未受診の児童の家庭に対して受診促進や家庭訪問を行うほか、保育所、学校等との情報共有や入国管理局への照会等により確認を行っております。現在、把握できていないケースの大半は、住民票を残したまま家族全員が転居している、こういうケースが多うございます。
 都といたしましては、国の調査に加え、七月以降、毎月の区市町村の把握状況を調査し、その情報を各児童相談所と共有した上で、管内自治体の個別の状況を確認しながら、必要に応じて支援を行ってまいりました。

山加朱美
先日、法務省の調査でも、生まれて親から出生届が出されていない、つまり戸籍のない無戸籍の子供が、全国で少なくとも四百二十七名という新たな数字も出てまいりました。これは大変なことであります。健診や就学時など、区市町村が日々の業務の中で手続が行われていない児童について見落とさず、所在の確認をしっかりと行うことが基本であり、また、異変を発見した際は関係機関が情報を共有し協力して対応することが重要であります。
 今回の答弁の中で、児童相談所が区市町村と情報を共有し対応していることはしっかりとわかりましたが、居住実態が把握できない家庭の対応については全国的にも大きな問題であり、転居先の確認など、仕組みづくりなどの課題も大きいと思います。国とも協議しながら、都としてしっかりと対応をしていただきたい。
 次に、児童相談所の体制強化についてお伺いをいたします。
 児童虐待対応件数が増加する中で、児童福祉司の増員や、経験豊かな児童福祉司のOBを指導担当職員として新たに配置したことなど、着実に体制強化を図っていることについては昨年度の質疑においてもお伺いをいたしました。
 しかしながら、これまでの虐待対応件数の推移、対応方針の変更、居住実態がわからない児童の把握など、今後、加速度的に児童相談所が対応しなければならないケースはますます増加していくのではないかと思います。
 そこで、児童虐待が急増する中、児童相談所の体制強化に向けた取り組み状況についてお伺いをいたします。

手島少子社会対策部長
都はこれまで、児童福祉司や児童心理司の増員、虐待対策班の設置など、児童相談所の体制強化に取り組んでまいりました。
 平成二十五年度は、児童福祉司を十三名増員するとともに、演習型研修や個別指導などにより、新任職員の援助技術の向上を支援する児童福祉司OBを新たに配置いたしました。
 また、今年度はさらに児童心理司を十三名増員するとともに、児童福祉司OBも増員をしており、今後とも児童相談所のより一層の体制強化に努めてまいります。

山加朱美
児童相談所の体制強化のため、都が不断に取り組んでいることはわかりました。
 しかし、先ほど相談対応件数の増加要因について答弁がありましたように、今後ますます児童相談所に求められる役割は広がると予想されるわけであります。児童福祉司、児童心理司の増員を含め、さらなる体制強化に努めていただきたいと思います。
 次に、児童虐待防止の普及啓発についてお伺いをいたします。
 今月十一月は児童虐待防止推進月間であります。昨年度の事務事業の質疑の場で、以前より私は一年を通してこのオレンジリボンを身につけ、児童虐待防止推進を私自身もPRし、児童虐待防止の重要性を訴えているわけでありますが、なかなか認知度が上がらず、また創意工夫を行ったPR活動の必要性、年間を通じての児童虐待の防止に向けた継続的な取り組みを行うことの重要性を指摘させていただきました。
 今月十一月発行の「広報東京都」の一面、私も見ましたが、大変、カラーで、オレンジリボンや東京都の新しいキャラクターの、このOSEKKAIくんが大きく紹介されていました。大変よく目につきました。
 このような一段と強いメッセージによって、オレンジリボンに込められた児童虐待を防止するというメッセージが都民一人一人に広がるのではないかと期待をしているところであります。
 また、都民一人一人が児童虐待は社会全体で解決すべき問題として捉え、未然防止の観点からも、決して他人ごとではなく真剣に向かい合い行動するためには、都としてより積極的な働きかけが重要だと考えます。
 そこで、児童虐待防止に向けた普及啓発の取り組みについてお伺いをいたします。

手島少子社会対策部長
都は、十一月の児童虐待防止推進月間を中心としてオレンジリボンキャンペーンを実施し、各種イベントなどを企画するとともに、年間を通じて区市町村、民間企業、関係団体と一体となって児童虐待防止の普及啓発に取り組んでおります。
 また、児童虐待防止オレンジリボンキャンペーンを推進するため、昨年度策定をいたしました、先ほど先生がご紹介いただきましたOSEKKAIくん、これは巻き貝をモチーフにしたキャラクターでございまして、ローマ字でOSEKKAIと書きますが、このOSEKKAIくんをより一層活用し、ポスターなどにより普及啓発を推進しております。
 このおせっかいに込められた意味は、子育てをしている親と子供を優しく温かく見守る行動のことでございます。このコンセプトにつきまして区市町村、民間企業、関係団体に説明し周知を図るとともに、OSEKKAIくんのデザインにつきまして関係団体等の広報物や商品等での活用を促すなど、他機関と連携をした取り組みを開始しております。
 さらに、今年度新たに作成をいたしましたOSEKKAIくんの着ぐるみを活用いたしまして、オレンジリボンキャンペーンをより一層推進してまいりたいと思います。

山加朱美
都が、区市町村や民間企業と連携しながら、年間を通じてイベントや見守りのOSEKKAIくん、この温かなキャラクターを活用したさまざまな取り組みを行い、普及啓発を進めているということがよくわかりました。
 今後、オレンジリボンに込められたメッセージ、そしてOSEKKAIくんとの相乗効果で、より一層多くの都民に児童虐待防止の意識と行動が広がることを期待いたしております。
 また、最後に、子供と子育て家庭が地域で孤立することなく、また子供が未来を担う存在として成長できるよう、関係機関はもとより私たち一人一人が何を行うべきか、いま一度求められていることを強調させていただき、次の動物愛護についてのテーマに移らせていただきます。
 動物の愛護及び管理に関する法律、この名前には愛護という言葉と管理という言葉が含まれています。動物の飼い主や動物を取り扱う事業者には、動物を感染症や危害から守る、すなわち動物の健康と安全を守るとともに、動物が人に危害を加えたり、鳴き声や悪臭で周囲に迷惑をかけないように努め、その動物がその命を終えるまで適正に飼養することが求められます。動物の飼い主や動物を取り扱う事業者には、社会的責任が強く伴うということであります。
 そうした中で最近、全国的に動物の命を軽視した事件が相次いでいます。痛ましい映像がニュースで流されるたびに胸が締めつけられる思いがするわけであります。
 都には、四千件を超える動物を取り扱う多くの事業者がありますが、こうした事業者に対して適正飼養、終生飼養を徹底することが重要と考えます。  そこで、都の取り組みについて伺います。

中谷健康安全部長
一昨年の動物愛護管理法の改正によりまして、事業者に対する終生飼養の責務が明文化をされました。
 都は、法改正を踏まえまして動物愛護管理推進計画を改定し、事業者に対する監視指導を一層強化することとしております。事業者みずからが日ごろから自主管理点検記録票等により施設の管理状況を点検し、必要な改善を不断に行うよう監視指導や動物取扱責任者研修を通じて周知をしております。
 また、都独自の事業者評価制度を活用いたしまして、施設の管理状況に問題がある事業者につきましては重点的な監視指導を行うことによりまして、法令遵守、動物の適正飼養、終生飼養を徹底しております。

山加朱美
今後も力強く取り組みを進めていただきたい。
さて、平成二十二年度の内閣府による動物愛護に関する世論調査では、約六割の人がペットを飼うことによって生活に潤いや安らぎが生まれる、家庭が和やかになると考えていることがわかりました。今や動物は家族の一員として飼い主の心の支えとなり、人生の伴侶としてなくてはならない存在となっていることを裏づけるものであります。
 近年では、動物の飼育環境の改善、医療技術の向上によって動物の高齢化が進んでいます。年をとった動物の世話もこれまた大変であります。
 私ごとですが、私は猫を二匹飼っておりまして、十三歳と十七歳、上の十七歳はスコティッシュフォールドという種類ですが、この種類は、獣医師さんによれば平均寿命が十三年から十五年ぐらいが平均といわれていますが、うちの子は十七歳、十七年間、大変長生きをしてくれました。ましたという過去形なのは、三カ月ほど前に、最期、私はみとったわけであります。
 だんだんと高齢になりますと、病気をして、手術をして、そして手術をすると、人間も同じでありますが、筋力が大変弱まります。立つこともできなくなる。そんな中、心を鬼にして、人間の介護と同じであります、筋力が復帰するようにリハビリを--お水をちょっと遠くにやる、餌をちょっと遠くにやる。少しでも動かして筋力の強化を図り、うちのココという猫だったんですが、ココももう一度立ち上がることができるようになりましたが、寿命の宣告を受けまして、手術をした後四カ月ですよといわれて、やはりぴったりと四カ月、ことしの七月に亡くなったわけであります。
 大変、やはり家族の一員ですから、十七年間一緒にいたということは、もうまさに、その悲しみはいまだ私も癒えていないわけであります。
 しかし、動物は大変我慢強いですね。悪くなるぎりぎりまで、飼い主がしっかりとふだんの状況に目を配っていないとなかなか病気になったということに気がつきません。そんなことも含めて年をとった動物、命あるものは必ず老いていくわけでありますから、飼い主としての責任、そして負担が生じることを、あらかじめきちんと考えずに購入をしてしまう方が少なからずいらっしゃるのもまた事実でありますので、飼うときにしっかりと心構えを持ってほしいなと思うわけであります。
 そこで、動物に親しみ、動物愛護の精神を養うこと、ペットの一生に責任を持つことについて、都はどのように普及啓発に取り組んでいるのか伺います。

中谷健康安全部長 
安易な動物の飼養を防止するために、動物が高齢になったときや飼い主が高齢になったときの動物の世話の問題、飼養にかかる費用や動物の医療費等の経済的負担等について、飼い主としてあらかじめ考えておくということが重要でございます。今お話しいただいたとおりだと思います。
 都が作成をいたしました「犬を飼うってステキですか?」、こういった題名の冊子でございますが、平成八年に発行しております。発行以来、全国から活用のご要望をいただいているところでございます。特に昨年度、多くのお問い合わせ等をいただいております。
 その中では、子供から大人まで誰にもわかりやすいようにイラストを多用いたしまして、犬を飼うことには責任、義務を伴いますが、その責任等を果たせば、犬は人々に大きな喜びを与えてくれる存在であるということを伝えております。
 また、適正飼養講習会、ホームページ、パンフレット等によりまして普及啓発を行うとともに、区市町村や動物愛護推進員が都民からの相談に対して適切に対応できるよう、動物の適正飼養に必要な知識習得やスキルアップのための研修の機会をふやすなど、区市町村や動物愛護推進員を支援しております。

山加朱美
動物が命あるものとして適正に飼育され、人と動物との良好な関係が築かれ、地域社会に温かく受け入れられることが、動物愛護を推進していく上では大切なことである。これこそ東京都の動物愛護管理推進計画、ハルスプランの理念である人と動物との調和のとれた共生社会の実現につながるものと思います。
 地域社会に動物愛護の精神が一層浸透することにより、真に成熟した都市としての東京の姿を世界に向けて発信していくことができるよう、今後とも動物愛護管理事業を力強く進めていくことを希望して質問を終わります。

出典:厚生委員会速記録第十五号 https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2014-15.html

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