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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2016年11月1日 平成28年厚生委員会第14号

山加朱美
きょうから十一月、児童虐待防止推進月間がスタートいたしました。
 近年、増加の一途をたどっている児童虐待でありますが、私は、平成二十年の第一定例会で、当時、平成十八年の数字でありましたが、都内の児童相談所に寄せられた虐待相談対応件数が三千二百六十五件だったことを踏まえて、このまま虐待がふえ続けると大変なことになりますよという警鐘を本会議場で鳴らさせていただきました。
 それから約九年たって二十七年、認知件数九千九百九件、約一万件に迫る勢い、三倍近くにふえ続けたわけであります。
 このことは、都が、やはり次々に施策を打ち出し、現場でそれまで埋もれていたものを表に出してきた、そういうこともあると思いますが、しかし、実際に虐待件数が大きく減少していないというのも、また事実であります。
 しかし、都は、十一月の児童虐待防止推進月間、さまざまな強化グッズを打ち出しておりまして、ことしも都の虐待防止の推進にかける思いが伝わってくるんですが、これはマスクです。それから、ウエットティッシュ、それぞれにキャラクターのOSEKKAIくんが入っています。ボールペン、それからファイル、ことしは何かこういう大変目立つエコバッグ。私は、十一月はぜひこれを持ち続けて普及啓発活動をしたいと思っております。
 委員の先生方も、きょうからスタートしましたので、ぜひこのオレンジリボン運動にもご協力をいただきたいと思います。私は、推進月間、十一月だけでなく、三百六十五日、このオレンジリボンをつけ続けまして、さらに二〇二〇年、東京都は世界で一番の安全・安心都市を目指しているわけでありますので、二〇二〇年東京五輪のマークとともに、二〇二〇年には虐待という悲惨な事件により失われる命がゼロになってほしい、そんな思いを込め、ダブルでつけているわけでございますが、委員会の先生方もぜひご協力をお願いしたいと思っております。
 オレンジリボンに込められたメッセージをいま一度心に刻み、都民一人一人が児童虐待防止について改めて考えるきっかけになってくれることを願い、きょうは確認の意味も込めて何点かお伺いをしたいと思います。
 国は、ことし、児童福祉法等の改正を行い、その内容は、法の理念の明確化を初め、児童虐待の発生予防、児童虐待発生時の迅速的確な対応など、多岐にわたっております。発生予防はもちろんですが、発生時にいかに迅速的確な対応ができるか、虐待の重篤化を防ぐためには大変重要なことであります。
 児童家庭相談の第一義的な窓口は区市町村でありますが、今回の法改正では、区市町村における支援拠点の整備の努力義務について規定をされました。  そこで、まず児童虐待発生時の迅速的確な対応のため、これまでの区市町村の体制強化に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。

松山少子社会対策部長
都は、独自に、平成七年度から、児童家庭相談の第一義的な窓口である区市町村を設置主体とする子供家庭支援センター事業を実施しており、平成十五年度からは、児童虐待に対応する地域の総合的な拠点として、先駆型子供家庭支援センター事業を開始しております。
 先駆型子供家庭支援センターには、虐待対策ワーカーや心理専門職員、関係機関との連携や調整を担う虐待対策コーディネーターの配置等を支援し、体制強化を図っております。
 また、今年度から、増加する児童虐待相談にきめ細かく対応するため、虐待対策コーディネーターの増員を支援するとともに、虐待対応の中核を担う人材を育成するため、中堅職員を対象に、困難ケースへの支援方法等に関する研修を、年間を通じて全部で十二回実施しております。
 今後とも、こうした取り組みを進め、区市町村の虐待対応力の一層の強化を図ってまいります。

山加朱美
一方で、児童相談所は、専門的な知識、技術を要する事例への対応や広域的な対応等を行っていますが、今回の法改正では、これまでの児童福祉司の配置に加え、児童心理司、医師または保健師、弁護士の配置等について規定されていますので、これまでの児童相談所の体制強化に向けた都の取り組みについてお伺いいたます。

松山少子社会対策部長
都はこれまで、深刻化する児童虐待に迅速かつ的確に対応するため、児童福祉司や児童心理司の増員を初め、虐待対策班の設置、保健師の資格を有する医療連携専門員、非常勤の弁護士の配置などを行ってまいりました。
 今年度は、児童福祉司を十八名、児童心理司を十三名、それぞれ増員するとともに、人材育成等を担う児童福祉及び児童心理の専門課長の増員や、新任職員の個別指導等を担う児童福祉司や児童心理司のOBの増員も行っております。
 今後も、順次、児童福祉司や児童心理司を増員することとしており、児童相談所の体制を一層強化してまいります。

山加朱美
ありがとうございます。きょうから児童虐待防止推進月間ということもあり、都としての区市町村と児童相談所への体制強化への取り組みについて、確認の意味でお伺いをいたしました。
 子供の命はかけがえのない宝であり、日本の未来そのものであります。今後とも都として、区市町村と児童相談所の体制強化に、今まで以上にしっかり取り組んでいただくことを改めて要望しておきます。
 また、今般の法改正では、児童相談所の設置を希望する特別区が政令により指定を受けた場合に、児童相談所を設置できることになりました。
 繰り返しになりますが、現状、児童相談行政は区市町村が身近な地域で児童家庭相談の第一義的な窓口を担い、児童相談所が専門的な知識、技術を要する事例への対応、広域的な対応等を行うという、それぞれの役割を担っています。
 虐待事案において、保護者との住所地から離れた一時保護所に保護すること、複数の児童がかかわる非行事案において、児童を分散して保護することが、広域的な対応の一例として挙げられます。
 区市町村と児童相談所は、ただいま申し上げた役割分担のもとで、それぞれの強みを生かし、緊密な連携を図りながら児童家庭相談に対応しており、設置主体がどこかというよりも、まず子供の安全・安心ということを第一に考え、現状の連携をより一層強化していくことこそが必要なのではないかと私は考えます。
 児童虐待ゼロを目指し、今後とも、都の立場からできることは全力で取り組んでいただきたい、そのことをお願い申し上げます。
 次に、ヘルプマークについてお伺いいたします。
 私は、平成二十四年予算特別委員会一般質問で、私も障害当事者でありますが、外から障害があることがわかりにくい方、助けや配慮を必要としている方などの統一したマークを都として作成し、不自由さ、不便さを抱えていても安心して外出できるよう、障害のあることがわかりにくい方への理解を社会で一層促進していくことを提案いたしました。
 都がそれに応え、その年の十月に、このヘルプマークを具体的に作成いたしました。当時、交通局の全面協力のもと、都営大江戸線の優先席へのステッカー表示を開始し、それ以降、順次路線を拡大して実施していただいていると聞いております。大変迅速かつ精力的に対応していただいたことを高く評価したいと思います。
 そこで、改めてヘルプマークに関するこれまでの取り組み実績についてお伺いをいたします。

高原障害者施策推進部長
お話のありましたとおり、都は、平成二十四年の十月から、ヘルプマークにつきまして、都営大江戸線におけます配布やポスター掲示、優先席へのステッカー表示等を開始いたしまして、現在、全ての都営交通、「ゆりかもめ」、多摩モノレール、都内の民間バス事業者十八社に拡大をして実施してございます。
 また、普及のための特設サイトを開設するとともに、デジタルサイネージや映画広告などを活用した広報や、東京都総合防災訓練あるいは東京二〇二〇大会に向けたスポーツイベント等でのブース出展など、さまざまな媒体や機会を活用し、普及啓発を図っております。
 さらに、平成二十六年度からは、ヘルプマークの広報等の取り組みを行う区市町村を包括補助により支援もしております。
 こうした取り組みにより、ことし七月末までの累計で約十三万個のヘルプマークを配布したところでございます。

山加朱美
このヘルプマークの普及啓発については、まさに局の壁を越えて、福祉保健局、交通局の取り組みにとどまらず、庁内各局や各区市町村が連携をして取り組みを進めていくことが重要と思います。
 同時に、日常生活の中での現場での小さな普及啓発の積み重ねも、大変大切ではないかと思うわけであります。
 例えば、一例ですが、病気やけがなどで障害を負うことになった方々は、病院でのリハビリを経て地域での生活に戻っていかれます。そのときに、リハビリのスタッフの方々がこのヘルプマークを知っていれば、患者は退院時から、このマークへの知識を得ることができ、障害がある者にとって大変心強く、地域生活への新たな一歩を安心して踏み出すことができると思います。
 私ごとですが、ことし三月に人工股関節の入れかえの手術をいたしました。そのとき、リハビリの先生方がこのマークをご存じなかったものですから(実物を示す)一言申し上げました。
 さらなる周知に向けて、積極的に都が取り組みを進めてほしいと思います。  そして、ヘルプマークをより実効性のあるものにしていくためには認知度を高めていくことが重要ですが、普及啓発を東京だけで行うのでは十分ではありません。
 東京には他県からの通勤、通学者が多く、地方からも毎日多くの人が訪れています。また、都内の障害者、不自由さをお持ちの方も、仕事や旅行で都外に出かけていきます。
 聞くところによりますと、路線が他県にまたがる鉄道事業者は、東京都のヘルプマークにはまだ協力をいただけていないと聞いておりますので、大変残念なことだと思っております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会には、国内外から恐らく想像を超えた多くの人々が、東京、日本国内を訪れます。その中には、障害や不自由さを抱えた人々もたくさんいらっしゃると思います。大会を見据えたとき、ヘルプマークは、東京都だけのものではなく、全国的な取り組みとして展開していくことが重要と思います。
 そこで、ヘルプマークの広域的な普及に向けた取り組みの他の自治体での普及啓発、普及状況についてお伺いをいたします。

高原障害者施策推進部長
ヘルプマークを身につけられた方が、全国どこでも適切に援助を受けられるよう、広域的な普及を図っていくことは大変重要と考えております。
 都では、ヘルプマーク作成・活用ガイドラインを作成いたしまして、他の自治体や民間企業等によるマークの活用を推進しております。
 さらに、十六大都道府県障害福祉主管課長会議等の大都市会議におきまして情報提供を行い、マークへの理解と協力も求めております。
 また、昨年度は、ヘルプマークの広域普及について、障害者団体と連携をし国へ要望を行ったほか、ことし六月には、都の提案により、関東地方知事会として、ヘルプマークを含む障害者マークの普及について、国へ提案要求を行いました。
 他自治体の状況でございますが、現在、把握をしているところでは、今年度末までに京都府、和歌山県、徳島県、青森県、奈良県及び市川市の五県一市で導入をされる見込みであるほか、横浜市、岐阜県、神奈川県などにおいて、導入に向け、具体的な検討がなされていると聞いております。
 今後とも、ヘルプマークが広く理解を得られるよう、広域的な普及に取り組んでまいります。

山加朱美
徐々に広がっている、他県でもこのことに関心を持っていただいていることを大変心強く思うところであります。
 ことし、自民党の衆議院でも障害者等マーク普及PTが六月にまとめた提言におきまして、東京都が進めるヘルプマークは、都内だけでなく、複数の府県にも普及しつつあるが、二〇二〇年オリ・パラを見据え、政府としても、ヘルプマークの普及促進の支援を行うこと、そんなふうにしています。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会まで、あと四年を切りました。この大会を契機に、身体のハンディキャップを抱えた方はもちろんでありますが、高齢者、小さなお子様、妊産婦の方、認知症、精神障害がある方など、全ての方が安心して、外出に不安を感じることなく社会参加できる、外に出かけることができる、そういう社会を実現するためには、ハードのバリアフリーだけでなく、さまざまな心身の特性や考え方を持つ、全ての人々が相互に理解を深めようとコミュニケーションをとり、支え合う心のバリアフリーが重要であります。
 そして、私は、これを促進できるものの一つが、東京発信のこのヘルプマークであると確信をいたしております。日本全国、そして、いずれは海外でも通じる共通のマークになるよう、さらに迅速に取り組みを進めていただくことを強く要望いたします。
 次に、身体障害者補助犬の給付事業についてお伺いをいたします。
 日本全国、目のご不自由な視覚障害の方は、約三十万三千人といわれています。都内では約四万人の方が視覚障害で、身体障害者手帳の交付を受けていらっしゃいます。
 目のご不自由な方々は、何よりも音が頼りといわれ、音楽を愛好されている方も多くいらっしゃいます。このようなことから、私は、都議会議員になる以前、当時、音楽にかかわる仕事に携わっていましたので、私自身が事故による障害当事者、中途障害を背負ったということもあり、盲導犬の啓発、そのような福祉啓発活動を継続してまいりました。
 視覚障害者というハンデは極めて大きく、健常者と同様の生活を送るためには、一般市民の方々の一層の理解と協力が必要とされていますが、私が盲導犬の啓発活動を始めた平成四年ころ、まだ盲導犬に対する知識が社会の中で大変希薄でございました。
 その後、身体障害者補助犬法が平成十四年の十月に施行されたわけであります。盲導犬、聴導犬、介助犬などに対し、少しずつではありますが、日本の社会の常識が世界の常識に近づいてきたのかな、近づきつつあるのかなと、そのように私は思っています。
 東京都では、盲導犬の給付事業について、国に先駆け、昭和四十四年から今日まで事業を継続し、平成十一年度までは盲導犬貸与事業、平成十六年度からは給付対象を聴導犬、介助犬にも広げ、昨年度末までには四百頭弱の補助犬を育成、給付してきたと聞いております。
 そして、東京都が事業を開始した当初に比べると、補助犬の育成にかかわる環境も大きく変化をしています。現在では、全国に十一の盲導犬育成団体、二十一の聴導犬訓練事業者、二十四の介助犬訓練事業者があります。
 補助犬はペットと違い、しっかりと訓練をされておりますので、障害のある方の生活を手伝う、まさにパートナーであります。障害のある方にとって、補助犬は自立と社会参加に欠かすことのできない存在であります。そういった真に補助犬を必要とする障害者が確実に補助犬の給付を受けられるためには、適正に給付決定手続が行われることが必要であります。
 そこで、補助犬の給付を受けるまでの流れと、審査の方法についてお伺いをいたします。

高原障害者施策推進部長
身体障害者補助犬の給付を受ける場合の現在の流れでございますが、まず、世帯構成、就労、就学状況等を記載しました申請書等を区市町村を通じて提出していただき、補助犬の管理能力等の適性検査を経た後、都の身体障害者補助犬給付審査会で審査を行い、給付候補者を決定いたします。
 審査会におきましては、利用者の障害の程度、家族構成やヘルパー利用などの生活状況、就労などの社会参加への効果及び適性調査の結果等を総合的に判断して、補助犬の必要性を審査し、給付候補者を選考いたします。
 その後、給付候補者に選考された方は、ご本人が希望する訓練施設において、盲導犬の場合で四週間に及ぶ合同訓練を行い、無事訓練を終えた方が補助犬の給付を受けることとなります。
 今後とも、公平公正な手続のもと、円滑に給付決定が行われるよう努めてまいります。

山加朱美
今後とも、補助犬の給付に当たっては、適正に審査を行い、くれぐれも特定の団体への偏りのないよう、公正公平に給付を受けられるよう、着実に取り組むことを強く要望いたします。
 さて、盲導犬、聴導犬及び介助犬は、身体障害者補助犬法により、公共施設、交通機関を初め、飲食店、スーパー、ホテルなど、さまざまな場所に同伴することが認められています。
 しかし、実際には、まだ利用に際し、同伴を断られることがあるようです。また、全体頭数が少ないためか、聴導犬、介助犬、まだ全国でも十何頭しかおりませんので、当然それを見たことのない方もいらっしゃいます。その存在すら知らない人も多いようであります。
 ことし四月には障害者差別解消法も施行されており、こうした状況を変えるためにも、都として、身体障害者補助犬の普及啓発に積極的に取り組むことが必要と考えております。
 そこで、身体障害者補助犬に対する普及啓発の取り組み状況についてお伺いをいたします。

高原障害者施策推進部長
都は、区市町村、商業施設、飲食店等へのリーフレットやステッカーの配布や、ホームページへの掲載等を通じて、身体障害者補助犬法の内容等の周知に努めてまいりました。
 また、本年四月からは、障害者差別解消法が施行されたことから、補助犬受け入れ施設での対応方法等について記載をいたしました東京都障害者差別解消法ハンドブックを作成、配布をいたしましたほか、動画やパンフレットを作成し、身体障害者補助犬の入店拒否が差別的取り扱いになること等を周知しております。
 さらに、この十一月にそれぞれ開催をされます聴覚障害者に関する普及啓発のためのイベント、TOKYOみみカレッジや、人権啓発イベント、ヒューマンライツ・フェスタにおきまして、身体障害者補助犬のデモンストレーションも行う予定でございます。
 今後も障害者の自立と社会参加を促進するため、身体障害者補助犬の普及啓発に積極的に取り組んでまいります。

山加朱美
次に、動物愛護についてお伺いいたします。  さきの定例会で、知事はペット殺処分ゼロについて所信を表明されました。私は、この殺処分ゼロ、これは、きょう、あしたでできることではありません。最終的な到達目標ですが、殺処分ゼロを唱えるときには、殺処分の方法もセットでなければならないと思っております。現に苦痛からの解放等のため、処分しなければならない動物がいることも事実であります。
 私は平成二十年の本会議で、致死処分のより適切な方法について質問をしています。まず、確認のために、この間、致死処分数の減少に向け、都はどのような取り組みを行ったのか、また平成二十七年度の致死処分数はどの程度減少したのか、お伺いをいたします。

小林健康安全部長
  都は、平成十九年度から平成二十八年度までの十年間を計画期間とした東京都動物愛護管理推進計画を平成十九年四月に策定し、致死処分数減少への取り組みを柱の一つに掲げ、飼い主への適正飼養、終生飼養に関する普及啓発、地域における飼い主のいない猫対策及びボランティア団体等と連携した譲渡事業などの取り組みを推進してまいりました。  また、平成二十六年三月には本計画を改定し、致死処分数のさらなる減少を目指した取り組みを推進することとし、都やボランティア団体との譲渡活動を紹介するPRイベントの開催や、地域における飼い主のいない猫対策の強化などを図っております。
 こうした取り組みにより、平成二十七年度には、平成二十年度の致死処分数五千六百八十六頭の約七分の一の八百十六頭まで減少し、苦痛から解放するために行った場合などを除けば、二百三頭となっております。

山加朱美
私が質問をさせていただいてから、約八年がたちました。そのころに比べて、今の答弁を伺いまして、致死処分数は五千六百八十六頭、当時の数から、現在八百十六頭、そして具体的には致死処分数は二百三頭、まさに大きく減少しているということは、都が区市町村、関係団体と連携して、ペットの適正飼養、終生飼養について飼い主の意識を大きく向上させてきたこと、また譲渡拡大などに着実に取り組んできた、その結果であり、私は高く評価をいたしております。
 しかし、一方で、前回の質問でも申し上げましたが、動物愛護の先進国であるイギリスでは、実験動物について、炭酸ガスによる殺処分を法律で禁止をしています。また、EU諸国の多くも、犬や猫などのペット動物の殺処分については、炭酸ガスではなく、麻酔薬の注射による方法で行っております。  都においても、殺処分の数が減ってきた現在、殺処分のより適切な方法、動物が苦しまないよう、最大限の配慮を行う必要があると考えております。改めて所見をお伺いいたします。

小林健康安全部長
都は、高齢、重度の負傷や病気など、健康上の問題があり、譲渡が難しいものや、生まれて間もない子猫などを致死処分しております。
 国は、平成七年に策定した動物の殺処分方法に関する指針の施行通知の中で、動物にできる限り苦痛を与えない方法として、炭酸ガスの吸引または麻酔薬の注射等を示しております。
 現在、負傷や感染症の苦痛から解放するための致死処分につきましては、麻酔薬の注射で行っております。
 また、高齢の動物や生まれて間もない子猫などは、麻酔薬の注射または炭酸ガスの吸引の方法を用いており、今後これらの動物の殺処分をゼロにすることを目標としております。
 今後とも、動物の致死処分につきましては、動物福祉に配慮して対応してまいります。

山加朱美
命あるものとしての動物との共生社会の実現に向けて、やはり命の重さ、人間と同じように、私は貴重なものであると思っております。今、家庭で飼われているペットが子供の数を上回ったと聞いておりますけれども、殺処分の方法に関しては、世界の先進国の仲間入りを早く果たしてほしいなと願っております。よろしくお願いいたします。
 最後に、社会福祉法人についてお伺いをいたします。
 少子高齢社会において、都民が必要とする福祉サービスを利用できるためには、福祉サービスを提供する担い手が、その役割をしっかりと果たすことが重要であります。
 介護保険法の施行を契機に、福祉サービスの提供者には、民間企業、NPO法人など多様な事業主体が参入していますが、その中でも依然として、社会福祉法人は地域における福祉サービスを提供する貴重な資源であります。この社会福祉法人が今後とも質の高い福祉サービスを提供していくためには、法人の運営基盤がより一層強固なものになることが重要であります。
 一方で、一部の社会福祉法人には不適正な運営が指摘されたこともあり、国において社会福祉法人制度改革に関する検討が進められ、その結果、ことしの三月、改正社会福祉法が公布されました。
 今回の改正は、これまでにない大変大規模な改革となっています。法人には、来年四月からの本格的な法施行に向けて、ガバナンス、財務規律の強化への具体的な対応が求められるなど、大変大きな影響があります。評議員会が議決機関となることにより、理事会と評議員会の運営方法を大幅に変更する必要があることなど、法人の現場は今回の法改正の対応に大変苦労されているというお話を伺います。
 私は、昨年の第一回定例会の厚生委員会で、制度改正のポイント、都の取り組みについて伺いましたが、本日は法人への支援という観点からお伺いをいたします。
 まず、都内の全ての法人が新制度の内容を理解した上で、円滑に準備を進めていくことが重要でありますが、都は法人への周知をどのように行ってきたのか伺います。

松浦指導監査部長
社会福祉法人が新制度に円滑に移行できるよう、都は都内の全法人を対象に、本年一月及び八月に説明会を開催いたしました。一月の説明会では、制度改正の趣旨や内容等につきまして、八月の説明会では、新たに設置が義務づけられました評議員会の権限や評議員の選任要件、定款変更の留意点など、法人が準備すべき具体的事項につきまして説明を行いました。
 今後、国の政令、省令等が公布され、法改正に伴う運用方法の詳細が明らかになりますことから、本年十二月にも法人向けの説明会を開催いたしますほか、法改正に対応する具体的な運用方法を示したパンフレットを作成し、法人へ配布いたしますとともに、都ホームページに掲載することなどにより、法人に対しまして制度改正の内容を周知徹底してまいります。

山加朱美
今のご答弁で、ことしの初めから適宜、具体的なご説明が行われ、これからも具体的な運用方法が示されることがわかりました。法人の準備も進んでいくことと思います。
 さて、今回の制度改正では、法人のガバナンスの強化が求められています。これを実効性のあるものとするためには、これまでとは異なる評議員の役割など、法人役員に十分理解をしていただき、法人役員等の機能強化を図り、法人運営を適正に行っていくことが重要であります。
 法人役員等の機能強化を図るために、都はどのように対応するのか伺います。

松浦指導監査部長
社会福祉法改正により、定款変更など、法人運営の重要事項を議決する機関として、評議員会を必ず置かなければならないこととされました。
 このため、その構成員である評議員に対しまして、法改正の内容、評議員会の運営、評議員の責任と権限などに関する説明会を開催する予定でございます。
 また、法人業務の執行状況や財務状況などを監査する監事に対しましては、監事がみずから法人の課題を早期に発見し、対応できますよう、監事監査のポイントなどに関する説明会を開催する予定でございます。
 これらの説明会によりまして、社会福祉法人の役員機能の強化を支援してまいります。

山加朱美
今回の法改正では、この評議員、監事の方々の責任、果たすべき役割、これが大きく変わりますので、どうぞしっかりと理解をしていただき、法の趣旨に沿った法人運営が行われるように、丁寧な説明をお願いしておきたいと思います。
 また、今回の制度改正では、財務規律の強化として、一定規模以上の法人には会計監査人の設置が義務づけられました。義務づけられていない法人についても、財務規律の強化が求められています。
 そこで、一定規模に満たない法人が財務規律の強化を図ることができるよう、都はどのような対応をしていくのか伺います。

松浦指導監査部長
都は、法人の業務運営や会計処理が適正かどうか、法人がみずから確認できるよう、既に貸借対照表等の金額の整合性などの確認事項をまとめました決算書確認シートを作成、配布してございます。
 また、役員の要件や理事会の運営など、法人の内部統制にかかわる事項や会計処理など、法人運営が適正かどうか、監事や法人職員が確認すべき事項等をまとめました自己点検シートにつきましても、今後、国から発出されます政令、省令等により、新制度の詳細を確認した上で作成し、法人へ配布する予定でございます。
 これらに加えまして、今年度は、都内の中小規模の社会福祉法人が専門家による確認や助言を受けることにより、経営改善を図る取り組みに対して補助を行う社会福祉法人経営管理改善支援事業によりまして、法人がみずから財務規律を強化する取り組みを支援しております。

山加朱美
失礼をいたしました。法人役員等の機能強化を図るために、都はどのように対応するのかということをちょっと抜いてしまったようでありますが、しかし、現在の答弁によりまして、小規模な法人に対しても支援策がしっかりと用意をされていることがわかり、大変心強く感じているところであります。
 ところで、今回の制度改正のポイントの一つである内部留保を明確化するための資産の算定方法について、いまだに確定をしていないと伺っております。確定をしていないわけですから、きょうは伺いませんけれども、都は今後、国から発令される政省令等の内容についても法人が十分に理解をし、円滑に対応できるよう迅速に周知を図っていただくなど、社会福祉法人が適正な運営を行えるよう、引き続き支援をしていただくことを要望しておきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

出典:厚生委員会速記録第十四号 https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2016-14.html

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