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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

公営企業会計決算特別委員会
公営企業会計決算特別委員会2009年10月23日

山加朱美
 私からは、都立病院の医療人材確保対策について何点かお伺いをさせていただきます。
 これまでも私どもは再三申し上げてまいりました。都立病院が高度で専門的な医療を都民に提供していくためには、医師や看護師などの医療人材が質、そして量ともに十分に確保されていなければならないわけであります。とりわけ、都立病院は今、社会問題にもなっている新型インフルエンザ、そして、深刻な周産期医療など、現下の医療課題に的確に対応していくことが都民から期待をされております。一方で、改めて申し上げるまでもなく、医師、看護師の不足が深刻な状況は依然として続いているわけであります。
 このために我が党は、医師の大幅な処遇改善や、そして我が党が全力を挙げて取り組ませていただいた東京医師アカデミーの開講、そして、看護師の採用活動の強化など、都立病院の医師、看護師の確保、そして確保しても定着していただかなければならないわけでありますから、定着対策についてさまざまな場面で都議会自民党は提案をし、そしてまた応援をし、実現もさせていただきました。
 そこで、まず初めに、平成二十年度において、病院経営本部が医師、看護師の確保、定着に向けてどのような取り組みを行ってきたのか、改めて確認の意味でお伺いをしたいと思います。

黒田経営企画部長
 平成二十年度、病院経営本部では、医師の確保、定着を図るために、指導医業務手当や異常分娩手当の新設を行うとともに、広尾、墨東、府中病院のER部門と、広尾、大塚、墨東、府中病院の産科で医療クラークの導入を行いまして、医師が診察に専念できる体制の整備を図ったところでございます。
 看護師の確保、定着対策といたしましては、専門試験の廃止によります受験負担の軽減や地方選考の実施等、受験機会の拡大を図ってまいりました。
 また、ゆとりを持った看護を行うことができ、医療サービスの向上にも資する七対一看護基準につきましては、既に清瀬小児病院と八王子小児病院で実施しておりますほか、ワークライフバランスがとりやすい二交代制勤務につきましても、大塚病院の一部病棟で導入いたしまして、あわせて他病院への拡大に向けた取り組みを行ってきたところでございます。
 さらに、女性職員が多数を占める医療現場におきまして、女性職員がキャリアを中断することなく働き続けることができるよう、院内保育室の二十四時間化や育児短時間勤務制度を導入いたしました。このように、医師、看護師確保に向けた重層的かつ多様な取り組みを行ってきたところでございます。

山加朱美
 ありがとうございました。
 こうして改めて確認をさせていただくと、我が党の発信をしっかりと受けとめていただき、病院経営本部が医師、看護師の確保、定着に向けて本当にさまざまな取り組みを強力に進めていただいていることは理解いたしました。
 そして、大切なことは、これらの取り組みの結果どうなったかということであります。都立病院における医師、看護師の充足状況は、病院経営本部がさまざまな取り組みを強力に進めてきたことによってどのように改善をしたのか、お伺いいたします。

黒田経営企画部長
 医師、看護師の充足状況を、十月一日現在の定数に対する充足率で比較いたしますと、医師につきましては、十九年度が九三・四%に対しまして、二十年度が九五・六%と、充足率が大きく上昇しております。
 また、看護師につきましては、十九年度が一〇〇・五%に対しまして、二十年度は一〇〇・六%と、わずかながら上昇しておりまして、医師、看護師ともに充足状況に改善の傾向がうかがえております。

山加朱美
 さまざまな取り組みが功を奏して、医療人材の確保状況が厳しい中にあっても、医師、看護師の充足状況が改善傾向にあることがわかりました。
 一方、看護師の充足率は、十九年度が一〇〇・五%、二十年度が一〇〇・六%と、充足率〇・一%微増となっているわけであります。確保に向けてより一層の取り組みが必要であると考えるわけであります。
 医療人材が充足することは、患者さんにとっては良質な医療が提供されることに直結でありますから、私は平成二十年度の第四定例会におきまして、こうした医療従事者を取り巻く厳しい状況を踏まえたさらなる確保対策の充実についてただしたところでありますが、病院経営本部では、二十一年度も二十年度に引き続きまして、医師、看護師の確保対策のさらなる充実を図っていると伺っております。
 そこで、今年度実施している具体的な医師、看護師の確保対策についてお伺いをいたします。

黒田経営企画部長
   今年度、病院経営本部におきましては、これまでのご指摘を踏まえまして、医師の確保のために、救急医療業務手当や産科医業務手当の新設、交代制勤務者等業務手当の増額など、さらなる処遇改善を図っております。
 この結果、例えば医師の確保がとりわけ厳しい産科におきましても、四月一日現在の医師数は、二十年度と比較しまして二五%増加しております。看護師につきましては、確保強化対策としまして、試験内容の簡素化や試験実施時期を早期化、複数回化するなどしまして、採用方法の大幅な改正や地方試験の実施によります受験機会の拡大などに取り組んでいるところでございます。

山加朱美
 これまで我が党がしっかりと応援をさせていただいた、医師、看護師の確保対策が功を奏して充足状況が改善しつつあること、また、新たな確保対策にも強力に取り組んでいただいていることが確認でき、私も安心いたしました。
 しかし、全国では、医師、看護師不足からやむなく病院を閉鎖する、閉院に追い込まれる病院があるなど、今なお医療人材の確保は大変厳しい、こうした状況は今後も続いていくと思われます。都民に対し、安全で安心な医療を提供するには、医療人材を将来にわたって安定的に確保していかなければならないわけであります。今までも大変汗をかき、頑張っていただいたわけでありますが、さらに頑張っていただきたく、今後の医療人材の確保、定着に向けた中井病院経営本部長の強い決意を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

中井病院経営本部長
 病院の健全な運営につきましては、医療人材の確保が極めて重要という点については、先生ご指摘のとおりでございます。
 とりわけ、今日の深刻な医師、看護師の不足状況が続く中にありましては、医療人材対策の成否そのものが病院の命運を分けるというほどに大きな影響を持つ状況になっているというふうに認識をしてございます。
 医療人材の確保対策は、単に給与等の処遇改善だけでなく、教育訓練の充実、勤務条件の改善、医療安全体制の整備など、総合的な取り組みが必要なわけでございます。
 都立病院におきましては、こうした観点から、これまでさまざまな医療人材確保対策を行ってまいりまして、先ほど部長から答弁させていただきましたとおり、一定の成果を上げてきているわけでございます。
 しかしながら、先生もご指摘されたように、医療人材の確保というのは、油断をすればまた悪化という、基本的に限られたパイの中での奪い合いというような状況が社会的にはあるわけでございますので、今後も気を引き締めて取り組んでいかなければならない、そういう重要な課題だというふうに認識をしてございます。
 そういう面では、採用活動の強化など、日々の取り組みを充実させていくということとあわせて、中長期的な構造的な取り組みというものが肝要であろうというふうに考えるわけでございます。
 そういった点で、先生にもご指摘をいただきました東京医師アカデミー、医師につきましては、この体制を昨年度からつくり、今、順調に進めているわけではございますが、これの一層の質的充実が必要なんだろうというふうに考えるわけでございます。
 東京都におきましては、自前の医学部を持っていないわけでございます。そういうために、医師の人材確保については多くの大学に頼るという現実にあるわけでございますが、これが東京医師アカデミーの開講によって、大学の医局だけではなくて、医局を離れた若手の医師、臨床経験を積んで一人前になっていく過程の後に、我々の都立病院の中で本格的な戦力として働いていただけると、そういった新たな仕組みができてきているわけでございます。
 二十三年四月からは、いよいよこのアカデミー生、最初の卒業生が出てくるわけでございまして、都立病院の医師の確保については、これによりまして、これまでより格段に安定的な人材の確保ができるものというふうに考えております。また、公社病院、そして他の都内の医療機関に対しても、このアカデミーの卒業生が就職をしていくという形で、東京全体の医師の安定的な確保につながるものというふうに考えているところでございます。
 また、もう一つの点といたしまして、医師、看護師、いずれもでございますが、過酷な勤務ということが疲弊を招き、そして、退職につながるという現実があるわけでございますが、これにつきましては、医師については一直二勤務制度、そしてまた、看護師につきましては七対一看護基準の一層の推進、二交代制勤務の拡大など、こういった取り組みも進めておりますが、これらにつきましては人員の増加、増員が必要でございますので、一朝一夕に最終的な完成形に持っていくということにはなりませんが、これについても力を抜くことなく、拡大に努めていきたいというふうに考えております。
 いずれにいたしましても、こうした取り組みをさらにさらに強めまして、質量ともに都立病院がすぐれた医師の、看護師の集団として、日本を代表するような病院になれるよう、今後とも職員一丸となって努力をさせていただきたいというふうに思っております。よろしくお願い申し上げます。

出典:平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/municipal-utility-account/fy2008-09.html


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