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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2003年11月13日 平成15年厚生委員会第16号

山加朱美
 去る八月の下旬に、第四期の東京都福祉のまちづくり推進協議会から、知事あてに、二十一世紀の福祉のまちづくりビジョンのあり方についての意見具申があり、私も大変興味深く読ませていただきました。
 その冒頭には、本格的な少子高齢社会を迎えた今、高齢者や障害者を含むすべての都民が、社会の構成員の一人として生きがいを持って生活、活動できるよう、ノーマライゼーションの社会の一日も早い実現を求められている、そのためには、生活者としての権利と自己決定権が尊重され、住みなれた地域で自立を支えるまちづくりを推進する必要があると、このように述べられています。
 こうした理念に基づいて、都民の身近な日常生活にかかわる公共施設、例えば道路の段差解消や視覚障害者誘導用ブロックの設置、公園の手すりやだれでもトイレの設置など、さまざまなバリアフリー化への取り組みが進められてまいりました。
私は、こうした取り組みによって、高齢者や障害者などの毎日の生活は、昔と比べ格段に行動しやすくなったと思っております。
しかし、まだまだたくさん見直すべき課題も多くあります。
そういった課題に取り組むことによって、この東京のまちをもっともっとだれにとっても暮らしやすいまちにしていくことができるはずであり、また、そうでなくてはなりません。
 私は、そういった観点から、都は今月下旬に第五期の福祉のまちづくり推進協議会をスタートさせましたが、前期の提言等を踏まえまして、私たちにとって東京がより一層暮らしやすいまちへと変わっていくためには、都としてどのような検討を推進協議会にお願いをしたのか、まず伺います。

笠原生活福祉部長
 現在、福祉改革の一環として取り組んでおりますバリアフリー化緊急整備事業、この取り組みの成果もございまして、歩道、公園などの公共施設あるいは建築物、公共交通機関などにおけるバリアフリー化は着実に進んでございます。
 しかし、こうした取り組みの成果も、個々の施設のスポット的な整備、いわば点としての部分的な整備にとどまっておりまして、これを連続性のある線あるいは面的な整備へとどう進めていくのか、あるいはまた、ハード的な整備に加えまして、都民と事業者が共同してまちづくりに取り組む仕組みを構築することなど、ソフト面をより重視した取り組みを図っていくこと、さらにはユニバーサルデザイン、情報バリアフリーなど、新たな課題に積極的に対応していくことなどが、今後の福祉のまちづくりの主要な課題であるというふうに私ども認識してございます。
 こうした都の認識と、本年八月の第四期推進協議会からの提言を踏まえまして、今期の協議会では、ユニバーサルデザインを基本としたまちづくりの推進。
第二点目として、小規模建築物、既存建築物のバリアフリー整備の一層の推進。
三点目といたしまして、子育てをしている人が安心して社会参加できるまちづくりの推進。
四点目といたしまして、だれもが必要な情報を入手できるようにするための多様な情報提供の推進策など、主として四つのテーマについて検討していく予定でございます。

山加朱美
 ただいまのお答えの中に、ユニバーサルデザインという言葉がたびたび出ております。
最近は、テレビのコマーシャル、また新聞広告などでよく耳にいたしますし、また目にする言葉ともなってまいりました。
 このユニバーサルデザインという考えが急速に広まり始めた背景には、二十一世紀が人権の世紀、高齢者の世紀、また環境の世紀であることが挙げられますが、これからは、だれもが今まで以上に一人の人間として尊重され、それぞれの個性が大切にされる時代となってきております。
また、世界的にこの日本は、世界に類のない速さで高齢化が進んでいるわけですが、今から将来への備えも必要であります。加えて地球環境に優しい循環型社会の構築も同時に求められております。
 私たちが直面しているこうした今の時代状況を考えましたときに、ユニバーサルデザインは今後の社会のあり方を占う一つのキーワードであり、また二十一世紀の社会を形づくる上での基本となる概念といえると思います。
私は、こうした位置づけ、意味合いを持ったユニバーサルデザインについて、行政だけでなく、都民や事業者を巻き込んだ具体的な検討を推進協議会の場において早急に行っていくべきと思いますが、いかがでしょうか。

笠原生活福祉部長
 先生ただいまお話しのとおり、私どもといたしましても、少子高齢化が急速に進み、そして循環型社会への転換が求められる今日、だれもが障害の有無あるいは年齢等にかかわりなく快適に暮らし、そして社会参加できるまちづくりを進めていく上で、ユニバーサルデザインの理念の普及拡大、これは早急に取り組むべき課題であるというふうに認識してございます。
 このため、今月初旬にスタートいたしました第五期の福祉のまちづくり推進協議会のもとに、ユニバーサルデザインを審議いたします専門部会を設置いたしまして、都民や事業者を交えて重点的に検討を行うことといたしてございます。
 専門部会におきましては、ユニバーサルデザインの考え方の整理、それから普及拡大に向けた具体策、あるいは指針の作成、それから推進体制、仕組みづくりのあり方などにつきまして検討を行い、平成十六年度の七月ごろを目途に検討内容を取りまとめていく予定でございます。

山加朱美
 ぜひとも積極的なご検討を期待したいと思います。
 また、高齢者や子ども、障害者などの目線に立って、実効性のある方策を早期に実現していくことも重要であります。
 そこで、外部のこうした協議会の検討に多くをゆだねているだけではなくて、都みずからも、ユニバーサルデザインの普及拡大に向け、できるものについてはすぐに取り組む、そうした対応が必要と思います。
 例えば福祉機器について見ますと、例えば車いすや松葉づえ、それは、利用者にとっては、道具、器械ではなく、体の一部としての機能としているわけですから、その人の体の成長や老化に合わせて機能や形状などを調整する必要が出てまいります。
器械の開発や改良などへの対応が必要となってまいります。それには、それを毎日使っている利用者個々のニーズをつくる側に伝えていくなど、まさにつくる側と使う側をマッチングさせていくような仕組みづくりも考えていくべきであると思っております。
 また、ユニバーサルデザインという用語自体の理解を都民の間に広げていくことも大切であります。
バリアフリー、ユニバーサルデザイン、ユビキタス社会、世界の福祉レベルは物すごい速さで向上しております。
日本では、バリアフリーという言葉は、やっと日常語となってきたかなという感もいたしますが、まだユニバーサルデザインという言葉は──私もよく、老人クラブや敬老会に行って、ユニバーサルデザインという言葉を使いますと、まだまだ高齢者の皆さんにはほとんど理解されていない、浸透されていないというのが現状であります。
今後は、ユニバーサルデザインを都民の間に浸透させていくためには、都としても普及、推進活動に取り組んでいくことが必要と考えます。ぜひとも積極的なご検討を期待したいと思います。
 そこで、都自身が今後、まず隗より始めよという考えに立って、協議会での検討と並行して、このユニバーサルデザインの普及、推進に向け、どう取り組んでいかれるのか、所見をお伺いいたします。

笠原生活福祉部長
 ユニバーサルデザインは、バリアフリーよりも広い概念でございまして、建築物や道路などのいわゆる施設だけではなくて、製品、サービス、それからシステムなどのソフトウエア的なものまでも含めた多岐にわたる概念でございます。こうした考えに基づきまして、今後の福祉のまちづくりへの対応を考えた場合、そこで生活をしている人が、障害の有無や性別、年齢などにかかわりなく自由に利用でき、そして快適に行動し、暮らしていけるよう、都市の施設だけにとどまらず、身の回りの生活用品に至るまで、すべてをユニバーサルデザインの視点から見直していくことが必要でございます。
 そのためには、先生、今ご指摘のとおり、製品、機器の開発、改良などのものづくりや、情報やサービス提供に関するソフト的な取り組みも重要でございます。また、都民や事業者のユニバーサルデザインに対する理解の促進と意識の醸成も今後の大きな課題というふうに考えてございまして、そのためのPRや、普及、推進に向けた仕組みづくりも必要でございます。
 今後、都といたしましては、ただいまのご提案の趣旨を踏まえまして、多くの都民が利用する都立施設などにおいてユニバーサルデザインを普及、推進していくための検討組織の設置、検討の結果や取り組みの成果についての区市町村への情報提供、あるいは区市町村における取り組みの働きかけ、事業者等の取り組み状況の調査と、それを踏まえた情報提供の仕組みづくり、ユニバーサルデザインの普及や、製品開発、改良を推進していくための利用者と事業者を結びつける交流の場づくりなどにつきまして、早急に検討してまいりたいというふうに思ってございます。

山加朱美
 ユニバーサルデザインのソフトの一つに含まれると思うんですが、次に、私は、昨年の五月に身体障害者補助犬法が成立した直後、第二回都議会定例会におきまして、この法律は、身体障害者の自立と社会参加の促進にとって、やっと世界の常識に追いついた、日本としては画期的な法律であることを申し上げました。昨年十月の法の施行から一年が経過した現時点での法の施行状況を踏まえまして、改めて都としてこの法律をどのように評価しておられるのかを伺います。

有留障害福祉部長
 この法律は、盲導犬、介助犬及び聴導犬を身体障害者補助犬として明確に法に位置づけるとともに、障害者が補助犬を同伴して利用する場合、各種施設に受け入れを義務づけるなど、障害者の自立と社会参加を促進する上で非常に重要な意義を持っております。法の施行以降、マスコミでの報道などにより、身体障害者補助犬についての社会的認知は、従前に比べれば進んできているのではないかというふうに考えております
 また、従来の盲導犬の訓練事業者に加えまして、介助犬、聴導犬の訓練事業者についても、本年十月一日現在で、東京都内の事業者一カ所を含む全国十四カ所の事業者が社会福祉事業としての届け出を行っており、育成基盤も徐々にそろいつつあるというふうに認識しております。

山加朱美
 盲導犬につきましては、ただいまのご答弁にありましたように、これまでも比較的知られておりましたけれども、介助犬そして聴導犬については、この法律の施行により初めて知ったという方も多いのではないかと思います。
 ご存じのように、本年の十月一日からは、公共施設や公共交通事業者に加え、不特定多数が利用するホテル、デパート、レストランなどの民間施設についても補助犬の同伴を拒否できなくなりました。
身体障害者にとっては、補助犬は自分の目となり耳となり、あるいは手足となって動くものであり、補助犬の同伴を断ることは、障害者自身の店舗利用を妨げることにもなります。
 最近マスコミ等でも身体障害者補助犬を取り上げることがふえ、社会の理解が進んできているとは思いますが、いまだに一部ではペットと同じ扱いを受け、入店を断られるという話を聞きます。法には罰則等に基づく強制力がなく、努力義務にとどまっておりますけれども、障害者の方の自立と社会参加を果たす上では、民間の施設が身体障害者補助犬を同伴する障害者を積極的に受け入れることが非常に重要であることを、もっと訴えていく必要があるのではないかと思っております。
 都として、法の趣旨、都民の理解を得るための周知、広報活動に積極的に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺います。

有留障害福祉部長
 先生ご指摘のように、補助犬を使用する障害者が民間の施設を円滑に利用できるよう、民間事業者への周知徹底を図ることが何よりも重要であると考えております。
都としても、「広報東京都」やホームページなど、さまざまな広報媒体を通じて周知を行っております。
また、ホテル、旅館、飲食業関係、理容・美容団体など、多くの民間事業者団体に説明に行ったり、あるいはポスター、リーフレットを配布して、法の趣旨や内容等の積極的な周知に努めております。
 さらに、本年九月には、民間の補助犬普及啓発団体の作成による、補助犬法の趣旨をわかりやすく解説したビデオ、これは「心のバリアフリー 社会のバリアフリー」というタイトルでございますけれども、約二千四百本を、都が協力いたしまして、区市町村や都立高校、図書館、都内の小中学校に順次配布し、補助犬についての周知を図っているところでございます。

山加朱美
 最近では、補助犬を受け入れることを表示いたしましたシールを入り口のところに張っているデパートやスーパーが、この法の施行とともに大変ふえてまいりました。
しかし、そのシールを見ますと、さまざまなデザインがありまして、統一的なものはありません。
 私、今、手元にあるんですが(実物を示す)盲導犬協会は割と古くからあります。
日本で九団体、東京都には二団体ありまして、これがやはりそれぞれシールが違います。
そしてまた、この法の施行に伴い、関西方面の介助犬協会が、これが介助犬のシール。
それと、東京都内に一団体、聴導犬、盲導犬、介助犬すべてを一括した補助犬の協会がありますが、そこのシールがこれですね。
それで、厚生労働省が出しているのが、これが一番遅いんですけれども、このシールであります。
 このシールは、いずれも補助犬の育成団体がそれぞれ独自につくっているもので、育成団体にはそれぞれの歴史があることから、直ちに統一的なデザインにするということは難しいかもしれませんが、やはり都民が一目でわかるためにも、デザインは統一すべきではないかと私は思っております。
 そのためにも、東京都として、例えば、予算的なこともありますけれども、東京都の中で出している団体のシールが、どんなものがあるかということを告知するのもまた一つの例だと思いますし、また東京都として、独自に同じようなデザインのものをつくってもいいかと思います。
そしてまた、逆に、厚生労働省のこの統一シールを普及啓発するのもまた一つのやり方かもしれません。
 いずれにいたしましても、盲導犬というのは全国に約九百頭近くおりますけれども、まだまだ世界的に見たら数は少ないわけであります。
そしてまた、介助犬に関しましては、今まだ数の把握というのははっきりできていないようでありますけれども、日本全体で約四十頭、聴導犬に至っては約十五頭近くといわれております。
アメリカでは三千頭近くの聴導犬が活躍しているわけですから、それに比べますと、まだまだ数の部分では、補助犬法がスタートいたしましても、実際にその犬を見るという都民は非常に数が少ないと思うんですね。
 そういう意味でも、このようにばらばらなシールが入り口で張られているようでは、やはり普及啓発という部分でも一つの課題を残しているかなと思いますので、どうかその部分、要望しておきたいと思います。
 それから、都の大きな役割は、私は、法の趣旨、内容を都民に積極的に周知することと考えますけれども、補助犬の育成、給付についても、都として取り組んでいく必要があると考えます。
 盲導犬の育成、給付事業は、既に昭和四十四年から実施されておりまして、都内でもこの事業により育成、給付された盲導犬が多数活動しております。
しかし、介助犬、聴導犬につきましては、先ほど私が申し上げましたとおり、まだ数十頭しかおりません。都内での聴導犬は、今月初めて一頭目が認定されたところであります。
 補助犬を必要としている障害者の方は多数おられるはずであり、補助犬給付により障害者の行動範囲を拡大することができます。そのためにも法の整備がなされたはずであります。
障害者の自立と社会参加の促進のために、新たに給付事業を、介助犬、聴導犬に加え、私は都として補助犬の育成全体を支援していくべきと考えますが、所見を伺います。

有留障害福祉部長
 お話のとおり、盲導犬については、都は、国に先駆けまして、昭和四十四年から育成、給付事業を実施してまいりまして、十四年度末までに延べ二百五十一頭の盲導犬を視覚障害者に給付し、視覚障害者の自立と社会参加に大きな役割を果たしてきたと考えております。
新たに補助犬法に位置づけられた介助犬と聴導犬につきましても、今後の需要や訓練事業者の実態等を踏まえ、事業実施について検討してまいります。

山加朱美
 ただいまの答弁の数字によりますと、現在日本で活躍している約四分の一の盲導犬が東京都の助成によって給付されたということ、その数字は大変高く評価をしたいと思います。
 しかし、給付の際なんですが、盲導犬、聴導犬は、障害者の機能欠損、目がご不自由、耳がご不自由と、大変はっきりしていますから、訓練がほとんど終了してからユーザーとパートナーが組まれ、最後の仕上げとなるわけですけれども、しかし、介助犬の場合には、機能欠損を補うように、ユーザーとの個々のオリジナリティーな訓練が、最初から犬とパートナーを組みながらスタートされるわけであります。
したがって、給付の際は、ユーザーの希望に合わせて育成団体の指定ができるよう、偏りのない支援がなされなければならないと思いますので、どうか公正公平になるように努めていただきたいと思います。
 次に、障害者のホームヘルプサービスについて伺います。
 在宅サービスの中でもホームヘルプサービスは、障害者の地域での自立した生活を支えるまさに基本的なサービスでありますが、私はことし、第二回定例会の一般質問におきまして、ホームヘルプサービスの充実と国庫補助金の問題について、都の見解と対応について伺ったところであります。
 この問題はもともと、昨年の末、国がホームヘルプサービスの国庫補助金に上限を設けることを検討していることが明らかになり、社会的に大きな混乱を招いたことが発端であります。現在の状況がどうなっているのかを伺う前に、まず、確認の意味で、この問題についての経緯を改めて伺いたいと思います。

有留障害福祉部長
 この問題は、昨年末、国が突然、国庫補助金に全国一律の上限を設けようとしたことが発端となりまして、全国の障害者団体などが国に大規模な抗議行動を行う事態となったものでございます。
東京都は、いち早く要望書を国に提出しまして、上限設定は、負担を地方にしわ寄せするものであることから、国庫補助金に一律的な上限を求めないこと、また、十分な財源の確保について強く申し入れを行いました。
 その後、他の自治体が追随する中で、国と粘り強い協議を進めてまいりました。
その結果、国は、全国の自治体、障害者団体等の要望を踏まえ、従前の補助額を確保する経過措置を講じることとしました。
 また、本年五月には、学識経験者や障害者団体などで構成され、都も参画しております検討会を設置し、現在、ホームヘルプサービスなどを初め、地域生活支援に関するさまざまな議論を行っているところでございます。

山加朱美
 ことしの四月からホームヘルプサービスは支援費制度へ移行し、利用者がみずから必要なサービスを選択できることになりましたが、東京都内、区市町村のホームヘルプサービスの提供状況がどうなっているのか、あわせて、全国的に見てサービス提供の動向がどうなっているのか、伺います。

有留障害福祉部長
 都が行った調査によりますと、都内区市町村におけるホームヘルプサービスの利用時間は、本年四月の支援費制度移行後、大きく増加しております。
一人当たりの月平均利用時間を見ますと、重度の全身性障害者の日常生活支援は二百三十時間、視覚障害者の移動介護は二十三時間、知的障害者の移動介護は十三時間で、昨年度と比較しますと、例えば日常生活支援では一・五倍となっております。
この調査結果から事業費を試算いたしますと、平成十五年度の事業費は、十四年度と比較しまして三四・一%の伸びが見込まれます。
 また、厚生労働省による平成十五年四月分についての全国調査結果では、平成十三年度と比較して、一人当たりの利用時間は、移動介護についてはほぼ同水準でございますが、重度の全身性障害者の日常生活支援は百三十五時間で、一・六倍となっておりまして、全国的に見ても大きく増加しております。

山加朱美
 全国の自治体、障害者団体が、昨年末以来、この国庫補助金の確保については大変注目をしております。
全国的に見ても、ホームヘルプサービス提供量が増加している中で、国は国庫補助金問題にどのように対処しようとしているのか、現在の国の動向について伺います。

有留障害福祉部長
 国は当初、従前の補助金額を確保するため、昨年度までの利用実績をもとに国庫補助金を配分する意向を示しておりました。
しかし、全国的にサービス量がふえている状況を踏まえまして、今月に入りまして、ブロック別に各都道府県の意見を聞いておりますが、その中で、財源確保のためなお最大限の努力をすること、さらに、国庫補助金の配分方法について検討を進めることを明らかにしております。
 東京都といたしましては、全国的にサービス利用時間が大きく増加している現状において、サービス提供量に見合った国庫補助金が確保できなければ、結果的に地方に負担がしわ寄せされることを強く懸念しております。

山加朱美
 増加したサービス量に見合った国庫補助金が交付されなければ、今後の事業運営には大きな影響を及ぼすことは明らかであります。
また、利用者の障害の状況に応じてサービス支給量を決定するという支援費制度の仕組みの根幹にかかわる重要な問題でもあります。
国の動向等を踏まえ、都としてこの問題にどのように取り組んでいくのか、最後にその決意を伺い、私の質問を終わります。

有留障害福祉部長
 ホームヘルプサービスは、障害者が地域生活を送る上で基幹的なサービスでございまして、障害者のニーズに沿った適切なサービス量の提供が必要でございます。
このサービスの必要量を確保し、充実していくためには、国の責任において財源を確保するのが不可欠であると考えております。
 都の独自の推計によりますと、平成十四年度実績をもとにした従前額と、十五年度の実績見込みを比較いたしましたが、事業費ベースで九億円を超える国庫補助金の歳入不足が見込まれております。
このため都は、国庫補助金が適正に交付されなければ、区市町村が決定するサービス量の抑制にもつながりかねない、そういうことから、先月二十八日に国に緊急要望を行ったところでございます。
この間、関西など七府県知事連名による緊急要望、あるいは十二大都道府県障害福祉主管課長会議が国に要望を行うなど、その動きは、障害者団体等も含め、全国的に広がりつつあります。
 今後とも、全国の自治体等と連携をとりながら、あらゆる機会をとらえて国に強く働きかけてまいります。

出典:厚生委員会速記録第十六号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2003-16.html

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