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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2009年5月27日 平成21年厚生委員会第6号

山加朱美
 私は、陳情二一第九号、重度視覚障害者に対する移動支援事業の拡充に関する陳情に関しまして、お伺いをしたいと思います。
 まず、項目の1でありますが、三%への負担軽減は、なるべく家族等で対応して、どうしても足りない部分をこの事業で行うというような利用時間の少ない低所得者の場合、給付費の一割相当額の方が、例えば低所得者の負担上限であります千五百円よりも少ないということであります。このような方々を救済してきたのが、この都独自の軽減措置ということだと考えますと、二十一年度も継続をされるということでありますから、これは既に解決済みと理解をいたします。
 そこで、項目の2に絞ってお伺いをしたいと思います。
 ここでは、重度の視覚障害者の移動支援事業のことが取り上げられているわけですが、そもそも基本的なことでありますが、移動支援事業とはどういうものなのか。また、だれがどのくらい使っているものなのか、確認の意味で、あわせてお伺いをいたします。

松浦障害者施策推進部長
 移動支援事業でございますけれども、屋外での移動が困難な知的障害者、視覚障害者などに対しまして、社会生活上必要不可欠な外出や、社会参加のための外出の際に支援を行うサービスでございまして、自立支援法におきまして、区市町村の地域生活支援事業の必須の事業というふうになっております。
 利用者でございますが、区市町村が、外出時に移動支援が必要と認めた者でございまして、平成二十年四月で、都内で約一万四千人の方々が支給決定を受けているところでございます。そのうち六割強の約九千人が知的障害者でございまして、二割強の約三千人が視覚障害者というふうになっております。
 移動支援の支給時間につきましては、各区市町村が実情に応じ、障害者個々の状況などを勘案いたしまして、必要性を判断して決定することとなっております。

山加朱美
 この事業が区市町村地域生活支援事業とされてきたのは、今ご答弁いただきましたが、地域の実情に応じてより柔軟に運営できるということもあったのだと思いますが、しかし、地域の実情はそれぞれでありますから、制度の運用については、当然、地域ごとにばらつきがあったと思います。それに対して都はどう対応してきたのか、お伺いをいたします。

松浦障害者施策推進部長
 区市町村の地域生活支援事業でございますけれども、移動支援事業、相談支援事業、コミュニケーション支援事業、これなどが必須事業というふうになっておりますが、その必須事業とその他の事業がございます。各区市町村が、これらそれぞれの事業を地域の実情に応じて創意工夫をして実施しております。
 国は、これらの事業を統合しまして、予算の範囲内、平成二十年度は総額四百億円でございましたけれども、その予算の範囲内で二分の一を補助することという仕組みでございまして、その結果、区市町村においては超過負担が生じているところが多くなっているところでございます。
 平成十九年度決算におきまして、都内区市町村全体で約九十一億円でございまして、その二分の一は約四十六億円でございますけれども、国庫補助額が約三十四億円でございますので、国庫の不足額は約十二億円というふうになっております。
 都といたしましては、区市町村が、地域の実情に応じて超過負担をすることなく各事業の充実に取り組めるように、十分な予算措置をとるよう国に要望を行いまして、国は平成二十一年度の地域生活支援事業の予算額、先ほど二十年度、四百億というふうに申し上げましたが、四十億円を増額いたしまして、二十一年度は四百四十億というふうになっております。
 また、移動支援事業は障害者の地域生活における基幹的サービスの一つであることから、個別の補助事業とするよう、さまざまな機会をとらえまして、国に働きかけてきたところでございます。

山加朱美
 都は、国の統合補助金であります地域生活支援事業から切り離して個別の補助事業とするよう国に働きかけてきたということでありますが、私ども与党プロジェクトチームにおいても、より確固とした位置づけが必要ということから、法定の個別給付を求めておりました。
 これを受けて改正法案では、個別の補助事業よりもさらに一段進んで、法定給付になることがはっきりと規定をされております。
 そこで伺いますが、法定給付になることで、この陳情の中でいわれているような、制度の運用面や、また財政面での課題というものは解決をするのかどうか、お伺いをいたします。

松浦障害者施策推進部長
 山加理事お話のとおり、この与党プロジェクトチームが策定した基本方針に基づきまして、本年二月に障害者自立支援法等の一部を改正する法律案が示されまして、重度の視覚障害者の移動支援につきましても、法定給付に位置づけられております。
 なお、この法律案は、平成二十一年三月三十一日に閣議決定され、国会に上程されているという状況でございます。法定給付になることによりまして、国の責任において統一的な基準で実施されることになるということとともに、従来、予算の範囲での補助であったものが、国の義務的経費である負担金制度で運用されることになりましたので、超過負担となっていた区市町村の負担も軽減されるというふうに考えております。

山加朱美
 重度視覚障害者の移動支援が法定の給付に移行した後には、国の統一的な基準で実施されることによって、区市町村ごとのばらつきはなくなるということでありますけれども、地域生活支援事業では、利用者の負担についても区市町村が柔軟な対応をしてきたところでもあります。こうしたものはどうなるのか、お伺いをいたします。

松浦障害者施策推進部長
 法定給付になることによりまして、国の義務的経費である負担金制度で運用され、区市町村にとっても財政的に安定した事業というふうになります。
 区市町村独自の利用者負担軽減策の継続につきましては、当該区市町村の判断ということになりますけれども、継続しましても区市町村の財政負担は変わらないので、独自の負担軽減策を継続する可能性は高いというふうに考えております。
 なお、山加理事冒頭のお話のとおり、都が独自に実施している利用者負担軽減策、すなわち低所得者の方に対する利用者負担を三%とする軽減措置でございますが、引き続き講じているところでございます。

山加朱美
 法定給付に移行しても、区市町村独自の取り組みの部分に対しては新たな財政負担は生じないということでありますから、区市町村が従来の対応を継続することもできるものと理解をいたします。
 そもそも重度視覚障害者の移動支援が法定給付に移れば、国の財政負担についても法定の負担が確保され、また、財政的にも安定をするわけであります。しかし、そうなったからといって、すべて一律の給付を機械的に保障するとか、あるいは利用者の望むままに全部出すということが、私は必ずしも最善とは思いません。
 きちんとした財政負担原則のもとで、区市町村が利用者の状況、また地域の実情に応じてきめ細かく制度を運用してもらえば、利用者にはより使いやすく、また税の負担者であります都民にも当然納得される、大変公平性の高い制度にしていくことが可能になると思うわけであります。
 都としても、こうした方向に進むことをこれまで国に働きかけてきたと思いますけれども、それが実現する形で法案として国会に提出されているところでもあります。このことを是とすべきもので、これ以上国に要望するべきものではないと考え、そのことを申し述べまして、この陳情二一第九号、本陳情に関します私の質疑を終わらせていただきます。

出典:厚生委員会速記録第六号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2009-06.html

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