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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

本会議質疑
平成二十年東京都議会会議録第三号

山加朱美
 最初に、児童虐待について伺います。
 以前より児童虐待の問題が大きく取り上げられてきたアメリカと、我が国の児童虐待の件数を見ると、直近のデータでは、日本の年間三万七千件に対しアメリカでは約八十七万件、これは児童人口千人当たりで比べると、一・七件に対し十一・八件と、アメリカの児童虐待件数は日本の約七倍となっています。虐待に対する制度の違いもあり、一概に比較することはできませんが、驚かされる数字であります。
 翻って、東京都における児童虐待の相談件数は、十八年度、都内の児童相談所に寄せられた件数は三千二百六十五件、一義的窓口である区市町村では四千九百五十一件にも上り、その数は毎年増加の一途をたどっています。
 子どもの命はかけがえのない宝であり、未来そのものです。虐待により幼い命が奪われるようなことは、絶対にあってはなりません。
 しかし、虐待死に至った全国事例の七割が、外部機関が事前に察知していたにもかかわらず、命を救えなかったとされています。待ちの姿勢では、子どもの命は救えません。
 このまま右肩上がりで虐待件数が増加を続ければ、やがてアメリカと肩を並べてしまう日が来るかもしれません。子どもを虐待からしっかりと守るためには、関係する専門機関だけでなく、社会全体でこの問題を重く受けとめ、取り組んでいかねばなりません。
 すべての子どもたちがいつも笑顔を絶やさず、健やかに成長できるよう、私たち一人一人が虐待の小さな兆候も見逃さず、必要な支援や行動をとることができれば、やがて虐待のない社会が必ず実現できると、私は信じています。
 そこで、この児童虐待という深刻な課題について、まず、知事の基本的な認識を伺います。
 さて、私が襟につけているのは児童虐待防止オレンジリボンですが、四年前に栃木県小山市で幼い兄弟の命が虐待により奪われた、大変痛ましい事件を契機に始められたもので、毎年十一月の推進月間キャンペーンの一環として、今年度、都が、これは関係者に配布をしたものです。
 都庁舎とレインボーブリッジもオレンジ色にライトアップされたと記憶しています。また、この腕につけているオレンジリングは、認知症への正しい理解を地域に広げるため、認知症のサポーター養成講座を受けた方に配られています。
 こうした啓発への取り組みは大変意義が深いものですが、せっかくの大切なメッセージも、都民にしっかりと届いていなければ、取り組む側の自己満足といわざるを得ません。
 児童虐待の問題を私たち一人一人のものとしていくためにも、都民への普及啓発は大変重要であり、都としても、児童虐待防止オレンジリボンキャンペーンの取り組みを一層推進していく必要があると考えます。所見を伺います。
 次に、虐待の未然防止を推進するためには、できるだけ妊娠期や乳幼児期などの早い時期から子育て家庭の虐待のリスクを早期に発見し、虐待に至らないような対策をとることが必要です。ほぼすべての子育て家庭がかかわりのある母子保健事業の貴重な機会を活用し、虐待のリスクを早期に発見し、未然に防ぐことは非常に有効な取り組みと思いますが、未然防止について今後どう取り組んでいくのか、伺います。
 一方、不幸にも虐待が起こってしまった場合には、迅速に子どもの安全を確かめ、適切な対応をとらなければなりません。児童相談所や子ども家庭支援センターの対応がますます重要になりますが、その期待される役割を果たしていくためには、虐待相談へのノウハウや知識を十分に備えていなければなりません。子ども家庭支援センターの対応力がより一層強化するよう、都としても、これまで以上に支援をしていく必要があると考えます。所見を伺います。
 さらに、虐待の対応には、さまざまな関係機関との連携が大切です。中でも、子育て家庭と直接接する医療機関の協力は不可欠です。しかし、通告の具体的なやり方がわからないなど、その後の対応に結びつかない例が見られるようです。医療機関において、虐待事例に対する対応ノウハウが広がれば、もっと多くの虐待が早期に発見できるはずです。医療機関における虐待の早期発見、早期対応を促進するため、今後どう取り組みを進めていくのか、所見を伺います。
 また、虐待を受けた子どもに、専門的立場から心のケアを行うことも重要です。国では来年度から、虐待を初めとする子どもの心に専門的に対応する、子どもの心の診療拠点病院を各都道府県に整備し、中核的機能を担わせると聞いています。この事業に係る都の取り組み方針について、所見を伺います。
 児童虐待は、ある意味、社会病理の一断面であると思いますが、私は、最近しばしば報道される動物虐待も、児童虐待と同根と思います。
 今や、単なる愛玩の対象から家族の一員、あるいは人生のパートナーとして、飼い主との関係が深まりを見せているペット動物は、子どもたちに命をはぐくみ守ることの意味を教え、また、高齢者の生活に生き生きとした活力をもたらす大切な存在です。
 しかし、無責任な飼い主や心ない人々によって遺棄されたり、虐待されたりする例も少なくありません。その結果、行政によって保護、収容され、新たに譲渡できなかった場合には安楽死ということになります。
 都内では、行政やボランティア等の努力もあり、致死処分される動物の数は十年前と比べ半数以下に減少していますが、それでも昨年度、東京都動物愛護相談センターは、約七千頭の動物を、国の指針に基づき、主として炭酸ガスによって殺処分しています。しかし、この炭酸ガスによる方法は、子猫、子犬のような幼弱な動物では死亡するまでの時間が長引き、苦痛を伴うのではないかとの懸念の声もあります。
 実際、動物愛護の先進国であるイギリスでは、実験動物について、炭酸ガスによる殺処分を既に二十年ほど前から法律で禁止しており、EU諸国の多くも、犬や猫などのペット動物については、炭酸ガスではなく麻酔薬を注射する方法がとられています。動物は単なるおもちゃや家具とは違い、命あるものです。
 非暴力運動の指導者として知られるマハトマ・ガンジーは、国の偉大さ、道徳的発展は、その国における動物の扱い方でわかるという名言を残しています。致死処分の方法一つにも、その都市、国の民度や文化的な成熟度が如実にあらわれるということではないでしょうか。
 東京都は昨年十二月、高度なレベルで成熟した都市としての「十年後の東京」の姿を実現するための実行プログラムを明らかにしておりますが、私は、「十年後の東京」は、動物愛護の先進都市としても世界から認められる存在であることを願ってやみません。
 そして、そのためには、社会全体の動物愛護精神の涵養により、致死処分される動物のさらなる減少を図るとともに、処分方法の再検討について、国を巻き込んだ取り組みが必要と思います。
 そこで、都においては、区市町村、獣医師会、ボランティアなどと協力し、動物の致死処分の減少に向けた取り組みを一層強化するとともに、国に対して、現行の炭酸ガスによる処分方法が幼弱な動物にとって適切な方法といえるのかどうかを科学的に明らかにし、より適切な方法を検討するよう働きかけていくべきと考えますが、所見を伺います。
 今後とも動物愛護の内実を高め、真に成熟した都市としての東京の姿を世界に向けて発信していかれることを強く希望します。
 次に、地域社会において子どもの安全を脅かす事件が後を絶ちません。中でも、十三歳未満の子どもに対する強制わいせつの約四割が、マンション等の共同住宅で発生しています。
 都は十九年度から、マンション等の共同住宅を含む地域の防犯活動の活性化を目的としたモデル事業を始めていますが、私の地元練馬区にも数多くのマンションや団地がありますので、その成果に注目をしています。
 そこでまず、今年度の地域防犯モデル事業における成果について伺います。
 また、地域が一体となって防犯力を高めることは、地域でしっかりと子どもを守り育てることにつながります。地域防犯モデル事業を含め、今後、子どもの安全確保についてどのように考え、施策を推進していくのか、あわせて所見を伺います。
 次に、都は本年一月、犯罪被害者等支援推進計画を策定しましたが、昨年、中間まとめを公表した際、我が党は、吉野幹事長が三定の代表質問において、犯罪被害者への支援に当たってはさまざまな民間団体の力を十分に活用するなど、東京ならではの総合力を発揮させていくべきと提案しました。
 そこでまず、この計画の内容に、東京ならではの総合力を発揮している施策があるのか、伺います。
 次に、計画では、都は総合相談窓口を被害者支援都民センターと協働して設置するとしていますが、被害者の方々はさまざまな問題を抱え、支援機関も多岐にわたることが多いのが実態と思います。被害者をたらい回しにすることなく、これまで以上に積極的かつ効果的に支援をしていくためには、被害者が今どのような状況に置かれているのか、立ち直りまでに何が必要なのか、適時適切に支援を行いながら被害者を継続して見守っていく、その体制を構築することが重要と考えます。
 また、都内の刑法犯認知件数は二十四万五千件、平成十八年度も全国最多でした。まさに都民のだれもがあすは我が身、犯罪の被害者となる可能性がある中で、被害者の切実な要望にこたえ、一日も早く総合相談窓口を設置すべきであります。支援体制と総合相談窓口の設置時期について伺います。
 そして、犯罪被害者等が、直接的な被害だけでなく、周囲の心ない言動や風評被害によってさらに深く傷つくことを、だれもが理解をしなければなりません。
 今回の計画には、都が今後の被害者の支援について、民間支援団体と連携して行っていくという基本的な考え方や支援施策が盛り込まれていることは、我が党の提案に沿ったものとして評価できますが、今後、被害者支援をさらに効果的に行っていくためには、行政や民間支援団体だけでなく、しっかりと都民を巻き込んだムーブメントを起こし、広く都民の理解と共感を得ていく必要があると考えます。見解を伺います。
 次に、アジアユースパラリンピックとそれに関連し、障害者スポーツの振興について伺います。
 障害者のスポーツへの参加は、みずからの体力の維持増進や社会活動の場の拡大はもちろんですが、心の交流や障害への理解の促進に資するものであり、大変意義深いことであります。
 都は、「十年後の東京」実行プログラムにおいて、二〇〇九年、アジアユースパラリンピック大会を開催するとともに、二〇一三年、東京で開催される全国障害者スポーツ大会の開催準備を進めるとしています。特に、アジアユースパラリンピックは、アジアの障害のある子どもたちを対象とした都としての初の取り組みであり、スポーツを通じたアジアの友好親善にも大きく寄与するものと期待を寄せるものです。
 そこで、まず、アジアユースパラリンピック大会の開催の意義について伺います。
 私は、平成十八年、一定一般質問で申し上げましたが、パラリンピックの名称は、一九六四年、東京オリンピックの後に開催された国際身体障害者スポーツ大会の際、下半身麻痺を意味するパラプレジアとオリンピックを組み合わせた愛称として、日本で広く使われ始めました。
 パラリンピックのパラにはもう一つのという意味があることから、今では、パラリンピックはもう一つのオリンピックとして親しまれる、世界最高峰に位置する障害者スポーツ大会となっています。パラリンピックの名づけの地東京が、全世界に向けて、東京ならではの新しい障害者スポーツを発信し、障害者がスポーツに親しむ起爆剤にしていくべきと考えます。そして、このことは、世界中の人々に勇気と感動を与え、心のバリアフリーを国際的に推し進めることにもつながると考えます。
 障害者スポーツの振興は、障害者が社会で生きる力を高める支援、障害のある人もない人も、ともに社会生活を営んでいくノーマライゼーションの実現に大きく寄与するものであり、今後も一層、障害者スポーツの振興を図っていくべきと考えます。都の所見を伺います。
 次に、都は、十年後の東京に向けて、実行プログラムに基づき、今後、緑のネットワークの拠点となる都立公園の整備を推進していくこととしていますが、整備にどのように取り組んでいく予定なのか伺うとともに、私の地元練馬区には、三宝寺池で知られる石神井公園があります。豊かな自然環境や歴史的資産に恵まれた都立公園でありますが、本年度、公園の計画地内にあるグラウンド約二・二ヘクタールを都が取得する予定と伺っています。このようにまとまった面積の用地を取得することは、早期に公園の整備効果を発揮でき、非常に有効なことであります。特に、防災面において公園が果たす役割は重要ですが、今後、都は取得予定地をどう整備していく予定か伺います。
 最後に、国は平成十八年十二月、バリアフリー新法を施行し、新たに道路や都市公園も対象施設の拡充となりました。都は、だれもが移動しやすい観点からの道路整備について取り組んでいますが、既存道路には、歩道の幅員が狭かったり、勾配が急な道路が残っています。
 私の地元、練馬駅前千川通り南側は、雨の日は傘を斜めにしなければ通れないような、幅員が狭く、勾配のきつい、障害者、高齢者はもとより、健常者でも歩きにくい、バリアフリーにはほど遠い歩道であります。早急な歩道の改善がかねてより切望されております。  このような、既存道路における歩道の改善について都の所見を伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
  〔知事石原慎太郎君登壇〕

知事(石原慎太郎)
  山加朱美議員の一般質問にお答えいたします。
 児童虐待についてでありますが、子どもが親や地域の人々の愛情に包まれて健やかに育つことは、みんなの願いであります。児童虐待は、その子どもの心に深い傷を残すだけでなく、場合によったら、かけがえのない命を奪うこともありまして、決してこれは許されるものではないと思います。
 しかし、今日、価値観の混乱のために、そら恐ろしい出来事が後を絶たない時代になりました。身分や立場や物の考え方、あるいは時代そのものを超えて継承されるべき、人間にとっての垂直な価値観というものすらが揺らぎ出しているという感じがいたします。
 こういう中で、都は虐待防止の拠点となる子ども家庭支援センターの創設など、全国に先駆けて体制整備を進めてまいりました。
 さらに、法改正によりまして、四月から知事の立入調査権が強化されることから、警察とも協力しながら、迅速に対応していきたいと思っております。
 今後とも、子どものことを最優先に考えて、児童虐待の未然防止のために総合的な取り組みを推進していきたいと思っております。
 他の質問については、関係局長が答弁いたします。
  〔福祉保健局長安藤立美君登壇〕

福祉保健局長(安藤立美)
福祉施策など、八点についてお答えを申し上げます。
 まず、児童虐待防止のオレンジリボンキャンペーンについてでございますけれども、児童虐待の防止は、関係機関のみならず、社会全体で取り組むべき課題でございます。
 このため、今年度より、児童虐待防止の普及を目的といたしましたオレンジリボンキャンペーンに取り組み、区市町村や民間団体等と一体となって、シンポジウムや講演会の開催、リボンやリーフレットの配布、レインボーブリッジと都庁舎のライトアップなどを実施をいたしました。
 今後とも、児童虐待防止に対します都民の関心を高めるため、多様な媒体を使って、このオレンジリボンキャンペーンを積極的に展開をしてまいります。
 次に、虐待の未然防止についてでありますが、お話のように、妊娠期から母親と継続的に接する母子保健事業を活用して、虐待につながるリスクを早期に発見することが効果的でございます。
 このため、来年度から、母子保健手帳交付時の保健師による面接のほか、乳幼児健診におけるチェックリストや、南多摩保健所が開発をいたしました虐待のリスク診断手法の活用など、実効性のある対策を区市町村が地域の実情に即して実施できるように支援をしてまいります。
 次に、子ども家庭支援センターについてでありますが、児童福祉法により、児童虐待を含む相談の第一義的な窓口は区市町村と位置づけられております。
 都はこれまでに、地域の総合的な相談支援の拠点として、児童虐待に対応する専任ワーカーなどを配置した子ども家庭支援センターを創設し、その設置を都内全区市に強力に働きかけてきたところでございます。
 さらに、来年度からは新たに、区市町村が弁護士や精神科医など外部の有識者をスーパーバイザーとして活用し、専門的対応力の向上を図れるように支援をしてまいります。
 続きまして、医療機関におきます虐待対応についてでありますが、医療機関には、子どもの診療を通じた虐待の早期発見の機能が期待をされております。
 このため、都は今年度から、地域の診療所等の医師が児童虐待の判断や対応につきまして専門的な知見を持つ医師や弁護士から助言を受ける仕組みであります、ドクターアドバイザーシステムを開始いたしました。
 また、病院に勤務する医師や看護師、医療ソーシャルワーカーなどの医療従事者が、それぞれの職種の視点から虐待事例にかかわり、組織的な対応を行うことができるよう、実践的な専門研修も開始をしたところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを積極的に推進し、医療機関の虐待への対応力向上を図ってまいります。
 次に、子どもの心の診療拠点病院事業についてでありますが、虐待が子どもに及ぼす影響は、時間の経過や成長とともに、精神不安や粗暴な行為などさまざまな問題としてあらわれるために、診療に当たりましては、子どもの心に関する幅広い知識と対応が求められております。
 このため、都としても、心に傷を負った子どもの診療に当たります医療機関が適切に対応できるよう、平成二十年度から子どもの心の診療拠点病院事業を開始いたしまして、地域の医療機関に対する技術支援や情報提供などを行ってまいります。
 次に、動物の致死処分についてでございますが、返還、譲渡できませんでした動物の致死処分につきましては、現在、国が指針の中で示しております炭酸ガス等を用いた方法により行っているところでございます。
 高濃度の炭酸ガスを吸引することによります麻酔効果については、科学的に確認をされておりますが、ご指摘の生後間もない動物の処分方法については、今後、最新の科学的知見に基づき検討を進めるよう、国に働きかけを行ってまいります。
 あわせて、動物愛護相談センターを中心に、区市町村や獣医師会等と協力し、飼い主のモラルアップに向けた普及啓発活動を強化いたしますとともに、ボランティア団体と連携をいたしまして、収容動物の譲渡拡大を図るなど、致死処分数のさらなる減少に努めてまいります。
 次に、スポーツに関連しまして、アジアユースパラリンピック大会の開催についてでありますが、本大会は、アジアの障害のある子どもたちが集い、陸上や水泳などの競技を競い合う国際総合スポーツ大会でありまして、平成二十一年九月の開催が予定をされております。
 本大会の開催は、障害のある子どもたちにとって、スポーツに参加するきっかけとなり、スポーツの楽しさとすばらしさを実感できる絶好の機会となります。また、多くの人々に夢と希望と感動をもたらし、障害者スポーツの存在と広がりを示す舞台ともなるものであります。
 さらに、選手相互や選手と日本の子どもたちとの交流により、スポーツを通じたアジアの友好親善にも寄与することができると考えております。
 最後に、障害者スポーツの振興についてでありますが、障害者がスポーツを行うことは、社会参加の促進や都民の理解増進など、障害者の自立の促進に寄与するものでございます。
 こうした考えのもとに、スポーツ大会の開催、スポーツセンターの運営や指導者、ボランティアの育成など、障害者スポーツの普及啓発に積極的に取り組んでおります。
 今後も、アジアユースパラリンピックの開催などを通じて、障害者スポーツの機運を一層高めていくとともに、区市町村や東京都障害者スポーツ協会を初めといたしました関係機関と連携をしながら、障害者の方が自分に合ったそれぞれのスタイルでスポーツを親しむことができる社会の実現を目指してまいります。
 〔青少年・治安対策本部長久我英一君登壇〕

青少年・治安対策本部長(久我英一)
 地域防犯モデル事業の成果についてでございますが、今年度は新宿区、台東区、豊島区、足立区、多摩市の五つの地域において実施いたしました。
 この事業を契機として、町会、自治会及びマンションの管理組合等が連携して、新規に二十を超える自主防犯活動を行う団体が組織されております。
 例えば足立区では、モデル地域内の六つの小学校を核として、約二千名で組織する子ども見守り隊が発足し、通学路のパトロールなどを行っております。
 また、マンションの防犯カメラ等の整備や街路灯の設置などの環境改善も進み、ソフト、ハード両面でモデル地域における防犯力は向上していると認識しております。
 次に、子どもの安全確保に関する今後の施策についてでありますが、都では、自分で守る、学校で守る、地域で守るという三つの視点から、子どもの安全確保に取り組んでおります。
 来年度は、子どもたちがみずからを守る力を育成するための地域安全マップづくりを、小学校の低学年にも普及させてまいります。また、さすまたなどの防犯器具の使用方法等を収録したDVDやマニュアルを全公立小中学校等に配布し、実践的訓練を推進いたします。  さらに、地域防犯モデル事業に引き続き積極的に取り組むとともに、情報通信技術を活用して、地域で子どもを見守るシステムを構築するための検討を行います。
 今後とも、このように子どもを犯罪から守るための施策を重層的、複合的に推進してまいります。
  〔総務局長押元洋君登壇〕

総務局長(押元洋君)
犯罪被害者等支援推進計画に関する三問のご質問にお答えを申し上げます。
 まず、計画に盛られた施策についてでございますが、犯罪被害者等が抱えるさまざまな問題にこたえるためには、都は民間団体などとも広く連携し、多様な社会的資源を活用していくことが重要であると考えております。
 このため、総合相談窓口の設置運営に当たりましては、民間のノウハウや人材を最大限生かしてまいります。また、精神的な支援として、被害者支援に精通した精神科医や臨床心理士がカウンセリングなどを行うこととしております。
 さらには、被害者等の一時的な居住場所といたしまして、ホテル、旅館などの民間宿泊施設を業界の協力を得て借り上げ、提供してまいります。
 このように、東京ならではの総合力を十分に発揮いたしまして、犯罪被害者等の方々を途切れることなく支援してまいります。
 次に、総合相談窓口の支援体制と設置時期についてでございますが、窓口では、支援に実績のある相談員が、被害者等の方々の置かれた状況を総合的に判断し、必要な情報提供や支援を行ってまいります。
 例えば、被害者等の自宅訪問や病院、警察署、裁判所等への付き添いなど、立ち直りに必要なきめ細かい支援を、再び平穏な生活を営むことができるまで、途切れることなく実施できる体制を構築してまいります。
 窓口の設置時期につきましては、被害者等の切実な要望におこたえするため、一日でも早く設置できますよう、本年四月中を目途に精力的に準備を進めてまいります。
 最後に、犯罪被害者等への支援に対する都民の理解についてでございますが、被害者の方々に対する支援などにつきまして、広く都民の皆さんの理解と共感を得ていくことは、被害の軽減、早期の立ち直りに有効であると考えております。
 都は、これまでのシンポジウムなどの啓発事業に加えまして、被害者等の方々が置かれている状況について、さらに都民の皆さんの理解を深めていただくため、ご指摘の点も踏まえまして、広く都民が参加する、仮称ではございますが、犯罪被害者等を支える東京会議を新たに設けるなど、社会全体で被害者等を支える機運を醸成する取り組みを行ってまいります。
 都といたしましては、このような取り組みを通じまして、都民のだれもが地域の中で安心して暮らしていくことのできる東京を実現してまいります。
  〔建設局長道家孝行君登壇〕

建設局長(道家孝行)
三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立公園の整備についてでありますが、都は、東京を緑あふれる都市に変えていくため、「十年後の東京」への実行プログラムにおいて、平成二十二年度までの三カ年に、都立公園を新たに七十ヘクタール開園する目標を設定しております。
 その達成を目指し、東京臨海広域防災公園を初めとする防災公園の整備を優先的に進めるとともに、水元公園や篠崎公園など、河川や道路事業と連携し、水と緑のネットワークの拠点となる公園の整備に取り組んでまいります。また、小山田緑地など丘陵地の公園では、借地公園制度も活用しながら整備してまいります。
 今後とも、公園整備を計画的に進め、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京の実現を図ってまいります。
 次に、石神井公園の整備についてでありますが、石神井公園は、東京都地域防災計画で震災時の避難場所やヘリコプター活動の拠点に位置づけられており、防災公園としての機能を充実させる必要がございます。このため、震災時にヘリコプターによる救出救助や物資輸送などが円滑に行えるよう、また、平常時には都民が自然の中でレクリエーションを楽しめるよう、取得予定地に広場などを整備していく予定であります。
 今後、整備効果を早期に発現するため、その整備に着実に取り組んでまいります。
 最後に、歩道の改善についてでありますが、都は、福祉のまちづくり条例などに基づき、バリアフリーに配慮し、歩道の拡幅や段差解消、勾配の改善などを行い、歩行者の安全性、利便性の向上に努めております。
 千川通りにつきましては、南側の狭隘な歩道の改善要望を受け、練馬駅から環状七号線までの約一キロメートルの区間において、歩道の拡幅や勾配の改善などを検討してまいりました。現在、交通管理者や区及び地元住民との調整を進めており、平成二十年度から順次、整備に着手する予定であります。
 今後とも、バリアフリーに配慮した歩道の改善を進め、だれもが安全で利用しやすい歩行空間の確保に積極的に取り組んでまいります。

出典:平成二十年東京都議会会議録第三号 https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2008-1/03.html#01

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