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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

本会議質疑

山加朱美
 昭和五十二年以降、都民の死因の一位はがんとなっています。今や二人に一人ががんを患い、そのうち三人に一人が命を奪われるとされ、決して他人事ではなく、あすは我が身として、がんは身近な脅威であり続けています。
 一方で、医療技術の大きな進歩により、早期発見による完治や、治療後にがんとともに共生しながら、長く暮らし続けることも可能になりました。がんとともに生きる共生時代が到来する中で、がん患者は、がんに伴う体や心の痛み、治療を受けることによって生じる副作用や後遺症など、さまざまな問題や苦痛、大きな不安を抱え、がん告知後の人生を歩むことになります。
 今までと変わらない生活を取り戻し、家庭や社会に復帰する。そのためには、がん患者のクオリティー・オブ・ライフ、生活の質、生きることの質を向上させることは重要です。
 その一つに、がん発見後の早期、特に治療の開始前や、そして直後から訓練を行うがんのリハビリテーションが、合併症、後遺症の予防、スムーズな術後回復に有効であると注目されています。
 既に欧米では、がん医療の重要な一分野として、がんと診断された直後から、あらゆる状況に応じて適切ながんリハビリが行われていますが、日本においては、まだ医療従事者の間でも理解が十分ではなく、国のがん診療連携拠点病院の指定要件、都の認定がん診療病院の整備要件にも入っていないのが実情です。診療報酬算定が入院患者にしか認められていないなど、課題も山積します。
 しかし、我が国の今までのがん治療は、ほとんどが延命であり、その後の人生、がんとともに生きていくということが置き去りにされていました。
 たとえがんを患っても、がんとともによりよい生活の質を目指し、生きていくことが可能になった時代だからこそ、がんのリハビリテーションは、がん患者の社会復帰への一つの切り札として大きく期待されます。質の高いがんリハビリテーションがどこでも受けられるようになるよう、強く要望いたします。命の重さの前では、どちらが先ということはありません。都から国をリードするくらいの強い意気込みを期待いたします。
 そして、今後、高齢化がさらに進む中で、がん患者の増加が予想されます。
 知事は、国において、福祉のエキスパートとしてその手腕を発揮した方であります。都知事の立場からも、その経験を余すことなく発揮していただきたいと願っています。
 がん患者の療養生活の質の維持向上を図るため、今まで以上に積極的に患者とその家族に対する寄り添った緩和ケアをより一層充実していくべきと考えます。知事の所見を伺います。
 さて、ことしは夏以降、東京においても新たな感染症の脅威にさらされました。約七十年ぶりとなるデング熱の国内感染事例が発生し、西アフリカで流行が続いているエボラ出血熱の国内発生もあわやの事例がありました。さらには海外では、MERSや鳥インフルエンザH7N9などの発生も見られ、対岸の火事と済ませることができない事態です。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、今後、これまで国内で発生していない新たな新興感染症を含めた感染症対策について、都は事前の備えを万全にしておく必要があると考えます。見解を伺います。
 さらに、いまだ終息を見る気配のない、世界を脅かしているエボラウイルス疾患ですが、先進国で感染者が出たのはアメリカとスペインの二カ国で、いずれの国においても医療従事者、看護師が患者と接触する過程で感染しています。設備の上でも手順の上でも医療者の感染症防護対策が徹底されているアメリカにおいて、医療従事者への感染が起きてしまったことは重大な教訓を残しました。
 医療従事者を感染リスクから守ること自体も必要不可欠なことですが、感染拡大を防止する観点からも、医療機関における二次感染防止策の徹底は重要です。
 都内でエボラウイルス疾患患者を受け入れできる感染症指定医療機関は、国立国際医療研究センター病院のほかは、都立駒込病院、墨東病院、公社荏原病院の三病院です。これら都が有する病院でも感染防止策を徹底していくべきと考えます。見解を伺います。
 ところで、先日公表された都市外交基本戦略の素案において、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、東京の国際社会での存在感を回復させ、日本の発展の礎を築くチャンスとしています。そして、グローバル都市東京の実現のために、海外から投資や観光客を呼び込むことが不可欠であり、外国人が生活しやすい環境づくりとして外国語に対応できる病院の必要性を掲げています。
 異国の地で病院にかからねばならない状況に陥ったときに、自分の国の言葉が通じるということは、どれほど心強いことでしょうか。観光客、そして国際的ビジネス環境を整備する上で医療は重要な要素の一つです。
 そこで、都立病院においては、民間など他の医療機関の牽引役として積極的に外国人患者の受け入れ体制の整備に努めるべきと考えます。見解を伺います。
 次に、都立特別支援学校における障害者スポーツの振興について伺います。
 二〇二〇年東京オリンピックとともに、障害者のスポーツの祭典である東京パラリンピックが開催されます。
 パラリンピックとは、以前も申し上げました、下半身麻痺を意味するパラプレジアとオリンピックを組み合わせた言葉で、一九六四年の東京大会において初めて大会の愛称として使用されました。つまり、パラリンピック名称の生みの親は、我が日本であります。
 現在はパラレル、すなわちもう一つのオリンピックという意味でパラリンピックと呼ばれていますが、パラリンピックの精神は、参加することにこそ意義があるという全てのスポーツ精神の礎です。
 しかし、我が国は、諸外国に比べて障害者スポーツに対する理解が十分に進んでいるとはいいがたい現状です。
 二〇二〇年に開催される東京パラリンピックは、障害者スポーツの振興を図るとともに、障害のある人への都民や国民の理解を深める絶好の機会であります。障害のある人々がみずからの障害を克服し、持てる力や可能性を最大限に高めながら、自分の限界に挑戦する姿は、今までも、そしてこれからも、都民や国民に大きな感動と新たな活力、勇気をもたらすはずであります。
 障害のある人々のために工夫、あるいは開発された障害者スポーツには、障害の有無や年齢、性別にかかわらず、誰もが楽しむことができるよさがあり、全ての人がスポーツに親しむ社会の実現に向けた起爆剤になります。
 都立特別支援学校においては、障害のある子供のスポーツ体験の拡充はもとより、障害者スポーツを通じた障害のない人との交流の促進を図るなど、障害者スポーツの普及啓発を積極的に進めることが期待されますが、二〇二〇年の東京パラリンピックに向けて、都立特別支援学校における障害者スポーツの振興を図る取り組みについて、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、ユニバーサルデザインに基づくバリアフリーの観点から、駅におけるエレベーターの設置について伺います。
 都内にある約七百五十の駅のうち、その約九割の駅でエレベーター等の設置が進み、出入り口からホームまでの段差解消された経路がワンルート確保されております。そのことは評価をいたします。
 しかし、駅によっては、せっかくのバリアフリーのワンルートが、障害者や高齢者など移動弱者にとってはかえって回り道となる長い移動を伴い、必ずしも利用しやすい状況にはありません。
 高齢者や障害者を初め、外国人など全ての人に安全で快適な移動を確保することは、東京の魅力を世界に発信していく上でも重要な要素の一つです。
 東京を世界で一番のユニバーサルデザインに基づくバリアフリーの都市とするためにも、駅における利用者の移動距離を最短とする段差解消ルートの確保に向け、エレベーターの設置をさらに促進する必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、観光施策について伺います。
 世界観光機関によると、世界の旅行者数は十億人を突破し、今後も大幅な増加が見込まれています。我が国の人口が減少局面に入る中で、こうした世界の旅行需要を積極的に取り込むことは、我が国の活力を向上させていく上で重要です。
 昨日、我が党の代表質問に対し、知事は、オリンピック・パラリンピック大会は、東京、ひいては日本の魅力を世界に発信する絶好の機会であり、旅行者が快適に滞在できる環境整備を全力で進めていかなければならないと答弁しましたが、二〇二〇年、そしてさらにその先を見据え、世界有数の観光都市にふさわしい受け入れ環境の整備を進めていく必要があります。
 近年、海外では、携帯情報端末の普及によって、スマートフォンなどを用いて必要な観光情報の収集や発信を行うことが、ごく一般的となっています。外国人旅行者の利便性を高めるためには、一度の登録でどの施設でも利用できることはもちろんのこと、外国人が必要とする情報に容易にアクセスできる、使い勝手のよい無料WiFiサービスの提供が必要です。
 さらには、都としても無料WiFiが使える場所の拡大に積極的に取り組むことで、どこでもつながりやすい環境を整えていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、外国人旅行者が快適に東京に滞在できる環境を整備するには、無料WiFiの利便性向上に加え、旅行者を温かく迎え入れるための準備を整えねばなりません。
 都は、外国人旅行者が案内所において充実したサービスを受けられるよう、観光案内所の一層の整備や機能面の強化を図るべきと考えます。所見を伺います。
 さらに都は、ボランティアによるまち中の観光案内を新たに実施するとしていますが、都の具体的な取り組みについて伺います。
 最後に、私の地元練馬区では、高額な相続税負担等により、この十年間で約百ヘクタールもの農地が減少しています。昨日、我が党の代表でも伺いましたが、都市農地の保全について伺います。
 練馬区では、都のモデル事業を活用し、田植えや果樹栽培の体験ができる拠点施設を整備するなど、農地を生かしたまちづくりを進める取り組みを展開し、都市農地の保全に効果を発揮しています。
 都市農地の保全を図るには、相続税制度など国の制度改善が不可欠ではありますが、都としても、このようなモデル事業の成果を踏まえ、区市等としっかり連携した独自の施策を拡充していくべきと考えます。所見を伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。
知事(舛添要一)
山加朱美議員の一般質問にお答えいたします。
 緩和ケアの充実についてでございますが、緩和ケアは、患者とその家族が抱える心や体のさまざまな痛みやつらさを和らげ、療養生活の質をよりよくするものであります。
 そのため、都は、がんと診断されたときから、緩和ケアが切れ目なく提供されるよう、東京都がん対策推進計画におきまして、緩和ケアの推進を施策の重要な柱の一つに位置づけてあります。
 これまで都は、がん診療連携拠点病院や都独自の認定がん診療病院におきまして、医師、看護師、心理職など多職種で構成する緩和ケアチームの設置を支援し、治療早期からの専門的な緩和ケアの提供を進めてまいりました。また、がん治療に携わる全ての医療従事者を対象に研修を実施し、地域における緩和ケアの水準の向上を図ってまいりました。
 さらに、来年一月には、治療を行った病院と地域の医師、ケアマネジャーなどが、がん患者の方の情報を共有できるよう、東京都緩和ケア連携手帳を作成いたします。
 今後、この手帳を活用し、地域連携を一層進め、在宅でも継続して緩和ケアが実施できる体制を整備していく考えであります。
 がんになっても自分らしく生活できる社会の構築、これが都が目指すがん対策の目標であります。そのために、緩和ケアを推進するための施策を一層強化し、都における緩和ケア提供体制のさらなる充実に取り組んでまいります。
 そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
教育長(比留間英人)
障害者スポーツの振興を図る取り組みについてでありますが、パラリンピックは、障害の有無にかかわらず、誰もがスポーツに親しむ社会の実現を目指し、障害者スポーツの普及啓発や障害者理解を進めるまたとない機会でございます。
 都教育委員会は、東京パラリンピックに向け、特別支援学校において障害者スポーツを取り入れた授業などの充実により、児童生徒のスポーツ体験の拡充や競技力の向上を図るとともに、障害者スポーツ団体への施設開放を一層促進してまいります。また、新たに、特別支援学校の児童生徒が障害者スポーツを通じて小中学生や地域住民と交流する機会を設けてまいります。
 こうした取り組みにより、特別支援学校を地域の活動拠点の一つとして、障害者スポーツの振興を図ってまいります。
福祉保健局長(梶原洋)
感染症対策についてお答えします。
 都はこれまで、感染症マニュアルや感染症対策の手引を策定いたしまして、感染症の類型別に入院勧告や移送の手順等を定めますとともに、早期に感染症の流行を発見するため、サーベイランスを実施し、発生動向を把握しております。
 これまで国内で発生していない感染症につきましては、都独自の東京感染症アラートの仕組みを構築しており、新型インフルエンザ等の国内発生に備え、個人防護具など医療資器材や医薬品の備蓄を行っております。
 また、今月、新たにエボラ出血熱対応マニュアルを作成いたしますとともに、現在、デング熱等、蚊を媒介とする感染症に関する対策会議を設け、今後の強化策を検討しております。
 今後とも、最新の知見と情報に基づきまして、常に対策を検証しながら感染症への備えに万全を期してまいります。
病院経営本部長(醍醐勇司)
二点のご質問にお答えします。
 まず、エボラ出血熱の感染防止策についてでありますが、感染拡大防止の観点から、患者の治療に当たる医療従事者には細心の注意が求められると認識をしております。
 そのため、第一種感染症指定医療機関に指定されている都立、公社の三病院では、これまでも定期的に患者受け入れ訓練や感染防護具の着脱訓練を実施してまいりました。
 さらに、感染防止を徹底するため、感染症専用の搬送車を使用した患者の受け入れ、医師や看護師が防護具を着た上で、模擬患者に対する採血等の検査や診察を行う実践的な訓練を実施しました。
 また、エボラウイルスの危険性を考慮して、より安全性の高い感染防護具を新たに追加備蓄するなど、対策を強化しております。
 今後とも、感染症指定医療機関としての責務を果たすとともに、感染拡大防止に万全を期してまいります。
 次に、都立病院の外国人患者の受け入れについてでありますが、外国人患者にとって、言葉の壁を意識せず、安心して受診できる体制を整備することは重要です。
 そのため、オリンピック関係者に医療を提供することになる広尾病院等三病院では、今年度から先行して看護職員などを対象に英語の研修を開始し、他の都立病院にも順次展開してまいります。
 加えて、外国のさまざまな文化、宗教的背景を理解するための研修も実施します。
 さらに、外国人にとって受診しやすい環境整備を目指し、第三者機関による評価認証の取得に取り組んでまいります。
 今後とも、ソフト、ハード両面から医療機能の向上を図り、都民のみならず、海外から東京を訪れる外国人に対しても安全・安心の医療を提供してまいります。
都市整備局長(安井順一)
駅におけるエレベーターの設置についてでございますが、都は、駅のバリアフリー化を推進するため、国や地元自治体と連携いたしまして、鉄道事業者によるエレベーターの設置を支援してまいりました。
 この結果、これまで都内にある駅のうち、約九割において出入り口からホームまで段差なく移動できる経路が少なくとも一つ確保されてございます。
 今後、さらに、複数の出入り口が離れた位置にある駅、あるいは路線相互の乗りかえに段差のある移動を伴う駅、こういったところを対象にいたしましてエレベーターの設置を促進してまいります。
 引き続き、ユニバーサルデザインの視点から、高齢者や障害者などを含め、誰もがより短い移動距離で円滑に移動できるよう、駅の改善に向け、積極的に取り組んでまいります。
産業労働局長(山本隆)
四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、無料WiFiについてでございますが、外国人旅行者の利便性を向上させるためには、ご指摘のとおり、旅行者が利用しやすい無料WiFiサービスの提供とともに、接続可能な場所を拡大していくことが重要でございます。
 このため、都立施設等に導入する無料WiFiの利用手続の一元化を図るとともに、接続時の初期画面で観光情報や災害時の緊急情報等を提供する都独自のサービスを展開いたします。
 また、外国人旅行者が多く訪れる地域を中心に、歩行空間における無料WiFiアンテナの集中的な整備を推進し、観光案内標識や観光案内所などとあわせ、旅行者がまち中で情報を入手できる場所に徒歩二、三分でアクセスできる環境の整備に向けた検討を早急に進めてまいります。
 さらに、民間事業者が設置をする無料WiFiについても、手続の簡素化や、より一層の整備が進むよう、都としてはもとより、国の協議会等も活用して働きかけてまいります。
 こうした取り組みを通じまして、外国人旅行者がストレスを感じることなく、必要な情報の収集や発信を行うことができる環境を整えてまいります。
 次に、観光案内所についてでございますが、外国人旅行者に必要な観光情報等を提供し、旅行中の相談にきめ細かく対応する観光案内所の果たす役割は、旅行者の利便性向上を図る上で大変重要でございます。
 このため、都は、羽田空港内に設置している観光情報センターを来年一月から二十四時間化し、早朝及び深夜便の利用者に観光情報の提供を行います。また、新宿南口での観光情報センターの開設に向け、チケット販売や宿泊予約等をワンストップで提供するなど、新たなサービスの検討を行ってまいります。
 さらに、区市町村や民間事業者等と連携をした観光案内所の設置や、窓口の多言語化に向けた方策を検討するなど、都内全域で案内所の数の拡大や機能の強化に努めてまいります。
 次に、まち中での観光案内についてでございますが、これまで都は、都内の主要な観光ルートを定め、観光ボランティアが外国人旅行者を多言語で案内するサービス等を提供し、旅行者の満足度向上に努めてまいりました。
 今後、これに加えまして、旅行者個々人のニーズによりきめ細かく応えるため、外国人旅行者が多く訪れる地域におきまして、ボランティアがまち中で旅行者に進んで声をかけ、道案内や観光情報の提供を行う街なか観光案内の実施に向けて取り組んでまいります。
 このため、今年度は、ボランティア向け研修プログラムの開発やユニホームの作成、チーム名の公募を行うなど、来年度の活動開始に向けた準備を進めてまいります。
 こうした取り組みを通じ、何度でも訪れたくなる世界有数の観光都市東京の実現を目指してまいります。
 最後に、都市農地の保全についてでございますが、新鮮で安全・安心な農産物の供給に加え、都市の中で防災や環境保全など、多面的な機能を発揮している貴重な農地を保全していくためには、国における制度改善とともに、都としても独自の保全策を講じていく必要がございます。
 このため、都は国に対して、相続税制度などの改善を含む法整備を強く求めていくとともに、都独自の施策として、練馬区等で実施したモデル事業の成果を踏まえまして、今年度から都市農地保全支援プロジェクトを開始し、防災兼用農業用井戸や体験実習農園の整備など、四つの区市の取り組みに支援を行っております。
 今後は、こうした支援の充実を図り、取り組みを促進するとともに、区市や生産者団体等との検討会議を新たに設置するなど、効果的な農地保全策の検討を進めてまいります。