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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

公営企業会計決算特別委員会
令和4年度公営企業会計決算特別委員会第1分科会(第2号)

       

山加朱美
 公決、交通局には、久しぶりに質疑をさせていただきます。
 私、一期生のときに、当時、寺内局長でいらっしゃいましたが、あらゆる角度から見た交通局のバリアフリー、また、世界に胸を張って誇れる交通局として、ぜひバリアフリーを力強く推進してほしい、そんなことを強くお願いを申し上げました。
 もうあれから二十二年がたつなと計算をいたしまして、今、皆さんがご自身の年から二十二年を引きますと、恐らく、生まれていない人はいないと思いますが、学生時代だったのかなと、そういう方もいらっしゃると思いますが、今日は、十三点、お伺いをさせていただきますので、久我局長の強い意を反映して、各担当部長の力強い答弁を求めるところでございます。
 令和元年十二月、中国で最初の新型コロナ感染症が確認され、僅か数か月で全世界が人獣共通感染症、コロナウイルスのパンデミックとなりました。日本も例外ではなく、数年間に及び、コロナ禍の影響を強く受けたところであります。
 日常生活も、このコロナ禍で大きな変化がありました。テレワーク、リモートワークといった、自宅や、職場以外で働くワークスタイルの定着など、特にこれは交通事業者にとっては、乗客数の大きな減少により厳しい経営環境が続いてきたと思います。
 都営交通においても、様々、創意工夫を行いながら事業運営に取り組んできたものと思いますが、首都東京の公共交通の担い手として、どのような厳しい経営環境下においても、お客様の安全・安心を最優先に、着実に事業を進めていく必要があります。
 本日は、こうした観点から質問をさせていただきます。
 先日の事務事業説明では、交通局が所管する三会計の令和四年度決算は、電気事業会計を除き三年連続の赤字となり、引き続き厳しい経営状況が続くとのことでありました。
 まず、令和四年度、確認の意味で、決算の概要について改めてお伺いいたします。

豊田総務部長
 令和四年度の交通局全体での決算は、基幹収益である乗車料収入が前年度に比べ百七十二億円増加した一方、経費については、電気料金や物価の高騰等により、前年度に比べ六十五億円増加いたしました。この結果、経常収支は、前年度に比べ百七億円改善したものの、二十一億円の赤字となりました。
 乗車料収入がコロナ禍前の水準に比べ三百億円下回っていることに加え、経費の増加により厳しい経営環境にあるものと認識しております。

山加朱美
 前年度に引き続き、令和四年度も大変厳しい状況であったことを確認いたしました。
 乗車料収入がコロナ禍前の水準に比べて三百億円下回っているという大変厳しい状況の下で、持続可能な経営基盤を確立するためには、支出面で抑制を図る取組が一層重要であろうかと思います。
 そこで、令和四年度に行った支出抑制の取組についてお伺いをいたします。

豊田総務部長
 予算編成段階から、安全の確保を前提に、設備の保守や修繕費用についても厳しく精査し、コロナ禍前に編成した令和二年度予算と比べ、経費を一三%、約百二十五億円削減いたしました。また、設備投資についても、庁舎改修を緊急性の高いものに限定するなど、事業全般にわたり幅広く見直しを行いました。
 さらに、予算の執行段階においても、状況変化を踏まえながら、経費をきめ細かく精査するとともに、設備投資の実施時期を見直すなど、可能な限り支出の抑制に努めました。


山加朱美
 今のご答弁で、まさに重箱の隅をつつくような、厳しく精査を行い、経費の削減に全力で取り組んでいることを確認いたしました。一方で、安全の確保にも十分な配慮を行っていると感じております。今後も、厳しい状況の中でも、収入の確保に引き続き努めるとともに、支出についても適切に対応することで、経営基盤の確立に向け、取り組んでほしいと願います。
 さて、昨年、令和四年三月、福島県沖で発生した地震の影響により火力発電所が停止をいたしました。これを受けて、電力の供給力が不足をし、六月に入ってからは電力需給逼迫注意報が出されたことは記憶に新しいところであります。
 交通局は、地下鉄などの運行電力などに、年間で約五億キロワットアワーもの電力を使用しています。一キロワットアワーが三十一円と想定すれば大変な数字でありますが、これまでも環境に配慮した事業運営を行ってきていると考えますが、昨年の電力需給逼迫における対応は予断を許さないものであったと思います。
 そこで、地下鉄など多くの電力を使用する交通局が、電力の削減、創出に率先して取り組むことが重要だと考えますが、令和四年度の取組について伺います。

一條技術企画担当部長
 これまで駅の照明のLED化や太陽光発電設備の導入等を進めてまいりましたが、令和四年度は、お客様への影響を考慮しながら、地下鉄駅構内の照明の一部消灯や券売機の一部停止を行いました。
 また、六月の電力需給逼迫注意報発令時には、券売機の停止範囲を拡大するなど取組を強化いたしました。
 さらに、冬季においても電力逼迫が想定されていたため、予定していた水力発電用ダムの抜水点検を令和五年度に延期することで、一般家庭の使用量に換算して約一万一千世帯分に相当する電気を創出し、安定的な電力供給に貢献いたしました。

山加朱美
 交通局が様々な創意工夫を行うことにより、省エネを率先して行ったことを確認いたしました。
 また、今のご答弁にもありましたが、交通局は、多摩川の流水を活用した水力発電により電気事業を行っています。三か所の水力発電所で年間約一億キロワットアワーもの電力が都内に供給されていると認識をしております。
 先ほどの答弁で、関係者の皆さんが事前に様々な調整を行い、点検時期を延期したことで、都民の皆様の冬の電力需給逼迫時への対応を適切に行っていただいたことを、改めて評価をさせていただきます。
 次に、本年二月に策定された交通局浸水対策施設整備計画について伺います。
 昨今、気候変動の影響により、毎年のように、国内において大規模な豪雨災害が発生をしております。本年も、梅雨前線の影響によって、北海道、東北地方、九州地方において河川が氾濫し、多くの被害が起きました。
 我が党は、かねてより、激甚化する災害に対して対策を講じるべきだと主張してきたところでありますが、そこで、交通局浸水対策施設整備計画を策定した経緯について、改めてお伺いいたします。

一條技術企画担当部長
 これまで交通局では、東海豪雨規模の降雨を想定した都市型水害の対策を完了させるなど、浸水対策を進めてまいりました。
 その後、近年の集中豪雨等の頻発、激甚化を受けて水防法が改正されたことに伴い、浸水予想区域図等について、浸水が想定される区域や深さが拡大するなど、順次見直しが行われました。また、国の中央防災会議で示された荒川氾濫時の被害想定では、地上の浸水のみならず、氾濫水が地下鉄のトンネル等を通じて都心部まで達することで被害が拡大する可能性も指摘されております。
 こうした状況を踏まえまして、従来の都市型水害に加え、大規模水害による浸水被害についてもシミュレーションした上で対策を検討し、令和五年二月に東京都交通局浸水対策施設整備計画を策定いたしました。

山加朱美
 計画策定に当たって、浸水被害のシミュレーションを実施したとのご答弁でありました。
 今後は、大規模水害において想定されている被害の特徴を踏まえた施設の整備を行うことが何より重要であると思います。
 そこで、計画に沿って、今後どのような施設整備を行うのか、今後の取組方針についてお伺いをいたします。

一條技術企画担当部長
 大規模水害では、トンネルや乗換駅などの接続部を通じて浸水が広範囲に拡大することから、駅出入口等の地上部での対策に加え、地下部で防水ゲートや防水扉の整備等の対策を実施し、浸水区域の拡大を防止してまいります。
 実施に当たりましては、お客様への影響等を考慮しつつ、対策による効果が早期に発揮されるよう手順を定め、効率的に進めていくとともに、地下鉄ネットワーク全体の減災を図るため、他の鉄道事業者等と緊密に連携して対策を講じてまいります。

山加朱美
 トンネル、乗換駅などの接続部での対策をしっかりと行うことで浸水区域の拡大を防止することができることはいうまでもありません。対策を着実に進めることで、早期に整備効果が現れることをご期待申し上げます。
 次に、都営地下鉄におけるサービス向上の取組についてお伺いいたします。  都営地下鉄は、浅草線、三田線、新宿線、大江戸線の四路線で運行されており、昨年度は、一日平均で約二百二十万人もの多くの人に利用されております。
 いうまでもありませんが、障害の有無にかかわらず、また、全ての世代、小さなお子様から高齢者まで、そして、海外から訪れる訪日外国人にとっても、誰もが快適で利用しやすい都営交通を実現するためには、ソフト、ハード両面から質の高いサービスの提供が重要であります。
 まず、ソフト面の取組として、例えば、駅の乗換えで困っている方、障害のあるお客様に対する適切な声かけなど、私自身の体験からも、従前から、交通局は職員に対する教育が大変よく行き届いていると感じております。
 そこで、都営地下鉄職員の接遇、サービス向上の取組について、まずお伺いをいたします。

神永電車部長
 都営地下鉄では、お客様が安心して移動できるよう、駅構内でお困りの方に対し、駅係員や乗務員が積極的に声かけを行っております。
 また、駅係員等がおもてなしの心と安全な介助技術を身につけられるよう、サービス介助士の資格を順次取得させているほか、お客様への言葉遣いや目配りなどに関する接遇研修や、高齢者や障害者に係る疑似体験器具を用いた研修などを定期的に実施しております。
 加えて、令和四年度は、ベビーカーと形状が類似しておりますが、機能が異なる子供用車椅子について、適切に対応することができるよう、研修を新たに実施いたしました。

山加朱美
 先ほど、私の体験からと申し上げましたが、私はよく大江戸線を利用させていただいております。大江戸線から、例えば青山一丁目であったり、他線に乗り換えるときに、うまく切符が入らなかったり、大変まごついてしまうことがあるんですけれども、もう即座に職員さんが飛んできて、お困りですかと声をかけてくださって、本当に不安なときには安心をするものであります。
 都内に住んでいる私もそうでありますから、県外から東京にお越しいただいて、やはり駅の改札口の在り方とか、自分が住んでいるところとは違うことがよくありますから、そういう方たちにとっては、不安はなおさらのことと思います。
 大変研修が行き届いているなと常々感じておりましたので、改めて交通局の接遇研修、サービスの向上取組を伺ったところでございますが、納得をしております。引き続き、接遇面の充実に向けて、職員が一丸となって取組を進めていただきたいと思います。
 次に、ヘルプマークの普及啓発の取組について伺います。
 私は、今から十一年前、二〇一二年、都議会の予算特別委員会から、このヘルプマークの提案を行いました。(実物を示す)当時、ヘルプマークの提案とともに、野澤局長だったと思うんですが、三十八年ぶりに優先席を二倍にするという、大変力強い英断をともにいただきました。今、思い出したのですが、ちょっとそれました。
 このヘルプマークの提案を行ったときに、所管局は福祉局なんですが、まず交通局の皆さんが、もう本当に頑張っていただき、恐らく福祉局は、当時、日本中に広がるということを想定していなかったと思います。
 私が提案したのが二〇一二年、その五年後に、日本工業規格、JISの新しい日本の福祉マークに追加はされたわけですが、提案をしてすぐに全駅でポスターの掲示、そして車内での、電車のアナウンス、それから優先席の上にポスター掲示、各改札口では、私も別にチェックをしたわけではないのですが、幾つか、駅の改札口でヘルプマークいただけますかとお願いをしたことがありますが、どの駅も知らないという駅員さんは誰もいませんでした。見事に下まで徹底をされていたこの伝達、教育は、すばらしいなと思ったところであります。
 そのおかげで日本中に広がり、現在は、四十七都道府県全ての区市町村で、そしてまた都道府県で、このヘルプマークが無料配布をされているところであります。
 昨年、福祉局所管に、ちょっと駅でも、古くなったり、破けたりしているポスターがあるものですから、やはり常に新しいポスターを貼っていただきたい、そのためには、しっかりと現場に新しいポスターをお届けするようにということをお願いしたところでありますが、時々、エレベーターのところで、ヘルプマークのシールがちょっと剥がれているところなんかもありますが、私、お届けしようかななんて思っていることもあるんですけれども、ぜひ今後とも、しっかりと皆様方のお力添えをよろしくお願いをしたいと思います。
 このヘルプマークは、外見から分からなくても、配慮や援助を必要としている方が身につけることで支援のニーズを周囲の方に知っていただくことを目的としています。交通局の皆さんのおかげだと、本当にいつも感謝を申し上げておりますので、これからもどうぞ力強い後押しをお願いしたいと思います。
 というのは、まだヘルプマークの認知度が一〇〇%ではありません。お亡くなりになった、当時、このヘルプマークをしっかりと受け止めてくれた石原慎太郎東京都知事、また安倍総理もそうでしたが、このマークをつけている方が、これを周りの方の一〇〇%の認知がなければ、せっかくマークをつけていても安心して社会参加ができない、ですから、一〇〇%の認知度が必要であるということを常々おっしゃってくださっておりました。私も、もちろん提案者としてそう思うわけであります。
 どうかこれからもヘルプマークのポスターの掲示、また配布、それから、最近はちょっと車内放送は少ないかなと感じておるのですけれども、誰もが不安を感じることなく安心して社会参加のできる真の共生社会の実現に向けて、引き続き、配慮の福祉マーク、ヘルプマークの普及啓発を進めていくことが重要と考えていますので、お願い申し上げます。
 そこで、地下鉄でのヘルプマークの配布実績についてお伺いをいたします。

築田鉄軌道事業戦略担当部長
 都営地下鉄では、関係局と協力し、平成二十四年度から大江戸線の各駅でヘルプマークの配布を始め、平成二十五年度には、当局が管理している百一駅全てに配布箇所を拡大しており、令和四年度の配布実績は約五万枚となっております。
 また、お客様に広く周知を図るため、優先席の上部の窓や優先席近くのホームドアにヘルプマークをご案内するステッカーを貼るほか、駅構内や車内へのPRポスターの掲出、駅改札口のモニターを使ったPRなどを行っております。

山加朱美
 これらの取組は、支援を必要とする人の社会参加を一層力強く後押しをするものであります。継続した取組を求めます。
 さらに、バリアフリーの観点では、ハード面の取組として駅のホームドア整備を進めることは、ホームから線路への転落、進入してきた車両との接触事故を防ぐ上で有効であります。
 都営地下鉄では、これまで三田線、新宿線、大江戸線の全駅でホームドアの整備が完了し、現在は、残る浅草線について整備を進めていると思います。
 そこで、浅草線のホームドア整備の状況についてお伺いをいたします。

神田技術調整担当部長
 浅草線のホームドアについては、令和三年度までに泉岳寺、三田、大門、新橋、東銀座の五駅で整備いたしました。
 令和四年度は、宝町、日本橋、人形町、東日本橋の四駅に整備するとともに、残る駅についても、ホーム補強やホームドア用の配線類の設置等の作業を進めており、本年十一月までに、当局が管理する全駅での整備を完了いたします。
 また、京成電鉄との共同使用駅である押上駅についても、整備主体となる同社との調整を進め、来年二月には、都営地下鉄全駅で整備が完了する予定でございます。

山加朱美
 ホームドアの設置は、お体の不自由なお客様、特に目の不自由な盲人のお客様が間違えてホームに転落するという、そんな悲しい事故が減ることにつながってまいります。
 交通局の取組により、先ほどの資料の中でも、各五年間、平成三十年度から令和四年度まで、その件数が大きく、もうゼロということでありますから、評価をしたいと思います。誰もがより安心して安全に利用ができる都営地下鉄になりますので、当初は、たしか来年三月だったこの完了予定を、作業の効率化を図って前倒しをしたと思いますので、評価をしたいと思います。
 それから、これまで都営地下鉄では、ホームからエレベーターを利用して移動可能な経路を、全駅で一つ以上確保していると思います。このルートを複数化することで、車椅子等の利用者にとって利便性が大変向上いたします。
 また、ホーム上の段差、隙間の幅を小さくすることで、障害者だけではなく、小さなお子様、高齢者にとっても、また、つえや松葉づえを使用のお客様も、より安全に乗り降りができるようになると思います。
 これらの取組、移動のバリアをなくし、安全かつスムーズな移動を実現するものであり、非常に重要であります。
 そこで、都営地下鉄における駅のバリアフリー化、とりわけエレベーターによるバリアフリールートの複数化、ホームと車両の段差、隙間の縮小について、令和四年度の取組状況をお伺いいたします。

飯沼技術管理担当部長
 駅のバリアフリー化の充実に向け、令和四年度は、浅草線日本橋駅で再開発事業者との調整を行い、エレベーターの供用を開始するとともに、大江戸線光が丘駅など三駅で設計を完了させ、現在、工事を実施しております。
 また、ホームと車両との段差、隙間対策につきましては、車椅子をご利用のお客様が駅員等の介助なしに車両に乗り降りしやすくするため、ホーム先端部のかさ上げや、くし状ゴムの設置を進めております。
 令和四年度は、三田線三田駅から日比谷駅までの工事を完了しており、今年度は、大手町駅から西巣鴨駅までの工事を完了する予定でございます。

山加朱美
 次に、都営交通では、車両のバリアフリーの観点から、車椅子やベビーカーを利用する方に配慮して車内にフリースペースを設けるなど、人に優しい車両というコンセプトで車両の更新を進めていらっしゃいますが、このことは誰もが利用しやすい都営交通の実現に資するもので重要であります。
 そこで、人に優しい地下鉄車両の導入状況についてお伺いをいたします。

神田技術調整担当部長
 車両の更新に当たっては、各車両へのフリースペースの設置、低いつり手や荷棚の採用、優先席への縦手すりの追加、多言語対応の車内液晶モニターによる分かりやすい案内表示など、ユニバーサルデザインの考え方に基づいた人に優しい車両を導入することとしております。
 令和四年度は、三田線で十三編成、新宿線で四編成、大江戸線で二編成導入し、運行を開始いたしました。

山加朱美
 これまで、ソフト、ハードの両面から都営地下鉄の取組を確認させていただきました。これらの取組は、障害のある方だけではなく、配慮を必要としている方々にとって、社会参加の力強い、そして大きな後押しとなります。ひいては共生社会の実現にも資するものであり、引き続き計画的に取組を進めていただくことをお願い申し上げます。
 次に、環境に配慮したバス車両についてお伺いをいたします。
 都内の二酸化炭素排出量の二割が運輸部門から、そのうち八割は自動車に起因しており、自動車の脱炭素化は、バスを運行する都営交通にとっても重要な課題であります。
 これまで交通局は、燃料電池バスの導入を先導的に進めていますが、令和四年度に新たに二両導入し、現在、全国のバス事業者の最多七十三両を運用されています。今後は、令和六年度までに八十両まで拡大する計画であると伺っておりますが、さらに導入拡大に向け、我が党はかねてより、バス営業所内の水素ステーション整備が不可欠であると主張してきたところであります。
 そこで、燃料電池バスの導入拡大に向けた取組についてお伺いをいたします。

佐藤バス事業経営改善担当部長
 燃料電池バスのさらなる導入拡大には、営業所内への水素ステーション整備が効果的であることから、令和四年度は、営業所の敷地の形状等を踏まえた整備可能性や整備運営手法等について調査検討を行うとともに、補助制度に関する国や関係局等との調整を重ねました。
 これを踏まえ、有明営業所に国内初となるバス営業所内水素ステーションを整備することとし、本年九月には整備運営事業者を公募により選定したところでございます。

山加朱美
 有明営業所内の水素ステーションの運用は、令和七年四月には開始される予定と伺っております。営業所の敷地内に新たな施設を設置することになりますが、水素を充填する際の動線など、実際の運用面でぜひ支障が生じないよう、公募事業者とも十分に調整をして準備を進めていただきたいと思います。
 次に、事故の再発防止に向けた取組をお伺いいたします。
 令和三年十月、千葉県北西部を震源とした地震により発生した日暮里・舎人ライナーの脱輪事故は、復旧まで多くの時間を要し、多くの利用者に影響を及ぼすこととなりました。今後もこのような事故が起きないよう実効性のある対策を講じることが何より重要であることはいうまでもありません。
 そこで、令和三年度に発生した日暮里・舎人ライナーの脱輪事故を踏まえ、どのような対策を講じたか、取組をお伺いいたします。

太田安全管理担当部長
 脱輪事故を踏まえ、局独自の減災対策として、緊急地震速報を受信した際に、指令所の職員が手動で行っていた列車停止の操作につきまして、自動停止する機能を令和三年度中に追加するとともに、走行路から脱輪した場合の衝撃を緩和するため、分岐部の段差を解消する工事を令和四年度に完了いたしました。
 また、本年二月の運輸安全委員会からの勧告を受けまして、速やかに乗客の避難誘導の手順を整理して異常時対応マニュアルを改定し、本年三月には、改定した内容に基づく訓練を実施いたしました。
 あわせて、事故現場付近の施設におきまして、地震の影響による脱輪を防止するため、鉄道の専門的知見を有する第三者機関を活用し、構造物の施設管理者である建設局と連携して対策の検討を進めております。

山加朱美
 ありがとうございます。ハード、ソフト両面からの対応を行っていることが分かりましたが、一方で、本年四月にもライナーの輸送障害が連続して生じているところであり、再びこのような事故が起こることのないように、しっかりと取り組んでいただきたいと願います。
 最後に、私の地元である練馬区の悲願であります大江戸線の延伸についてお伺いをさせていただきます。
 私は、二〇〇一年、都議会に初当選をいたしました。最初に受けた陳情が、地元の皆様が都庁にお越しになって、鉄道空白地域の土支田、大泉方面の地主の皆さんでした。かなりの高齢になっていらっしゃって、自分たちが生きている間に、どうか、土地はもう幾らでも提供するから大江戸線の延長を実現してほしい、それが悲願でございました。もうあれから二十二年、長い年月が過ぎてしまいました。当時陳情にお越しになられた大半の方が、残念ながら、今、天国からこの延伸を望んで、また見守ってくださっております。
 昨年度、そんな中、都が初めて主要事業として調査経費を計上し、延伸の検討に向けて本腰を入れて取り組む姿勢を示したことは、かねてから延伸について早期実現を要望してきた我が党としても評価をしています。
 そこで、大江戸線の延伸に関する令和四年度の調査検討状況について、改めてお伺いをいたします。

一條技術企画担当部長
 大江戸線の延伸の事業化に当たりましては、将来的な旅客需要の見通しや事業の収支採算性の確保等について十分に見定める必要があり、これまでも、練馬区など関係機関と連携しながら調査検討を進めてまいりました。
 令和四年度は、将来の旅客需要について、新型コロナウイルス感染症に伴うお客様の行動変容も踏まえながら調査を行いました。
 また、令和五年三月には、関係局で構成するプロジェクトチームを立ち上げ、課題解決の方向性などについて検討していくことを確認いたしました。
 今後とも、関係局や練馬区と連携を図り、課題解決に向けて取り組んでまいります。

山加朱美
 庁内に新たにプロジェクトチームを立ち上げ、課題解決に向けて前進している状況が確認をできました。将来の旅客需要や収支採算性に関する調査検討をこれからも進めていっていただけることと思いますが、大江戸線延伸の実現により、区北西部の鉄道空白地域の改善、都心への移動時間の大幅な短縮、地域の活性化など多くの効果が見込まれ、地元から期待の声も大きいところであります。様々な課題もあることは承知をしておりますが、ぜひとも練馬区と密に連携をしていただいて、全力で検討を進めることを改めて要望させていただきます。
 今年の五月からコロナ感染症が五類に移行し、都内のにぎわいが戻ってまいりました。私の地元でも、これまで中止、縮小が続いてきた秋のお祭りなど、地区祭も再開をされております。
 また、先週十八日、日本政府観光局から、本年九月の訪日外客数の推計値が発表されました。コロナ前の実績に迫る勢いでインバウンドが急回復している状況が、統計上からも明らかになっております。
 このように、経営面からは先行きが明るい見通しもありますが、一方で、これまで三年間にわたって赤字が続いてきたこともあり、引き続き、収入の確保、経費の削減などを続けていくことが重要であります。
 このような状況下ではありますが、今後とも、お客様にとって質の高いサービスを提供し、快適で誰もが不安なく利用しやすい、そして、毎回申し上げておりますが、世界一と胸を張っていい切れるような都営交通の実現に向けて、ぜひとも全職員が今まで以上に一丸となって取組を進めていただくことを要望し、質疑を終わります。ありがとうございました。


出典:令和4年度公営企業会計決算特別委員会第1分科会(第2号) 本文 2023-10-23
https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/municipal-utility-account/fy2000-12.html


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