議会質疑
PARLIAMENTARY QUESTION
厚生委員会
2017年3月22日 平成29年厚生委員会第4号
山加朱美
今、委員長からお許しをいただきまして、前田委員の関連質疑で、築地市場における食の安全についてお伺いをさせていただきます。
本定例会で我が党は、築地市場が抱える課題について、衛生面、建物の老朽化や狭隘化、また地下埋設物に関することなど、さまざまな観点から指摘をしてまいりました。
幾つか振り返りますと、まず、本会議の代表質問では、我が党の高木幹事長がHACCPについて取り上げ、現在の築地の市場施設が対応することは可能なのかと質問したところ、中央卸売市場長は、開放型で温度管理等が難しい築地市場におけるHACCP対応は、異物混入や品質管理等について、よりきめ細やかなプランの策定とその確実な実施が必要となります、こうしたことから、HACCPの導入は事業者にとって大きな困難を伴うものと考えられますという答弁でありました。
HACCPは、現在、国が導入を検討している制度であり、原材料の入荷から製造、出荷まで全ての重要な工程を継続的に監視することにより、食の安全を確保するという国際標準となっている衛生管理手法であります。
築地市場は日々、国内外からさまざまな種類の魚介類や青果が出荷され、都内を初め、首都圏等へ広く流通をしていく、まさしく食品流通の一大拠点であります。したがって、日々多くの市場関係者の手を経て食品が取り扱われ、取引が行われております。
扱われている食品も多種多様で膨大な量になります。食品の安全を担保するためには、現在検討中のHACCPも含め、科学的根拠に基づきチェックなどを行っていくことが何よりも重要であり、これを担保していくのが食品衛生法に基づく基準であると考えます。
先ほどご答弁ございましたけれども、個別の食品に対する保存温度の基準を定め、刺身に用いる魚介類は冷蔵が義務づけられており、また漬物など青果物の加工品には使用可能な添加物に制限があるなど、厳しい、大変厳しい基準が設けられています。
そこで、食の安全・安心のうち、安全に絞って何点かお伺いいたします。
先ほど前田委員の質疑の中で、食の安全を守るために市場衛生検査所を設置しているとのお話がございました。
まず、この検査所ではどのような取り組みを行っているのか、伺います。
仁科食品医薬品安全担当部長
市場衛生検査所では、卸売市場に流通する食品の安全を確保するため、食品衛生法に基づき、食品衛生に関する監視指導と食品の試験検査を一体的に実施し、日々市場に流通する食品のチェックを行っております。
築地市場では、競りが行われる前の午前四時から、食品衛生監視員が二名体制で早朝監視を実施し、有毒魚の有無や、食品の保存温度の確認等の監視指導を行うとともに、食品を抜き取り、試験検査を行っております。
午前八時からは、通常監視として、二名体制の監視班を六班構成し、各種販売業や飲食店などの市場内の営業者に対しまして、食品の取り扱いや適正表示などについて指導を行っております。
平成二十七年度には約十二万件の監視指導を行うとともに、試験検査を約二万七千件実施し、有害、不良な食品の早期発見と、市場内にある食品流通からの排除に努めております。
さらに、事業者が食の安全に関する基準を適正に遵守できるよう、市場内の営業者や関係団体を対象とした講習会の開催や個別の相談対応を通じまして、食品衛生に関する知識や技術の普及啓発を行っております。
山加朱美
築地におられる事業者の方々は、衛生面での課題を抱えながら、日々大変なご苦労をされ、また今ご答弁ございました市場衛生検査所も大変厳しく目を光らせて、まさに市場における食の安全が守られているのだなと、改めて敬意を申し上げたいと思います。
ただ、それでもなお、開放型の築地市場では、衛生管理面で、より多くのリスクにさらされるのは否めないと思います。この点について、さきの予算特別委員会の代表質問で我が党の崎山政調会長が、閉鎖型の豊洲と開放型の築地とで、どちらが衛生的なのか所見を伺うと質問し、それに対し知事は、衛生面での基準、法的な基準等も年々変遷をしており、それらに適合するように豊洲が閉鎖的な衛生面での確保を狙ったと考えていると答弁されました。
また、翌日の一般質問で我が党の神野都議がこの問題を取り上げまして、開放型の築地で問題ないと知事はお考えかと質問し、知事は、築地は開放型であるがゆえにさまざまな問題を抱えている、衛生面の法的な規制も変わってきている、世界的には、HACCPなど閉鎖的で、温度管理などをしっかりしていくということであるので、そういう流れとすれば、確実に沿うような方向である、雨、風、ちりなど自然の影響を受けない閉鎖型が衛生面ですぐれているということは否定するものではないと答えられました。
小池知事は環境大臣もなさっていらっしゃいますから、この辺のことはよくご理解をなさっていらっしゃると思うんです。私は、開放型と閉鎖型の市場では、衛生面で明らかに違いがあると思っております。
現に、築地市場では、開放型の施設であるがゆえに顕在化している問題があります。ちょっとフリップを使わせていただきます。その一つ、ネズミの問題であります。これはちょっと予特で使われたものをお借りしてきました。
市場で扱われる食品、生鮮食品である刺身、サラダの原料となる野菜など、こうした食品がネズミによって汚染されれば、都民への健康影響も懸念されるところでありますが、関係者のたゆまない努力によって、そうした事態への未然防止が図られているものと思います。
そこで、ネズミがいることは事実でありますので、こうしたネズミによって食品が汚染されることを防ぐため、市場衛生検査所では事業者の方々へどのような指導や助言を行っているのか、お伺いをいたします。
仁科食品医薬品安全担当部長
市場衛生検査所においては、日常の監視指導の中で、卸売業者や仲卸業者の施設がネズミの餌場とならないよう、食品の残りかすなどの確実な除去、清掃の実施を指導するとともに、食品の保管に際しましては、容器包装や保管庫等への収納など、技術的助言を実施しております。
また、事業者団体を対象に、衛生講習会などにおいて施設の整理整頓を促し、巣の材料となるビニールや布などの放置やネズミの隠れ場所をなくすことで、巣をつくりにくい環境づくりに努めるよう指導をしております。
なお、築地市場の開設者である中央卸売市場では、衛生的な環境を確保する観点から、市場業者と協力して、粘着シートなどを活用した駆除や、進入口を塞ぐなど、防除対策を実施していると聞いております。
山加朱美
先ほど前田委員もおっしゃっていましたが、本当に皆様の、多くの皆様のたゆまない努力と、そして監視の目を光らせていただいていることで、安心・安全が保たれているのだなと改めて感じるところでございます。
開放型の築地市場は、このようにネズミ一つを取り上げても課題を抱えています。こうした現に直面をしている課題だけでなく、将来に向けて、卸売市場としての機能が維持可能なのかといった観点で安全性を判断することもまた必要であります。
最近も、先週の十七日に、築地市場で使用しているろ過海水、市場内の洗浄の一部及び活魚用水に使用されているろ過海水、これが、水産卸売り店舗で施設の一部に供給できないという事態が発生をいたしました。原因は、設備の老朽化による配管の不備、接合部分が外れたということでありました。この点を捉えても、築地市場の施設が限界に来ている証左であると思えるのであります。
それから、知事は、築地市場の敷地はコンクリートやアスファルトで覆われており、土壌汚染対策法等の法令上の問題はなく、人の健康に影響を与えることはないと考えていると発言をなさっています。しかし、土壌はコンクリートで覆われていても、地上部にある建物の大屋根にはアスベストが使用されています。
これも予特で使われたフリップをちょっとお借りしてきたんですが、この問題について、予算特別委員会の代表質問で我が党の崎山委員から質問したところ--この黒いところがアスベストです、中央卸売市場からは、日々の監視を行い、営業に支障がないよう取り組んでいくとの答弁がありました。日々の監視を行い、営業に支障がないように取り組んで、大変なご努力をなさっていらっしゃるわけであります。
また、一般質問では、築地市場の老朽化を踏まえての対応についての鈴木錦治、我が党の議員の質問に対し、知事からは、点検の頻度を高め、ふぐあいがあれば対処するとの答弁がございました。
しかしながら、首都直下型地震の発生などにより施設の損壊があれば、大量のアスベストが、場内はもとより周辺にも飛散しないとも限らない、築地市場はそうした大きなリスクを抱えている、持っている施設であることは現実でございます。多くの皆様の努力によって、この安全・安心が保たれているわけであります。
そこで、アスベストはどのようなもので、どのような健康被害があるのか、改めてお伺いをしたいと思います。
小林健康安全部長
アスベストは、熱や摩擦などに強く、丈夫で変化しにくいという特性を持っていることから、過去、建材などに広く使用されてまいりました。
しかし、その発がん性が指摘されたことなどから段階的に使用が制限され、平成十六年には、代替が困難な一部の製品を除き、製造、使用等が原則禁止となりましたが、これ以前に建てられた建築物の内部には、アスベストを使用した建材等が残されている可能性がございます。
アスベストは、肉眼では見ることができない極めて細かい繊維から成っており、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸い込むことにより、人の肺の奥にとどまることが知られております。
アスベストを吸い込むことによって生じる疾病としては、肺がんのほか、胸膜や腹膜等の悪性腫瘍である中皮腫、肺が繊維化する石綿肺などがあり、呼吸器系の症状があらわれます。
これらの疾病は、アスベストに暴露されてから、場合によっては三十年以上もの非常に長い潜伏期間を経て発症することが大きな特徴でございます。
山加朱美
食の安全を初めとする築地市場の安全は、繰り返しますが、さまざまな関係者の工夫、知恵、努力の上に成り立っている、このこと自体は深く敬意と感謝を表するところでございます。
しかし、今の老朽化した施設では、世界に誇れる衛生的で安全な市場として発展し続けていくことは難しいのではないかと私は思います。
実は私、平成二十二年、今から七年前でありますが、秋に、自民党四名で、敷地面積二百三十ヘクタール、世界有数の規模を誇るフランスのランジス国際卸売市場を視察したことがございます。その規模や機能性はもちろんでありますが、近代的な水産卸売市場、まさに高床式の完全閉鎖型施設、年間を通じて館内の施設は十度前後に保たれておりました。
HACCP方式で食の安全・安心のための高度な衛生、品質管理機能など、大変、私は築地しか存じなかったものですから、まさに驚かされました。当時、かなりの衝撃でございました。
フランスのランジス国際卸売市場も当初はパリの市内の真ん中にあり、狭隘化、そして老朽化、さまざまな課題を抱えているということで、このランジスに移転をしたわけであります。ですから、私たちは当時、築地から豊洲へという、そんな中で、どんなところが参考になるかということで視察をさせていただいたわけでありますけれども、視察の最後にやはり気になったのが、移転に反対はなかったのでしょうかと伺いました。当時の事務長でありましたけれども、即答でこのように返ってまいりました。当時のドゴール大統領が強いリーダーシップで移転を決断し、実行したと返答がございました。
私たちは、今、この現在の次代、未来につながっていくわけであります。東京にも強いリーダーシップによる決断が、今、求められています。
三年後にはオリンピック・パラリンピックを開催し、世界に向けてその魅力を発信すべき東京において、私は、世界に誇る市場にするために、未来に恥じない市場にするために、東京の台所と呼ばれる卸売市場は、やはり国際標準に対応したものであることが必要不可欠だと思うわけであります。
歴史に残る、後世に語られる、私は小池知事にそんな強い決断を求めて、そしてまた、私は小池知事とは同じ練馬区の選挙区で、防衛大臣、そして環境大臣を歴任された当時の自民党の衆議院議員の小池先生とずっとご一緒させていただきました、ぜひ、この都民の思いをしっかりとご自身の豊富な経験を持って受けとめて、強い決断をしていただきたいなと、同じ練馬でご一緒させていただいた都議会議員の一人として強く思うわけでございます。
都民の安心を得るために詳細な情報を確実に届ける努力は惜しんではなりません。そのことを最後に、また皆様方のご努力、これからもどうぞしっかりと現在の築地の安全・安心、都民に不安を与えることなく守っていただきたい、そのことをお願い申し上げ、関連質問を野島先生に。
出典:厚生委員会速記録第四号 https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/record/welfare/2017-04.html
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