議会質疑
PARLIAMENTARY QUESTION
厚生委員会
2017年3月3日 平成29年厚生委員会第2号
山加朱美
広尾病院が都民にとっての命綱である重要な施設であることを、私はこれまで何度となく当委員会で発言をしてまいりました。都立病院はさまざまな役割を担っているわけでありますが、特に広尾の場合、区部で唯一の基幹災害拠点病院として災害医療を担い、近いところでは平成二十五年の伊豆大島の大規模災害時にも、率先して患者を引き受けてきたと認識をしております。
また、島しょ医療の拠点病院として、画像伝送装置により島しょ地域での診療を支援するなど、まさに島しょ医療、東京都の医療体制の中でも重要な役割を担っているわけであります。
加えて、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を控え、東京都には私たちの想像を超えた多くの外国の方が訪れることが想定されるわけでありますが、広尾病院は、都立病院の中でも日ごろから最も多くの外国人患者を受け入れていらっしゃいます。外国人が安心して医療機関にかかれるよう、その体制をしっかりと整備してきた、そのことは高く評価をいたしております。
例えば、平成二十七年度には、これは全国でも十九病院しかないんですが、厚労省の補助金事業である医療通訳拠点病院に選定をされています。全国で十九、都内では六病院あるわけですが、うち都立病院は広尾一病院だけであります。さらに先月、二月ですが、外国人患者受け入れ医療機関認証制度であるJMIP、都立病院では初めて受審をし、現在その結果待ちであると聞いております。
このJMIPは、和泉先生はドクターですからご存じだと思いますけれども、多言語での診療案内、日本人とは異なる文化や背景などに配慮した外国人患者受け入れ体制が整っている医療機関に与えられるものであります。
やはり国際的にも、この認証を受けているということは、海外の皆様には私たちが思っている以上に高く評価をされています。こうした取り組みは、認証いただきましたら積極的に、ぜひともPRをしていただきたいと願います。
訪日する外国人のほとんどは、その多くがスマートフォン、タブレット端末を持参していらっしゃいます。恐らく日本でぐあいが悪くなれば、その端末で医療機関を調べることが想定されます。広尾病院が外国人患者を受け入れる体制を整備しておくということは--オリンピック・パラリンピックを控え、都民だけでなく国民にとっても、外国からいらした皆様が旅先の我が国で安心して医療サービスを受けることができるというのは、まさにおもてなしの心として重要なことであります。
このように、広尾病院は都民の命と健康を支えるとともに、時代の変化に対応して、ソフト面を強化してきています。
一方で、厚生委員会のメンバーで以前広尾病院を視察した際には、委員の誰もが施設の老朽化を痛感し、ソフトだけでなくハード面においても、今後検討していく必要があると感じておりました。現在、改築に向けて検討が進められていることは望ましいことであり、私も、ぜひとも都民の命をしっかりと守る、その意味においては、広尾の改築に大きく希望を持っていたわけであります。
そのような中、先般の厚生委員会で、事前説明として都立広尾病院の改築に係る検討状況についての報告がありました。私自身、本委員会の事務事業質疑で広尾病院の施設老朽化への対応の必要性、また改築が都民にとって喜ばしいものとなるよう検討を進めてほしいとの思いから、これまでも基本構想検討委員会の進め方を確認してまいりました。
その際、今後は将来を担うべき医療や地域との協働関係のあり方など、さまざまな観点から議論を深めていく必要があるとの答弁をいただいております。地域医療構想が昨年七月に策定をされ、地域の医療体制に関する議論もされている状況もありますので、改築後の病院像を考えていく上でも、この動きを踏まえていくべきだと思っております。
こうした中、今回、これまで五回にわたって検討委員会が開催された旨の報告がなされましたが、具体的にどのような議論がなされたのか、まず伺います。
谷田サービス推進部長
首都災害医療センター、仮称でございますが、首都災害医療センター基本構想検討委員会では、新病院が担うべき医療機能につきまして、災害医療機能、それから広尾病院の特徴、地域への貢献、この三つの視点から検討を進めてきてございます。
まず、災害医療機能ですが、災害時を想定した患者対応スペースやDMAT隊などの受援チームを受け入れるスペースの確保、災害医療人材の具体的な確保、育成など、ハード、ソフト両面から多様な意見をいただいてございます。
次に、広尾病院の特徴では、広尾病院の果たしている島しょ医療や救急医療の重要性が確認されるとともに、循環器系医療や外傷系医療など広尾病院の強みとなっている医療を生かしていくべきとの意見をいただいてございます。
それから三つ目として、地域への貢献の視点では、小児の救急や通常の産科、婦人科があるということが地域への安心感につながるという意見があったほか、地域包括ケアシステムの構築に向けた貢献を地域が期待しているという意見をいただいているところでございます。
このように、老朽化した広尾病院を改築し、今後も地域に貢献していけるよう、委員それぞれの専門的見地から積極的なご意見をいただいているところでございます。
山加朱美
今ご答弁いただきましたように、検討委員会の委員それぞれの専門的見地から活発に議論をしていただくことは、もちろん大事なことだと思います。
さきの事前説明において、さまざまな状況変化も踏まえ、当初今年度内を予定していた検討委員会を来年度も継続することとし、用地取得も一旦見送ることとなった旨報告がありました。今年度は、広尾病院の改築について基本構想を取りまとめること、その検討にあわせて、財務局では国有地取得に向けての手続を進めていくための所要の予算が計上されていたはずであります。
そこで、検討を継続することとなった背景と、改めて今後の進め方について伺います。
谷田サービス推進部長
東京都地域医療構想が昨年七月に策定され、地域ごとの機能分化について議論が開始されたことから、地域との協働関係のあり方を検討するに当たり、こうした動きを見守っていく必要がございます。
また、検討委員会の議論において、新病院の病床規模は現在の病院運営状況を踏まえるべきとの意見もいただく中、広尾病院の病床利用率は、回復傾向にありますものの、平成二十七年度、六三・一%に低下したものが、今年度一月までの実績でございますが、六四・四%にとどまっている状況でございます。
新病院の整備を考える上で、こうした前提事項の変化も踏まえまして、目指すべき病院像を見定めていくためには、さらに議論を深めていく必要があり、また、検討委員会の委員からも時間をかけて検討すべきとの声をいただいていることから、当初今年度末までを予定しておりました検討委員会を来年度も継続し、夏ごろをめどに取りまとめることといたしました。
引き続き、検討委員会における議論の推移を見きわめ、改築のあり方全体を検討していき、その状況について改めてご報告させていただきたいと思います。
山加朱美
丁寧なご答弁ありがとうございます。回復途中であるものの、一月までの実績において病床利用率が六四・四%、若干上がったようでありますが、まだ七〇%に満たないという状況であります。
私は、災害医療など、都立病院としての広尾が担っている役割を考えますと、病床利用率が高い、低い、このことだけで一概には判断をできないと思っております。しかし、持続可能な病院運営という点では、この病床利用率、大事な指標であることは理解をしております。
何度も申し上げておりますが、広尾病院の改築において一番大事なことは、改築が真に都民にとって喜ばしいこととなるかどうかということであります。都民の生命を守る都立病院の建てかえは重要事項であることから、基本構想等の検討に当たっては、ぜひとも厚生委員会に適時適切にご報告をいただき、私どももその情報を共有しながら、これからも必要に応じてしっかりと議論をしていかねばならないと思っております。
そして、検討委員会では結論を急ぐというよりも、いろいろな角度から、ぜひとも慎重に検討を進めるべきだと思っております。今後も引き続き丁重に議論を進めていただきたいと申し上げ、質問を終わります。
出典:厚生委員会速記録第二号 https://www.gikai.metro.tokyo.lg.jp/record/welfare/2017-02.html
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