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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2002年9月27日 平成14年厚生委員会第10号

山加朱美
私は、まず福祉サービス提供主体の改革への取り組みについてから質問をさせていただきます。
 今まさに都は、地域での自立を支える新しい福祉を目指し、福祉改革を行っております。
私は、去る二月に策定されましたTOKYO福祉改革STEP2を大変興味深く拝見いたしました。
そこでは、子供、障害、高齢の各分野で、地域での自立生活を支援していく施策を掲げ、新しい福祉を充実させながら、都立福祉施設を改革していくと描かれております。
 これまでの福祉が、とかく提供する側の都合に合わせてサービスが提供されてきたことに対し、利用者本位を徹底するとの理念が掲げられております。
そのために、サービスの提供主体の改革が必要とされています。私は、この改革の方向については賛同いたします。
 しかし、改革は広く都民の理解を得る形で行われなければならないと思います。
利用者の立場に立ち、広く都民の理解を得ながら、この言葉は、きのうまでの代表質問、一般質問における川崎新福祉局長の繰り返される答弁の中からも、福祉改革に対する力強い熱意を感じることができました。
しかし、これが断じて絵にかいたもちであってはならないわけであります。
我が党は、都民の目線を持って、その視点から、まず都立福祉施設についてお伺いをしたいと思います。
 福祉改革STEP2には、都立施設と民間施設の利用者一人当たりの経費の比較が書いてあります。
知的障害者施設で約二・六倍、児童養護施設で約一・七倍となっておりますが、都立施設が都民の税金で賄われる以上、福祉施設といえども効率性が求められると思いますが、この差の要因が何であるのか、団体改革担当部長にお伺いをいたします。

片岡団体改革担当部長
都立施設は、利用者一人当たりの直接の処遇職員の数が多いこと、職員の平均年齢が高く、人件費の単価が高くなっていること、また、施設の構造上の問題により、修繕費や光熱水費等の施設の維持管理費コストが高いことが主な要因でございます。

山加朱美
職員の数が多いのが一因ということですが、それはなぜでしようか、お伺いいたします。

片岡団体改革担当部長
都立施設におきましては、従来、民間施設では対応が困難であった最重度の障害者などを受け入れてきたような経緯がございます。
そのようなことから、民間施設より多くの直接処遇職員を配置してきたものでございます。

山加朱美
確かに、かつては障害者施設でいえば、最重度、重度障害者の受け入れが都立施設での役割でした。
しかし、今は民間施設においても最重度、重度障害者の受け入れが進んできております。
それにもかかわらず、職員配置は、民間では利用者二人に対し職員一人であるのに対し、都立は利用者と職員が一対一となっております。利用者からの視点からいえば、自分のニーズに合った質の高いサービスが受けられることが必要なことであって、都立でしかそれができないということではないと思いますが、障害福祉部長にお伺いをいたします

有留障害福祉部長
民間施設に対する加算でございますが、民間施設に対しては、重度障害者二人について一人の職員となるよう加算しております。
都立施設におきましては、最重度、あるいは処遇の非常に困難な重度障害者を処遇するということで、一対一の処遇をしているところでございます。
 ご指摘のとおり、入所施設における重度障害者の受け入れ状況を見ますと、都立施設では七五%、民間施設では六二%となっております。
したがいまして、民間において大分受け入れが進んでおりまして、民間においてニーズに応じられるサービス提供体制が整えば、重度障害者の処遇は十分可能であると考えております。
 また、重度と中軽度の障害者を一緒に処遇すること、ボランティアの大幅な導入など、地域社会の連携を図るとか、民間施設の創意工夫を生かした特色ある運営で、より質の高いサービスの提供が期待できると考えております。
 今後、民間施設においても、重度障害者や最重度障害者が安心して生活できるようなサービス体制づくりに努めてまいります。

山加朱美
都立施設といっても、それぞれの施設で状況も役割も異なってくると思います。これらを踏まえた上で、都立施設改革を実施していくべきと考えますが、団体改革担当部長の見解をお伺いいたします。

片岡団体改革担当部長
既に介護保険が導入されておりまして民間の進出が著しい高齢者の分野、また、来年度から支援費制度が導入されます障害者の分野、措置制度が維持されておりまして新たな事業所の参入が少ない児童養護分野など、分野ごとに置かれている状況が異なっております。
また、同じ分野の中でも、施設によって定員、規模等の違いがある。
そういった意味で、個々の施設の状況にも異なる点がございます。
この点はおっしゃるとおりかと存じます。
 都立施設の改革に当たりましては、お話のとおり、これらの状況も踏まえながら、七月に定めました方針に基づいて実施していくことが必要であるというふうに考えております。

山加朱美
都立だから、民間だからということではなく、東京都の責任は東京の福祉総体の充実を図ることであると考えます。
都民の多様な福祉ニーズにこたえ、地域での自立を支える新しい福祉を目指すためにも、都立施設の運営から、例えば生活寮の重点整備、地域移行支援の仕組みづくりなど、役割の重点をシフトしていくべきと考えますが、企画担当部長の見解をお伺いいたします。

内海企画担当部長
東京における福祉全体のレベルアップを図ることが都の使命でございまして、利用者本位の福祉を徹底する新しいシステムを構築することを目指しまして、現在、福祉改革を推し進めているところでございます。
 この改革を進め、地域での自立を支える新しい福祉を実現するために、ご指摘のとおり、都は、直接的福祉サービスの提供者という立場から、福祉サービス基盤の充実や新しい福祉システムを適正に維持向上させていくことに、みずからの役割の重点を移していくことが必要であると考えているところでございます。

山加朱美
続いて、社会福祉法人改革についてお伺いをいたします。
 民間社会福祉施設サービス推進費補助の再構築が外部の委員会からも提言されておりますが、人件費補助であるいわゆるB経費は、本日提出されました厚生委員会の資料によれば、一施設当たり年間一千七百三十万円補助とされております。
これは平均ですけれども、補助が一番多い施設と一番少ない施設では、それぞれどのくらい出ているのでしょうか、お伺いいたします。

内海企画担当部長
平成十三年度実績で、B経費を一番多く補助している施設には、年間で約九千万円の補助を行っております。その一方で交付されていない施設もございます。

山加朱美
今、年間で約九千万円の補助を受け取っている施設がある一方で、全く交付されていない施設もあるということですが、どうしてこのような差が生じるのでしょうか、お伺いをいたします。

内海企画担当部長
民間社会福祉施設サービス推進費のいわゆるB経費は、利用者一人当たりの単価に、施設利用者数と施設職員の平均経験年数をもとにした助成率を乗じて、補助額を算定しているものでございます。
この助成率について、保育所を例にとりますと、平均経験年数が五年以下だと、その助成率がゼロ%、十年で一八%、十八年以上では五一%となるというような状況でございます。
 このように、B経費は各施設職員の平均経験年数に着目して補助を行っておりますために、職員の平均経験年数が長い施設には多くの補助金が交付される反面、平均経験年数が短い施設では補助金が交付されないことになるわけでございます。

山加朱美
今お話を伺っていますと、施設職員の平均経験年数が長くなれば補助金が多くなるということですけれども、経験年数が長い職員が多い施設が、サービス水準が高いと果たしていい切れるのでしょうか。職員の資質には、確かに経験に裏打ちされたものがあるということはわかりますけれども、若い経験年数の少ない方にも優秀な方はたくさんいらっしゃいます。経験年数が長い職員すべてが資質が高いとはいえないと思います。現在検討中ということですが、どのような方向で検討をしているのか、お伺いをいたします。

内海企画担当部長
B経費につきましては、サービスの提供内容ではなくて、先ほど申し上げましたとおり、施設職員の平均経験年数に着目した補助制度となってございます。
 先ほどの福祉サービス提供主体経営改革に関する提言委員会の中間提言でも、利用者サービスの向上を確認するすべはなく、その補助効果があらわれるのかの保証のない補助の仕組みとなっていると指摘されているところでございます。
 またA経費も、利用者一人当たりの単価をもとに、施設ごとに固定化した補助となっております。
そのため、例えば重度の障害を持つ方を受け入れても、施設から地域へ移行するための努力をいたしましても、施設が受けるA経費の額に変わりはない、そういう制度となってございます。
 このように一律に補助する仕組みとなってございますサービス推進費補助のいわゆるA経費、B経費を、サービス向上に向けた努力が真に報われるものとするように、現在検討を行っているところでございます。検討に当たりましては、施設の代表者との懇談を行う場を設けまして、意見を伺っておりまして、既に二回の会議を持ったところでございます。

山加朱美
マニュアルどおりではなくて、まさに努力する施設が報われるという補助制度に対する方向は、私も正しいと思いますし、それは当然のことだと思います。
当たり前のことが当たり前でなくてはなりません。
既に施設の代表者の方と懇談会を設置し、意見交換をしていると聞いておりますけれども、理念や理屈だけではだめなこともたくさんあります。
実際に福祉施設というまさに現場の声を、生の声を重視しながら、それを運営している施設の代表者の意見を十分、十二分に聞きながら、どうか検討をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

出典:厚生委員会速記録第十号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2002-10.html

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