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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2003年2月26日 平成15年厚生委員会第5号

山加朱美
 今、大変厳しく、そして、でも当たり前のことであると思います、萩生田議員からの質問がございましたけれども、私はやや優しく質疑をさせていただきたいと思います。
 私は、六月に、第二定におきまして本会議で一般質問をさせていただきました。私自身は、本当に急速に高齢社会が世界に類を見ない速さで進んでいるこの首都東京でありますけれども、まさに高齢社会、そして出生率の低迷、しかし、あすは我が身なんだという、自分自身が大きな、ある日突然の事故によって中途障害を持ち、機能欠損も持ち、そして歩行弱者としての立場の中から、昨年度はまさに心のバリアフリーの涵養、そして、まちを歩くワンルート確保の中からのバリアフリー、そして生涯福祉という標榜をさせていただきました。
 そして、健康局におきましては、昨年度、局長に私はリハビリテーションの充実、質の確保、そしてリハビリテーションの連携システムについて質問させていただきましたけれども、質問をさせていただきましたからには、その後どうなっているのかをいま一度伺わせていただきたいと思います。その視点に立って何点か質問させていただきます。
 まず、今さまざまな議員から質問がございましたけれども、十二月に改定をされました東京都保健医療計画、我が国の保健医療をめぐる環境には、まさに保健、医療、福祉の連携がなお一層求められているわけでございます。
また、疾病構造が変化していく中でも、都民の医療ニーズに適切に対応していくためには、都民が身近なところでまさに適切な保健医療サービスを受けられる仕組みづくりが必要となってまいります。
このような保健医療を取り巻く状況の変化の大きい中では、保健医療計画の改定が行われなければならないわけでございますが、しかし、今回の改定について、基本的な考え方がどうであるのか、それがまず大切だと思いますので、そこから伺わせていただきます。

酒井参事
 都民の命と健康を守る保健医療につきましては、都民のだれもが地域でいつまでも安心して暮らしていけるような保健医療システムの構築を目指していかなければならないと考えております。
 今回の改定に当たりましては、医療法の改正を初めとする医療を取り巻く環境の変化や、これまで取り組んできました東京発医療改革などの今後の方向性を踏まえまして、医療提供体制、健康管理体制、サービス選択体制の三つの変革に取り組んでいくことといたしました。

山加朱美
 三つの変革、この計画を着実に推進し、変革を進めていただくためには、都や区市町村はもとより、医師会など医療関係団体を初めとして、広く都民、そしてまた、さまざまな各種団体とのまさに協働及び連携が必要と考えますが、どのようにしていくか伺います。

酒井参事
 保健医療計画の推進に当たりましては、今後、学識経験者、医療関係団体、医療を受ける立場としての都民代表から構成されます東京都保健医療計画推進協議会におきまして、達成状況の評価や計画、事業の進行管理を行うとともに、健康局ホームページ等でそれらの内容を公開して、広く都民を初め区市町村や関係団体の理解と協力を得ながら本計画を推進してまいります。

山加朱美
 ホームページといいましても、若者にとっては大変身近でありますけれども、まだ高齢者にとっては身近な存在ではないと思います。ホームページできちんと公表されているということ、まずそれを発信して、その告知を啓発することの方が大切だと思いますので、ぜひ保健医療計画を着実に推進してほしいと思います。
 次に、この保健医療計画の内容についてですけれども、都民が安心して暮らしていける地域の医療サービスの提供体制の充実、その観点から何点か伺わせていただきます。
 まず病床規制についてですけれども、今回の医療法の改正により、療養病床及び一般病床における基準病床数の算定方法が変更されたことなどから、都全体としては基準病床数が前回の改定時に比べまして約九千床減少し、病床が過剰である圏域が多くなったわけでございます。
しかし、私の住む練馬区を含む区西北部の保健医療圏も、前回の計画では必要病床数が一万五千四百二十三床でしたが、今回の改定計画では基準病床数が一万三千七百七十一床に減少し、病床過剰圏域となったわけでございます。
 しかし、圏域全体では過剰であっても、区ごとに見ますと、病床数には大変なアンバランスがあります。
練馬区は隣接する板橋区と比べますと、かなり病床が少ないといいますか、区の中ではまさに最低であります。
練馬区は今、約六十七万人の人口に対し、人口十万人に対し二百六十。人口が半分であります千代田区は、人口十万につき八千床以上の病床数を持っているわけですから、こういった圏域内の病床の地域偏在を克服していただき、そして医療関係相互の機能連携を進め、それぞれの医療機関が持つ診療機能が十分に活用できる仕組みをつくることが、まさに求められていると思います。
 また、私自身、都民の視点からも、自分が住んでいる区市町村だけでなく、二次保健医療圏内の自分に合った医療機関をスムーズに選べるように、医療機関に関する情報の十分な提供が必要であると考えますが、所見を伺います。

酒井参事
 都は現在、都民の医療機関選択を支援するため、現行のシステムよりも詳細な医療機関の情報を提供する医療機関情報システムを構築しているところであり、平成十五年度からの稼働を予定しております。
この新しいシステムでは、インターネットを通して、医療機関の所在地や診療科目などの基本的な情報に加えて、在宅医療や日帰り手術の実施状況、女性医師の配置など、自分に合った医療機関をさまざまな視点から選択できるよう、診療機能に関する詳細な情報を提供することとしております。
また、新たに自宅や最寄り駅を中心として区境を越えた医療機関の検索も可能になり、さらに地図表示もされるなど、都民にとって親しみやすく、利用しやすいシステムの構築を目指しております。
 なお、インターネットが利用できる環境にない方々に対しましては、電話による医療機関案内を通じまして、このシステムが提供するサービスを受けることができるようにしてまいりたいと考えております。

山加朱美
 やはり都民はあすは我が身であって、その立場になりましたときに、どの病院に行っていいんだろうか、どこの病院がいいんだろうか、以前、田代先生の方からもそんな質疑がございましたけれども、実は私ごとですけれども、うちの父が昨年の夏にちょっとした段差で転びまして、背骨にひびが入りました。
年齢がもう八十九歳でありますから、若ければ背骨にひびが入っても、ほんの数週間で元気になると思うんですけれども、救急車で運ばれまして、自宅のすぐ近くの病院に入りまして、そして二週間たったんですけれども、動けないものですから食べることができない。食べることができないので、今度は看護婦さんの数、お医者様の数が足りないということで、胃に穴をあけて、そこで流動食を通されました。
つまり、自分の口から食べることができなくなって、胃に直接流動食を通せば、当然心拍数が弱まってまいります。
 そうこうしている間に三カ月たちまして、たらい回しが始まりました。
でも、提携先の病院にそのままでは行けないわけですから、心拍数が落ちて、じゃ、ペースメーカーの手術をしましょうということで次の病院に回されることになったんですが、そこで私は田代先生から、患者の権利があるんだよという話を伺いまして、ほかの病院を選択いたしました。
そうしましたら、その移った病院先では、まず九十近くなって体力の弱まった人間にバイパス手術をするなんていうのは、これはまさに体力が、もしかしたらこのまま葬式になってしまう。
ですから、それよりもまず自分の口でかむことから始めましょう。それで流動食を、まず管を胃から取りました。そして無理やりでも自分の口で、時間がかかっても食べるようにいたしました。
 そうしましたら、わずか数週間で自分の口から物が食べられるようになり、ペースメーカーの手術もしなくて済み、そして車いすに乗って退院をいたしました。
ですから、病院の選び方一つ間違えば、まさに本当に葬式であったかもしれない。それが元気で自宅に戻れるわけでございます。
やはり医療のこの連携情報システムに私は期待をしております。また、稼働後も、都民などからの要望に応じて、どうか随時、内容の追加、変更を行っていくことを強く希望いたします。
 そして次に、地域で暮らす高齢者が多くなっていく中で、寝たきりにならずに、さまざまな生活の質の確保を図っていくことが大切であり、今後は地域の医療サービスの中でも特に、私自身も中途障害の体験の中から、リハビリテーション対策の充実が極めて重要になってくると考えております。
もちろんこのリハビリテーションというのは、きちんと医療に裏づけをされたリハビリテーション、精神カウンセリングであると思っております。
 この保健医療計画の中では、地域ケアシステムの確立として第一にリハビリテーション対策を取り上げ、その変革プランにおいては、平成十八年度までに島しょを除くすべての二次保健医療圏に地域リハビリテーション支援センターを整備することとなっております。
現在は第一号といたしまして平成十三年に都立のリハビリテーション病院が指定されておりますが、この支援センターについては本年度内にもう一カ所、また、平成十五年度の予算案では新たに二カ所の指定を行うと聞いております。
 ところで、国が示している支援センターの指定要件では、基本的に総合リハビリテーションの施設基準を満たしている施設とのことですけれども、まず、現在、この施設基準の承認を受けている医療機関は都内に何カ所あり、また、そのうち民間病院が幾つあるのか伺います。

金田医療サービス部長
 総合リハビリテーション施設として都内で承認を受けております医療機関は三十四施設ございまして、そのうち都立や国立を除きました民間病院等は十九施設でございます。

山加朱美
 総合リハビリテーション施設としての承認には、常勤の医師、そして理学療法士などの職員配置、また、施設整備の点でも相当高い基準を満たす必要があり、ただいまの答弁では、民間病院にもすぐれた病院が都内にあることがわかりましたけれども、私としては、都立病院が支援センターに名乗りを上げ、積極的に地域支援に取り組むことは高く評価するものですけれども、今後の着実な整備、特に二次保健医療圏ごとにという地域的な点を考えた場合、限界があるのではないかと思います。
そこで、今後の指定に当たっては、幅広く民間病院についても積極的に指定をしていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。

金田医療サービス部長
 先生ご指摘のように、地域リハビリテーション支援センターの着実な整備のためには、意欲と能力を有する民間病院等の活用を図っていく必要がございます。
このため、都内リハビリ実施機関の状況を的確に把握し、すぐれた医療施設に関しましては、指定に関し積極的に働きかけを行ってまいります。

山加朱美
 ところで、既に指定を終えている他県などでは、保健所や保健センターを指定している例があると伺います。
確かに国が示している基準ではこのような施設も対象となり得るもので、それぞれの県の考え方、医療資源の実態等を踏まえて指定しているものと思いますが、しかし、保健所等の施設は本来、支援センターをサポートする立場にあるべきもので、地域からの期待に果たしてこたえ切れるのか不安な面もございます。
都としてはどのような方針のもとで今後の指定を行っていくのか、所見を伺います。

金田医療サービス部長
 地域リハビリテーション支援センターには、地域リハビリ支援のかなめとして、継続的にその役割を果たし得る施設である必要がございます。
このため、国基準に加え、総合リハビリテーション施設を中心に、後方医療機関の地域における医療活動の状況や他の保健医療機関との連携実績など、都独自の評価の視点も踏まえた指定を検討しております。
また、都では東京都リハビリテーション協議会のもとに専門部会を設置し、当初指定に際しての審査はもとより、指定機関の活動を定期的に評価、指導することとしております。

山加朱美
 高齢化の進展に合わせまして、そして一口にリハビリといっても、急性期、回復期、維持期と、リハビリがまさに継続して提供される仕組みづくりが大切であると思います。
今後、リハビリテーションに対する需要は着実に増加をしてまいります。特に維持期のリハビリにおきましては、機能欠損を背負った人々にとってはまさに生活の一部であります。
地域のリハビリ関係者から大きな期待が寄せられている、この支援センターについては、着実にその整備を進めていただきたいと思います。
 その際、都内には公民のすぐれたリハビリ専門医療機関が数多くあるわけですから、どうかこれらを活用し、また、都独自の支援策も講じながら、全国に誇れるように、そして世界に──といっても、世界の中ではこの日本は、リハビリテーションに関しては今のところ大変大きなおくれをとっているわけでございますから、どうか質の高い地域ケアシステムづくりを、この東京から進めてほしいと思います。
私も障害を持つ体験者の一人として心からそう願います。
 以上です。

出典:厚生委員会速記録第五号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2003-05.html

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