議会質疑
PARLIAMENTARY QUESTION
厚生委員会
2004年11月09日 平成16年厚生委員会第14号
山加朱美
本委員会には、我が党は野村先生、そして田代先生、本物の立派なお医者様が二人おります。
しかし、私はきょうは患者の立場から、患者中心の医療の観点から、セカンドオピニオン外来について伺いたいと思います。
患者さんの治療に当たりましては、説明を受け、同意をし、そして納得して医療を受ける、このインフォームド・コンセントは、患者の医療に対する意識が高まる中で、定着しつつあります。
都立病院においても、患者さんに対して説明して、納得して治療を受けていただくよう日々努めていることは、十分評価をいたしております。
しかし、患者さんは、お医者様から手術を勧められたときに、病院、入院、そして手術という言葉が現実として我が身に注がれたときに、自分の体に大小を問わずメスが入るわけですから、お医者様から一通りの説明は受けても、患者さんご本人はもちろんでありますが、ご家族が判断に迷うのがほとんどだと思います。
特にがんの場合には、医療の技術が日進月歩の勢いで発達しているために、治療のための選択肢も多岐にわたり、患者さんにとってはどの治療方法が一番いいのか、判断に困ることがあると思います。
こうしたときに、患者さんにとっては、診断や治療方法について主治医以外の医師の意見を聞く、このセカンドオピニオンの仕組みが大変心強く、また重要になってくると思います。
今後、都立病院において患者中心の医療を推進していくためにも、私は、セカンドオピニオンに取り組んでいくことは、大変大きな意義を持つものと考えております。
そこで伺いますが、都立病院では、本年の四月からセカンドオピニオン外来の試行を駒込病院において始めております。
まず、その内容がどのようなものか、伺わせていただきます。
徳毛サービス推進部長
駒込病院で試行しておりますセカンドオピニオン外来につきましては、主治医の紹介状や検査データを持参した患者さんや、そのご家族を対象としております。
通常の外来診療とは別枠で専用の予約枠を設けまして、一人当たりおおむね三十分から一時間程度の時間をかけて、専門の医師がそれぞれの診療科で実施しております。
対象疾患といたしましては、駒込病院のがん・感染症センターとしての専門性を生かし、がん、エイズ感染症などでございます。
また、セカンドオピニオン外来では、投薬、処置などの治療行為は行わずに、受診後は紹介元の医療機関での治療を基本としておりまして、主治医に受診結果の情報提供を行っております。
山加朱美
患者がみずからの意思で選択し、そしてまた納得のできる医療を受けていただくように、患者を支えるための仕組みであるセカンドオピニオン、まだ始まったばかりのこの仕組みの中で非常に重要なことは、都民が安心して医療を受けていくためには、こうした取り組みを一つ一つ積み重ねていくことが大切と思います。
四月から試行を開始し、現在、半年を過ぎておりますけれども、この駒込病院でのセカンドオピニオン外来の実績がどのようになっているのか、伺います。
徳毛サービス推進部長
本年四月から九月までの実績でございますが、延べ百八十八名の方がセカンドオピニオン外来を受診されております。
診療科別では、乳腺外科三十名、血液内科二十八名、化学療法科二十六名、大腸外科二十名などとなっておりまして、がん疾患の患者さんが大半を占めております。
山加朱美
四月からの試行で、今のお答えで延べ百八十八名ということは、一月当たり大体三十名を超える患者さんが受診していることがわかります。
今お答えいただいた、患者さんがセカンドオピニオンを求めている疾患を見ますと、まさに駒込病院が高度な専門性を発揮しているといえると思います。
そこで、先ほども申し上げましたが、試行開始から半年がたっているわけですが、改めてその検証が必要と思われますけれども、試行の結果がどうであったのか、詳しく伺います。
徳毛サービス推進部長
セカンドオピニオン外来を受診した患者さんや、そのご家族からは好評を得ていると認識しております。
しかし、セカンドオピニオンの意義が社会的には十分に定着していないこともありまして、主治医からセカンドオピニオンについて十分な説明を受けていない場合や、診療データが不足した状態で受診される場合など、本来のセカンドオピニオンの目的を果たすことができないケースもございました。また、外来の診療の中でセカンドオピニオンを求められることもございました。
こうしたことから、駒込病院では、予約の際にセカンドオピニオンの趣旨をよくご説明し、ご理解いただいた上で予約を行うなど、運営上の工夫を行ってまいりました。
山加朱美
ただいま、セカンドオピニオンの意義がまだ社会的には十分に定着していないというご答弁でございましたけれども、やはり専門用語、そこに携わっている人々にとっては当たり前のことであっても、世の中でその言葉が定着するまでには時間がかかると思います。
このセカンドオピニオンが都民に正しく理解され、定着するには、もう少し時間がかかって当然かもしれません。
しかし、都立病院において、このセカンドオピニオン外来を積極的に実施していくことが、広く都民にセカンドオピニオンを普及していくことにもつながると考えます。
そういう意味におきましても、早期に本格実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。
徳毛サービス推進部長
四月からこれまで試行を行い、その実施の状況などについて検証してまいりました。
その結果、実施件数も確保され、実施状況も順調になってきておりまして、大きな問題も生じていないことから、ご指摘のとおり、年明けを目途に本格実施に移行したいと考えております。
山加朱美
患者中心の医療という観点から、きょう私は、セカンドオピニオンについて何点か伺わせていただきましたけれども、患者がみずからの意思で、みずからの体の治療方法を決めていくという力を養っていくためには、患者中心の医療という考えをより一層、さらに進めていくことが必要であることは、いうまでもないことであります。
改めて、患者中心の医療の推進についてどのようにお考えか、病院経営本部としての力強い答弁を伺い、質問を終わらせていただきます。
出典:厚生委員会速記録第十四号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2004-14.html
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