議会質疑
PARLIAMENTARY QUESTION
厚生委員会
2007年11月20日 平成19年厚生委員会第15号
山加朱美
先日、サッカーのオシム監督が千葉の自宅で脳梗塞を発症し倒れ、サッカーファンならずとも、一日も早い回復を祈っているところでありますが、十月二十九日、NHKの「クローズアップ現代」という番組で、脳卒中の新しい治療薬でありますtPAについて放映されたところであります。
当委員会にはお医者様もいらっしゃいますし、医療従事者のプロの立場からは、後日、我が党の田代先生からは奥の深い質疑をぜひともお願いしたいと思っておりますが、本日は、医療を受ける立場から素朴な質問を何点かさせていただきたいと思います。
まず、一般の知識として、脳卒中には、血の塊である血栓が血管に詰まったことによって障害を起こす脳梗塞と──違っていたら、田代先生、訂正していただきたいと思いますが──そして、血管がもろくなって破れ、そこから出血を起こす脳出血であるとかクモ膜下出血、大きく分ければこの二つの種類になると思うんですが、tPAは、この血栓を溶かす脳梗塞の治療薬であると聞いております。
脳は、血栓により血流が流れなくなると、つまり血液が流れなくなるわけですから、そこから先の脳細胞が壊死を起こす。となれば、当然、数分で血管がすぐにもろくなるわけでありますが、tPAを投与して血栓を溶かすということは、逆に裏腹で、もろくなった血管が、そこに急に血液が流れていくわけですから、当然血管が破れてしまうなどの重い副作用を起こすおそれがあると聞いておりますし、素人の私もそうではないかと思うわけです。このため、tPAを使用するには、脳卒中の発症後二時間以内にtPAを使える急性期病院に搬送すること、そして、その病院で一時間以内に専門の医師による見立てを行った上で治療を開始することが求められていると聞いております。
そこで、東京における脳卒中による死亡者数は既に一万人を超えるという現状の中で、都は、tPA対応患者を含む脳卒中患者に対する医療を迅速かつ適切に行える体制を確保する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
細川医療政策部長
tPAを用いた医療体制の確保についてのご質問でございますが、搬送されてきた救急患者さんが脳梗塞であり、またtPAの適応であるか否かというのを適切に診断し治療するためには、MRIによる検査や複数の診療科にわたる専門医の判断などが必要であり、東京都内においても、三百六十五日二十四時間対応できる医療機関は決して多くはございません。
そのため、東京都全域において脳卒中を発症した患者さんに迅速かつ適切な医療が提供できるよう、脳卒中治療の中核的病院や東京都医師会、東京消防庁などとともに、急性期病院の認定基準の策定や、円滑な救急搬送を行える仕組みづくりなどについて協議を進めてまいります。
山加朱美
こうした脳卒中の急性期の対策をぜひとも確立していただきたいと思います。
そして、脳疾患であるがゆえに、処置までの時間差によっても異なりますけれども、身体に障害が残る、程度の多い少ないはあると思いますけれども、その可能性が大変高いと思います。
そういう意味では、私も今まで、どんな病でも事故であっても、その後のリハビリということが大変重要であるということを機会があるごとに、私自身も中途障害の一人として、リハビリ、大変苦しんでまいりましたので、早期のリハビリによって機能の全快ということはあり得るわけですから、申し上げてまいりましたけれども、そういう意味で、急性期を脱した患者さんに対する回復期、そしてまたその後の維持期、そしてまた在宅療養、リハビリテーションの切れ目のないサービスの提供がぜひとも必要と考えるのですが、ご意見を伺わせていただきたいと思います。
細川医療政策部長
ご指摘の、急性期を脱した患者さんの症状に合わせた回復期や維持期のリハビリを含め、在宅療養まで切れ目のない医療、介護サービスの提供体制を築くことは、都民にとっても非常に重要であると考えております。
東京都では、既に二次医療圏ごとにリハビリテーション支援センターを設置しておりますが、地域における脳卒中治療の中核的病院、医療関係団体や介護サービス事業者の代表者などとの協議を通じ、それぞれの地域の実情に応じた脳卒中の医療連携体制を構築してまいります。
山加朱美
今後の高齢化を見てまいりますと、脳卒中に対する切れ目のない医療を中心としたサービスが効果的に行われることは、都民にとって福音であります。福祉のさらなる向上につながることと思います。
先ほど、田代先生のお医者様としての意見の中にもございましたけれども、特定機能病院など医療機関の数が、ほかの都道府県に比べ東京は圧倒的に多いわけでありますから、医療機関のさまざまな声を受けとめ、そしてまた逆に、全都的に統一のとれた連携体制を築くことには難しさがあると思いますが、しかしながら、東京でこの体制がとれれば、逆に、全国どこでも東京に倣うことも可能になるのではないかと思います。どうか都民の命を救うという観点から精力的に調整を図っていただき、なるべく早期の実施を願って、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
出典:厚生委員会速記録第十五号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2007-15.html
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