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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2009年10月29日 平成21年厚生委員会第13号

山加朱美
   冒頭、委員長から、時間協力の要請が全委員に出されておりますので、私は、しっかりとむだを省いた端的な質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、障害者の施設サービスの推進費についてお伺いをいたします。
 先日、東京都社会福祉協議会の施設の経営者の代表者の皆さんと都による懇談会の場で、都から、障害者施設のサービス推進費の見直しについて提案をされたと伺っております。
 私、ことしの一定の厚生委員会の議事録を見ましたところ、既に昨年のうちに、この経営者の代表者との間で見直しが必要なことについて合意をしているということでありました。
 そこでまず、見直し案の提案に至る以前の段階での、この問題に対する経営者代表の皆様との協議の経過について伺います。

芦田障害者施策推進部長
 障害者施設についてのサービス推進費につきましては、昨年十月以降、東京都社会福祉協議会を窓口として、身体、知的、精神障害者の施設の経営者の各代表と話し合いを行い、障害者自立支援法に基づく新サービス体系に則した補助にする必要性があることについて、昨年十一月に合意をしたところでございます。

山加朱美
 見直しの必要性について、経営者の代表者と昨年のうちから協議をし、昨年十二月に合意をしてきたということが、今のご答弁でわかったわけであります。
 そうした経緯も踏まえて、都として見直しを検討してきたと思うんですが、障害者自立支援法、これは全国共通の制度であります。どこでもだれでも必要なサービスが受けられることが基本であります。そのために、必要な財政負担についても、法施行時には国と地方を通じたルール化が図られたのであります。
 したがって、都がサービス推進費を出すという場合も、国の定めた給付費の足りないもの、足りないので出すというのではなくて、都民にとってサービスをより使いやすいものにしていくという観点が必要かと考えます。
 例えば、私はよく地元で耳にすることがあります。親が重度の障害のあるお子様を在宅で一生懸命面倒を見ていらっしゃった。しかし、親御さんも年をとって、高齢化していくわけであります。親御さんが高齢となったときに、面倒が見られなくなり、その後、どうしたらいいのか。そんな心配の声を、私は大変よく地元で耳にいたします。入所施設は、こうしたニーズにしっかりとこたえられるようになることが必要であります。
 しかし一方で、軽度の方々は、地域で生活できるよう、地域生活へ移行を推進するために、通所サービスを利用していただくこと、当然、通所サービスの量もふえてくることになるかと思いますが、そこで、今回の見直しによって、具体的に施設はどのように変わっていくのか。そしてまた、施設の運営も安定に向かうのかどうか、経営者の皆さんは大変心配であろうかと思います。あわせて都の所見を伺います。

芦田障害者施策推進部長
 施設がどのように変わっていくのかということでございますが、まず、入所施設に求められる機能としましては、重度の障害のある方や障害の程度にかかわらず支援が困難な方などを積極的に受け入れ、専門的で質の高い支援を行うことが必要と考えます。
 今回の再構築におきましては、入所施設が地域の支援拠点としての機能を十分発揮できるよう、こうした取り組みに対し、都独自の加算を設けることとしております。これによりまして、施設の努力が報われるとともに、運営の安定化を図り、施設機能の再編、充実を促進してまいります。
 また、地域での生活を希望する中軽度の入所者に対しましては、自立訓練を実施し、地域生活移行を促進し、通所サービスを利用していただくことになります。こうした取り組みが促進された場合、通所のサービス料の増加が見込まれますが、現在はサービス推進費の補助の対象となっていないNPO法人も含めた補助の仕組みとなるよう、検討してまいります。

山加朱美
 都が目指しているところは、今のご答弁でよくわかりました。しかし、事業者の側からすると、個々の施設では、例えば重度の方、軽度の方、その受け入れ比率によっては、補助額がふえるところ、補助額が逆に減ってしまうところ、そんな補助額の増減が生じるといった事態も、私は予想されると思います。
 また、この施設機能の転換を図る、充実を図るためには、ある程度一定の時間がかかると思うんです。
 そこで、施設運営の安定を図るための措置が必要と思いますが、ご所見を伺います。

芦田障害者施策推進部長
 サービスの提供は、国の制度に基づく給付費を含めた総体で実施されるものでございます。こうした点を踏まえまして、施設のサービス向上努力を促進し、施設機能の再編を図るために、今回の見直しを実施することといたしましたが、この結果、多くの施設は、現行の水準がおおむね確保されることとなります。ただし、障害の軽い方を多く受け入れているなどの一部の事業者においては、減収となると考えられます。
 そこで、経過措置として、激変緩和を実施するなどの配慮を行うことといたします。事業者はその間、重度障害者を多く受け入れるといったことや、地域で暮らす障害者を支援する事業を実施するなど、施設機能の再編に寄与する取り組みを行っていただくことになります。
 こうした取り組みの結果、サービス推進費をより多く交付されることも可能となり、また、国制度である自立支援給付費の増収も見込まれることから、経営改善が促進され、安定的な運営が期待されると考えております。

山加朱美
 私は、この現場を持つ都としては、今後のことも含めて大変よく考えられた今回の見直しだと思います。
 しかし、施設経営者の代表者の方々にも十分にご理解をいただく必要があると思います。現場には、机上の論では図れない、またマニュアルどおりにはいかない、そんなさまざまなケースがあると思います。どうか現在の協議の経過、今後の予定について、私、もう少し詳しくお伺いをさせていただきたいと思います。

芦田障害者施策推進部長
 今月中旬に、東京都社会福祉協議会を窓口に、身体、知的、精神障害者施設の経営者の各代表との懇談会を開催して、サービス推進費の再構築に関する都の考え方と案をお示しし、意見交換を行ったところでございます。
 今後、施設経営者の代表との話し合いを重ね、十分な理解を得た上で、再構築を実施していく考えでございます。

山加朱美
 ぜひ、経営者の代表者の方々によくご理解をいただけるように、十分な協議を要望しておきたいと思います。
 そして、続きまして、私、児童虐待防止の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 昨年度改正された児童虐待の防止等に関する法律では、虐待を受けた児童がその心身に著しく重大な被害を受けた事例について、国、そして地方公共団体双方について、分析の責務が規定されました。
 東京都でも昨年度、東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会を設置して、十九年度の児童虐待による死亡等の事例について検証を行っております。その検証部会の報告書は、事例の問題点、課題から、東京都、そして区市町村及び関係機関の取り組みについて提言を行っているわけでありますが、中でも児童相談所と区市町村において切れ目のない援助、そのための区市町村を中心とした児童虐待ネットワークの機能向上についての取り組みが重要であると、機会があるごとに私も申し上げてまいりました。
 そこで、このネットワークである要保護児童対策地域協議会の設置状況についてお伺いをいたします。

吉岡少子社会対策部長
 区市町村における要保護児童対策地域協議会の設置状況でございますが、平成二十一年九月末現在で五十八区市町村となっておりまして、区市についてはすべて設置されております。いまだ設置されておりません町村に対しましても、現在設置をお願いしているところでございまして、島しょ部を含め、今年度末までには全区市町村で体制が整う見込みでございます。 山加朱美
 設置状況はわかりました。
 東京都は、独自の取り組みとして、子ども家庭支援センターを地域の要保護児童対策の中核として整備をしてきたわけであります。
 私が気になっているのは、ここ数年、子ども家庭支援センターの被虐待相談対応件数が、児童相談所の被虐待相談対応件数を上回っているということであります。中には大変複雑な問題を抱えているご家族など、難しい相談も多いと聞いております。
 子ども家庭支援センターが、より地域の相談窓口として定着をし、また、児童と家庭を支援していくためには、私は、今後とも一定の専門性、また、児童福祉司の任用資格を有した職員の配置など、さらに子ども家庭支援センターの専門性の向上を図るべきと考えております。
 現在、都は、子ども家庭支援センターについてどのような支援をしているのか、確認の意味で伺います。

吉岡少子社会対策部長
 都は、平成十五年度から、虐待対策ワーカーを配置しました先駆型子ども家庭支援センターの設置を推進してまいりました。平成二十年度からは、子ども家庭支援センターが、精神科医や児童福祉の専門家など外部の有識者から定期的に助言を受け、相談対応力の向上が図れるよう支援をしております。さらに今年度は、職員の専門性を高めるため、児童福祉司の任用資格取得研修や施設入所している子どもの家庭復帰支援のための研修を実施しております。

山加朱美
 引き続き、子ども家庭支援センターの専門性の向上への支援をどうかお願いをしたいと思います。
 ところで、来月十一月、児童虐待防止月間であります。死亡に至らないまでも、児童虐待は子どもの心に深い傷を残します。それは、生涯にわたって消えることのない、私は心の傷となることが大半であろうかと思っております。子どもの健全育成のためには、決してあってはならないことであります。
 この児童虐待を防止するために、行政の取り組みはもちろんですけれども、都民一人一人が児童虐待問題についての理解をより一層深め、主体的なかかわりを持てるように意識啓発を図ることは大変重要である。このことは、機会があるごとに私は申し上げてまいりました。
 ややもすれば関係者だけが中心となってしまうような、そんな講演型の啓発事業が多い中で、私は、すそ野を広げるためにも、都としても、広く一般の関心を集めるような、児童虐待防止、このオレンジリボンキャンペーンの取り組みを推進していく必要があると思っております。
 都がこのオレンジリボンキャンペーンの取り組みを始めて、今年度で三年目になるわけであります。私もこの三年間、三百六十五日、このオレンジリボンをつけ続け、そして地元で啓発活動を続けてきたわけでありますが、東京都は、今年度の十一月、児童虐待防止月間、このキャンペーン、どのように取り組むのでしょうか。

吉岡少子社会対策部長
 オレンジリボンキャンペーンについてでございますが、今年度は、児童相談センター、児童相談所及び区市町村による地域に密着した主体的な活動の促進、また、民間企業、団体と東京都が共同した広報、PR活動の積極的な推進化を活動方針としております。
 一例といたしまして、区長を初め、区市町村の職員と児童相談所の職員が一緒に駅頭等でオレンジリボンやリーフレットの配布をするほか、区市町村が独自に作成したチラシで広報活動を行うなど、地域ごとに都民への呼びかけをいたします。
 具体的な事例でございますが、明日、目黒区におきまして、目黒区長さんが駅頭で先頭に立ってこのチラシを配っていただく、そういうことが予定されております。
 また、子育て世代が集まる商業地域でのイベントの開催や、店頭でオレンジリボンをつけて接客をしていただくなど、民間企業、NPO団体、スポーツ団体などのご協力をいただきながら、さまざまな活動を展開してまいります。

山加朱美
 今伺ったように、都はさまざまな取り組みをしているわけですけれども、そのことが広く一般都民に、なかなかまだまだ伝わっていないのではないかな、大変もったいないなと、そういう思いがいたしておりますので、どうぞやっていることを啓発して広めるということにも、その啓発にも力を注いでいただきたいと思います。次代を担う子どもたち、健全育成のためにも、今後ともこの児童虐待防止推進のさらなる積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 最後に、都は昨日、インフルエンザ警報を発令したわけであります。私は、このインフルエンザ対策、東京都は本当に頑張って汗をかいているなと評価をしているんです。
 以前、厚生委員会でも私申し上げましたタミフル、リレンザの備蓄、これに関しても、都は、インフルエンザがはやる前から、都民の六〇%に行き渡るタミフルとリレンザの備蓄をするための補正予算もしっかりと組み、そしてそれから流行が始まってきたわけでありますが、その後もそれぞれの節目節目で、都としていち早い判断を、例えば前倒しをして備蓄を進めるとか、私はそのことを非常に高く評価をいたしております。
 先ほど局長から、限られた資源、これはもう当然のことであります。しかし、このインフルエンザ、やはりどこまでが限度でどこまでやればという、その上限というのは、私は、みんなで考えていかなければ、ネットワークを張ったその中で考えていかなければ都民の命をしっかりと守ることはできない、そのように思っております。
 この二十八日にインフルエンザ警報が発令されたわけでありますが、患者が増加している中で、この患者増加の速度を緩めてどのように流行の曲線を下げていくのか。医療需要が一気に高まることを抑えなければ、医療資源には限りがあるわけでありますから、そのためには、感染予防に関する普及啓発を行うという取り組みも重要であります。そしてまた、あわせてこの新型インフルエンザ被害を最小限に抑えるためには、医療提供体制をいかに確保するかということが重要であるわけであります。
 先ほど、都の認識が厳しいのではないかという意見もございましたけれども、しかし私は、都が医師、看護師不足で、通常でも大変厳しい状況の中で、特に患者の急増が懸念されるこの小児の入院医療を提供する医療機関のリスト作成をしたり、小児の重症患者の対応が可能な病院の情報を東京消防庁の救急医療情報システムにリアルタイムで表示をしたり、円滑な受け入れ体制の確保をしっかりと図っている。このことは、私は評価をさせていただきたいと思います。
 また、この入院医療機関へ軽症の患者が殺到してしまう。この時期ですと、例えば私でも、ちょっと熱が出れば、風邪なのか、季節インフルなのか、それともはたまた流行性インフルなのか、それを判断するのは大変難しくなってまいります。ですから、早目に病院に行こうという、そういう方が、自分のことになった場合はほとんどの方がそうだと思うんです。しかし、軽症の患者が殺到することによって入院医療機関としての機能が麻痺をしてしまうということもあるわけでありますから、そうならないように外来診療体制を強化するということも、また非常に重要なことであります。
 都は、区市町村、また医師会等関係機関に要請を行っている。これ、大変力強い要請を行っていると私は聞いております。
 そこで、現在、新型インフルエンザに対応するための休日、夜間の診療体制を強化している区市町村、どのくらいあるのか、お伺いをします。

吉井医療政策部長
 新型インフルエンザに対応して外来診療体制の強化を図っている区市町村でございますけれども、内科系につきましては、既に実施をしたところが十七地区、それから、今後実施を予定しているところが七地区でございます。また、小児科につきましては、既に実施したところが十七地区、それから、今後実施予定のところが九地区となっております。その他の区市町村につきましても、現在、実施に向けて関係機関と調整中であるというふうに聞いてございます。

山加朱美
 時間的に最後の質問にさせていただきますが、今回の新型インフルは、小児、そしてまた、基礎疾患を持っている人が重症化しやすいといわれております。
 したがって、この外来診療体制の整備というのは、患者の早期受診を促進する上でも大変重要であることはいうまでもないことであります。
 今後、さらにこうした外来診療体制の強化を進めるために、都として、私は区市町村の取り組みを強力にバックアップしていく必要があると考えるわけでありますが、その辺のところを伺って、私の質問を終わらせていただきます。

出典:厚生委員会速記録第十三号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2009-13.html

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