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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2011年6月28日 平成23年厚生委員会第8号

山加朱美
 今回の東日本大震災、海底プレートが二十四メートル近く、専門用語でずれたというのか、潜ったというのか、はねたというのか。平均的に私たちがわかる想像であれば、二十五メートルプールの縦、その長さが動いたわけであります。世界の観測史上初のことによって、現地は未曾有の大変な被害を受けたわけであります。世界各地から、さまざまな支援の手が差し伸べられました。人の心のきずなというのを改めて思ったところであります。
 そして、後手後手の国に先んじて、東京都は、本当に各局、全力を挙げて活躍をいただいたと思っております。厚生委員会の報告事項によりますと、福祉保健局も震災の発生直後から、千葉県鴨川市の避難所、岩手県陸前高田市へ職員を派遣する等、人的支援を行っております。
 これだけでなく、先週の本会議におきます質疑、杉村局長の答弁を伺っておりますと、私も厚生委員会長いんですけれども、改めて災害が一たび起こったときの、この厚生委員会の所管する多岐にわたる、本当に幅広く、一手に都民福祉を担っているんだなと改めて思ったところであります。それだけに震災直後、杉村局長の卓越したリーダー力をもって、吉岡次長を初めといたしまして、本当に皆様方が一丸となって取り組んでいただけたと思います。改めて、そのことに深く敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。
 しかし、東京都の本番は、これからであります。今までの体験と知恵をしっかりと生かし、それをいかにこの東京の福祉の向上につなげていくか、そのことに全力を傾注していただきたいと思います。
 五月には、直接職員を現地に派遣し、三日間にわたって被災地の福祉行政の現状をつぶさに視察したと伺っております。まず、吉岡次長に、今までのこの福祉行政に携わってきたその経験と知恵を全力で傾注して、現地をつぶさに、実態を把握し、また、これからの課題を見つけてきていただけたと思っておりますので、その現場の実態、そこから得た今後取り組むべき課題をぜひお伺いしたいと思います。

吉岡次長
 福祉保健局では、震災後、直ちに東京DMATを派遣することを皮切りに、被災地に対する緊急的な支援に努めてまいりましたが、より中期的な支援のあり方を検討するため、震災から二カ月が経過した五月、現地の状況を視察してまいりました。
 視察した市町村では、在宅の高齢者、障害者等につきまして、現地の行政機関が全国から支援に入った保健師チームや障害者団体等の協力のもと、その安否確認を行っておりました。
 まず、在宅の高齢者につきましては、NPO等の民間団体が、地域の包括支援センターとの連携のもと安否確認を行い、行政の目は行き届いていると考えられるものの、市や町が介護保険の新規申請の増加に対応し切れず、特に、庁舎が直接被災した市では、システム上のデータが滅失したところもございまして、新規の要介護認定がストップしている、そういう状況にございました。
 また、今後は、介護保険料の減免等の事務の増大も予想されております。  次に、児童福祉施設におきましては、保育所等におきまして、人的、物的被害があった一方で、入所施設には大きな被害はございませんでした。震災孤児や要保護児童につきまして、児童相談所において、その把握を行っておりまして、震災の孤児だけでも、被災した三県で二百人に上ると見られておりますけれども、ほとんどは親族の手で育てられている状況でございます。  震災を体験した子どもに共通する課題は、心のケアでございます。震災による喪失感から、子どもは大きなストレスを抱えていると見られますが、大人と違い、それを表出できない場合が多うございます。こうした子どもの心のケアを行っていくため、できるだけ早期に、心理等の専門職が避難所や保育所等を巡回し、カウンセリングを行う必要がございます。
 さらに、障害者施設に関しましては、通所施設で被害を受けたところもおおむね再開をしておりました。在宅の障害者につきましては、東京都社会福祉協議会の障害部会や、東京都知的障害者育成会が早い段階から現地に入り、障害者地域生活支援センターとの連携のもと、安否確認を行っておりました。
 ただ、障害者団体からは、行政との連携に当たりまして、個人情報の取り扱いについて課題があるという指摘を受けております。
 以上のように、福祉分野におきまして、当面の課題が明確になりましたところから、私どもは、保健師チームあるいはこころのケアチーム等の保健医療系の専門職との連携に留意しつつ、また、区市町村、民間団体や福祉施設等、多様な主体が協力いたしまして、被災した県や市町村の要請があれば、具体的な支援を検討してまいります。

山加朱美
 今の吉岡次長の報告をもとに被災地と緊密な連携を図りながら、どうぞ今後も継続して被災地への支援を行っていただきたい、そのように願います。
 今、被災地における障害者支援の次長のお話がありました。実は、我が党にも、被災地では、被災した障害者の安否確認のために個人情報の開示を求めた障害者団体に対して、やはり個人情報保護を理由に情報を開示しない自治体があったとの相談がありました。
 都議会自民党は、本定例会の代表質問においても、災害時における障害者の安全を確保するために、障害者団体等の協力を得ることも有効であり、都は、震災等に備え、障害者団体等と平時から協力体制を構築しておくことが必要であると質問いたしまして、そして、局長からは、今後、障害者団体等が参加する会議体などを活用しながら、災害時の障害者支援について意見交換を行い、協力体制のあり方など、連携の方策について積極的に検討していくと答弁をいただいております。
 都は、これまで障害者を含む災害時要援護者対策について、どのように取り組んできたのか。これまで、その取り組み、それから、障害者団体等との連携について、これまで都はどうしてきたのか、その取り組みについて、改めてお伺いしたいと思います。

芦田障害者施策推進部長
 都は、区市町村における災害時要援護者対策を支援するため、避難計画策定の手順を紹介した事例集を作成するとともに、個人情報の取り扱いや、先駆的な取り組みを行っている自治体の事例報告を内容とする福祉防災担当者研修会を開催するなど、要援護者の安全対策に取り組んでまいりました。
 また、区市町村が策定する災害時要援護者防災行動マニュアルの参考となるよう、障害者や家族会の意見を聞きながら、災害時に障害者が具体的にとるべき行動や、周囲が配慮すべき事項について記載した指針を策定しております。
 さらに、昨年九月には、聴覚障害者の団体と、災害時における手話ボランティア支援に関する協定を締結するなど、これまでも障害者団体等と連携して、災害時要援護者対策を進めてきたところでございます。

山加朱美
 では、次に、都内における災害時の障害者支援の取り組みを踏まえまして、障害者団体等の協力体制の構築について、都の認識をお伺いしたいと思います。

芦田障害者施策推進部長
 災害時要援護者対策は、区市町村と連携しながら進めておりますが、障害者の中には、避難所への移動や、周囲とのコミュニケーションが困難な方がおり、安否確認やニーズの把握が難しく、必要な支援が及びにくい場合があることが想定されます。
 先月開催されました国の障害者制度改革推進会議におきましては、災害と障害者をテーマに、障害者団体等への個人情報の開示や、団体等との連携の必要性について意見交換が行われております。
 都におきましても、災害時において、ピアカウンセリングなど独自の支援ノウハウや、障害者同士のネットワークを持つ障害者団体等の協力を得ることは、個々の障害者に応じた、よりきめ細かな支援を行う上で有効であると考えております。

山加朱美
 それでは、今後の障害者団体との連携の方策について、どのように取り組んでいくのか、所見をお伺いいたします。

芦田障害者施策推進部長
 都は、障害者施策に関する基本的な計画の策定や推進に当たりまして、障害者等と協議をするために、東京都障害者団体連絡協議会を設置しておりまして、その時々の障害者施策について、障害者ならではの視点で意見を伺ってまいりました。
 そのほか、東京都福祉のまちづくり推進協議会にも、障害者等が委員として参画をしており、先日の専門部会で、自然災害への備え及び対応をテーマに意見交換を行ったところでございます。
 今後、障害者団体等が参加するこうした会議体等を活用し、被災時における障害者の安否確認や避難支援、個人情報の適切な開示等について、障害者団体等との協力体制のあり方など、連携の方策を早急に検討してまいります。

山加朱美
 ぜひ、全力を傾注して、このたびの経験をしっかりと生かしていただきたいと思います。
 一たび災害が起これば、私は、全員が瞬時に、皆同じように要支援者、そして要援護者になるのではないかと思っております。平時は、障害弱者、そういう言葉を使いますけれども、全員が一斉に被災をするわけでありますから、恐らく今回もそうですが、現場がひとまず落ちついてから、障害をお持ちの皆様に手が差し伸べられる、そこの時差はあると思っております。
 私は、自分自身も障害を抱える一人であります。二十六日でしたか、防災会議の、いわゆる調査会の、これから起こる津波の対策についての中間報告が出されたと思いますけれども、幾つかに分け、最大級の津波が来たときには、防波堤ではなく、まず、とにかく逃げろと、避難をどのようにするかということに力を入れていく、そのような修正があったようであります。しかし、私は例えば、今回の例をとって津波を考えれば、津波が押し寄せてきた瞬間、恐らくみんな、それ、逃げろという話になったと思います。
 しかし、車いすに乗っている皆さん、そして、つえをついている皆さん、目のご不自由な皆さん、状況把握ができたとしても、走ることができない。走って逃げれば命が助かったかもしれない。しかしながら、津波が迫ってくることを感じながらも、それを見て恐らく立ちすくんだまま、車いすごと波にさらわれた方、そういう方がたくさんいらっしゃったと思います。私はそのことを思うときに、まさに自分を重ね合わせますと、胸が張り裂ける思いであります。
 改めまして、私は、今回の東日本大震災におきまして、無念にも命を奪われた皆様方に、改めて追悼の意を衷心より深く申し上げたい。そして、いまだ数千人の行方の知れない皆様がいらっしゃいます。一日も早く、一人でも多くの方が安否確認できますように、そして、今なお、これからも続いていくでありましょう、しばらく時間がかかるでありましょう原状に戻るまでの復旧、復興には、東京都としても全力で取り組んでいただきたい、そのことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。

出典:厚生委員会速記録第八号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2011-08.html

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