議会質疑
PARLIAMENTARY QUESTION
厚生委員会
2012年3月22日 平成24年厚生委員会第5号
山加朱美
東京都議会自由民主党を代表いたしまして、当厚生委員会に付託されました平成二十四年度予算関係議案について意見開陳を行います。
初めに、各局共通事項について申し上げます。
平成二十四年度予算は、厳しい財政環境が続く中で、都民の安全・安心を取り戻す確かな手だてを講じるとともに、東京の成長と発展に向けた取り組みを戦略的に推進するものとなっています。
とりわけ注目すべきは、歳出総額を抑制しながらも、経済波及効果の高い投資的経費を八年連続で増加させている点です。
同時に、事業評価を初め、むだをなくす取り組みを徹底して行い、基金残高を八千三百億円確保するなど、今後の備えも講じています。
真に必要な施策の推進とそれを支える財政基盤の堅持という、二つの課題を両立させたものとなっており評価するものです。
今後も都税収入の好転が見込めない中、将来にわたり責任ある財政運営を行っていくためにも、自己改革努力を不断に進め、堅実な財政運営に徹することを望みます。
最後に、現下の都民生活を取り巻く厳しい状況を踏まえ、各局とも、施策の目的をできる限り早期に達成するべく、迅速かつ着実な予算執行に努められるよう強く要望いたします。
次に、福祉保健局関係について申し上げます。
一、「二〇二〇年の東京」への実行プログラム二〇一二に基づく施策を着実に進められたい。
一、災害の発生直後から迅速かつ円滑に医療を提供するため、災害医療コーディネーターの設置や、都内すべての病院の耐震化の促進、通信連絡手段の確保など、災害医療体制の強化に努められたい。
一、ハイリスクの妊産婦や新生児、重篤な小児救急患者に係る高度な医療を確保するため、NICU病床の増床に取り組むとともに、妊産婦や新生児のリスクに応じた医療体制や、こども救命センターを中心とした小児医療機関が相互に連携するネットワークの充実に努められたい。
一、救急医療の地域ネットワークにおいて、救急患者受け入れの調整及びみずからも患者の受け入れを行う東京都地域救急センターの充実を図るなど、救急医療の東京ルールの安定的な運用に努められたい。
一、超高齢化社会に備え、切れ目なく医療、介護サービスを受けられるよう、区市町村の在宅療養推進を支援するとともに、在宅療養環境の整備に努められたい。
一、小児科、産科等の医師について、将来にわたって安定的な確保が可能となるよう、医師の勤務環境改善や、都独自の医師奨学金制度など、積極的な対応を図られたい。
一、がん診療連携拠点病院及び東京都認定がん診療病院の拡充及び機能強化を図るなど、都全体のがん医療提供体制の充実に努められたい。また、平成二十四年度に開始する地域がん登録について、登録の充実を図るための体制を整備されたい。
一、介護人材不足の解消に向け、新卒学生等の介護職場への就職支援など、介護人材確保対策の充実に努められたい。
一、特別養護老人ホームの計画的な整備を進めるとともに、身近な地域での在宅サービスの基盤整備を図るため、区市町村が行う地域密着型サービス拠点や訪問看護ステーションの整備を図られたい。
一、ケアつき住まいの整備促進及びシルバー交番の設置促進に努められたい。
一、特養経営支援事業などにより、特別養護老人ホームに入所する医療的ケアが必要な方々への支援を充実されたい。
一、平成二十四年度に限り取り崩す介護保険財政安定化基金のうち、東京都分については、中長期的な視点に立って活用を図られたい。
一、児童虐待防止への理解と協力を広く働きかけるため、普及啓発の一層の推進を図られたい。
一、児童養護施設や養育家庭で育つ児童への相談、援助等の充実を図り、児童の自立支援の一層の強化を図られたい。
一、養育家庭に対する支援を強化するため、児童相談所の体制強化を図るとともに、里親に対する相談支援を行う里親支援機関事業の充実を図られたい。
一、待機児童の解消に当たっては、保育の実施主体である区市町村が行う取り組みを広く柔軟に支援されたい。また、認証保育所のさらなる設置促進や家庭的保育の共同実施、病児保育の充実などに取り組み、保育サービスの拡充を図られたい。
一、保護者ニーズの高い開所時間延長に対応する都型学童クラブの設置促進を図られたい。
一、障害者が地域で安心して生活するためのグループホーム等のサービス基盤について、引き続き整備促進を図られたい。
一、区市町村において、障害者が災害時等に周囲に自己の障害への理解や支援を求めるためのヘルプカードの作成が進むよう、ガイドラインを作成するとともに、普及啓発に努められたい。
一、抗インフルエンザウイルス薬、個人防護具等の備蓄や地域医療体制の確立を図るなど、対策に万全を期されたい。
一、放射能に対する都民の不安解消のため、検査体制の充実により、食の安全・安心の確保に努めるとともに、都民に対しわかりやすく情報提供するなど、対策を着実に推進されたい。
次に、病院経営本部関係について申し上げます。
一、都民の医療ニーズを的確に見据えながら、患者中心の医療の実現と、高水準で専門的な医療を幅広く都民に提供できる体制を構築するため、都立病院改革を着実に推進されたい。
一、小児総合医療センターは、こども救命センターとして小児専門の高度医療を担うとともに、多摩北部医療センターなどの二次医療機関では救命治療が困難な小児重篤患者を、二十四時間三百六十五日受け入れるなど、多摩地域の小児医療及び周産期医療を担う最後のとりでとしての役割を確実に果たされたい。
一、区東部保健医療圏における新型インフルエンザなどの新興感染症の発生に備え、感染症医療の拠点である墨東病院において、他の病棟から独立した感染症病棟及び外来の整備を進めるとともに、大規模流行期に必要な医療を確実に提供するため、地域医療機関等との連絡体制を構築すること。
一、東日本大震災を踏まえ、都立病院は、災害拠点病院として中心的な役割を果たせるよう、関係機関との連携を強化するとともに、自家発電設備の設置等によるライフラインの強化を行うなど、災害対応能力の一層の向上に努め、首都直下型地震などへの備えに万全を期されたい。
一、松沢病院は、平成二十四年五月の新館稼働に向け、引き続き建設工事を着実に進めるとともに、急性期精神科医療や、精神科身体合併症医療等の精神科特殊医療を担うなど、一般の精神科病院では対応困難な専門性の高い精神疾患に対応することにより、精神科医療の拠点としての役割を果たしていくこと。
一、急性期医療、高度専門医療に積極的に取り組み、安定的で良質な医療サービスを提供していくため、次代を担う若手医師を育成、確保する東京医師アカデミーによる臨床研修の充実を図るとともに、看護師を初めとする医療人材の確保、定着対策を引き続き講じること。
一、財団法人東京都保健医療公社は、医療機能や医療資源の相互補完や、医師の派遣を初めとする医療人材の交流等について、病院経営本部との間で相互連携を推進させることで、さらに充実した地域医療を提供するとともに、経営力の強化にも取り組まれたい。
以上、都議会自由民主党の意見開陳を終わります。
出典:厚生委員会速記録第五号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2012-05.html
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