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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2015年3月19日 平成27年厚生委員会第4号

山加朱美
私からは社会福祉法人について、端的に三点ほどお伺いをさせていただきます。
 少子超高齢、人口減少が急速に進展する中、都民が必要な福祉サービスをしっかりと利用できるためには、提供する担い手である、その役割をしっかりと福祉サービスの提供者が果たしていかなければならないわけであります。
 平成十二年の介護保険法の施行を機に、福祉サービス提供者として、民間企業、NPO法人など多様な事業主体が参入をしています。
 しかし、その中でも依然として社会福祉法人は、社会福祉事業の担い手として地域における福祉サービス提供の貴重な資源であることはいうまでもありません。
 社会福祉法人が質の高い福祉サービスを提供し地域の福祉を担っていくためには、社会福祉法人がしっかりとした運営を行えるよう指導していくことが重要であることは、私も繰り返し当委員会で申し上げてまいりました。
 それを受け、都がこれまでも社会福祉法人が提供するサービスの質の向上に向けてしっかりと取り組んできたことを私は高く評価をいたしております。
 さて、平成二十五年の四月から同一区市内で施設等を経営する社会福祉法人への許可、そして指導監査等の権限が区市に移譲されました。
 私は当時、区市の指導力には恐らく格差があるであろう、ですから、この広域的な自治体である都は、豊富な経験、そしてその指導経験をもって区市としっかりと連携をし、法人に対する適切な指導をしていただきたいと申し上げました。
 二年たつわけであります。そこで、法人の指導に当たり、この二年間、都と区市はどのような連携を行ってきたのかお伺いいたします。

飯塚指導監査部長
 同一区市内で施設等を経営する社会福祉法人の指導検査等の権限が区市に移譲されて二年が経過し、区市も実績を積み重ねてきている一方で、指導力がまだ十分ではない区市や困難な案件に適切な対応ができずにいる区市もございます。
 このため、都では、区市の指導力の向上に向けたさまざまな支援を行っております。
 具体的には、区市が実施する法人検査と都が実施する施設検査を同日に実施し、検査の現場における区市職員へのサポートや、区市と連携した研修会の開催、情報共有等を図るための連絡会の開催等の取り組みを行っております。
 さらに、区市だけでは対応が困難な事例については、区市が所轄する社会福祉法人に対しても、都は社会福祉法に基づき区市と合同で検査を実施し、適切に法人を指導しております。

山加朱美
 都と区市がさまざまな連携を行い、地域における福祉サービスの質の向上にしっかりと取り組んでいただいていることがよくわかり安心をいたしました。
 今後ともしっかりと連携をして法人に対する指導を行っていただきたいと思います。
 さて、社会福祉法人については、これまで一部の法人の不適切な運営が指摘されるなど、経営組織のあり方の見直し、また運営の透明性の確保の必要性が指摘をされてきました。
 また、全国の特別養護老人ホーム一施設当たりの内部留保額が三億円を超えるという、そんな報道もありました。
 こうした中、国は社会保障審議会の中で、社会福祉法人制度の見直しについて検討を行い、先月二月に報告書を取りまとめていますが、今回の国の報告書のポイントについてお伺いをいたします。

飯塚指導監査部長
 国の社会保障審議会では、社会福祉法人制度について、公益性、非営利性の徹底、国民に対する説明責任、地域社会への貢献の視点から見直しの検討を行い、本年二月に報告書を取りまとめたところでございます。
 報告書の制度改正のポイントは大きく二点ございます。
 一点目は、公益財団法人と同程度に法人のガバナンスを強化することでございます。
 例えば、法人の理事や理事長、理事会の権限や責任を法律上明記すること、評議員会を筆致の議決機関と位置づけ、理事や理事長に対する牽制機能を働かせることなどが検討されております。
 二点目は、いわゆる内部留保の明確化でございます。
 法人の内部留保を事業継続に必要な財産とそれ以外の再投下可能な財産に区分し、再投下可能な財産を社会福祉事業、地域公益事業、その他の公益事業の順に充当する再投下計画の作成を法人に義務づけることとしております。
 また、法人の所轄庁が地域ニーズや事業規模の合理性を踏まえ、再投下計画を承認する仕組みが検討されております。

山加朱美
 ただいま、報告書のポイントは大きく二つあるとの答弁でございました。  ポイントの一つ目である法人のガバナンスの強化については、法人の理事や理事長、幹事の役割や権限等を法律上明記するなど、これまで都が国に提案してきた内容を含むものであり、現場をしっかり見てきた都の先見性を私は高く評価するものであります。
 そして、二つ目の内部留保の問題については、社会福祉法人が地域で安定的に福祉サービスを提供していくに当たっては、例えば将来的に見据えて建物の建てかえ、修繕の費用などが必要になってきますが、国の報告書の段階では、そうした経費をどのように見ていくのか具体的に決まっていないなど、これから議論すべきことが多くあるようであります。
 内部留保についてはさまざまな意見があることも承知をしていますが、内部留保を吐き出すということを前提とした制度とするのではなく、それぞれの社会福祉法人の実情を踏まえた制度としていく必要があると思います。
 今回の制度改正はこれまでにない大規模な内容であり、新制度へ大きな混乱なく円滑に移行するためには、内部留保の取り扱いを初めとした具体的な制度の運用方法について、関係者で十分に議論を尽くすとともに、入念な準備が必要と思います。
 そこで、新制度への円滑な移行に向けた都の取り組みについてお伺いをいたします。

飯塚指導監査部長
 国は、今回の社会福祉法人制度見直しに伴う社会福祉法改正に係る法案を今通常国会に提出し、平成二十八年四月からの法施行を予定していると聞いております。
 報告書の内容には、例えば再投下計画の算定方法など具体的な運用方法が明らかになっていないものや、評議員会の設置など、実施に当たり、一定の準備期間が必要なものが含まれており、理事ご指摘のとおり、十分な議論なく拙速に新制度へ移行することは混乱を招くものと考えております。
 そのため、都では、新制度の具体的運用を定めたガイドラインを所轄庁等の意見を聞きながら早期に作成すること、制度の開始に当たり、事項によっては必要な経過措置を設けることなどを国に要望してまいります。
 また、区市が所轄庁として新制度に円滑に対応できるよう、都は区市を支援してまいります。

山加朱美
 新たな社会福祉法人制度の導入に当たっては、少子超高齢、人口減少社会における福祉サービス提供の主たる担い手である社会福祉法人が、質の高い事業を展開できるよう、都としても国に対してはっきりと意見をいうとともに、都は広域的自治体の立場から、今までもしっかりやっていただいていますが、今後もさらに区市をしっかりと支援していくことをお願い申し上げ、私の質問を終わります。

出典:厚生委員会速記録第四号 https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2015-04.html

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