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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

本会議質疑
平成十四年東京都議会会議録第九号

山加朱美
老いることは、人生の条理であります。特別なことではなく、だれもが必ず老いる日がやってきます。突然の事故、病気は人生の不条理ですが、だれもがあすは我が身であります。
 私は、突然の不慮の事故により、人生の半ばで中途障害を持ちました。きのうまで当たり前だったことが、たった一日を境に当たり前でなくなり、生活のすべてがバリアだらけになりました。
 自分自身の体験から、きょう起こってしまった事故や病が不幸な出来事であっても、あすからの日々がきのうまでと比べ、不自由ではあっても、不幸であってはならない。背負った不自由さは、みずからの努力と周りの人々の支え、公助によって、可能な限り補われなければなりません。障害も高齢化も決して人ごとではなく、福祉は特定な人だけを対象とするものではないと感じております。
 私は、生涯学習、生涯スポーツと同様に、これからは生涯福祉というものを標榜すべき時代であり、福祉は基本的な生活そのものだと考えております。だれもが、行きたいときに、行きたいところへ、安全に自由に行動できることは、人として基本的な願いであります。福祉のまちづくりを円滑、安全な移動の確保という視点から推進し、国際都市として世界に誇れる東京のバリアフリーを進めていくためには、都政のあらゆる分野に、ユニバーサルデザインに基づく真のバリアフリーの実現が不可欠であると認識しております。そうした観点から、都議会自民党末席から都民の目線を持って質問をいたします。
 平成12年11月、交通バリアフリー法が施行されてから、法制面の整備を受け、一段とバリアフリー化の機運が高まり、公共交通機関の整備が図られていますが、全駅にエレベーターが設置されている大江戸線に比べますと、都営地下鉄のほかの路線ではバリアフリー化がまだおくれています。
法令では、整備の目標年次を平成二十二年と定めていますが、東京の都心部で短期間に実現するためには相当な資金が必要になり、この目標の達成の見通しも厳しいものがあるのではないでしょうか。
 国においても、エレベーター等の設置に関する補助制度の整備が図られてきたと伺いますが、私は、こうした補助制度のさらなる拡充を含め、財源確保について国に対し強く求めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、駅舎が整備されていても、駅舎を一歩出た途端にバリアがあるのでは、目的地までのワンルート確保ができません。周辺の道路などと整合がとれ、一体的に整備されることが肝要です。
 交通バリアフリー法は、区市町村が重点地区を定め、基本構想を策定できることとしています。
しかし、法律が施行されてから一年半余りが経過しました。基本構想を策定したのは一区だけと聞いております。区市町村の取り組みをより一層進めるために、都としてはどのように取り組み、支援をしていくのか、見解を伺います。
 次に、先進的な欧米諸国では、駅構内はおろか、駅周辺のバリアフリー化も一体的に整備されており、その都市の持つ風格ともなっております。
暮らす人にも、訪れる人にも優しく、ホスピタリティーある都市とするためには、知事を先頭に観光の振興を積極的に推進するためにも、東京の玄関口、都庁の玄関口でもある東京駅、新宿駅などで、駅施設のみならず、駅周辺のバリアフリー化は不可欠であり、早急に行うべきであります。
 昨日、我が党の古賀議員の代表質問において、新宿駅西口広場では、高齢者、障害者に配慮したエレベーターを三基設置する旨の答弁がありました。ユニバーサルデザインを考慮した道路施設改良について、具体的にどのように進め、いつごろの完成を目指しているのか伺います。
 また、東京駅周辺では、都市再生の一環として、東京駅の保存等、都市開発プロジェクトの実施にあわせ、都道の再整備が行われることとなっています。
その際には、バリアフリー化に十分配慮した設計によって整備をすべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、身体障害者に対するバリアフリー化を進めていく上では極めて重要な法律であります身体障害者補助犬法が、本年五月二十二日、超党派の議員立法により成立しました。
この法律は、身体障害者の自立と社会参加の促進にとっては、画期的な法律であります。
 日本では、比較的普及している盲導犬でも約八百五十頭、聴導犬及び介助犬はまだ数十頭しかおりません。訓練犬の社会的認知と受け入れ体制が、世界の先進国としては恥ずかしいくらいにおくれております。
まだたくさんの課題は残しておりますが、障害者とパートナーを組む補助犬が、やっと社会の常識となったわけであります。
 そこで、今後は東京都においても、補助犬の利用に対する積極的な支援が期待されるところでありますが、都としてこの法律をどう評価し、どのように取り組んでいかれるのか伺います。
 動物に関連し、人と命あるものとしての動物が共生する社会は、少子高齢社会を迎えた今、そのかかわり方がますます重要になってきています。
このような状況の中で、人と動物の共生のモデルである動物園の存在は、非常に貴重なものであります。
 中でも、ことし開園百二十周年を迎えた恩賜上野動物園は、都民だけでなく、多くの国民から親しまれてきました。
昨年の入園者は三百三十万人、知事の進める千客万来の世界都市東京の重要な観光資源でもあります。
 動物園は世界のどの大都市にもあり、動物園がどのような位置に置かれているかで、私は、その国の文化水準がわかるといっても過言ではないと思っております。
人と動物との触れ合いの場、そこに集うお年寄りから子どもたちまで、世代間のバリアを超えた交流の場としてなど、動物園は、都市にはなくてはならないさまざまな役割を持った重要な場所であると思います。
 そこで、提案ですが、例えばさきの補助犬法成立に伴い、社会福祉の観点からも、恩賜上野動物園を補助犬に関する普及啓発の場として活用することなどは、ノーマライゼーション思想の浸透などにも大いに意義のあることだと思います。
 提案を含め、開園百二十周年を迎えた今、改めて世界都市東京の今後の恩賜上野動物園の社会的役割とあり方についてどうお考えか、ご所見を伺います。
 次に、現在都内には、約三万三千人の視覚障害者が在宅で生活しています。視覚障害者が情報を得ることは、健常者と比べ大きな格差を持ちます。
情報化社会といわれる今日において、インターネットの普及に伴い、情報バリアは格差が広がるばかりであります。
 しかし、一方で、ITの発達は、外出や移動にハンディを持つ障害者にとっては、家にいながら多くの情報を得られるというメリットも持っています。
そこで、障害者の情報バリアフリーを一層進展させるためには、都としても、従来からの点字及び音声による「広報東京都」、刊行物などの作成、配布事業等の情報サービスのさらなる充実が必要ですし、視覚障害者などに向けたIT機器の普及支援も積極的に行うべきと考えますが、ご所見を伺います。
 次に、元気なときには当たり前に渡れる横断歩道、しかし、障害者や高齢者、妊産婦や小さなお子さんにとっては、途中で赤信号になってしまったり、横断歩道の事故率も高いと伺います。
 ことしの四月末現在、時間延長できる盲人用信号機とシルバー用信号機の設置は、合わせて九百二十七カ所です。
都内全域の信号機設置は一万四千六百三十三カ所ですから、余りにも少ないのではないかと思います。
 あすは我が身、高齢社会を迎えている世界の首都東京の人命にかかわるハード面での安全対策充実の一つとして、交通関係のバリアフリー対策の推進状況と今後の取り組みを警視総監に伺います。
 次に、東京都福祉のまちづくり条例第七条には、都は、高齢者、障害者等の福祉に関する教育及び学習の振興などについて、必要な措置を講ずるとあります。
さらに、平成十三年、学校教育法及び社会教育法が改正され、教育委員会は、児童生徒の社会奉仕体験活動等の拡充に努めるとともに、青少年にその機会を提供、奨励することが明記されました。
これらの体験活動を通じ、子どものころから心のバリアフリーが涵養されることにより、日本の未来は変わってくると思います。
 外国では、ボランティア教育が義務教育の国もあると伺います。
そこで今後は、心のバリアフリーに関する指導及び啓発、体験学習などを、学校教育の中で単位の一つとして取り上げていくことも検討すべきではないかと思いますが、ご所見を伺います。
 障害は、義足やぺースメーカーのように、外観だけでは判断できない場合もあります。障害を持つ人も、持たない人も、すべての人が自由に行動し、社会参加できる優しいまち東京を実現するには、人とのネットワークができるように、自助、共助の心を育てることは重要であります。
 バリアフリー化を点としてとらえるのではなく、各局のバリアを超え、ネットワークを持ちながら面的に整備し、ハード面のバリアフリー化を進めていくこと、そして同様に、心のバリアフリー化を涵養することは、これからの国際都市としてのあるべき姿ではないかと思います。
 知事は、東京が魅力あふれた千客万来の世界都市となるため、総力を挙げて取り組むとおっしゃっています。
国際都市としての東京のバリアフリーについて、知事はどのように考えていらっしゃるのか、ご所見を伺います。
 次に、リハビリテーション医療対策について伺います。
 高齢化の進展、生活習慣病の増加などにより、障害を持つ人が増加していくことが予想されますが、私自身、中途障害の体験から、医療面での適切な治療はもちろんですが、あわせて、精神カウンセリングやリハビリテーションが大変重要であることを実感しています。
 病気や事故により障害が残った場合にも、寝たきりにならないよう、社会復帰できるよう、可能な限り機能を回復し、生活の質を維持向上させていくためにも、リハビリテーションの充実は、今後の都政の重要な課題の一つでもあります。
 その充実のためには、急性期、回復期のリハビリと維持期のリハビリが継続して提供される仕組みが必要ですが、そのためには、専門的な病院が中核となって、維持期のリハビリを担う地域の関連施設との連携を図ることが重要です。
 そこで、都は、昨年十一月、東京都リハビリテーション協議会の報告を受け、地域におけるリハビリテーションの連携システムをどのように構築しようとしているのか伺います。
 次に、リハビリテーション医療は、医師や理学療法士、作業療法士など専門職の手にゆだねられているといっても過言ではありません。専門職の質の確保が重要であると考えます。
これら専門職の研修にかかわる都の取り組みについて伺います。
 また、地域においては、専門職ばかりでなく、ホームヘルパーやケアマネジャーなど、さまざまな職種の方がケアにかかわることになりますが、リハビリテーションの視点から連携してケアに当たれるよう、知識の普及や技術の向上を図る必要があると考えます。
地域における医療福祉関係者等の研修はどのようにお考えか、あわせて伺います。
 また、最近はさまざまな医療情報があふれていますが、リハビリテーション医療を実施している医療機関の情報はかなり不足をしております。
都における情報提供の現状、今後の対応方針についてご所見を伺います。
 次に、道路整備について伺います。
 道路は、都民の日常生活、産業活動を支え、都市の最も基盤となる施設であり、首都東京を国際都市として、人、物、情報が円滑に流れるよう、そのネットワークの形成が望まれております。
 まず、東京外郭環状道路について伺います。
 この外環は、都心から約十五キロの圏域を環状に連絡する道路ですが、私の地元、練馬区の大泉から埼玉県三郷までは平成六年に完成、東側区間千葉県側は平成十九年度の完成を目指し整備が進められております。
 しかし、練馬区の大泉以南は、昭和四十一年、都市計画決定されましたが、それ以降、整備は進んでおりません。
このため、大泉ジャンクション周辺では、狭い生活道路に通過交通が入り込み、渋滞等により生活環境が脅かされております。このような状況を改善するためには、一刻も早い事業実施が望まれます。
 練馬区では、区みずからが外環を地下化した場合の地上部の利用形態、まちづくり等に関する各種調査を進めております。
 一方、国と都は、昨年十二月、東京環状道路有識者委員会を設置し、ことし四月、第一次提言がまとめられましたが、この第一次提言を今後どう生かしていくのでしょうか。
 また、五月三十一日、知事の記者会見で明らかにしたPI外環沿線協議会は、幅広い方々からの意見を聞くとのことですが、どのような方向で進めるのか伺います。
 次に、渋滞解消など、東京における道路問題を解決するためには、外環等の高速道路の整備に加え、一般街路のネットワーク構築が重要であります。しかし、都内の都市計画道路の整備状況はまだ五三%にとどまり、練馬区においても、放射七号線や補助一五六号線など、環状道路とはしごを組むように計画されている道路整備が進んでいないため、都市計画道路網が効率的に形成されておりません。
 そこで、都と区が連携し、早期整備を図ることが不可欠と考えますが、都の決意のほどを伺い、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)

知事(石原慎太郎君)
山加朱美議員の一般質問にお答えいたします。
 国際都市としての東京のバリアフリーについてでありますが、私は、東京という都市を、そこで暮らす都民だけではなくて、東京にやってくるすべての人々に開かれた都市にしたいと思っております。
 東京を初めて訪れた人、日本語を話せない、理解できない人、あるいは障害を持つ人、そうした人々をオープンに受け入れる広い受容性、そういった方々が快適に、かつ、有益に過ごせる都市としての空間、それらの触れ合いの中から発酵していく新しい友情と連帯感、こうした都市であってこそ、まさに千客万来の世界都市といわれ得ると思っております。
 そのためにも、安全や自由な移動といった広い意味でのハード面のバリアフリーとともに、おっしゃったように、確固とした自我を持ちながら、同時に、幅広く異質なものを受け入れ交流する、いわば心のバリアフリーを実現することが重要な課題と考えてもおります。
 ただ、日本人は、どうも外国人に接するに非常に不器用で、非常にティミッドで、それがまた相手から誤解を受ける節がないでもないと思います。こういったものは、私たちが住んでいる世界が、時間的、空間的に狭くなることでだんだん淘汰されていくと思いますし、例えばフランス人のように、ある意味で非常に頑迷な、片言のフランス語を話すと知らん顔をしてわからないようなふりをする、そういった国民性も、今日ではかなり地方に行きましても、フランス人もまた英語をしゃべらざるを得なくなって、しゃべるようになりましたし、下手くそのくせに、日本語とか英語をしゃべって近づいてくるイタリアとはかなり対照的なフランスも、大分変わってきましたが、違った意味で、日本はやっぱりそういう日本人のDNA的な性状というものを自分からも意識して変えていくことで、おっしゃるように、心のバリアフリーもかなえられていくんではないかと思っております。
他の質問については、警視総監と教育長及び関係局長から答弁します。

警視総監(野田健君)
交通関係のバリアフリー対策についてお答えいたします。
 警視庁では、スムーズな交通の流れの中を快適に走行できる道路交通環境を確保するため、従来以上に交通の円滑に努め、交通公害等の防止を図りつつ、質の高い交通安全を実現する交通三正面作戦を基本方針として、各種施策を推進中であります。
 バリアフリー対策についても、一層の充実を図っており、平成十三年度からは、五カ年計画で、公共交通機関の駅等を中心として、福祉施設、公共施設等を含む地域を重点に、バリアフリー対応信号機の整備を進めております。
 また、整備に当たっては、区市町村で策定される基本構想に沿って行うこととしておりますが、これまで新型の押しボタンボックスの開発や信号秒数の見直しをするなど、安全で利用しやすい信号機となるように努めており、本年度は音響式信号機を約百六十カ所、高齢者等感応信号機を約二百二十カ所に設置する予定であります。
 これらの信号機は、高齢者や障害者の方々が、リモコン装置を内蔵したループタイや横断用の押しボタンを使用して、信号機からメロディーなどを流したり、横断時間を延長したりすることができるため、歩行者の安全性を高めることができる一方で、該当者がいない場合は時間を短縮しておくことができることから、交通の円滑を図ることにもなりますので、今後も積極的に導入してまいりたいと考えております。

教育長(横山洋吉君)
教育におけます心のバリアフリーについてでございますが、お話のように、学校教育において、だれに対しても思いやりの心を持って、相手の立場に立って考え、実践する教育を充実することは重要なことでございますことから、小中学校では、教科指導や道徳、総合的な学習の時間などを通しまして、高齢者や障害者等の立場に立って考える学習、アイマスクや車いすの体験、障害者施設の訪問などの体験的な学習を行っておりますが、ご指摘の点も踏まえまして、今後とも、区市町村教育委員会と連携して、高齢者や障害者などとの交流教育の充実を図るなど、心のバリアフリーに関する啓発や指導を推進してまいります。

交通局長(寺内壽君)
都営地下鉄のバリアフリー化についてのお尋ねでございますけれども、都営地下鉄のバリアフリー化を促進するためには、その資金の確保が大きな課題であり、これまでも国に対しまして、補助制度の拡充を求めてきたところであります。
 現在、エレベーター等の設置につきましても、地下鉄の新線建設と同じ補助制度が適用されることとなっておりますが、今後とも、補助制度のより一層の拡充を含め、十分な財源確保が図られるよう国に強く働きかけ、都営地下鉄のバリアフリー化の推進に着実に取り組んでまいります。

都市計画局長(木内征司君)
三点のご質問にお答えします。
 まず、交通バリアフリー法についてでございます。
 この法律によりますれば、区市町村は、駅及びその周辺地区について基本構想を策定し、それに従って各事業者が事業を実施することが義務づけられております。
 都内におきましては、荒川区が本年三月に策定済みであり、また現在、二区四市が取り組みを進めております。
 都といたしましては、本年二月に設置した庁内の検討組織を活用しながら、今後とも、区市町村に基本構想の策定を促し、バリアフリー化の促進に努めてまいります。
 次に、外郭環状道路の有識者委員会についてのお尋ねでございます。
 本年四月に同委員会からの第一次提言は、これまでの経緯と今後進める上での課題につきまして取りまとめたものであり、その中で、計画の凍結以降、これを放置してきたことに反省を求めつつ、知事の現地視察以降の取り組みについては評価をいただいております。
 この提言を受け、地元関係者との沿線協議会を初めとする幅広い議論を展開してまいります。
 次に、外環沿線協議会についてでございます。
 沿線協議会は、さまざまな意見を有する沿線区市推薦の関係者、地元区市、国土交通省及び都で構成しており、反対、賛成等さまざまな立場から、外環の必要性や計画内容等について議論をしていく場でございます。
 今後、この協議会での議論も聞き、先ほどの有識者委員会での審議、助言も受けながら、早期整備に向けて、計画案の取りまとめなどに取り組んでまいります。

建設局長(山下保博君)
道路のバリアフリー化など、四つのご質問にお答えいたします。
 まず、新宿駅西口周辺における道路施設のバリアフリー化についてでございますが、西口周辺は公共交通機関が集中し、利用者も多いことから、高齢者や障害者など、だれもが安全で快適に利用できるよう早期に改善する必要がございます。
 このため、西口交番前、地下鉄丸ノ内線改札口付近及び広場西側の三カ所にエレベーターを設置するとともに、地上にあるバスターミナルの乗り場相互間の段差を解消いたします。
 今後、福祉団体との意見交換を初め、国や地元区など関係機関と協議、調整を行い、平成十五年三月末完成を目指し整備を進めてまいります。
 次に、東京駅周辺の都道の再整備についてでございますが、東京駅周辺地区は、首都東京の顔にふさわしい潤いと風格のある都市景観の形成を目指し、ゆとりある歩行空間の確保や周辺交通の円滑化、交通結節機能の強化などのため、新たに交通広場などを設置することとしております。
 とりわけ東京駅は、地下鉄を含む数多くの鉄道路線が地下、平面、高架で重層的に集まり、日本最大のターミナル駅として国内外から多くの利用者が集中していることから、特にハード、ソフト両面にわたりバリアフリー化に配慮する必要がございます。
 このため、都は、二十一世紀の首都東京における陸の玄関口として、バリアフリーの交通広場や都市計画道路の整備を進めることはもとより、JR東日本など民間事業者が整備する駅構内や地下広場を含む東京駅全体のバリアフリー化を先導し、安全でわかりやすく、すべての利用者に開かれた東京駅及び駅周辺の実現を目指してまいります。
 次に、観光資源としての恩賜上野動物園のあり方についてでございますが、恩賜上野動物園は、美術館、博物館などが集中する上野の森文化ゾーンの中核施設でございまして、世界の希少動物を展示し、海外からも親しまれている重要な観光資源でございます。
 今後、統一感のあるサイン整備など、世代を超えて楽しめる動物園らしい雰囲気づくりに努めるとともに、例えば子象スーリアと子どもたちとの綱引きなど、動物との触れ合いを大切にしたイベントを実施し、東京を代表する観光資源として活用してまいります。
 また、ご提案の補助犬に関する普及啓発のイベントにつきましても、動物との共生の観点から、関係団体と連携して場の提供を行ってまいります。
 最後に、放射第七号線の整備についてでございますが、本路線は、都心部と多摩地域を結び、現在事業化準備を行っている保谷三・三・一一号線を経由して、多摩地域の南北幹線道路である調布保谷線に接続する重要な幹線道路でございます。
 このため、練馬区内の未整備区間につきましては、地域の活性化や渋滞の解消、周辺環境の改善などに寄与することから、地元区等と調整を図り事業化を検討してまいります。

福祉局長(前川燿男君)
二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、身体障害者補助犬法についてでありますが、この法律は、盲導犬、介助犬及び聴導犬を身体障害者補助犬として明確に法に位置づけるとともに、障害者の方々がこれらを同伴して利用する場合、各種施設に受け入れを義務づけるなど、ご指摘がありましたとおり、障害者の方々の自立と社会参加を促進する上で重要な意義を有するものであります。
 今後、都としては、まず何よりも法の趣旨、内容について都民の理解を深めることが重要と考えており、さまざまな広報媒体を通じ積極的な周知に努めてまいります。
 次に、視覚障害者に対するIT機器の普及支援についてでありますが、視覚障害者の方々にとっての情報バリアを解消する上で、近年目覚ましく発達したIT機器を積極的に活用することは、お話のとおり、大きな効果があると考えております。
 このため、都では、平成十三年度から視覚障害者の方々がパソコンを簡単に易しく利用できるように、音声対応ソフトや点字入力システムなどの購入費への助成を開始いたしております。
 この事業は五カ年事業として計画しており、今後、着実に実施してまいります。

健康局長(今村皓一君)
リハビリ医療についてのご質問にお答えいたします。
 まず、地域におけるリハビリテーションの連携システムについてでございますが、都は、昨年十一月の東京都リハビリテーション協議会の報告に基づきまして、地域において中核的役割を果たす病院を地域リハビリテーション支援センターとして指定し、ネットワークの拠点として医療や介護関連施設等との連携を図ることとしております。
 この方針に基づき、昨年十二月には、東京都リハビリテーション病院をその第一号といたしました。
 今後、おおむね二次保健医療圏ごとに支援センターを指定し、地域のリハビリ医療体制の整備を進めてまいります。
 次に、専門職員の研修についてでございますが、リハビリ医療の質の確保には、医療従事者の知識や技術の向上が重要であり、都はこれまで理学療法士等に対する卒後研修を実施してまいりました。
 今後は、さきの協議会報告を踏まえ、特に急性期や先駆的分野の知識、技術の普及を図るため、専門職を対象とした講演会の開催などを検討してまいります。
 また、医療、介護施設等の職員に対する研修につきましては、地域の実情に即した対応が必要であり、このため、今後整備を進める地域支援センターにおきまして実施してまいります。
 次に、都民へのリハビリ医療の情報提供についてでございますが、都では、都内の医療機関におけるリハビリ医療の実施状況を調査し、医療機関名簿として公にしております。また、東京都保健医療情報センターでは、リハビリ科を標榜する医療機関の案内も行っております。
 今後は、医療機関情報のほか、リハビリに関連する最新の情報などを定期的にホームページに掲載するなど、広く都民に提供してまいります。

出典:平成十四年東京都議会会議録第九号 https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2002-2/03-11.html

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