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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

本会議質疑
平成十六年東京都議会会議録第五号

山加朱美
 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、第百五十四号議案、平成十五年度一般会計補正予算を初め、第三十一号議案、東京都組織条例の一部を改正する条例など、本日の本会議において議決する全議案に賛成の立場から討論を行います。
 初めに、平成十五年度一般会計補正予算について申し上げます。
 我が国経済は、これまで、失われた十年とも形容される長期にわたる低迷を続けてまいりましたが、昨日発表されたGDP、国内総生産は、年率換算で六・四%の成長となるなど、景気の回復に向けた明るい兆しが見えております。
今度こそ本当に、この余りにも長いトンネルを脱したいというのが、都民の強い願いであります。
 そうした中、今回の補正予算は、厳しい財政状況であるにもかかわらず、明るい兆しが見え始めた東京の経済をより力強い回復基調に導くとともに、東京の再生を進めるための積極的な取り組みが盛り込まれました。
事業内容を見ても、骨格幹線道路の整備、公園の整備、スーパーエコタウン事業など多岐にわたり、いずれも緊急かつ重要なものばかりです。
 いうまでもなく、東京の再生は日本の再生であり、道路、鉄道など都市の根幹となる社会資本の整備は、産業の活性化や国際競争力の強化につながるばかりでなく、都市環境の改善や防災機能の向上などを通して、都民生活の質の向上にも大きく寄与することは疑いありません。
都民があすに向かって希望を持ちながら、日々働き、学び、暮らしていけるようにすることが都政の重要な役割であります。
 そのため、一千二百万都民が生活する町として、また日本の首都として、さらに国際都市として、東京をそれにふさわしい機能と品格を備えたものとなるように社会資本整備を進めていかなければなりません。
 しかしながら、ある会派は、都市再生事業の意義や効果からあえて目をそらし、偏見に満ちた先入観からこれを批判し、東京と日本の将来の発展に背を向けた、いつもながらの空理空論を主張し続けております。
 仮に、今、都市基盤整備を進めなければどうなるでしょうか。経済活動は停滞し、日本の金融、生産、物流機能は劣化し、これまでの景気低迷がさらに長く、より深いものになってしまいます。
これでは東京にも、日本にも、都民生活にも、未来はありません。
都市再生を悪とする主張は、全く視野の狭いバランスを欠いたものであることは明白であります。
 また、本補正予算は、こうした積極的な施策展開の一方で、将来の財政運営を見据え、財政の健全な運営を図るための財政調整基金の積み立ても計上しています。
財政調整基金の残高は、現時点でほぼ底をつきかけています。
法人二税を中心とした現在の都の税収構造では、景気の影響を受け、年度間の税収変動が避けられません。
 財政調整基金は、この変動の影響を緩和し、都が施策を安定的に実施していく上で、一定額の基金残高の確保は欠かせません。
また、震災のような巨額の財政支出を必要とする事態が突如発生する可能性がゼロではない中、万が一の事態への備えとして、基金積み立てを行うことは時宜にかなった適切な判断であると考えます。
 今まで申し上げたように、本補正予算は、厳しい財政状況にあっても、将来の財政運営にも配慮しつつ、都政の責任と役割をきっちりと果たす、積極的で前向きな予算であると評価したいと思います。
 なお、本補正予算は、十六年度当初予算と一体となった、いわゆる十五カ月予算として編成されていますが、これにより、切れ目のない予算執行が図られ、依然として厳しい経営環境に置かれている中小事業者に対する下支えが期待されます。
各局においては万全の態勢で対応し、速やかな予算執行がなされるよう、全力で取り組まれることを強く求めておきます。
 続いて、東京都組織条例の一部を改正する条例について申し上げます。
 都は、これまでも、我が党の提言を受け、職員定数の削減や退職手当の引き下げなど、不断の内部努力に努めてきましたが、都政の課題に適切に対応していくためには、さらに事業の徹底した見直しはもちろん、都の役割を再検討するとともに、組織についても、既存の枠組みを超えた見直しを行わなければなりません。
 本条例は、第二次都庁改革アクションプランに基づき、まちづくりや福祉、医療など、都の重要な施策を推進する上で、より適切な執行体制とするため、組織再編を行うことを内容としています。
 具体的には、第一に、現場感覚やこれまでのノウハウを生かした実効性のある都市整備の実現を図るため、都市計画局、住宅局及び建設局の市街地整備部門を統合し、都市整備局を設置すること、
第二に、少子高齢社会や都民の健康に対する不安に適切に対応することを目指し、福祉局と健康局を統合し、福祉保健局を設置すること、
第三に、都政を横断的、総合的に調整する役割をより明確にするため、知事本部を知事本局とすることなどを内容としています。
 これらの組織の再編は、近年においても大きな組織の改正であり、既存の枠組みを超えた抜本的な執行体制の見直しとして、我が党の主張を踏まえたものと評価いたします。
 これらの組織の再編後は、都民サービスの一層の向上を目指し、再編の効果を発揮していけるよう、効率的、効果的な事業展開の確保に努めるとともに、社会経済状況の変化におくれることなく、組織の見直しを初めとして、職員定数の削減、監理団体改革など、行政改革の取り組みを不断に実施されることを要望します。
 以上、我が党は、今回提案の平成十五年度一般会計補正予算など全議案に賛成いたします。
今後も、都財政の再建並びに都政の構造改革に引き続き全力を挙げて邁進することを申し上げ、私の討論を終わります。
 ありがとうございました。

出典:平成十六年東京都議会会議録第五号 https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2004-1/05.html

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