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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

本会議質疑
平成十六年東京都議会会議録第十七号

山加朱美
1981年、国際障害者年に、障害者の福祉に対して国民の関心と理解を深め、障害者にとっても社会参加の意欲を高めるために、本日、十二月九日は障害者の日と定められました。
 ことしの障害者週間のテーマは、「はじける笑顔 輝く未来」でした。
 障害を持つ人も持たない人も、ともに生きる共生社会の実現に向けて、まだまだ山積する課題ばかりですが、私自身も、人生の半ばで、ある日突然の不慮の事故により中途障害を背負った、だれもがあすは我が身の体験者の一人として、都民福祉のさらなる向上を願い、机上の論ではなく、施策を実行できる都議会責任政党であります自由民主党末席より、まず障害者の地域生活支援について何点か伺います。
 ユビキタス社会の到来により、障害者のIT有効活用は、社会参加や就労の機会を大きく広げ、自立生活の実現に大きく寄与することから、これまで多くの障害者から強い要望が出されていた、障害者のIT利用を総合的に支援する拠点として、先月十八日、東京都障害者ITサポートセンターがオープンしました。
我が党の提案によりこれが実現したことは、大変うれしく思っております。
 そこで、今後、都は、このITサポートセンターを活用して障害者のIT支援にどのように取り組んでいくのか、所見を伺います。
 次に、障害者が地域で自立生活していくためには、安定的な就労支援が何より重要であり、障害者がその能力や適性に応じ、一般企業で働き、経済的に自立して、タックスペイヤーになることが当たり前の社会になるよう、私はこれまで、就労支援事業のネットワーク化や関係機関との連携によるレベルアップを重ねて提言してきました。
 都は、平成十五年度から区市町村障害者就労支援事業を本格実施していますが、これまでの実績を踏まえ、この就労支援事業をさらに拡大するとともに、事業内容についても一層のレベルアップを図っていくべきと考えます。
ご所見を伺います。
 次に、障害者が地域で安心して住み続けるためには、身近な地域で障害者を支える相談体制が必要です。
 現在、区市町村が行う相談に加え、民生委員や身体障害者相談員、知的障害者相談員などが、それぞれ行政とは違った立場で障害者の気持ちを酌み取り、親身になって相談に乗っています。
 民生委員については、これまでも都の福祉改革についての取り組みなどを説明する機会を設けていますが、身体・知的障害者相談員については、区市町村事業であるため、都は補助金の交付を行うのみで、直接的な支援は実施していません。
 しかし、障害者相談員が地域の障害者に対する相談支援に果たす役割の重要性を考えると、都としても、関係する情報提供や、制度をより一層活性化させるために、相談員のさらなる資質の向上に向けた取り組みを検討すべきと考えますが、所見を伺います。
 次に、現行制度では、児童デイサービスは対象者が幼児、小学生までに限定され、中高生は利用できません。
しかし、養護学校の保護者の間からは、中高生の利用について強い要望が出されています。
幼児期より体も大きくなり、行動範囲も広くなる中高生のデイサービスは、保護者にとってはより必要であります。
 現在、国においては、児童デイサービスの事業所や養護学校の空き教室などを活用して行う、中高生のデイサービス事業を検討しているようです。
都としても、法外の地域デイ事業を行っていますが、ぜひこの事業の実施にも取り組むことを強く要望しておきます。
 次に、成年後見制度の活用について伺います。
 この制度は、知的障害者や痴呆性高齢者など、判断能力が不十分な方々の権利を擁護する制度として平成十二年に制度化されました。制度創設以来、徐々に活用の実績は伸びていますが、本制度の対象となる知的障害者や痴呆性高齢者全体から見ると、現在、ごくわずかの方が利用しているにすぎません。
 こうした中、今回、成年後見制度の活用を促進するための取り組みが来年度の重点事業として選定されたことは、時宜を得たものと高く評価いたします。
しかし、制度の活用を進めるには、まず、区市町村が制度の周知や低所得者に対する利用支援などを積極的に行い、同時に、こうした取り組みを行う区市町村に対する都のサポートも重要であります。
 そこで、今回のこの重点事業を通じ、都として、区市町村に対し具体的にどのような支援を行っていく予定か、見解を伺います。
 次に、東京の保育、とりわけ家庭福祉員制度について伺います。
 都独自の基準による認証保育所は、都民の絶大な支持を得て、計画を大きく上回るペースで整備が進み、本年十二月現在、二百四十三カ所の施設が開設されました。
 一方、都は、来年度、国の予算編成に対する提案要求において、保育所制度の抜本的改革を最重点事項として位置づけ、利用者本位の保育を実現するため、多様な事業者の参入とサービスの競い合いを促す制度への変革などを求めています。
私は、都市型保育サービスの実現に向けた東京都のさらなる努力、取り組みに大いに期待をしているところであります。
 ところで、私の地元練馬区には四十五人、全都では六百二十八人の家庭福祉員、通称保育ママさんがいます。
家庭福祉員さんは、保育士、看護師などの一定の資格を持つ人や、研修受講した人を区市町村が認定し、そのご自宅において三歳未満の子どもを保育していますが、施設型保育とはまた違ったよさがあり、子どもたちは、家庭的な温かい雰囲気の中で、保育ママさんとの人格的なつながりを基礎に人生の最初の歩みを始め、また、都市に暮らす孤立しがちな親たちにとっては、子育て経験の豊かな保育ママさんは、適切なアドバイスを与えてもらえる貴重な存在となっています。
 そこで、私は、二十一世紀、東京の新しい保育スタイルの提案として、都民の多様な保育需要にこたえるためにも、個々の子どもに応じた保育、日常生活の現場である家庭において行われる保育に改めて光を当て、都独自の視点から家庭福祉員制度を再構築し、積極的に推進していくべきと考えますが、所見を伺います。
 また、都市型保育の最前線で展開している認証保育所と家庭福祉員それぞれの特徴を生かすように連携し、地域を挙げて子どもたちをサポートする仕組みとしてつくり上げてはいかがでしょうか、ご所見を伺います。
 次に、小児医療について伺います。
 昨日、我が党の代表質問でも質疑が行われましたが、次代を担う子どもを安心して産み育てられるようにするためには、すべての子育て家庭への支援に社会全体で取り組むことが大切ですが、中でも、私は、子どもたちのための医療サービスを十分に確保していくことが何よりも重要と思います。
 医療技術の進歩により、確実に子どもの死亡率は下がってきましたが、大都市東京においても、小児科医師の減少や高齢化が大きな問題となっています。
若い小児科医師を確保していくことが急務です。
 小児科医を選択する医師が少ないのは、その手間や忙しさに比べ、診療報酬が低いことが根本的な原因と指摘されていますが、東京の未来、日本の未来を担う子どもたちの命と健康を守るために、小児科の診療報酬の抜本的な改善に関し、国に対して、知事より強く要求していただくことが必要と思いますが、知事のご所見を伺います。
 次に、小児医療の中でも、地域においての課題は初期救急医療への対応です。
 初期救急は、第一次的には住民に身近な区市町村の役割であり、こうした観点から、私の地元練馬区では、地域の医師会等の協力も得て、いち早く事業に取り組んでいます。
 しかし、平成十四年、都が補助事業を開始した後も取り組みがされていない自治体もあり、練馬区の中核病院である練馬光が丘病院への小児初期患者の集中が依然として続いています。
また、練馬区のように人口の多い自治体では、初期救急医療の拠点拡充、小児科医師の確保などが今後の課題です。
 都内の区市町村における小児初期救急医療の取り組みの実績、及び今後の都の取り組みの方針はどのようになっているのか、伺います。
 次に、都の役割である小児の二次救急医療体制及び災害拠点病院の整備ですが、これらは、都が広域的な観点から、地域のバランスに配慮し、計画的に整備を進めるべきものなのですが、整備計画はいまだ達成されていないと聞いております。
 練馬区では、区内の病床不足を補うために、区がみずから病院を誘致し、来年七月には順天堂大学練馬病院が開設する予定です。
そこで、この病院の機能を活用し、小児救急や災害医療の拠点として支援し、都の救急災害医療の体制の充実を図るべきと考えますが、都の所見を伺います。
 次に、都内では、女子中学生が仲間の援助交際をあっせんしたり、男子中学生、高校生がおれおれ詐欺に加担するなど、子どもが関与する事件が頻発しています。
 つい先日は、水戸と土浦で、十九歳、二十八歳のいずれも無職の青少年による両親殺害事件が連続して発生しました。
こうした事件に限らず、青少年をめぐっては、不登校、ひきこもり、児童虐待、さらにはインターネット上にはんらんする有害情報や奔放な性行動など、さまざまな問題が噴出をしております。
このような状況下において、次代を担う青少年を健全に育成することは喫緊の課題であります。
 都の来年度重点事業においても、青少年育成総合対策は大きく取り上げられ、特に若年者の就労に関するさまざまな施策が掲げられていますが、近年、学校に通うでもなく、働くでもなく、職を探すでもない、いわゆるニートと呼ばれる若者が、現在、全国五十二万人、あるシンクタンクによれば、二〇二〇年にはおよそ百二十万人になると予想されています。
 社会問題化しているこのニートの増加は、我が国の経済成長に影響を与えかねません。
東京、そして我が国の未来に暗い影を落としかねない、このニートの問題をどのように認識し、今後いかなる対策をとっていくのか。
また、ニート対策を進める上でも、あるいはほかの青少年に関する施策を進める上でも、都民全体の支援が必要であり、区市町村や関係機関、企業などとの連携が不可欠ですが、今後、こうした外部との連携強化をいかに図っていくおつもりか、
あわせて青少年育成総合対策推進本部長であられる竹花副知事の
ご所見を伺います。
 次に、世界観光機関は、昨年七億人弱であった世界交流人口が、二〇二〇年ごろには約十六億人の規模に拡大し、国際観光収入は二百四十兆円に達すると予想しております。
今後、世界の各国間において、増加する国際観光客の獲得競争が激化することが予想される中、国では昨年七月、観光立国行動計画を策定し、ビジット・ジャパン・キャンペーンを展開しております。
 一方、都は、こうした国の動きに先駆け、平成十三年十一月、東京都観光産業振興プランを策定し、観光産業に積極的に取り組んでおります。
千客万来の世界都市東京を目指し、世界に日本の魅力をアピールできるよう全力を尽くしていくとした石原知事のご英断に敬意を表するところであります。
 そこで、世界のアニメ市場の六五%を占めているといわれる日本のアニメ産業の振興と、その観光資源としての活用について伺います。
 日本のアニメは、アニメという日本語が海外で通用し、ジャパニメーションという単語がつくられるほど世界的に注目されています。 先月末から公開されている「ハウルの動く城」は、日本での公開開始時には、既に海外の複数の国々で公開が決定していました。
こうしたことは、実写映画でも余り例がなく、日本のアニメに対する世界の高い評価を裏づけるものと思います。
 日本のアニメ産業は、日本が世界に誇る二十一世紀リーディング産業の一つといっても過言ではありません。
これらの世界に冠たる日本のアニメを制作している会社の約八割が東京に集中し、その中でも特に私の地元練馬区は、日本のアニメ産業発祥の地として、都内で最も多くの制作会社を擁しています。
去る七月には、区内の制作会社が集まり、練馬アニメーション協議会を立ち上げ、これまで以上に積極的に業界振興に取り組んでいくこととなりました。
 練馬区及び区内の商工業界としては、練馬を観光とアニメのまちとして世界に売り出し、区内に集積するアニメ産業を観光資源として活用していきたいとしていますが、練馬区に限らず、東京のアニメ産業は、高い国際競争力を有する東京の有力な地場産業であり、貴重な観光資源にもなり得ると考えられます。
 都として、区市町村とも連携を図りながら、アニメ産業の振興とその観光資源としての活用に積極的に取り組むべきと考えますが、所見を伺います。
最後に、貴重な財源の一つである都債について伺います。
 都には、都市再生などの課題が山積し、その実行に当たって安定的な財源となるのが都債です。
これまで知事は、都債をバランスよく活用し、財政再建にも着実に成果を上げてこられました。
 今後も、将来の財政負担にも十分配慮しながら、財政運営の重要なツールとして都債を活用すべきであると考えますが、所見を伺います。
 また、地方分権の流れの中では、地方債の発行についても、これまでのように、国が定めた一律の条件により発行するのではなく、各自治体が競争しながら独自に発行する時代を迎えています。
 都債においても、市場で投資家に評価されるためには、透明性を確保すると同時に、将来の財政負担を考え、適切な範囲でより有利な条件で発行することが必要と思います。
 例えば、都債の利率、発行価格などの発行条件を決める際、新しい試みとして競争入札を導入すれば効果があると思いますが、
ご所見を伺い、
私の一般質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)

知事(石原慎太郎君)
やまかあけみ議員の一般質問にお答えいたします。
 小児医療についてでありますが、次代を担う子どもたちの命と健康を守り、彼らを健全に育成できる環境を整備することは、社会全体の責務であると思っております。
中でも、小児医療の充実は最も重要な課題であるとも思っております。
 しかし、残念ながら、東京においては、小児科医の約三割が七十歳以上の高齢のお医者さんで占められておりまして、なかなか若いお医者さんが小児科を専門とされない。
これはいろいろ原因があるのでしょうけれども、主たる原因は、調べてみますと、ご指摘のように、診療報酬が小児医療の現場実態を反映していないのですね。
大ざっぱにいいますと、とにかく小児科を開いていてももうからない、大体、普通の内科と比べて五、六〇%の収入にしかならないということも要因の一つだと思います。
 そういうことで、私はやはり、少子化が叫ばれ、国全体の危機の要因の一つとして考えられておるこの時代に、若いお子さんの健康、生命というものを支える小児科医の立場に、報酬という点でも、インセンティブというものをもう少し考えるような、そういう改正を国は積極的に考えませんと、小児科の傾向というのは、なかなか食いとめられにくいのではないかと認識しております。
 そういう点で、今後、国との交渉の中で、強くそれを要求していきたいと思っております。
 他の質問については、副知事及び関係局長から答弁いたします。

副知事(竹花豊君)
青少年対策についてでございますが、働くことも学ぶこともしない若者の増加というものは、当該若者にとりましても不幸でございますし、ご指摘のように、社会全体にとっても大きな損失でございます。
 この問題、一朝一夕で解決できるものではありませんが、自立して社会で生きていくことができる力や他人とわかり合う能力を、幼いころから身につけさせることが必要であります。
 都といたしましては、中学生を対象とした職場体験の実施や高校中退者への支援策を来年度の重点事業として行うこととしており、また、コミュニケーション能力の向上を図るために、親子を巻き込んだ幼児段階からの取り組みや、あるいは小学生の自然体験を広げることなども視野に入れまして、子どもの成長段階に応じた対策を幅広く実施してまいりたいと考えております。
 次に、青少年施策を進める上での外部との連携強化についてでございますが、青少年にかかわるさまざまな取り組みを進めるに当たりましては、ご指摘のとおり、都庁内のみならず、区市町村や関係諸団体との協働体制が不可欠でございます。
例えば中学生の職場体験を進めていく上でも、多くの事業者あるいは商店街の方々、あるいはボランティアの方々のご協力が必須でございます。
 都内では、数多くの団体が青少年問題に真剣に取り組んでおられますし、これまでも、必要に応じて行政機関も含めてさまざまな連携をしてきたところでございますけれども、こうした連携を格段に強化したいと考えておりまして、今後、これら関係の団体が幅広く参加し、青少年対策を総合的かつ効果的に推進するための新たな体制を、来年度早期を目途に整備する予定でございます。
 これによりまして、区市町村、民間事業者、NPOやボランティア、もちろん教育界の方々も含めまして、大きな具体的な活動を進めてまいりたいと考えております。

福祉保健局長(幸田昭一君)
福祉施策及び地域小児医療体制の充実に関する八点のご質問にお答えいたします。
 まず、障害者のIT利用支援の取り組みについてでありますが、今般、都は、障害者のIT利用の機会をより多く提供するとともに、その活用能力を高め、社会参加や就労機会の拡大に資するため、ITサポートセンターを開設いたしました。
 このセンターでは、ITに関する利用相談やパソコンボランティアの養成、派遣、視覚障害者や知的障害者などそれぞれの障害特性に配慮した講習会を実施いたします。
 また、IT関連企業と連携して、障害者のためのパソコン機器の展示やさまざまなソフトの紹介を行い、より多くの障害者がITを利用できるよう支援してまいります。
 次に、区市町村障害者就労支援事業の拡充についてでありますが、都が独自に実施しております本事業は、区市町村が身近な地域において障害者の就労面と生活面の支援を一体的に行うものであり、極めて意義のある事業であると認識しております。
 昨年度においては、二十の区市で実施し、四百人を超える一般就労を実現いたしました。
 今年度は二十四の区市で取り組んでおり、今後とも、本事業の拡大に努めていくとともに、ハローワークや養護学校などにも参加を呼びかけ、就労にかかわる情報や支援技術などの共有化を目的とした地域別の事業者ネットワークをさらに強化するなど、事業の充実に努めてまいります。
 次に、障害者相談員についてでありますが、本制度は、障害者本人やその保護者が相談員となって、障害者の立場から他の障害者の相談に応じるものであり、障害者の地域での生活を支える重要な役割を果たしております。
 相談員の任命や研修は区市町村において行われておりますが、ご指摘のように、都が進める障害者福祉の取り組みについて、相談員の一層の理解と協力を得ることは極めて重要であります。
 このため、都は、相談員の資質向上に資するよう積極的な情報提供に努めるとともに、区市町村に対しても、研修内容などの充実について働きかけてまいります。
 次に、成年後見制度の活用促進についてでありますが、福祉サービスの契約や財産管理を行うなど、判断能力が不十分な方への幅広い援助の仕組みである成年後見制度は、後見人などの確保が難しい、低所得者が利用しにくいなど、解決すべき課題も多く、ご指摘のとおり十分な活用が図られていない実態があります。
 こうした状況を打開し、成年後見制度の活用を促進するためには、住民に身近な区市町村が制度の利用相談に対応するだけでなく、具体的に成年後見を行える体制づくりなどを積極的に進めていくことが重要であります。
 このため、都は来年度の重点事業として、区市町村における成年後見制度を推進する機関の設置や後見人の確保に向けた取り組みなどに対し、総合的に支援してまいります。
 次に、家庭福祉員制度についてでありますが、この制度は、家庭的な雰囲気の中で、少人数の子どもに対し保育を行うものであり、利用者の多様なニーズにこたえる保育サービスの一つであります。
 ご指摘のとおり、子育て経験豊かで、保育士などの資格を持つ方々を積極的に活用することは、孤立しがちな親たちに対する支援にもつながり、地域における保育力向上のための効果的な方策であると考えております。
 都としては、都民のより一層の利用促進を図るため、実施主体である区市町村とも連携して、制度の普及啓発に努めるなど、積極的に事業を推進してまいります。
 次に、保育所と家庭福祉員との連携についてでありますが、地域において、保育所と少人数での保育をその家庭で行う家庭福祉員とが、それぞれの特徴を生かし、例えば保育所で実施する健康診断に家庭福祉員が保育している子どもを一緒に受診させるなど、連携を図ることは意義があると考えます。
 既に、国においては連携保育所制度を設けておりますが、都内では取り組みは進んでおりません。
そこで、ご提案を踏まえ、事業者の創意工夫による弾力的な運営が行われている認証保育所における自主的な取り組みを通して、その効果と課題が明らかになるよう働きかけ、支援に努めてまいります。
 次に、小児初期救急医療への取り組みについてでありますが、都は、医療資源の有効活用を図る観点から、地域における平日夜間の小児初期救急医療体制を確保することにより、小児二次救急医療機関への患者集中を緩和するため、平成十四年度から、区市町村に対する補助を行っています。
 平成十五年度末現在、八区一市が小児初期救急平日夜間診療事業を実施していますが、今年度からは、複数区市町村による共同事業や二次救急医療機関に地域の小児科医師が出向いて診療を行う事業も補助の対象とし、その拡大を図っております。
 今後とも、保健医療計画に基づき、全区市町村がこの事業を展開できるよう、引き続き支援に努めてまいります。
 最後に、小児二次救急医療体制などの充実についてでありますが、都は、小児二次救急医療体制について、保健医療計画などに基づき、三百六十五日二十四時間、常時小児科医師による対応が可能な医療機関を六十病院確保することを目標としております。
また、災害時に患者受け入れなどを行う災害拠点病院については、地域防災計画に基づき、七十病院を指定することを目標に、計画的な整備に努めています。
 お尋ねの順天堂大学練馬病院につきましても、都の小児二次救急医療や災害医療の拠点としての役割を積極的に担うよう働きかけ、体制の整備に努めてまいります。

産業労働局長(関谷保夫君)
アニメ産業の振興と観光資源としての活用についてのご質問にお答え申し上げます。
 都は平成十三年度から東京国際アニメフェアを開催しておりますが、年々参加規模が拡大するなど、ビジネスの場として発展してきているところでございます。
加えて、来年度は新たに制作会社への資金面での支援の仕組みをつくるとともに、作品情報を発信するデータベースを構築するなど、今後ともアニメ産業の振興に取り組んでまいります。
 また、東京のアニメ産業は、海外の人々も高い関心を持つ魅力的な観光資源でもございます。
区市町村とも連携を図りながら、民間事業者によるアニメツアー造成等の取り組みを積極的に支援するなど、アニメ産業の観光資源としての活用に努めてまいります。

財務局長(松澤敏夫君)
都債について、二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都債の活用についてでございますが、都債は、世代間の負担の公平を確保し、財政負担の平準化を図るという重要な機能を有しており、公共施設整備などを進める上で貴重な財源となっております。
 これまで、都債の発行に当たりましては、財政再建推進プランに基づき抑制基調を保ちつつ、事業を重点化した上で積極的に充当してきており、その結果、起債依存度についても、毎年度極めて健全な水準を保っているところでございます。
 今後とも、将来の財政負担に十分配慮しながら、東京の再生のため、社会資本の整備や都民生活に密接に関連する事業について、適切に活用してまいります。
 次に、都債発行における競争入札の導入についてでございますが、都はこれまで、国が地方債の発行条件を決める旧来の枠組みから離脱し、都が独自に都債の条件を決定する新たな制度を確立するなど、都債発行に関する各種の制度改革を進めてきております。
 ご指摘の競争入札についても、改革の一環として現在検討を進めておりますが、国債の競争入札において発生したように、落札割れへの対応や都債における競争入札に適した商品の選定など、安定的な資金調達に向け解決すべき課題がございます。
 今後、こうした課題に対しまして十分な検討を行い、資金調達コストの低減を目指して、競争入札の早期の導入に向け、取り組んでまいります。

出典:平成十六年東京都議会会議録第十七号 https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/proceedings/2004-4/03.html#05

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