メインイメージ

議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

公営企業会計決算特別委員会
平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

山加朱美
 私は、都民の安全・安心という観点から下水道局の浸水対策についてお伺いをしたいと思います。
 きょうは二十一日ですから、つい二週間ほど前、この日本列島に台風十八号が上陸をしたわけであります。今回の台風は、日本に接近して上陸するまで、過去の伊勢湾台風とほぼ同じコースを進んでいたということで、非常に警戒を要する強い勢力を持っていたとされました。しかし、幸い東京では大きな被害はなかったわけでありますが、地球温暖化の影響からか、こうした大型台風の襲来がふえていくのではないかといわれているわけであります。
 都内では、近年、ゲリラ豪雨といわれる、いきなり強い雨が降り出しまして、それが局所的かつ短期的に短時間の中で降るわけであります。一時間五〇ミリを超えるような雨が降る。地区によっては繰り返し浸水被害が発生をしております。
 下水道局では、このような降雨状況、また浸水被害発生状況などを踏まえ、従来の雨水対策事業を着実に進めていただいている。これは先ほどの資料一ページの二十三区における主な浸水被害状況の推移、この表を見てもわかるわけでありまして、大変評価をいたしております。できるところから、できるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるというスローガンのもとに、緊急的な対応として雨水整備クイックプランを策定し、対策を進めてきたと思います。
 確認の意味で、まず、このクイックプランの対策とはどのような内容なのか、お伺いをいたします。

宇田川計画調整部長
 下水道による浸水対策は、幹線やポンプ所といった基幹施設の整備が基本となりますが、大規模な施設を地下深く設置しなければならないため、その整備には長い時間を必要といたします。
 下水道局では、平成十一年の浸水被害を踏まえ、雨水整備クイックプランを策定し、できるところから、できるだけの対策を行い、浸水被害を軽減させるという整備方針で、くぼ地や坂下など繰り返し浸水被害が発生している地域を重点地区とし、浸水被害の早期軽減に努めてまいりました。
 重点地区につきましては、当初二十五地区でございましたが、その後、大きな浸水被害を受けた地区を四度にわたり追加いたしまして、品川区二葉・中延地区や、世田谷区松原地区など四十二地区を対象として貯留管などの整備を行うこととし、平成二十年度までに三十三地区を完了させております。
 また、浸水が発生した場合に甚大な被害が予想される大規模な地下街を有する四地区を選定いたしまして、一時間七〇ミリの降雨に対応する対策を池袋駅周辺地区など三地区で完了させております。残る地区の来年度の完成に向けまして、全力で取り組んでまいります。

山加朱美
 私の地元、練馬区内でも、大変たびたび浸水被害に見舞われてきた地域があるものですから、練馬区内のクイックプランの取り組みについて具体的にお伺いをいたします。

松浦建設部長
 練馬区内におけるクイックプランについてですが、大泉町地区、小竹町・旭丘地区、豊玉・中村地区の三地区を重点地区に位置づけ、事業を実施いたしました。これらの地区では、浸水被害軽減の効果を早期に発現させるため、浸水被害が発生している地区の主要枝線の一部を先行整備して貯留管として活用するなど、効果的な対策を実施することといたしました。
 具体的には、大泉町地区では約六百立方メートルの貯留管、小竹町・旭丘地区では約四千五百立方メートルの貯留管、さらに豊玉・中村地区では約五千二百立方メートルの貯留管を、浸水被害が発生している地区の道路の下に整備いたしました。平成十七年度までに三地区ともすべて工事が完了しております。

山加朱美
 今のご答弁で、クイックプランに基づいて可能な限り対応し、浸水被害の軽減に努めてきていただいたことがよくわかりました。
 しかし、平成十七年の九月四日の集中豪雨がございました。クイックプランで想定している以上の、一時間五〇ミリ以上の降雨があったことから、再び私の地元の、この練馬区中村地区では大きな浸水被害が発生をいたしました。その様子は、当時、練馬の区役所からも確認できるほどでありました。都はこれを踏まえて、東京都豪雨対策基本方針を策定したわけであります。
 この基本方針では、公助としての河川整備、また下水道整備に加え、自助、共助を促進するという視点に立って、民間施設などに貯留浸透施設を設置して雨水の流出を抑制する流域対策、そしてまた高床建築の推進など浸水被害を最小限にとどめるためのまちづくり、家づくり対策といった減災対策を一層推進をしていただいたわけであります。頻発する豪雨に総合的な対策でありますけれども、やはり下水道整備などインフラ整備を着実かつ効果的に進める必要があるということはいうまでもないことであります。
 基本方針における下水道の取り組みについてお伺いをいたします。

宇田川計画調整部長
 豪雨対策基本方針では、浸水対策の基本であります下水道幹線やポンプ所などの基幹施設の整備を推進するとともに、地形等の地域特性を踏まえた効果的な対策を進めることといたしております。
 具体的には、浸水予想区域図などに基づき、浸水の危険性の高い地区を対策促進地区といたしまして、練馬区中村地区を初め二十地区を選定し、一時間五〇ミリの降雨に対応できる下水道施設の整備を平成二十九年度までに完了させることとしております。
 また、地下街などがあり、浸水時には重大な被害が発生する危険性が高い地区を六地区選定いたしまして、一時間七〇ミリメートルの降雨に対応できるよう施設を整備することといたしました。また、下水道の放流先の河川の整備の進捗に合わせ、雨水吐き口における河川への放流量を拡大することによる浸水被害の軽減にも取り組んでございます。

山加朱美
 下水道の浸水対策の基本であります基幹施設の整備に重点的に取り組むということでありますが、都民の安心感を高める着実な対策につながっていくと思います。
 さて、この対策促進地区として選定されていた中に、私の地元、たびたび恐縮でありますが、練馬区の中村地区が入っております。この具体的な取り組み内容についてお伺いをいたします。

松浦建設部長
 対策促進地区の一つであります中村地区では、豪雨対策基本方針の策定の契機となりました平成十七年九月四日の集中豪雨により、床上浸水を含む大きな被害が発生しております。この地域では、道路がなだらかに傾斜しており、周辺より低い土地に水が集まりやすいという地形的な特徴があります。この地域特性を考慮した上で、一時間五〇ミリメートルの降雨に対応できる効果的な対策を実施することといたしました。
 具体的には、集まってきた雨水を取水しやすい豊中通りの道路の下に、口径三メートルから四メートル、延長約二千四百メートル、貯留量二万五千立方メートルの大規模な雨水の貯留管を整備するものでございます。さらに、地盤の高低差などの地域特性が考慮できる設計手法を活用して、より効果的な貯留を行ってまいります。

山加朱美
 この練馬区中村地区、繰り返し浸水被害が発生をしておりまして、浸水対策への地元からの要望は昔から大変多いわけであります。今回の下水道局の浸水対策に大いに期待を申し上げておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また最後に、この地域の現在の取り組み状況、今後の予定についてお伺いをさせていただきます。

松浦建設部長
 豊中通りは交通量が多く、道路幅員も限られているため、道路を掘削しないで済むシールドトンネル工法により貯留管を施工することとしました。シールドトンネル工法で施工するためには、立て坑や資材置き場などの作業用地が必要となるため、貯留管の路線上に位置する南蔵院の敷地の一部を借用し、平成十九年度から南蔵院の東側の貯留管の整備に着手しております。
 現在、東側の貯留管の整備は、環七通り付近、延長約一千六百メートルのうち約一千メートルまで掘り進んでおり、平成二十二年度末までに完成させる予定です。また、引き続いて実施する西側の貯留管の整備については、平成二十二年度からの着手に向け、設計作業を進めているところでございます。
 これらの対策による効果を早期に発現させるため、東側の貯留管の整備が完成した後、平成二十三年度から、完成した部分の約二万立方メートルを先行的に供用開始することとしております。
 今後も地元住民からの理解と協力が得られるよう努め、平成二十六年度末までにすべての施設を完成させることを目指し、鋭意工事を進めてまいります。

山加朱美
 私は今、直接お伺いをしておりますので、本当に頑張って一生懸命やっていただいているなということがわかるわけでありますが、どうか地元の皆様へのPRもしっかりと努めていただきまして、頑張っているということが地元に伝わるようにしていただきたいと思います。一刻も早く事業を進め、地域の浸水に対する安全度を少しでも早く向上させていただきたいと思います。このことを申し上げ、質問を終わります。ありがとうございます。

出典:平成二十年度公営企業会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/municipal-utility-account/fy2008-07.html


戻る