議会質疑
PARLIAMENTARY QUESTION
各会計決算特別委員会
各会計決算特別委員会第一分科会第三号
山加朱美委員長
ただいまから平成十五年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日は、出納長室、議会局及び知事本局関係の決算に対する質疑を行います。
よろしくお願いをいたします。
これより出納長室関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十五年度東京都一般会計決算中、出納長室所管分を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
松村委員
新銀行の設立準備に伴う所管を、出納長室がこの平成十五年、受けられました。
それで、結果としては税務協会への委託費ということになったわけです。
出納長室予算のやりくりの中から出され、残りを予備費から賄ったということですけれども、十五年度のこの予算関係について、決算でどのようになったのか、まずご説明いただきたいと思います。
島田副出納長
新銀行設立のための調査研究委託費でございます。
総額で約八億七千万円でございまして、その財源の内訳は、管理費の契約差金等から約五億円、それから積立金からの流用によりまして約九千万円、予備費からの充当によりまして、これが二億八千万円、以上でございます。
松村委員
当初、税務協会への委託の中で、東京都職員派遣、派遣された職員が二十三人ということでしたけれども、この出納長室、この会計管理の人件費、これは前年、二〇〇二年に比べても人件費は減っているわけですけれども、この関係はどうだったんでしょうか。
この派遣職員、都の派遣職員ですね、出納長室だけじゃなくて全庁的なということですか。もうちょっと説明してください。
島田副出納長
出納長室の所属の職員を派遣したという形でございます。
松村委員
としますと、その出納長室の職員、新銀行の設立準備に二十三人かかわったということですけれども、その人件費はどういうようなやりくりだったんでしょうか。
島田副出納長
その人件費につきましては、調査研究委託費の中で対応するということになりまして、その結果としまして、出納長室の予算の人件費の部分としまして、職員費から約一億九千万円がこの調査研究委託の中で支払われたということでございます。
松村委員
そうすると、当初予算、この二〇〇三年、平成十五年度で見込んでいた人件費、この予算の積算よりも出納長室本体の人件費というものは減って、その分、不用額等に回っているというような理解でいいんでしょうか。
島田副出納長
今申し上げましたように、職員費は減っているところでございますけれども、その中身につきましては、先ほど申し上げましたように調査研究委託費という形で支払ったところでございます。
松村委員
いずれにしても、この二〇〇三年、平成十五年度決算のときの予算では、新銀行を出納長室が受けて、委託管理などを行うとか職員派遣というのは全く想定されないで、予算は積算されていたものですね。
それが実際には新銀行にかかわる経費が、委託経費が八億六千九百万余。それを、出納長室の当初予算化されていない中でやりくりした。結果的には二億数千万円の予備費充当を行ったということですけれども、当初からそういう想定されていないものに対しては、きちっと補正予算なり、やはり議会にもはっきりそういう点も示して予算化する、議会も審議するというのが正しいやり方じゃなかったかということで、この間、私も財政委員会で質疑を行ってきましたけれども、予備費充当ということで賄うんだということでずっとこの間来たというふうに思うんです。しかし、実際には、予備費充当はこの八億六千九百万余ではなく二億数千万で済んだ。
ということは、だから、出納長室関係のかなりの、当初積算されていなかったものが六億近く、出納長室関係、この会計管理費から出さなきゃいけないというのは、私は相当無理があったんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけです。 そういう点では、一つにおいては、やはり新銀行という東京都にとっても非常に大きなこういう政策課題をやるときには、きちっと予算化をすべきだし、また、この出納長室関係の予算においても、当初の予算が四十億ちょっとの中で、実際には予備費以外六億。これは率にして何%になるんでしょうかね。
私は、だから、逆にいえば、そんなゆとりのある予算の積算なのかなと。 結局、これを見ると、財務会計システム再構築、二億七千九百万だったのが一億四千四百九十万で、不用額を一億三千四百十万出している等々。さっきの積立金ですか、積立金まで、本来一般会計に渡すものを、そういう積立金のあれがあるということで、また逆に、その会計管理の中から流用するという。
私は、これはもちろん違法じゃないと思いますけれども、やり方が、余りにもやはり疑問の多いやり方だと。当時の出納長も、何でこの新銀行が出納長の仕事なのかわからない、私のところに来たかわからないといっているぐらい、やっぱり問題が多いことだったというふうに思います。 今後としても、こういうようなきちっと予算に積算されたものは、これはやむを得なくというか、当然その中でも、不用額を出すとか使い残したとかいろいろあると思うんですよ。
しかし、少ない予算の中で、本来の会計管理という非常に重要な出納長室の役割が、そのことによって何かやはりそごとか、いろいろ支障を来したり、この事業を本来やるべき年度に逆にやれずに、次に持っていく。 だから、この十六年度、平成十六年度の財務会計システム再構築は十億なんですよね。今まで、十五年度が二億七千万。どこかここら辺に、そういうようなしわ寄せが来てはしないかなと。
これは私の推測ですけれども、老婆心ながらそのことも指摘して、今後こういうような、当初あらかじめ想定していないようなものに対しては、きちっと補正予算というか予算を組むなり、または必要だったら予備費をきちっと請求して処理すべきだということを強く意見として申し述べて、終わりたいというふうに思います。
島田副出納長
新銀行設立の目的でございますけれども、技術力、将来性がありながら資金調達が難しくて存立の危機に立たされている中小企業に融資することでございまして、厳しい金融情勢が続く中では、これに対応する時間的な余裕がないものと判断したものでございます。
そのために、私どもといたしましては、予算制度の原則によりまして適切に支出をし、予備費の執行をしたところでございます。
松村委員
私も、終わろうと思ったんですけれども、新銀行のそういう政策目的を改めていうんだったら、ここでそれが本当に出納長室の仕事なのかどうか、また、そういう今の予算のやり方がいいのかどうかも含めて論議しなければならなくなると思いますよ。
それをあえて、今もう所管が移ったから、会計における処理のあり方について私はただしたんですから、そのことは、そんな開き直るような発言をしないでくださいよ。
そういう私が今指摘したことについては、きちっと受けとめて、今後もし生かすべきことがあるんだったら、きちっと受けとめていただきたいということを最後に申し述べて、終わりたいと思います。
山加朱美委員長
ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で出納長室関係を終わります。
これより議会局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十五年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で議会局関係を終わります。
これより知事本局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
伊藤儀典長は、都合により本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
決算の審査を行います。
平成十五年度東京都一般会計決算中、知事本局所管分を議題といたします。
本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
松村委員
まず、横田基地等都内米軍基地問題について伺いたいと思います。
横田基地を初め都内米軍基地対策を所管している知事本局は、具体的にどのようにこの間取り組んできたのかをまずお伺いいたします。
河島横田基地共用化推進担当部長
米軍基地の整理・縮小・返還に関してどのように取り組んできたかというお尋ねでございますが、都では、国に対する提案要求の最重点事項の一つとして米軍基地対策の推進を掲げまして、米軍基地の整理・縮小・返還の促進を、これまでも政府に強く求めてきたところでございます。
また、基地を有します全国十四の都道県で構成いたします渉外知事会というのがございますが、この渉外知事会を通じまして他の自治体とも連携して、基地の整理・縮小・返還に取り組んできたところでございます。
松村委員
最近、米軍再編構想、トランスフォーメーションというふうに呼ばれておりますけれども、これがさまざま報道されていますね。
私も、ここ数日の新聞をコピーしてきましたけれども、「米軍再編構想、どうなる首都圏の基地 増強?移転?地元に波紋……」とか、それから、在日米軍再編、来春結論で日米合意とか、米軍司令部移転、座間受け入れ打診とか、いろいろ新聞報道、ここ数日をとってみても、こういう大きな報道がされておりますけれども、都は現在、こうした動きをどう把握しているのでしょうか。
河島横田基地共用化推進担当部長
新聞報道でございますが、確かに委員ご指摘のように、最近、非常に多くの記事が出ております。その中には、横田基地に関する直接話題となるようなお話も出ております。
例えば、横田の第五米空軍司令部とグアムにございます第十三米空軍司令部の統合であるとか、あるいは、知事がかねてより進めております民間航空との共用化の話であるとか、さらには自衛隊航空総隊司令部、これは府中にございますが、これの横田への移駐などが検討されているなど、というような報道がございます。
こうした横田基地に直結する報道につきましては、都ではその都度、必要に応じまして外務省などに問い合わせをしているところでございますが、個別の基地に関する協議内容については、新聞記事を裏づける事実はない、こういう説明に終始してございまして、国の方から何ら明らかにされていないというのが実情でございます。
松村委員
今も具体的に新聞報道の範囲の中での話がありましたけれども、こういう在日米軍の再編の議論に対して──基地を抱える東京都にとっても非常に重大だと思うんですよね。都はどのように対応して、今後どう取り組んでいくおつもりなのかも伺っておきます。
河島横田基地共用化推進担当部長
先ほどご答弁いたしましたとおり、在日米軍の再編についてさまざまな報道がなされる一方で、これまで、関係自治体に対しましては十分な情報提供が国からなされてこなかったというのが実態でございます。
こうした状況を踏まえまして、在日米軍の再編は、地元自治体、これは都に限らず全国の地元自治体に多大な影響を与える可能性があるとの認識から、本年八月六日、全国の渉外知事会といたしまして、関係自治体に情報提供を行うとともに、事前に意見を聴取することを政府に対して要請したところでございます。
また、同じ八月の三十日には、都と横田基地の周辺市町で構成いたします横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会といたしまして、政府に対し同様の趣旨の要請を行ったところでございます。
今後とも、情報提供と意見聴取を国に強く求めてまいりたいというふうに考えております。
松村委員
渉外知事会や周辺市町の連絡協議会としても政府に正式に申し入れていると。それに対して、どうなんですか。申し入れしっ放しというか、どういうような返事というか、回答とか。
先ほどの答弁にあったように、その一連の新聞報道が根も葉もないどころか、具体的に──だって、日米外務、防衛審議官の、日米の会議などが具体的にやられているわけでしょう。
そういうことも含めて、国はどういうような返事というか、感触というか、ということになっているんでしょうか。
河島横田基地共用化推進担当部長
先ほどもご答弁申し上げましたけれども、国に対して問い合わせをいたしますと、国の方では、そういう審議官級の会議が開かれたことの事実、そういったことは認めるにしても、その中で個別の基地について具体的な検討が行われるというまだ段階ではなくて、例えば、米軍再編のコンセプトとして、抑止力の維持であるとか地元負担の軽減であるとか、そういう大きな話をしているところである、個別的な基地の議論については、それは従来からさまざまなレベルで意見交換はしているけれども、正式な議題として提示されているような、そういう状態にはないのだ、こういうような説明がございまして、我々としてはそれ以上の説明は聞き得ていないというのが実態でございます。
松村委員
そういう国の姿勢は本当に大きな問題があるというふうに思いますし、そういうことを許しておいていいのかどうか。都ももっと積極的に情報をつかんで、都民も重大な関心を持っていますから、ぜひそれを都民にも知らせる努力をしていただきたいと強く求めたいと思います。
そして、先ほども話がありましたけれども、自衛隊の航空総隊司令部の横田への移駐、これも議題に上っているということの報道もありますけれども、そんな方向に進んだならば、ますます軍事基地の固定化につながるのではないかというふうに思いますけれども、その点ではどうでしょうか。
河島横田基地共用化推進担当部長
自衛隊が横田に移駐するというような、そういう話が報道の中で出てきているということは承知しているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、関係省庁の方に問い合わせても、それについて具体的に協議している事実はないという、そういう回答でございます。
そういうことから、今の段階で、仮定で、我々の方としていろいろな検討を行うということはやや時期尚早という感もございます。 そういう意味から、現段階でやるべきこととしては情報把握に努めること、そういうことだというふうに認識しておりますので、今後とも情報把握に努め、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。
松村委員
横田基地の軍民共用化については、基地周辺の自治体に反対の声があります。どういう理由を挙げているのか、また、都はどのように対応しているのかを伺います。
河島横田基地共用化推進担当部長
地元の市町の中でも、滑走路の延長線上にございます昭島市それから瑞穂町は、現状でも騒音のいろいろな影響が出ているというようなことから、両市町から、横田基地の軍民共用化は騒音の増大につながるとして、共用化に反対するとともに、情報提供を求める、こういった意見が要請書などの形で出されているところでございます。
私どもといたしましては、横田基地の軍民共用化に関する情報提供については、アメリカとのいろいろな交渉の中で進めていく必要性があって、国とのいろいろな約束の中で一定の制約があるものもございます。
しかしながら、そういう中にあっても、都はこれまでも、地元自治体への説明に努力を重ねてきたところでございます。 今後とも引き続き、軍民共用化に対する地元の理解と協力を得るように努めてまいりたいというふうに考えております。
松村委員
実際、その周辺自治体、それから地元住民は、航空機事故のそういう可能性の増大、ここ二、三年に一回は航空機の部品が住居の屋根に落下するとか、文字どおり騒音公害、これももう横田基地公害訴訟が起こされて、最高裁でも、夜間飛行の差しとめとかそういうのは棄却されましたけれども、明らかに過去の損害に対する賠償責任を求めるとか、大変な被害や苦痛をこうむっていると。
だから、それが軍民共用化になれば、それ以上の耐えがたいものになるということなどは、やはりしっかり受けとめなければなりませんし、最近では、九月九日でしたか、引き続き環境基準を大幅にこの騒音が上回っているということで、知事本局や環境局が国に強くこの改善を求めておりますけれども、もっと実効ある具体的な、そういう東京都の要望が実施されるような対応を強く求めたいと思います。
あわせて、我が党は民間空港を必ずしも否定するものではありませんけれども、しかし、横田基地の軍民共用化に反対するのは、軍事基地の固定化につながるものであるという立場からであります。
この点、全面返還こそ、都民や関係自治体が一致して求めているものであります。
この方向で速やかに取り組みを強めるべきだというふうに思いますけれども、最後に、在日米軍の再編の機をとらえ、都は横田基地について、軍民共用化を求めるのではなく、全面返還を政府に強く求めていくべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。
河島横田基地共用化推進担当部長
先ほども、国への提案要求などで、都の立場といたしましては、米軍基地対策の推進に対する都の基本的立場といたしましては、基地の整理・縮小・返還である、こういうことを申し上げております。
しかしながら、横田基地については、民間航空利用を図ることによりまして、首都圏の空港機能を補完し、多摩の振興はもとより、日本経済の再生も含め国力の充実を図るものとの認識から、将来的な目標といたしましては返還でございますが、その返還までの対策として、民間航空との共用化を追求しているところでございます。
第三回定例会の知事答弁にもございましたとおり、横田基地の平時における軍事的な比重は低下している。
この機をとらえて、横田基地の返還に向けた第一歩として軍民共用化の実現を図っていく、それが都の基本的な考え方でございます。
松村委員
もう繰り返しませんが、軍民共用化については、周辺自治体、都民から強い批判があるということを踏まえれば、やはり全面返還こそ都民や関係自治体が一致して求めているものであり、この立場に立って、この機をとらえて全面返還を速やかに求めていくべきだということを強く申し上げて、この横田基地問題については終わらせていただきます。 引き続き、国の三位一体改革について伺わせていただきます。
国の三位一体改革は、昨年六月の骨太方針二〇〇三で改革の方向が示され、具体的な取り組みも始まっていますが、このような国の動きに対して、都は昨年度どのような対応を行ったのかをまず伺います。
秋山自治制度改革推進担当部長
国のいわゆる三位一体改革に対します昨年度における都の対応につきましては、昨年六月の国による骨太の方針二〇〇三の取りまとめに先立ちまして、八都県市や大阪府と連携いたしまして、国と地方の役割分担を踏まえた税源移譲の実施など、真の地方分権の実現につながる改革とするよう、国に対して共同アピールを実施いたしました。 また、国の平成十六年度予算編成時期でございます昨年秋から年末にかけまして、八都県市首脳会議を通じまして税源移譲等について重ねてアピールを行うということに加えまして、生活保護費の国庫負担率の削減などに反対を表明するなど、国に対する働きかけを積極的に行ったところでございます。
松村委員
今年度が三位一体改革の初年度に当たりましたけれども、昨年度の国の予算編成を通じて決定された内容がどのようなものであったのかを伺います。
秋山自治制度改革推進担当部長
国の十六年度予算におきましては、国庫補助負担金につきまして骨太の方針二〇〇三で示されました、おおむね四兆円の削減のうち、公立保育所運営費補助金などの一般財源化や公共事業関係国庫補助負担金の削減などで、一兆三百億円程度が廃止、縮減されてございます。
また、地方交付税につきましては、地方財政計画上の歳出抑制が図られました結果、約一兆二千億円の総額削減が行われたという状況になっております。 これに対しまして、基幹税による税源移譲が先送りされまして、所得譲与税として約四千二百億円が移譲されるとともに、税源移譲予定特例交付金として約二千三百億円が一般財源として地方に配分されるにとどまったというのが実態でございます。
松村委員
今の答弁にあったとおり、本当に当初の三位一体改革というか、税源移譲、そして補助金の削減、廃止だとかいってたんだけれども、逆に切るものだけは切って、どういう税源をおろすかも全く不明のまま、専ら地方にしわ寄せするような方向として、都議会も本当に厳しい意見書などを都と一体となって上げたということでありますけれども、それでは、国における現在のこの取りまとめ状況ですか、秋には経済財政諮問会議で方向を出すといってきたわけですけれども、現在のこの取り組み状況はどんな状況なのか。
これの問題でも、最近さまざまな、本当に無責任というか、ひどい議論が新聞報道で相次いでなされておりますけれども、正確なところをちょっと都民全体にわかるような形で知らせていただきたいと思います。
秋山自治制度改革推進担当部長
国における検討状況でございますけれども、本年八月に、全国知事会を初めとする地方六団体が、国からの要請に答える形で、三・二兆円の国庫補助負担金の廃止を中心といたしました国庫補助負担金等に関する改革案というものが国に提出されまして、これを受けて、現在、国の関係閣僚と地方六団体代表との協議が行われているという状況にございます。
協議の対象となっております地方六団体の改革案につきましては、義務教育費国庫負担金の中学校分だけを廃止、一般財源化の対象とするなど、国から示された三兆円の枠内でのいわば数字合わせでございまして、全国知事会議でも主張しましたとおり、都として賛成できない内容であるという状況でございます。 他方、国の側では、地方の自主・自立を実現するという分権改革の本旨に反した、生活保護費や社会保障の国庫補助負担率の単なる切り下げが代案として提示されるなど、関係各省が国庫補助負担金の廃止に強く抵抗しておりまして、十一月中旬に予定されている改革の全体像の取りまとめを危ぶむ声が政府の内部からさえ出ているとも聞いております。
松村委員
到底、国がまとめて──当初いっていた、地方がそういう具体案、補助金廃止などの具体案を出せば、それに対してまとめをするという、その方向すら本当に雲散霧消するようなとんでもない方向だというふうに思います。
そういう、国が地方分権改革を本当に進める気があるのかどうかという、まあ取り組みもありますけれども、こういう点では、しっかりと都民、やはり地方が足並みをそろえて、強く地方分権、しかも真の改革につながるようなものを求める、逆に大きな機会だというふうに思いますけれども、これまで都は、五月に、この地方分権改革に関する東京都の基本見解を出しましたよね。
そして、秋にはさらに具体的な提案を行うということで、この点については知事会の取りまとめが行われて、知事も義務教に反対するとか、全体の採決の仕方とか、そうこうあって、八月ですか、記者会見を行ったときにも、秋の経済財政諮問会議の取りまとめの機に合わせて、さらに具体的な東京都の提案や見解を出すということを、八月の記者会見でも私聞きましたけれども、どういう準備状況で、いつ公表するのか、お聞きいたします。
秋山自治制度改革推進担当部長
地方分権改革に向けました都の具体的な考え方につきましては、これまでも、全国知事会議の場などを通じまして明らかにしてきたところでございます。引き続き、真の地方分権改革につながる考え方を具体的に示しながら国等に働きかけていくという姿勢に変わりはございませんが、国での議論が、先ほど答弁でも申し上げましたとおり、補助金改革のさらに一部にすぎない三兆円削減で足踏みをしているというような状況でございまして、抜本的な改革が議論の俎上に上っていないという現状などから見まして、この問題につきましては、政府や経済財政諮問会議での検討の進捗状況や他団体の動向などを見きわめながら慎重に対応する必要があるというふうに考えております。
松村委員
慎重に対応するということで、今後やはり都としてもきちっとした──今、真の地方分権改革ということをいわれましたが、それに向けて提案していく考え方を示していく必要があるというふうに思うんです。
その点で、我が党としては、そもそもやはり地方分権というのは、実際の住民生活にかかわる、国民生活にかかわる六割は自治体が仕事としてやりながら、実際の税源配分が四割だと、この逆立ちしているというか、それを正す、このことがやはり全体が一致する最大公約といいますか、果たすべき事柄だというふうに思うんです。
その点に立って、都が五月にまとめた地方分権の改革に関する基本的な見解でも、幾つか承服できない点といいますか、補助金についても、やはりこれは国のひもつきになるとか、いろいろな干渉、支配の道具になる補助金、特に土木や開発といいますか、そういう分野に多いわけですけれども、しかし、国の国庫負担金だとか補助金の多くは、やはり国民の福祉とか教育など、そういう制度を支える重要な役割を果たしている。
だから、知事も、義務教育というのは国の責任だと、断じてこれを一般財源化というか、国の責任を地方におろして税源移譲の対象などにならないという立場は、我が党とも一致するものでありますけれども、しかし、義務教だけではなく、福祉や教育の多くの分野は、当然ナショナルミニマムとして国が果たすべき責任だというふうに私たちは考えます。 そういう点では、さらに、何が国が果たすべきナショナルミニマムとして責任を負うべきものかということを、もっとはっきり都民の立場に立って示していく必要があるというふうに私は思いますし、それからあと、地方交付税問題についても、いろいろ改革すべき問題がたくさんある。
いろいろな国の意図によって交付税が一つの干渉、支配の道具に使われているということも私たちは認めます。 しかし、やはり同時に、地方交付税の財源保障機能というものは、財政力の乏しい自治体でも国民の権利や暮らしを守るために、やはり必要な制度だというふうに思います。
何か逆に、地方交付税を廃止して、そして財源調整が必要になったならば新たなシステムを構築すればいいという考え方には立ちません。そうではないのではないかというふうにも、この点を明らかにしたいというふうに思います。 それからもう一つ、税財源移譲についても、この基本的な見解でいえば、幾つか具体的に示しております。
例えば個人住民税のフラット化ですか、今、低いところもあれば高いところもあるのを真ん中にそろえるという。そうすると、明らかに、やはり弱者といいますか、低いところの層が、全体にフラットにするわけですから、引き上げられるということで、庶民増税というか、税負担がふえる。そういうやり方の税源移譲というのはやはり正しくない。
それからもう一つは、消費税の税率引き上げは、直接はいっておりませんけれども、地方への配分をふやせということは、やはり消費税増税への──ここを税源移譲を求めるならば、やはり消費税の増税の引き金になるという点からすると、私たちは、税源移譲は所得や資産にかかわる税を中心とすべきだという立場に立っております。そういうこともぜひ踏まえて、今後のこの地方分権への真に実効ある取り組みにしていくための取り組みを一段と強く求めて、質問を終わりたいというふうに思います。
山加朱美委員長
ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で知事本局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
出典:各会計決算特別委員会第一分科会第三号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2004-11.html
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