議会質疑
PARLIAMENTARY QUESTION
公営企業会計決算特別委員会
公営企業会計決算特別委員会速記録第四号
山加朱美
私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、平成十二年度の公営企業決算について、意見の開陳を行います。
初めに、公営企業会計の共通事項について申し上げます。
平成十二年度は、特別会計から新たに組み替えられた港湾事業会計を含めた全十二会計の収支状況は、水道事業会計、下水道事業会計など八会計が黒字となり、高速電車事業会計、臨海副都心開発会計など四会計が赤字となっております。
十二会計全体の累積欠損額は六千四百四十五億円で、昨年と比べ、千百二億円の増加となっております。
理由は、高速電車事業会計の約七百億円などが加わったことによるものです。
より一層の経営の効率化が必要であります。
東京都は、平成十一年七月に、十二年度から十五年度の四年間での財政再建推進プランを策定しました。
都財政の構造を改革して、財政再建団体への転落を回避するとともに、新たな都民ニーズに的確に対応し、強固で弾力的な財政体質の確立を目指しております。
このため、さまざまな事業の見直しや、内部努力を懸命に実施しております。
また、今回の十二年度の決算でも、一般会計からの病院会計などへの多額の補助金も支出されており、一般会計の健全化は、公営企業会計にとっても重要な課題であります。
いうまでもなく、公営企業会計は、企業努力を通じて対価に見合った質の高いサービスを提供することが使命として求められております。
市場経済の原理を生かして、創意工夫を凝らし、効率的な経営の実施に努めることは当然であります。
今、我が国は構造改革のただ中にあります。
このような時代にあっては、コストや人員の削減など、従来型の経営効率化にとどまらず、従来の施策や事業を根本から見直し、再構築していくことが重要であります。
それでは、個別に、各会計について意見を述べたいと思います。
まず、病院会計について申し上げます。
都立病院は、その基本的役割である救急医療、障害者医療などの行政的医療や、がん医療、難病医療などの高度専門医療を都民に適正に提供するとともに、ターミナルケア--末期医療、周産期医療など、都民要望の強い医療にも引き続き積極的に取り組まれたい。
都財政の厳しい状況を踏まえ、一般会計補助対象経費の見直しを行うとともに、経費の節減と収入の確保に努め、より一層の経営基盤の強化に努められたい。
都立病院は、医療安全管理対策に万全を期すとともに、カルテなどの診療情報の提供を推進することにより、患者中心の医療の提供と患者サービスの向上に努められたい。
都立病院は、その医療機能を生かし、地域の医療機関との連携を進め、安心のネットワーク化に積極的に寄与されたい。
都民の命と健康を守るため、炭疽菌を初めとする感染症医療への対応に万全を期されたい。
次に、中央卸売市場について申し上げます。
都民に対する生鮮食料品などの円滑な流通と安定的な供給を確保するため、東京都卸売市場整備基本方針に基づき、第七次卸売市場整備計画を早急に策定されたい。
築地市場の移転に当たっては、関係者との協議、調整に十分配慮するとともに、二十一世紀の首都圏の基幹市場としての役割を適切に担えるように努められたい。
多摩地域の青果地方卸売市場については、東京都卸売市場整備基本方針に基づき、中核的地方卸売市場制度や施設整備事業費補助制度を活用し、支援の充実に努められたい。
市場内の環境改善や衛生対策を一層推進するため、関係者との連携協力体制を強化し、リサイクルの推進や大気汚染など、市場の環境負荷を軽減する対策に努められたい。
市場財政の健全な運営を確保するため、徹底した内部努力など経営の合理化に努めるとともに、効率的な資金運用や財産の有効活用など、さらなる財政基盤の強化に取り組まれたい。
次に、埋立事業会計について申し上げます。
東京港の埋立地は都民の貴重な財産であり、長期的な視点に立った着実な開発整備を推進するとともに、都民のニーズに対応し、海上公園やスポーツ・レクリエーション施設の充実を図り、良好な都市環境の形成に努められたい。
特に、有明北地区の埋め立ては、豊かな水辺環境を生かした職住近接のまちづくりを目指すとともに、東京臨海地域の発展に大きく寄与する広域幹線道路の整備などに不可欠なものであり、積極的に事業を進められたい。
また、老朽化した護岸の改修などを実施し、埋立地の防災対策に万全を期されたい。
次に、臨海副都心開発事業について申し上げます。
臨海副都心の開発は、東京の活力と創造力を生み出し、都民生活を支える新しいまちを創造する重要な事業であります。
今後とも、東京の新たな名所として都民の間に定着しているこの地域の一層の活性化を図るとともに、新たに打ち出した売却方式などを活用し、民間企業の誘致に努めるなど、着実に開発を推進されたい。
また、新交通「ゆりかもめ」の豊洲延伸、臨海副都心地域と都心部とを結ぶ晴海通りや環状二号線など、広域幹線道路の整備を積極的に推進されたい。
次に、羽田沖埋立事業会計について申し上げます。
羽田空港の沖合展開に伴う埋立造成及び用地処分は既に終了したところでありますが、引き続き、浅場造成事業の円滑な推進に努められたい。
次に、港湾事業会計について申し上げます。
東京港は、首都圏四千万人の生活と産業活動を支える物流拠点として、重要な社会基盤施設であります。
このため、利用者ニーズに的確にこたえて施設を整備し、内外の貨物誘致などを推進するとともに、東京港の国際競争力の強化を図られたい。
次に、交通事業会計について申し上げます。
経営計画に定めた事業計画の着実な執行に努めるとともに、組織の簡素効率化などにより、徹底した経営の効率化を推進し、収支目標の達成に努められたい。
バス及び路面電車の車体広告をさらに拡大し増収を図るなど、関連事業の積極的展開を図られたい。
バス事業については、乗客潮流の変化に対応した路線の整備を図るとともに、地下鉄との乗り継ぎ案内の充実など、利便性向上のための方策を推進されたい。
ノンステップバスや低公害型バスの導入拡大に努めるなど、福祉や環境にも配慮した先導的施策を引き続き推進されたい。
路面電車について、利用者の利便性の向上と乗客誘致をさらに推進されたい。
次に、高速電車事業について申し上げます。
経営計画に定めた事業計画の着実な執行に努めるとともに、組織の簡素効率化などにより、徹底した経営の効率化を推進し、収支改善に努められたい。
駅構内の空間を最大限に利用するなど、関連事業の積極的展開を図られたい。
大江戸線の全線開業による都営地下鉄ネットワークを生かした、より安全、円滑な輸送サービスの提供を図られたい。
交通バリアフリー法の趣旨を踏まえ、エレベーターなど垂直移動施設の整備、車いす対応型トイレの設置などを推進されたい。
パスネットの普及に伴い、自動改札機を複数枚対応にすることを検討されたい。
さらに、ICカードシステムの導入についても、引き続き検討されたい。
わかりやすく、利用しやすい地下鉄運賃制度について、検討を進められたい。
安全のための施設整備を推進するなど、安全確保に万全を期するとともに、乗客が安心して利用できるよう、適時適切な情報の提供に努められたい。
地下鉄の安全対策や利用者利便の向上を図るための施設整備が計画的に進められるよう、国などからの助成制度の拡充に努められたい。
地下鉄事業の資本費負担を軽減するため、今後とも、高利率の企業債の借りかえ制度の拡充を国に強く働きかけられたい。
次に、電気事業会計について申し上げます。
引き続き良好な経営状態となっておりますが、電気事業の規制緩和の進展を踏まえ、一層の効率的経営に努めるとともに、長期的な経営のあり方についても検討されたい。
次に、水道事業会計について申し上げます。
利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画で予定している新規水源開発について、国などに一層の促進を要望するとともに、水源県との協力関係を深め、その推進に努められたい。
現在及び将来にわたる安定給水を確保するため、主要施設整備事業を強力に推進するとともに、事故、震災時においても都民生活や都市計画に必要な水を確保できるよう、応急給水槽の整備や水道施設の耐震性の強化など、震災対策に万全を期されたい。
貴重な水資源の有効活用を図るため、経年配水管の取りかえ、給水管のステンレス化などの漏水防止対策を推進し、漏水率の低減化に努められたい。
また、都民の節水意識の高揚、大規模ビルなどに対する循環利用及び雨水利用の促進など、節水型都市づくりに努められたい。
安全でおいしい水を供給するため、水質監視体制の充実及び浄水処理技術の向上を図るとともに、高度浄水施設の建設を積極的に推進されたい。
また、水質基準の改定動向を踏まえ、鉛製給水管の早期解消に努められたい。
なお、河川水質の保全について、下水道の整備促進や農薬の適正使用に関する指導の強化などを国に強く要望されたい。
資源のリサイクルやエネルギー効率の高い水道システムを構築するなど、環境に配慮した施策への取り組みを積極的に推進されたい。
水道フレッシュ診断を引き続き実施するとともに、窓口環境の改善や施設の開放など、都民サービスの一層の向上に努められたい。
多摩地区水道事業のより一層の効率化と都民サービスの向上を図るため、現行の事務委託方式の見直しを推進されたい。
金町浄水場常用発電PFIモデル事業の検証を踏まえ、朝霞浄水場及び三園浄水場における常用発電設備など整備事業へのPFI導入など、新たな経営手法を活用するとともに、水道事業経営プラン二〇〇〇にも盛り込まれた企業努力に万全を期し、事業運営の一層の効率化に努められたい。
次に、工業用水道事業について申し上げます。
工業用水道事業については、安定給水及び施設の安全性を確保するため、経年管の更新を初めとした諸施設の整備を進めるとともに、より一層効率的な事業運営を推進し、財政の安定化に努められたい。
次に、下水道事業について申し上げます。
区部における下水道普及困難地域の早期解消に努められたい。
浸水から都民の生命と財産を守るため、浸水対策を積極的に推進するとともに、最近の局所的な集中豪雨に対処する雨水整備クイックプランを着実に実施されたい。
老朽化施設の更新にあわせて、能力不足の解消や機能の高水準化を図るなど、再構築クイックプランを着実に実施されたい。
公共用水域の水質を改善し、快適な水辺環境を創出するため、高度処理や合流式下水道の改善を推進するとともに、合流改善クイックプランを着実に実施されたい。
多摩地域における下水道の普及を促進するため、流域関連公共下水道の整備と整合を図りながら、流域下水道建設事業を積極的に推進されたい。
多摩地域の浸水被害を解消するため、市や町が行う雨水排水の施設の整備との整合を図り、必要な浸水対策を推進されたい。
循環型社会の形成に資するため、再生水の利用、下水汚泥の資源化及び下水熱利用などの技術開発を進めるとともに、その利用の拡大に努められたい。
下水道管渠内の光ファイバーケーブルを利用した情報通信網の構築など、下水道の多目的利用を積極的に推進されたい。
下水道施設の周辺環境を良好に保つため、臭気、騒音などの対策に万全を期されたい。
また、処理場の緑化の促進やバリアフリーにも配慮した施設上部の公園化など、地域住民に親しまれる施設づくりに努められたい。
下水道施設を適正かつ効率的に維持管理するとともに、経営改善に取り組み、健全な財政基盤の確立と都民サービスの向上に努力されたい。
以上をもちまして、私の意見開陳を終わります。
出典:公営企業会計決算特別委員会速記録第四号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/municipal-utility-account/fy2000-12.html
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