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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

厚生委員会
2013年11月14日 平成25年厚生委員会第12号

山加朱美
 私からは、本日は事務事業質疑でありますので、確認も込めまして五点ほどお伺いをさせていただきます。
 ことしの秋は、台風の多発により、各地に甚大な被害がもたらされたわけであります。特に東京では台風二十六号、本日も冒頭、まつば委員長の衷心よりの哀悼の意と、そしてまた、厚生委員会全員で黙祷をささげさせていただいたわけでありますが--伊豆大島、東京都民であります。大規模な土石流が発生して、きょう現在、三十六名の人命が奪われる痛ましい結果となっております。
 ちょうど一カ月前ですね、十月十五日ですから。しかし、一カ月たっても、まだ発見をされていない方がいらっしゃる。一日も早く発見されることを心から願うばかりであります。
 災害を予測し、いかに早く住民に避難を呼びかけるかという課題が、改めて浮き彫りになったわけであります。
 また、連日、ニュース報道をされておりますけれども、過去百年で最大の台風といわれる猛烈な台風三十号の直撃を受けたフィリピンは、死者が一万人を超える可能性もあるといわれています。
 東日本大震災のときもそうですが、未曽有の災害、想定外の災害、そんな言葉が近年繰り返されています。自然災害の脅威に対し、人は時に無力感を感じることすらあるわけでありますが、しかし、過去の悲惨な体験から常に教訓を得て対策を見直し、また、災害への備えを万全にして対応策をあらかじめ講じておくことは、行政に最も期待が寄せられるところであります。
 さて、大島では、台風二十六号に続いて接近した台風二十七号に伴う避難勧告及び避難指示により島外に避難していたほとんどの方々が既に帰島され、もとの生活を取り戻そうとする動きが始まっております。
 東京都でも、十月三十日に大島応急復旧プロジェクトチームを発足し、早期復旧と復興に向けた支援策の検討を行っているとのことでありますが、これまでも都は、台風二十六号、二十七号の被害に対しては、総務局総合防災部を中心として、まさに各局でさまざまな支援を行ってきたわけであります。
 そこで、厚生委員会では、病院経営本部で、今回の大島の災害において、医療提供の点からどのような取り組みを行ったのか伺いたいと思います。

和賀井経営企画部長
 土石流発生直後の十月十六日午後から十九日にかけまして、広尾病院、多摩総合医療センター、墨東病院から、東京DMATを交代で大島町へ派遣するとともに、広尾病院におきまして、十六日の土石流被害で重傷を負いましてヘリコプターで救急搬送された患者を全て受け入れるとともに、台風二十七号の接近に備えて避難いたしました大島医療センターの入院患者等を受け入れたところでございます。
 また、避難者の宿泊所となりました国立オリンピック記念青少年総合センターへ、各都立病院から看護師を派遣いたしまして、二十四時間体制で健康管理や相談に対応いたしました。
 このほか、救急搬送や島外避難に当たり、高速ジェット船、自衛隊航空機などに添乗する医療救護班及び医師を派遣いたしました。  なお、一時避難のために広尾病院に入院されていた方々は、十一月八日に、入間基地から自衛隊の航空機で無事帰島されております。

山加朱美
 都立病院では、さきの東日本大震災においても、長期間にわたり医療救護班、また、こころのケアチームを被災地へ派遣し、活躍をしてくれました。  今回の大島でもそうですが、災害医療における都立病院の役割は大変重要であり、都民の期待も非常に大きいものがあると思います。そしてまた、今回もその期待に応えるだけの活動がなされたことを、私は高く評価したいと思います。
 災害時に最も優先されることは、人命の救助であることはいうまでもありません。そして、災害時においても迅速かつ的確に医療を提供できる体制が整備されていることが大事であります。そのためには、東京DMATや医療救護班の派遣など、迅速な医療救護活動を展開するための日ごろの備えが重要であります。既にさまざまな取り組みが行われているからこそ、今回の大島の皆さんにも的確な医療救護活動ができたことと思っております。  確認の意味でも、災害時に迅速に的確に医療救護活動を行うため、都立病院では平常時にどのような取り組みを行っているのか伺います。

和賀井経営企画部長
 災害時におけます役割を的確に果たすために、東京都の基幹災害拠点病院であり、また、都立病院におけます救急災害医療センターであります広尾病院を中心としまして、これまでも、都立病院全体の災害医療体制の充実に努力をしてまいりました。
 発災直後の初動医療体制の確保に向けまして、東京DMAT指定病院の広尾、墨東、多摩総合医療センターでは、東京DMATの常時出動態勢を整備しており、また、各都立病院では、派遣要請に対し迅速に対応できるように、合わせて二十班の医療救護班を常時設置しております。
 今年度は、新たに災害拠点病院に設置が義務づけられました、いわゆる日本DMATを、都立病院の災害拠点病院全てに設置したところでございます。
 さらに、職員の災害対応力を高めるため、年間計画に基づきまして、研修及び訓練を実施しております。

山加朱美
 東京都では、二つの医療機関が基幹災害拠点病院に指定をされています。一つは都立広尾病院、二つ目は立川市にある独立行政法人国立病院機構災害医療センターであります。
 都立広尾病院の基幹災害拠点病院としての役割、具体的にはどのような取り組みを行っているのでしょうか。

和賀井経営企画部長
 基幹災害拠点病院は、その病院の立地いたします二次保健医療圏内の医療機関や関係機関との情報連絡機能に加えまして、都内全域の民間病院を含みます他の災害拠点病院に対しまして訓練、研修を行う役割を持っております。
 そのため、広尾病院では、医療従事者向けの災害研修と、都民、行政機関の防災関係者も対象といたしました公開講座、オープンキャンパス広尾を、それぞれ年十二回程度実施しております。  また、毎年九月には、首都直下地震を想定いたしました総合防災訓練を院外に公開いたしまして、地震発生後の初動対応や多数傷病者の受け入れ方法など、防災訓練の実践的なノウハウを学んでもらう機会を提供しております。

山加朱美
 広尾病院が、都立病院の救急災害医療センターの役割に加え、東京都全体の災害対策を牽引する、大変大きな役割を担っていることがわかりました。  ところで、今回の大島の台風被害に際して、広尾病院で重傷の救急患者を初めとした患者の受け入れが迅速に行われた背景には、日ごろから島しょ医療を重点医療に掲げて、先頭に立って取り組んできた実績があってのことと思います。
 島しょ地域には約二万七千人の都民が暮らしていますが、入院や手術を必要とする二次救急が可能な医療機関は、大島と八丈島、この二カ所にしかないと聞いております。それだけに、これまでも広尾病院は、島しょ地域には頼りにされる、そんな存在であったと思いますが、今回の取り組みを経て、一層信頼を厚くしたことと思います。災害発生時の対応を視野に入れた、島しょ地域の救急医療体制の確保に向けた取り組みを、引き続きしっかりとお願いしたいと思います。
 次に、災害の中で最も甚大な被害をもたらすと考えられる、大規模地震災害への備えについてお伺いをしたいと思います。
 平成二十四年四月に都が発表した、首都直下地震等による東京の被害想定によると、東京湾北部地震が発生した場合、死者は約九千七百人、負傷者は約十五万人に上ると予想されております。大規模な地震災害発生時において、都立病院が災害拠点病院としての機能を発揮するためには、何よりも、その病院機能を継続することが重要であります。このことは、いうまでもないことであります。
 既に都立病院では、震災時の停電に備え、自家発電装置を導入していると聞いておりますが、東日本大震災後、基幹災害拠点病院として災害時に重要な役割を担う都立広尾病院の医療機能継続のため、ライフラインの強化をどのように図ってきたのかお尋ねをいたします。

和賀井経営企画部長
 都立病院では、電力の供給が途絶えた場合でも、発災後三日間の必要な電力を賄えるよう、非常用電源の燃料の備蓄に取り組んでまいりました。
 東日本大震災の教訓から、電力供給の多様化、分散化を図ることが必要と考え、基幹災害拠点病院である広尾病院に、耐震性にすぐれた中圧ガスを燃料とするガスコージェネレーションシステムを導入することを決め、平成二十四年に工事に着手し、来月には稼働する予定でございます。
 また、老朽化した給排水衛生設備及び空調設備の更新のため、平成二十四年度に実施設計を行い、平成二十五年度から二十七年度にかけて改修工事を実施するなど、基幹災害拠点病院としての責務を果たすべく、広尾病院のライフラインの強化を図ってまいります。

山加朱美
 さきの三定一般質問における、我が党の三宅正彦議員の質疑、また、本日も早坂副委員長が、冒頭の質疑にございました答弁で、広尾病院では救急の初期診療室の改修、内科と外科が一体で治療を行うハイブリッド手術室の設置に向けた検討など、広尾病院のER機能の一層の強化を図るとの答弁をいただいているわけであります。先ほどの、今の質問のご答弁とあわせまして、都立広尾病院が基幹災害拠点病院として、ハード、ソフトともに災害に強い病院であろうとする姿が、きょうはよく理解できました。
 災害は、いつ襲ってくるか予測がつきません。また、どんな想定外であろうとも、一人でも多くの命を守り、助けなければなりません。だからこそ、常に備えを万全にすること、これが命を守る大切な手段となります。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、東京は、世界で一番の安全・安心な都市東京を掲げているわけであります。病院経営本部及び都立病院は、災害時にこの大都市東京の都民の生命を守るため、今後もその責任の重さにかなった十分な対策を講じていただきたい、そのことをお願い申し上げ、最後に、これからも災害に強い都立病院を実現するための今後の取り組み方針について、ぜひとも病院経営本部長の強い決意のほどをお尋ねしたいと思います。

醍醐病院経営本部長
 病院機能は、ご承知のとおり、ハードとしての病院施設設備と、それから医療の担い手となる医師、看護師を初めとする病院職員によって成り立っております。
 そのため、ハード面においては、首都直下地震クラスの地震発災時でも医療機能を十分に継続できるよう、広尾病院以外の都立病院におきましても、施設設備の更新時に合わせて、ガスコージェネレーションシステムの導入など、ライフラインのさらなる強化を検討してまいります。
 また、もう一方、人材面でございますが、災害時におきましても的確に医療が提供できますよう、より実践的な研修や防災訓練の取り組みを充実させ、災害医療に関する知識と技術、そして何よりも高い使命感を持ち合わせた病院職員を育成してまいります。
 こうした取り組みによりまして、病院経営本部一丸となって災害対応力の向上を図り、都民の生命を守る都立病院としての責務を果たしていく覚悟でございます。

出典:厚生委員会速記録第十二号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/welfare/2013-12.html

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