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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

各会計決算特別委員会
各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

山加朱美
 私は、平成十四年度の決算を審議するに当たりまして、平成十二年度の創設以来三年を経過いたしました介護保険制度について、その実施状況や今後の課題を中心にいたしまして何点か質問をさせていただきます。

 介護保険制度は、高齢者の介護を社会保険の仕組みにより国民全体で支え合うという、我が国の福祉の歴史の中でも画期的な制度として創設され、この平成十四年度をもって第一期三年間の事業運営を終えたところであります。

 過日ご説明のありました福祉局の一般会計決算説明書を見ますと、その100ページには介護保険費の決算状況が記載されております。

 これによりますと、介護保険費の支出済みの額は515億8800万余りであり、これは福祉費全体のおよそ一割を占めているわけであります。
 そして支出の内訳を見ますと、中心になるのは介護保険給付費負担金、これは保険料と公費で賄われる介護保険給付のうちの、東京都が負担する12.5%分ですが、これが約503億円余りに上ります。

 このほか、制度の円滑な運営のための、低所得者特別対策事業を初め、被保険者の権利救済機関であります介護保険審査会の運営、また、都独自の取り組みであります東京の介護保険を育む会の運営、そして制度のかなめに位置をいたします介護支援専門員を支援するためのケアサポート体制の構築など、いずれも重要な事業や施策に取り組まれていることがよくわかります。

 また、その隣、右側の101ページにあります、平成十四年度には第二期としての介護保険事業支援計画を策定するための委員会が設置され、そこで検討された新しい計画のもとで、この四月から介護保険は第二期目の新たな段階を迎えたところであります。

 そこで、まずお尋ねをいたしますが、平成十四年度までの第一期三年間の実績を踏まえまして、介護保険制度の現状をどのように評価しているのか、ご見解を伺います。

野村保険部長
 介護保険制度は、平成十二年四月の制度創設以来、介護サービス利用者が増加し、在宅サービス、施設サービスとも、量的にも質的にも充実してきたところでございます。

 また、要介護認定制度や契約によるサービス利用などの新たな仕組みや、高齢者からの保険料徴収、サービス利用に伴う一割の利用者負担などに関する都民の理解も深まってきていると理解しております。

 これらのことを総合的に勘案いたしますと、制度の導入期といたしましては、おおむね順調に運営されているものであると認識しているところでございます。

山加朱美
 おおむね順調であるというご答弁ですが、確かに全く新しい制度の創設であったわけでありますから、これが大きな混乱もなく無事に三年を経過できたということについては、現場の方々を初め関係者の努力には心からの敬意を表したいと思います。そしてまた、高く評価をさせていただきます。

 しかしながら、その一方で、介護保険については現場からもなお幾つかの課題が指摘されていると思います。それを福祉局としてどうとらえているかが大切と思いますが、そこで、東京都として第二期目を迎えた介護保険についてどのような課題があるとお考えになっているのか、お伺いをいたします。

野村保険部長
 東京都における課題でございますが、介護保険制度が真に高齢者の自立を支援する仕組みとして機能していくためには、介護予防やリハビリテーションの普及、在宅介護基盤の重点的な整備、利用者本位のケアマネジメントの実現、介護サービスの質の一層の向上などが課題であると認識しております。

 また、これからの介護保険のあり方といたしましては、高齢者の価値観の多様化など、時代状況の変化に的確に対応するとともに、東京の大都市特性に適応したものとしていくことも重要であると考えているところでございます。

山加朱美
 ただいま指摘されたような課題を解決していくためには、都としての主体的な取り組みを進めることはもちろんのこと、制度そのものにかかわる問題については国に対しても積極的に改善に向けた提案をしていくことが重要であると考えます。

 介護保険制度は、法律の附則において、制度施行の五年後には全般的な見直しをすることがうたわれていたかと思います。

 そしてもう既に国の審議会などにおいては見直しに向けた検討が開始されていると伺っております。

 そこでお尋ねをいたしますが、以前から都としては、介護保険の見直しに当たって国に対して積極的に提案をしていくための検討を行うという方針を伺っておりますが、現在、これについてはどのような状況でしょうか。

野村保険部長
 介護保険制度の施行後五年の見直しに向けまして、都ではこれまで、東京の介護保険を育む会や、東京都介護支援専門員支援会議などでの議論や、保険者でございます区市町村との実務的な課題についての意見交換などを重ねてきておりまして、そうした成果を踏まえまして、制度の見直しに向けた東京都からの提案を今月中にも国に対して行うべく、現在局内で鋭意検討を進めているところでございます。

山加朱美
 今のご答弁で、都としては検討を進めているという状況がよくわかりました。

 ところで、せっかく国へ提案していくのであれば、行政内部の検討にとどまらずに、介護サービスにかかわる事業者、医師会などの保険医療、福祉の専門家も含め、広く都民の意見を聞き、それを反映させた形で提案していってはいかがと考えますが、この点についてご見解を伺います。

野村保険部長
 制度見直しに向けた国への提案をまとめていく上で、ご提案のように広く都民や関係者の意見を反映させていくことは、提案を有益かつ実効あるものとするためには大変重要であると考えております。

 貴重なご提案と受けとめまして、今後、公表方法などを検討する中において、ご提案の趣旨を最大限生かせるよう工夫してまいります。

山加朱美
 前向きなご答弁をいただけたと思います。東京都からの提案が広がりと重みを増すという意味でも、ぜひ関係者からの意見を聞く方策についてはご検討いただきたいと思います。

 最後になりますが、人が老いること、それは人生の条理であり、だれもが避けることはできません。

 すべての都民が安心して老後を迎えるためにも、介護保険制度をさらに充実していく上で、今回の国への制度改善の提案活動も含め、東京都が果たすべき役割は私は大変重要であると考えております。

そこで最後に、介護保険の一層の充実に向けた局長の強い決意をお伺いして私の質問を終わります。

幸田福祉局長
 介護保険制度は、第一期三年間の制度導入期を経まして、この四月からの第二期目におきましては、高齢者の自立支援や在宅重視など、制度創設の意義や理念のより一層の具体化を図っていく必要があると認識しております。

このため、すべての高齢者が介護を要する状態になっても、人としての尊厳を持って、できる限り地域の中で暮らし続けられる社会をつくることが重要でございます。

 この目標を実現するために、本年三月に改定いたしました介護保険事業支援計画及び高齢者保健福祉計画の着実な実施を図りますとともに、制度見直しに向けた積極的な提案発信を行うなど、介護保険制度が大都市東京の特性を踏まえた、真に利用者本位の仕組みとなるよう、また、都民の皆様の期待にこたえられるように引き続き全力で取り組んでまい ります。

出典:各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2003-10.html


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