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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

各会計決算特別委員会
各会計決算特別委員会第2分科会第4号

山加朱美
 世界に類を見ない高齢社会に突入している我が国でありますが、平成二十七年には都民の四人に一人が高齢者になると予測されております。

 高齢化の急速な進行や生活習慣病の増加などにより、治癒することの困難な疾患や慢性疾患を持つ患者が増加をしております。

 また、医学や医療技術の目覚ましい進歩によって、障害を残した状態で長期の療養や介護サービスを必要とするという事例も増加をしております。

 こうした状況の中で、寝たきり予防への対策とともに、障害の軽減や日常生活動作の維持向上及び看護や介護に当たる家族等の負担も軽減されるリハビリテーションへの充実は、今後一層増大することが見込まれると思います。

 欧米では、早くからこのリハビリテーションの重要性が認識され、医療体制も充実してまいりました。

 しかし一方、我が国におけるリハビリテーション医療への取り組みは、昭和四十年、理学療法士及び作業療法士法が制定されたことに端を発しておりますけれども、療養報酬での位置づけが大変低かったこともあり、必ずしも医学界も積極的に取り組んできたとはいいがたい状況であります。

 その結果、世界的に見ても立ちおくれた状況となっているわけですが、都においては、昭和四十四年、養成学校、当時、府中リハビリテーション学院、現在の都立保健科学大学ですが、設置されまして、理学療法士、作業療法士の養成に着手し、また平成二年には、当時では我が国でも大変数少ないリハビリテーション専門病院を開設するなど、都としてはまさに先駆的な取り組みを行ってきたところであります。

 それだけに、本格的な高齢社会を迎えた今こそ、その立ちおくれを一挙に取り戻すべく、国に先んじて、都は、リハビリテーション医療体制の整備をまさに積極的に推進していくことが大変重要な課題であります。

 こうした観点から、リハビリテーション医療の充実に向け、何点か伺わせていただきます。

 まず、都の、これまでのリハビリテーションへの取り組み状況についてお伺いをいたします。
梶山医療サービス部長
 都のリハビリテーションへの本格的な取り組みは、昭和四十九年から二年間実施いたしましたリハビリテーション医療基礎調査に始まり、その後、昭和五十三年にはリハビリテーション医療調査委員会を設け、昭和五十五年には、この委員会から、東京都におけるリハビリテーション医療体制のあり方に関する報告書が提出されております。

 この報告書の中では、リハビリテーション専門病床の整備目標数などが提言されておりますが、この目標数は、その後の医療を取り巻く状況の変化などを踏まえ、現在では三千床となっております。

 また、平成二年には、都内のリハビリテーション医療の中核的な専門病院として、東京都リハビリテーション病院を開設し、リハビリテーション医療の充実に努めてきております。

 さらに、平成十三年度からは、東京都リハビリテーション協議会からの報告を踏まえ、急性期から回復期、そして維持期に至るスムーズなリハビリテーション医療を実現するための地域リハビリテーション支援事業を開始してきているところでございます。
山加朱美
 私も、この東京都リハビリテーション病院、視察をさせていただきました。

 大変リハビリを必要としている都民にとっては心強い存在であるということを、私も実際現場を見せていただいて、感じたところであります。

 しかし、それと同時に、このリハビリテーション病院の存在が、医療機関の情報という意味では、都民になかなかわかりにくい状況ではないかなということも感じました。

 リハビリにおいては、例えば脳卒中等の急性期の治療及びリハビリテーション医療が終わると、続いては回復期のリハビリテーションができる医療機関への転院をすることになるわけですけれども、実はこのリハビリ医療を行っている医療機関の情報というのが、なかなか一般都民にはわかりにくい状況にあるわけであります。

 私も、過去において、不慮の事故によりまして、自身の体験から、リハビリテーションの情報不足ということを大変実感した一人でありました。

 ちょうど平成二年、東京都リハビリテーション病院ができたころリハビリの情報不足に悩んだ都民の一人といたしまして、当時この病院のことを知っていれば、私も機能障害がもう少し軽減できたのかなと、そんな思いでこの視察をさせていただいたわけですけれども、やはり、都民がこうしたリハビリテーションを実施する医療機関の情報を知らないということでは、都民ニーズに十分にこたえ切れていないのではないかとも思います。

 リハビリに関する情報の都民への提供について、都はどのような取り組みをしているのか、伺います。
梶山医療サービス部長
 都民の方々への情報提供についてでございますが、都は、リハビリテーション医療を実施している医療機関の状況を定期的に調査しており、この情報を医療機関名簿として平成八年度からおおむね二年ごとに公表しております。現在の名簿は平成十三年十一月に取りまとめたものであるため、この改訂に向けて既に医療機関の調査に着手しており、今年度中には、健康局のホームページなどIT技術も活用しながら、広く都民の方々に周知を図ってまいることとしております。
山加朱美
 不幸にして事故や病で倒れたとしても、寝たきり状態にならない、たとえ障害を背負ってしまったとしても、住みなれた地域で暮らし続けることができることが、何よりも大切なことであります。

 そのためには、急性期リハビリから回復期リハビリ、回復期リハビリから維持期のリハビリへのスムーズな移行が何よりも大切なことだと考えますが、リハビリの充実のための現状の課題について、都はどのような認識をしているのか、伺います。
梶山医療サービス部長
 リハビリテーション医療の充実に向けての課題についてでございますが、急性期から回復期、そして維持期に至るスムーズなリハビリテーション医療を実現するために、関係する各機関の連携をより一層強固なものにすることが求められていると認識しております。

 このため、東京都リハビリテーション協議会からの報告でも提言されているとおり、サービスの提供に当たっては、総合的なアプローチを重視すること、また特に維持期のリハビリテーションに関しては、地域性を配慮した体制整備を行うことなどの視点を踏まえまして、リハビリテーション医療の推進体制を整備していく必要があるものと考えております。
山加朱美
 ただいまの答弁にも、地域性を配慮した体制整備を行うことという課題が示されましたけれども、今、特に求められているのは、地域性に配慮したリハビリ支援の充実、そしてそのための連携システムの構築であると思います。こうした点について都はどのような取り組みを行っているのか、伺います。
梶山医療サービス部長
 地域で行われておりますリハビリテーション医療への支援の充実などについてでございますが、都といたしましては、急性期から回復期、そして維持期に至る重層的な医療連携システムが、関係する各機関の参加と協力によって構築される必要があると考えております。

 こうした観点から、住民に身近な区市町村単位の地域においては、在宅介護支援センターや障害者自立生活支援センターなどが整備されつつあり、また、都では、平成十四年十二月に改定いたしました東京都保健医療計画に基づき、平成十八年度までに、島しょ地区を除くすべての二次保健医療圏単位の地域で、それぞれ一カ所の支援センターを整備し、リハビリテーション医療への支援の充実を図っていくこととしております。
山加朱美
 一口にリハビリテーションといっても、機能障害の程度、それに至った経過は、まさに個々に違うわけでありますから、地域におけるネットワーク化、そして地域のケアシステムの整備を含め、今後は、全都的な立場からのリハビリテーション体制の確立が大変重要であることはいうまでもないことであります。

 この点に関して、都としてのリハビリ医療体制及び今後の取り組みについて決意を伺いたいと思います。
梶山医療サービス部長
 都は、平成十二年度に東京都リハビリテーション協議会を設置し、急激な高齢化の進展や、リハビリテーション医療を取り巻く状況の変化にも対応し得るリハビリテーションのあり方の検討に着手し、平成十三年十一月には、今後の都におけるリハビリテーション医療提供体制の充実に関する具体的な提言を取りまとめたところでございます。

 また、都が設置した東京都リハビリテーション協議会においては、リハビリテーションに関するさまざまな調整や、情報の収集、提供を行うとともに、地域リハビリテーション支援センターの指定とその活動の評価を実施するなど、リハビリテーション提供体制を支援するための全都的な活動を行っているところでございます。

 今後とも、ご指摘の点を踏まえ、全都的な視点から、地域におけるリハビリテーション医療体制の充実に向けた支援を継続してまいりたいと考えております。
山加朱美
 私は、都民生活365日24時間の安心・安全を願うときに、福祉の向上は幸せの向上であります。

 それだけに、託される都民の願いは切実であります。リハビリテーションは、都民のだれもが必要とするものではありませんけれども、しかし、だれもが、いつあすは我が身になるかもわからない、いつ必要とされるかもわからないわけであります。

 ですから、それを受けて、都は、平成十二年の四月から始まった介護保険制度のみならず、従来の社会システムが大幅に見直されているわけですが、例えば障害者福祉施策の分野では、平成十五年度から、利用者の自己選択、自己決定を基本としたサービスの支援費制度が施行されております。

 こうしたことに連動して、今後も、私は、リハビリを取り巻く環境はますます我が国では大きく変化をしていく状況にあるわけですから、都として今後とも、都民の声、そして何よりも現場の声によく耳を傾け、都民のリハビリテーションニーズに十分に配慮した体制整備を着実に推進されることを強く要望したいと思います。

 以上です。ありがとうございました。
 
出典:2003年10月20日 平成14年度各会計決算特別委員会第2分科会第4号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2003-13.html


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