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議会質疑

PARLIAMENTARY QUESTION

各会計決算特別委員会
各会計決算特別委員会第二分科会速記録第六号

山加朱美
 私は、江戸開府四百年事業について何点か伺います。

 ことしは徳川家康が江戸に幕府を置いてから四百年ということで、江戸開府四百年の事業が都内各地で行われているわけですが、私の地元の商店街でも、江戸開府四百年のロゴマークの入ったあの赤い旗をよく見かけますし、また、その旗がイベントを大変華やかにしてもくれております。

 新聞や雑誌、テレビでも江戸開府四百年の特集が組まれ、この事業のことが伝えられております。新聞記事によれば、例えば、若者たちが昔の地図と現代の地図を見比べながら町を歩いたり、江戸の文化を特集した美術館や博物館の入場者も大変ふえていると伺っております。

 そこで、現在、江戸開府四百年を記念して行われている事業にはどんなものがあり、また、どのくらいの数になっているのでしょうか。
奥秋参事
 江戸開府四百年事業は、ことし一月から始まり、当初目標としておりました400事業が、現在では950事業を超える規模となっております。

 主なものといたしましては、一月に江戸東京博物館で開催いたしました大江戸八百八町展、三月には、都庁展望室で開催いたしました江戸東京展望パノラマ展、名橋日本橋創架四百年記念パレード、五月には、歌舞伎四百年記念、市川團十郎、尾上菊五郎主演の團菊祭五月大歌舞伎、七月には、江戸花火の再現もございました、隅田川花火大会などがございます。

 また、来る11月7日からは、都庁の都民広場で史上最大商店街まつりが行われます。
山加朱美
 当初四百事業の目標が950事業を超える規模ということは、それだけ都民のニーズに触れたということと思うんですが、私は、このような事業は、今までのやり方で進めたときは、都や区市町村の実施する事業が大半で、民間の実施する事業は少ないのではないかと思います。

 しかし一方では、950を超える事業となり、民間の協力なしではできないものとも思っております。

 そこで、この江戸開府四百年事業では行政と民間の割合がどのくらいになっているのか、伺います。
奥秋参事
 全事業のうち民間が実施するものは660事業余りとなっておりまして、全体の約七割を占め、行政の実施する事業の二倍を超える結果となっております。

 また、民間が実施する事業の中には、先ほどご説明いたしましたイベント以外にも、特色のあるものが含まれております。

 例えば、江戸文化を味わう定期観光バスのコース新設など観光にかかわるものから、江戸開府四百年事業ロゴマーク入りのお菓子、お酒、お弁当、お土産品、先生から先ほどございました古地図、それから江戸を特集した雑誌など、江戸開府四百年にちなみました商品の開発、販売がございます。

幅広い分野での取り組みが以上のようになされているところでございます。
山加朱美
 今の答弁をお伺いいたしまして、今回の事業は、私はイベントが中心と考えていたのですけれども、イベント以外でもいろいろな参加の仕方があるということがよくわかりました。

 まさに民間の方々が知恵を出し合った結果、このような多彩な事業の実施ができ、さまざまな場面で都民の事業への参加もまた可能になったものと思います。

 今回の事業は百年に一回の大きな事業であります。

 民間の活力を活用した結果、九百五十を超える事業が実施されているということは大変すばらしいことと思います。

 都は本事業を実施するに当たり、民間の力を引き出すための何か新しい仕組みを考えたのでしょうか。
奥秋参事
 従来は、行政がみずからイベントを実施するなど、行政主導のイベントが多数ございました。

 しかし、今回の江戸開府四百年事業は、一年間の長期イベントとなるため、行政主導ではなく、民間の活力、ノウハウを活用し、事業参加者みずからが事業を推進していくという方法をとりました。

 そのため、東京都と東京商工会議所を中心に、江戸開府四百年事業推進協議会を創設いたしまして、広く地域、企業、民間団体、行政の事業への参加を求めることとし、都は、民間の柔軟な発想を生かした事業の実施を側面から支援する役割を担う仕組みといたしました。

 また、事業実施の際には、推進協議会が作成した四百年事業ロゴマークの無料使用を認め、数多い事業が一体感を保てるようにするとともに、事業への参加を広くPRできるようにするなど、民間にとって事業参加への意欲がわくような仕組みとしたところでございます。

 今回の事業推進協議会方式による新たな取り組みは、ぜひとも実を結ばせ、今後の事業実施の一つの参考になればと考えているところでございます。
山加朱美
 ことし、江戸開府四百年という言葉は、関係者各位皆さんの努力により、都内各地で耳にするものとなりました。

 私は、もしこの事業を東京都だけで行っていたのでは、このような広がりを持つ事業にはならなかったのではないかと考えます。

 そして、今説明のあった、地域、企業、民間団体と行政が連携をして実施する仕組みをつくった効果があらわれたものと思っております。

 まだ事業の途中ですから、最終的な評価はできませんけれども、行政だけで行うのではなく、民間にも広く門戸を開き、お互いの得意とする分野のノウハウの提供、民間活力の活用を通して長期のイベントを盛り上げていくという今回の方式は、一つの大変すばらしい試みといってもよいと思います。

 また、950を超える事業により多くの都民が楽しむ機会ができたということは、東京を元気にするためにも、私は大きく貢献をしているとも思っております。

 これからも、都がかかわる長期のイベントはいろいろあると思いますが、民間の柔軟な発想に基づき、まさに官と民の垣根を超えた協力の仕組みをつくり、限られた予算でより効率的な事業の実施ができるように、引き続き取り組むことを要望いたします。

 そして次に、文化人知事のもとで、都民は文化面でのさまざまな取り組みに大きな期待を寄せております。

 十四年度は、ヘブンアーチスト事業やアジア舞台芸術祭など新たな事業が行われました。

 特に、知事ご自身が名づけ親のヘブンアーチスト事業については、昨年の夏、都民広場で公開オーディションが行われ、多くのメディアが取り上げることなどにより、まさに大変な注目を浴び、最近は、合格してライセンスを持ったアーチストが都内の各地で活躍し、町のにぎわいに一役買ってくれております。

 商店街などのお祭りやイベントにもよくヘブンアーチストが呼ばれているのを見かけるようになりました。

 そこで伺いますが、この制度によってどのような効果が見込まれるのか、お伺いいたします。
荒川文化振興部長
 この制度が始動しましてから一年ちょっとたちましたけれども、現在、246組のヘブンアーチストが、東京都が指定しました55カ所の活動場所で日常的に活動しております。

 そして、こうした日常活動とは別に、銀座、新宿、秋葉原などの歩行者天国で、東京都主催のヘブンアーチストイベントを行いまして、そこにも参加してもらっております。

 さらには、地域の商店街などにおいてもヘブンアーチストを招いた行事が行われております。

 このような活動を通じまして、町に人々の笑いとにぎわいを取り戻せた。

 それから、特に商店街では、集まった観光客による消費増加が期待できる。

それから、東京の新しい文化として全国や世界に向けて発信できること。

 そして、大道芸人自身が町中で堂々と自分の芸を磨けるようになりまして、新たな大道芸人の育成にもつながっている。

 こういった地域活性化の起爆剤、あるいは観光振興、文化振興といった効果が見込まれるというふうに考えております。
山加朱美
 一定水準の芸を見せてもらうためにライセンスを与えることは、大変すばらしいことと思います。

 また、地域の商店街、そして福祉施設などから、ライセンスを取ったアーチストをぜひ呼びたいという話を、私の地元からもよく聞きます。

 都民が身近な地域で大道芸を楽しめるように、地域のイベントにもヘブンアーチストが積極的に参加をしてもらえるようなことはできないのでしょうか。
荒川文化振興部長
 私どもも、指定された場所での活動だけではなくて、商店街のイベントですとか地域のお祭りにヘブンアーチストが積極的に参加することは、地域の活性化のためにも大事だというふうに考えております。

 そのため、東京都のホームページに、ヘブンアーチストの連絡先や活動場所を掲載しております。

 それから、都庁に来ていただければ、特に26階の私どもの生活文化局の文化振興部ですけれども、そこに来ていただければ、アーチストのプロフィールですとか、イベント開催時のそのアーチストが参加したビデオが閲覧できるようになっております。

 それから、実際にその主催者に対しましては、ヘブンアーチストを地域の行事に呼ぶに当たっての留意すべき事項、例えば、演ずる場合にスペースが必要であるとか、あるいは更衣室が必要であるとか、そういったような説明をしまして、便宜を図っているところでございます。

 今後も、ヘブンアーチストが地域のイベントに積極的に参加してもらえるよう、できる限りの支援を行ってまいりたいと思います。
山加朱美
 この制度は地域の活性化にも役立つ有意義な事業なので、どんどん進めてほしいと思います。

 また、支援をし、活性化すればするほど、都民のニーズもふえていくと思いますし、すばらしいことだと思います。

 しかし、それに伴いまして、あってはならないことですし、また、ないとは私も思っておりますけれども、東京都からヘブンアーチストという公のお墨つきをもらったことにより、例えば、そのアーチスト本人もしくはそのプロダクション等が、出演料が急に高くなってしまうとか、商店街によっても、予算のあるところはいいですけれども、小さなところはほとんど予算がなくて、この有名になったアーチストに来てもらえないかとお声をかけたときに、出演料が何十万、何百万といわれて、とてもとても呼ぶことができないとか、芸のお墨つきが出演料のお墨つきにならないように、私は祈っております。

 今月は、ヘブンアーチスト月間と呼べるほど毎週イベントが開かれているわけですけれども、今後このヘブンアーチスト事業をどのように展開していくのか、伺いたいと思います。
荒川文化振興部長
 今のご質問に答える前に、ご意見が出ましたので、ちょっとコメントさせてください。

 ヘブンアーチストの制度自体は、とにかく多くの都民に気軽に芸を楽しんでもらうということを趣旨として制度を発足したものでございまして、決して出演料をはね上げるようなことをねらっているものではございません。

 実際、出演料自体は、ヘブンアーチストと呼んでいる主催者との間で決めることでございまして、そこに行政がコントロールするために介入することはなかなか難しいことではございますけれども、ただ、すばらしい芸には、それなりの投げ銭や出演料を払っていただくのがやはり経済原則じゃないかというふうに思います。

一方、芸の水準が大して高くないのに高い出演料をもらっている。

 先ほど、何十万、何百万とおっしゃいましたけれども、そこまではいかないと思うんですけれども、いずれにしても、そういうふうな芸人というのはいずれ廃れるんだろうというふうに思っております。

 出演料に関しましては、ご指摘のような事態があるかどうか、私どもとしてもよくフォローしていきたいというふうに考えております。

 それから、今後のヘブンアーチスト事業をどのように展開していくかということでございますけれども、まず、ヘブンアーチストを選ぶ審査会につきましては、今後とも定期的に実施しまして、新人アーチストにチャンスを与えていきたいと思います。

 ただ、その際には、単に数をふやすということではなくて、芸の質ですとかレベルといったようなことを重視していきたいというふうに思います。

 それから、活動場所につきましても、人が集まらないような場所は見直す一方、民間施設を含め、人々の集まる場所を発掘して、場所の拡大に努めていきたいというふうに思っております。

 それから、道路を使った歩行者天国などのイベントも開催していきたいと思っております。

 それから、都内での事業はもちろん、多摩地域も含めて広げていきたいというふうに思っておりますけれども、それだけではなくて全国拡大も考えておりまして、例えば今月十八日には、東京・大阪文化交流事業としまして、ヘブンアーチストを大阪の難波に派遣いたしまして、大阪府民から大変好評を得たところでございます。

また、最近は、福岡市の方からも来てほしいという要請が来ております。

 このように、今後、全国各地に向けて、東京の名物ともいえるヘブンアーチストをPRしまして、東京だけではなくて日本全体が元気になるような一助になりたい、そのような事業展開をしていきたいというふうに思っております。
山加朱美
 ぜひこの制度を大いに発展させて、東京の魅力向上につなげてほしいと思いますし、また、ヘブンアーチスト事業のねらいは、国際都市東京から世界に通じる日本の芸人を育てることと思います。

 今後、アーチストにもさらに芸を磨いていただいて、質を高めていただいて、そしてまた、いつまでも、より都民にとって親しみのある芸人であってほしいなとも思います。

 どうか東京の町を明るくしてもらいたい、そう切に願います。
 質問を終わります。

出典:各会計決算特別委員会第二分科会速記録第六号https://www.gikai.metro.tokyo.jp/record/special-accountiong/2003-19.html


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